地方債の利率をランキングにすると、どの自治体が上位になりますか?また、地方債はどこで購入できますか。
地方債の利率をランキングにすると、どの自治体が上位になりますか?また、地方債はどこで購入できますか。
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2025/10/28 09:11
女性
40代
現在地方債への投資を検討しています。ただ、どの地域のものが高い利率なのかよく分かりません。自治体によって違いがあるのなら、どこが上位に入っているのか知りたいです。また、地方債は銀行などで買えるのでしょうか?購入の方法や注意点もあわせて教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
地方債の利率は自治体ごとに異なり、固定的な「利率ランキング」は存在しません。これは、地方債が発行されるたびに、その時点の国債利回りに一定の上乗せをして利率が決まる仕組みのためです。時期や償還期間、自治体の信用力などによって条件が変動するため、一律の比較はできません。
たとえば東京都の「個人向け都債(東京スマイル債)」のように、個人向けに定期的に発行される地方債もありますが、回号ごとに利率が異なります。地方債の利率は同期間の国債利回りを参照して決定されるため、市場金利が上昇すれば地方債の利率も相対的に上昇する傾向があります。ただし、自治体間の利率差はごく小さいため、「どこが最も高いか」を探すよりも、その時点で募集中の地方債を個別に比較するのが実務的です。
購入方法は大きく2つあります。
1つ目は、新規発行の「公募地方債」を指定の銀行や証券会社を通じて申し込む方法です。東京都や札幌市などでは、募集期間・利率・取扱金融機関を公式サイトで随時公表しています。地元金融機関では、地域自治体の地方債を扱う場合もあり、店頭で案内を受けることができます。
2つ目は、既に発行された地方債を証券会社経由で購入する方法です。一部のオンライン証券では既発債を取り扱っていますが、流通量が少なく銘柄も限られるため、在庫状況に注意が必要です。
また、自治体によっては「住民参加型」「ミニ公募債」といった名称で、地域住民向けに小口(10万円単位など)で販売される地方債を発行することがあります。こうした債券は「ふるさと債」と呼ばれることもありますが、これは制度上の正式名称ではなく、自治体が地域貢献を目的に付けた愛称です。購入対象が自治体の居住者や勤務者に限定されるケースもあり、発行条件は自治体によって異なります。
そのため、実際に購入を検討する際は、各自治体の公式サイトや財政課・IRページで最新の募集状況や条件を確認することが重要です。
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地方債(地方公共団体債)
地方債(地方公共団体債)は、都道府県や市区町村などの地方公共団体が学校・病院・上下水道・道路といった公共インフラの整備や災害復旧費を賄うために発行する債券です。国債と同じく利息付きで元本償還が行われますが、発行主体が国ではなく各自治体である点が大きな違いです。発行後は公募債(市場公募地方債)として証券取引所や店頭市場で流通するケースと、金融機関向けの私募債として発行されるケースがあります。 信用リスクは自治体の財政健全性に左右されるものの、地方税や地方交付税による安定した収入がバックにあるため、国内債券のなかでも比較的信用力が高く、格付けもAA 〜 A 近辺が多いのが一般的です。利回りは国債よりやや上乗せされる水準で推移することが多く、長期・安定運用を重視する個人投資家のポートフォリオ分散先として検討価値があります。 利子は原則として20.315%(所得税・復興特別所得税 15.315%+住民税5%)の源泉分離課税ですが、個人向け復興支援地方債や特定の地域創生債など、発行目的や購入者要件を満たした場合に利子が非課税となる制度が設けられることがあります。非課税枠の有無や適用条件は発行要項で必ず確認する必要があります。 社会貢献の側面も魅力で、投資資金が地域インフラの整備に充てられるため、地元や応援したい自治体を選んで購入する「ふるさと投資」としての意義も高い商品です。満期まで保有すれば元本は額面どおりに償還されるため、値動きリスクよりも安定した利息収入と社会的リターンを重視する投資家に適した選択肢と言えます。
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国債利回りとは、政府が発行する債券(国債)に投資した場合に得られる収益の割合を示す指標です。具体的には、国債を保有することで定期的に受け取る利金と、購入価格や満期時の償還価格との関係から計算されます。国債は信用力が非常に高く、リスクが低いとされているため、その利回りは「安全資産の利回り」として広く参照されます。 利回りが上がると投資家はより高い収益を得られますが、同時に国債価格は下がる傾向があり、利回りと価格は逆の動きをします。国債利回りは、住宅ローン金利や企業の借入金利、株式市場の動向などにも大きな影響を与えるため、経済全体の「金利の基準」として極めて重要な役割を果たしています。
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ミニ公募債
ミニ公募債とは、主に地方自治体や企業が、個人投資家を対象に少額から購入できるように発行する債券のことです。通常の公募債に比べて購入単位が小さく設定されているため、投資初心者でも参加しやすいのが特徴です。 企業や自治体が資金を調達する手段として活用される一方、投資家にとっては、安定した利息収入を得ながら社会や地域への貢献を感じられる投資商品でもあります。一般的には元本の安全性が比較的高いとされていますが、発行体の信用状況によってリスクが変わる点には注意が必要です。




