1億円あると何年暮らせるでしょうか?またどこに預けるといいですか?
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2025/09/22 09:24
男性
60代
1億円というまとまった資金がある場合、実際に何年ほど生活費を賄えるのかを知りたいです。生活費の目安をどの程度に置くべきかや、物価上昇や医療費など将来的な変動をどう考慮すればよいのかも気になります。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
1億円というまとまった資産をお持ちの場合、実際に何年ほど生活費を賄えるのかは「毎月の支出水準」と「運用の有無」で大きく変わります。平均的な支出をもとにシミュレーションするとイメージがつかみやすいでしょう。
統計によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の実支出は月約28.7万円、単身世帯は約16.2万円です。これを基準にすると、運用せず現金のまま取り崩す場合、夫婦世帯では約23年、単身世帯なら約36年ほど持ちます。ここに年1.5%の低リスク運用を組み合わせると、夫婦で27年、単身で46年程度まで延びます。さらに世界株式を含む分散投資で年3%を確保できれば、夫婦で34年、単身では70年以上もつ計算です。
ただし、この試算には「毎年2%の物価上昇」を織り込んでいます。インフレが進めば生活費は膨らみ、持ち年数は短くなります。また、医療費や介護費といった高齢期特有の支出は年齢とともに増えやすく、突発的な大口出費(リフォーム、家族支援など)も考慮が必要です。そのため現金を1~2年分確保し、短期は債券、中長期は株式で運用するような仕組みづくりが現実的です。
さらに、公的年金を加味すると見え方が大きく変わります。多くの世帯では年金で生活費の大部分を賄えており、実際の不足額は月数万円程度です。この不足を補うだけなら、1億円は「寿命を超える安心資金」として十分に機能します。その分、資産は将来の医療・介護や相続対策のためのバッファとして活用できるでしょう。
結論として、1億円は運用しなくても数十年、適切に運用すれば平均余命を大きく超える安心感をもたらします。ただし、「いくら使うか」「どの程度リスクを取れるか」「ご家族の将来計画」次第で最適解は大きく変わります。年金の額や生活費、相続・贈与の希望まで踏まえた設計が重要です。
投資のコンシェルジュでは、こうした前提条件を整理したうえで「何年もつか」を個別にシミュレーションし、取り崩し方や資産配分を最適化するお手伝いをしています。長期にわたって安心して暮らすために、ぜひ無料相談で具体的な数字を確認してみてください。
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インフレ率
インフレ率とは、物価がどれだけ上昇したかを示す指標です。一般的には、消費者が購入するモノやサービスの価格が一定期間でどの程度上昇したかをパーセンテージで表します。インフレ率が高いと物価が上がり、同じ金額でも購入できる商品が少なくなります。逆にインフレ率が低い、またはマイナスの場合は物価が安定または下落している状態を示します。
取り崩し
資産運用における「取り崩し」とは、投資して増やしたお金を少しずつ引き出して使うことを指します。これは老後資金の活用や、定期的な生活費の補填として重要な考え方です。特に、資産を長持ちさせながら安定的に使うためには、計画的な取り崩しが必要になります。 取り崩しの方法にはいくつかの種類があります。代表的なのが「定率取り崩し」と「定額取り崩し」です。定率取り崩しは、毎年の資産残高の一定割合(例えば4%)を取り崩す方法で、資産の増減に応じて引き出す額が変わります。一方、定額取り崩しは、毎年決まった金額を引き出す方法で、収入の安定性が高い反面、資産が減少すると枯渇するリスクがあります。 取り崩しをする際は、資産が長持ちするように運用を続けることも重要です。例えば、株式や債券の比率を調整しながら、値動きの少ない資産を活用することで、取り崩し時のリスクを抑えられます。また、取り崩しの際に一度に大きな金額を引き出すと、市場が下落したときに資産が大きく減る可能性があるため、必要な分を計画的に引き出すことが大切です。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
アセットアロケーション(資産配分)
アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。
公的年金
公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、高齢者や障害者、遺族が生活を支えるための制度です。この制度は、現役で働く人たちが納めた保険料をもとに、年金受給者に支給する「世代間扶養」の仕組みで成り立っています。 国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。保険料を一定期間(原則10年以上)納めると、65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。また、障害を負った場合や生計を支える人が亡くなった場合には、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます。 厚生年金は、会社員や公務員が対象の制度で、国民年金に追加で加入する形になります。保険料は給与に応じて決まり、支払った分に応じて将来の年金額も増えます。そのため、厚生年金に加入している人は、国民年金だけの人よりも多くの年金を受け取ることができ、老齢厚生年金のほかに、障害厚生年金や遺族厚生年金もあります。 公的年金の目的は、老後の生活を支えるだけでなく、病気や事故で障害を負った人や、家計を支える人を亡くした遺族を支援することにもあります。財源は、加入者が納める保険料と税金の一部で成り立っており、現役世代が高齢者を支える「賦課方式」を採用しています。しかし、少子高齢化が進むことで、この仕組みを今後も維持していくことが課題となっています。公的年金は、すべての国民が支え合い、老後の安心を確保するための重要な制度です。