仕手筋はどのように株価を操作するのですか?
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2025/07/22 07:56
男性
40代
ニュースメディアやSNSで株について調べていたら「仕手筋が株価を操作した」という話を見かけました。株価が操作できるとしても、具体的に何をしているのか見当ももつきません。仕手筋というのは、どのようなやり方を使って株価を操作し、個人も巻き込んでいくのですか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
まず「玉集め」と呼ばれる準備段階では、市場に気づかれないように複数の口座や名義を使って少しずつ株式を買い集めます。対象となるのは流動性の低い中小型株が多く、出来高を演出するためにグループ内での売買(クロス取引)を行うこともあります。これにより、外部からは徐々に注目が集まっているように見えます。
次に「玉転がし」と呼ばれる局面では、仕手筋が大口の買い注文を連続して出し、株価を意図的に急騰させます。この急騰に合わせて、SNSや掲示板などを通じて強気の情報や根拠の乏しい噂を流し、個人投資家の注目を集めます。仕手筋は一部の保有株を売りながらも、自らの買い注文で相場を下支えし、価格上昇を維持します。これは「買い支え」と呼ばれる行為で、投資家心理を強気に誘導する効果があります。
そして最後の「ふるい落とし」の段階では、株価が十分に高騰したと判断すると、仕手筋は保有する株式を一斉に売却し、利益を確定します。急激な売りにより株価は暴落し、後から飛び乗った個人投資家は含み損を抱え、パニック売りを起こすことになります。結果的に、仕手筋だけが利益を得て、その他の投資家は損失を被るという構図が生まれます。
このような仕手戦に巻き込まれないためには、財務や業績に裏付けのない銘柄が短期間で急騰している場合には慎重になること、そして取引所や証券会社からの注意喚起や警告にも常に目を配ることが重要です。また、過剰なSNS情報や“話題株”の動きに流されず、自身の判断軸を持つことが、リスクを避ける最大の防衛策となります。
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関連する専門用語
仕手筋(してすじ)
仕手筋とは、株式市場で特定の銘柄の価格を意図的に大きく動かそうとする個人やグループのことを指します。一般的には、資金力を持つ投資家や組織が、流動性の低い銘柄を大量に買い集めて株価をつり上げ、他の投資家の注目を集めて買いを誘い、その後高値で売り抜けるという手法がとられます。 このような行為は、法律的には非常にグレーゾーンにあり、場合によっては相場操縦とみなされて違法となることもあります。仕手筋の動きは非常に予測が難しく、初心者にとってはリスクが高いため、関わらないことが賢明です。
玉集め
玉集めとは、相場で株式などの金融商品を一定の目的のもとに少しずつ買い集めていく行為を指します。「玉(たま)」は取引ポジションを意味し、買い注文を複数回に分けて実行することで、市場に目立たずに大量の株を保有することができます。 仕手筋などが値動きを仕掛ける前段階で行うことが多く、急激に買いを入れて相場を動かさないよう、出来るだけ株価を安定させたまま集めるのが特徴です。個人投資家にとっては、玉集めが進んでいる銘柄はその後大きく値動きする可能性があるため、注目すべきシグナルの一つとなりますが、確実に上がる保証はないため慎重な判断が必要です。
玉転がし
玉転がしとは、同じ人またはグループが自分で買った玉(ポジション)を、別の口座や別の名義に転売することによって、あたかも取引が活発に行われているように見せかける行為を指します。 これは実際の資金のやり取りを伴わず、売買を装うだけの「見せかけの取引」であることが多く、市場参加者に「この銘柄は動いている」「人気が出ている」と思わせることを狙っています。こうした行為は相場の実態を歪めるため、相場操縦の一種として金融商品取引法で禁止されており、悪質な場合は処罰の対象となります。 投資初心者がこのような不自然な動きに惑わされないためにも、出来高や値動きの背景をよく観察することが重要です。
ふるい落とし
ふるい落としとは、株価が一時的に大きく下落することで、弱気になった投資家や含み損に耐えられない投資家が保有株を手放してしまう現象のことを指します。このような動きは、相場の流れを仕掛ける大口投資家や仕手筋が意図的に行うこともあり、株価の下げによって個人投資家を市場から「ふるい落とす」ことで、将来的に再上昇する際の売り圧力を減らすという目的があります。 投資初心者にとっては、このような一時的な下落に惑わされて早まった売却をしてしまうリスクがあるため、冷静な判断が求められます。
イナゴ
イナゴとは、短期間で株価が急上昇している銘柄に次々と群がって買いを入れる投資家のことを指す俗語です。まるで農作物に群がるイナゴのように、一つの銘柄に大量の個人投資家が一気に集中し、勢いに乗って短期的な利益を狙います。 しかし、株価がある程度上がった後に仕掛けた側が売り抜けると、急落に巻き込まれて損失を被ることが多く、最終的には「イナゴ食い」と呼ばれるような状況に陥ることもあります。特に情報を十分に確認せずに群集心理で動いてしまう初心者が多く、冷静な判断力が求められる場面です。