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配当利回りとは?高配当株と言われる基準や計算方法・選び方のポイントを解説

配当利回りとは?高配当株と言われる基準や計算方法・選び方のポイントを解説

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執筆者:

公開:

2025.07.21

更新:

2025.07.21

株式国内株式

配当利回りとは「投資額に対して年間どの程度の配当金(インカムゲイン)を受け取れるか」を示す指標で、銀行預金や債券の利回りと比較する際にも重要な尺度です。ただし、配当利回りの高い銘柄ほど優れているとは限りません。配当利回り7%超といった極端な高利回り銘柄は、業績悪化による株価下落や減配リスクの兆候である可能性が高いため注意が必要です。この記事では、平均約2%とされる東証市場を基準に、高配当の目安となる3〜6%という水準や計算方法、さらには持続可能性を見極めるためのポイントを整理して解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、配当利回りの基本を理解し、自分が注目する銘柄の収益性を即座に把握できるようになります。また、日本株の平均利回りは約2%ですが、一般的に高配当とされる3〜6%という具体的な目安も明確に示されるため、自信を持って銘柄選びが可能になります。さらに、配当性向50%以下や連続増配年数、ROE(自己資本利益率)10%以上など4つの具体的な基準を活用し、「高配当の罠」に惑わされない視点を身につけられます。2024年から始まる新NISAで配当金を非課税で受け取るための注意点も理解し、手取り収入を効率的に増やす道筋が描けます。

目次

配当利回りとは?投資額に対して年何%のリターンがあるかを示す指標

投資の基本「配当利回り」の定義と意味

配当利回りの計算式とシミュレーション

今、配当利回りが投資で重視される2つのポイント

高配当株の基準は「3%」から。平均水準や持続可能性もチェック

日本株の平均配当利回りはどれくらい?

「高配当」は何パーセントから?目安が3〜4%とされる理由

高配当株投資のメリットと、知っておくべき注意点(デメリット)

メリット:定期的な配当金が不労所得に。再投資で複利効果も

注意点1:減配や株価下落のリスク。「高配当の罠」に注意

注意点2:約20%かかる税金が実質利回りを下げる

優良高配当株の選び方と4つのチェックポイント

ポイント1.基本のスクリーニング条件:利回り3%以上、財務健全性など

ポイント2. ビジネスモデルの安定性:高配当を維持しやすいセクターを見極める

ポイント3.配当の原資と実績:「連続増配」と配当性向を確認

ポイント4.収益性:ROEも組み合わせ総合的に判断

NISAで高配当株投資を始めるメリットと必須の注意点

NISA口座の活用最大のメリット:配当金と売却益がまるごと非課税になる

知らなければ損をするNISAの2つの注意点

配当利回りとは?投資額に対して年何%のリターンがあるかを示す指標

株式投資を始める上で、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)と並んで重要なのが、企業から分配される配当金(インカムゲイン)です。この章では、そのインカムゲインに焦点を当てた最重要指標「配当利回り」の基本を解説します。配当利回りが何を意味し、どのように計算するのか、そしてなぜ多くの投資家がこの数値を重視するのか。預金金利と比較しながら、その仕組みと魅力を理解していきましょう。

投資の基本「配当利回り」の定義と意味

配当利回りとは、投資した株価に対して1年間で受け取れる配当金の割合を示す指標です。銀行預金の「金利」のようなものだとイメージすると分かりやすいでしょう。

株式投資で得られるリターンには、以下の2種類があります。

  • キャピタルゲイン:株価が上昇したときに、株を売却して得られる利益。
  • インカムゲイン:株式を保有していることで得られる配当金や株主優待。

配当利回りは、このうちインカムゲインに注目した指標であり、特に株を長期的に保有して安定した収入を得たいと考える投資戦略において非常に重視されます。

インカムゲインとキャピタルゲインについては以下記事で詳しく解説しています。

配当利回りの計算式とシミュレーション

配当利回りは、以下のシンプルな計算式で誰でも簡単に算出できます。

配当利回り(%)=1株あたりの年間配当金÷現在の株価×100

一般的に、投資では将来の収益性が重視されるため、企業が発表する「予想配当金」を使って計算した予想配当利回りを参考にします。

具体的な計算例:花王(4452)の場合

例えば、花王の株価と配当金が以下の条件だったとします。

  • 株価:5,377円
  • 1株あたりの予想年間配当金:150円

計算式:150円÷5,377円×100≒2.79%

この場合、配当利回りは約2.79%となります。

これは、もし花王の株を5,377円で購入すれば、投資額に対して年間約2.8%の配当収入(税引前)が期待できる、ということを意味します。

ただし、上記はあくまで計算例です。実際の株価や配当予想は常に変動するため、ご自身で計算する際は必ず最新の数値をご確認ください。

押さえておきたいポイント

配当金の額が変わらない場合、株価が下がると配当利回りは上がり、株価が上がると配当利回りは下がるという関係性があります。この点を覚えておくと、投資判断の際に役立ちます。

今、配当利回りが投資で重視される2つのポイント

配当利回りが投資家から常に注目される理由は、主に2つあります。

1.株価に影響を与える重要情報だから

企業が配当金を増やす「増配」を発表すれば、株は買われやすくなり株価上昇の要因となります。逆に、配当金を減らす「減配」やゼロにする「無配」を発表すれば、株価は大きく下落する可能性があります。

2.低金利時代の安定した収入源として魅力的だから

銀行預金の金利が非常に低い現代において、企業の配当金は貴重なインカムゲイン源です。年2〜3%以上の配当利回りを提供する優良企業は、資産を着実に増やしていく上で非常に魅力的な投資対象となります。

高配当株の基準は「3%」から。平均水準や持続可能性もチェック

配当利回りの仕組みを理解したところで、次に気になるのは「一体何%からが高配当と呼べるのか?」という具体的な基準でしょう。この章では、日本株全体の平均利回りを参考にしながら、一般的に高配当とされる3%という水準の根拠を解説します。さらに、表面的な利回りの高さに惑わされず、その配当が将来にわたって継続する「持続可能性」を見極めるための重要なチェックポイントも紹介。高配当株投資で失敗しないための判断軸を身につけましょう。

日本株の平均配当利回りはどれくらい?

では、具体的に何パーセントくらいの利回りがあれば「高配当」と言えるのでしょうか。その目安を知るために、まずは日本株全体の平均配当利回りを見てみましょう。

一般的に、東京証券取引所に上場している企業の平均配当利回りは2%前後とされています。実際、市場の代表的な銘柄が集まる東証プライム市場の平均利回りは、直近のデータで約2.0%です。

この数値を基準にすると、個別銘柄の配当利回りが高いかどうかの判断がしやすくなります。

「高配当」は何パーセントから?目安が3〜4%とされる理由

市場全体の平均が2%程度であるため、配当利回りが3%から4%を超えてくると「高配当」な銘柄の部類に入ると考えられます。

例えば、NTT(日本電信電話)の配当利回りは約3.2%から3.4%ですが、これは市場平均と比較して「高め」の水準です。一般的には、利回りが4%や5%を超える銘柄は、高配当株として投資家から注目されます。

注意点:利回りが高すぎる銘柄には警戒が必要

ただし、利回りが極端に高い場合には注意が必要です。経験則上、7%を超えるような非常に高い利回りは、企業の業績悪化によって株価が大きく下落した結果、表面上の利回りだけが上昇しているケースが少なくありません。

そのため、多くの専門家は「高配当株の利回りの目安は3%から6%程度。7%を超える場合は、その理由を慎重に調べるべき」と指摘しています。

高配当株の基準と過去の事例

結論として、高配当株を選ぶ際の一つの基準は、配当利回りが3%台後半から5%以上であること、と考えると良いでしょう。

実際に、証券会社等が発表する高配当株ランキングを見ると、上位には利回り4%から5%台の銘柄が並ぶことがよくあります。最新の例(2025年7月時点)では、JT(日本たばこ産業)が約4.5%、大手商社の三菱商事が約3.8%、メガバンクなども3%台後半の高い利回りとなっています。また、市況によっては自動車や海運セクターなどで5%を超える銘柄が見られることもあります。

ただし、過去には高配当で知られた「あおぞら銀行」が2024年2月、業績悪化を理由に無配を発表した事例もあります。このように、過去の高い配当が将来にわたって保証されるわけではない点には、十分に注意が必要です。

このように、高配当株とは市場平均を明確に上回る利回りを持つ銘柄のことです。しかし、大切なのは利回りの数字だけに飛びつかないこと。その配当が将来も続くのか、企業の状況をしっかりと見極める必要があります。

高配当株と同様に配当が得られる金融商品に高配当ETFがあります。高配当ETFについては以下の記事で説明しています。

高配当株投資のメリットと、知っておくべき注意点(デメリット)

高配当株投資は、定期的な収入が期待できる魅力的な手法ですが、良い面ばかりではありません。メリットを最大限に活かし、リスクを最小限に抑えるためには、その両面を正しく理解しておくことが不可欠です。この章では、安定した不労所得や複利効果といった具体的なメリットと、多くの投資家が陥りがちな「高配当の罠」や税金といったデメリットを解説します。投資を始める前に必ず知っておきたい注意点を学びましょう。

メリット:定期的な配当金が不労所得に。再投資で複利効果も

高配当株投資が持つ最大の魅力は、株式を保有しているだけで定期的に配当金という収入(インカムゲイン)を得られる点です。

この配当金は、生活費の足しにするなど、文字通り不労所得として活用できます。さらに、受け取った配当金を再び株式投資に回す「配当金再投資」を行えば、元本が利息を生み、その利息がさらに新たな利息を生む「複利効果」が期待できます。この複利の力を利用することで、資産が雪だるま式に増えていくペースを加速させることが可能です。

特にNISA口座を活用すれば、配当金が非課税になるため、この複利効果を最大限に高めることができます。

注意点1:減配や株価下落のリスク。「高配当の罠」に注意

配当株投資は、配当収入によって株価下落の影響をある程度和らげることができますが、元本割れのリスクがなくなるわけではありません。

特に注意したいのが、業績の悪化によって株価が急落した結果、見かけ上の配当利回りだけが異常に高くなっている「高配当の罠」と呼ばれる状態です。高い利回りに惹かれて投資したものの、その後に配当金が減らされる「減配」や、配当がなくなる「無配」が発表され、株価もさらに下落してしまう、というケースは少なくありません。

表面的な配当利回りの数字だけでなく、その企業の事業内容や将来性、株価の動向なども含めて、総合的に判断することが極めて重要です。

注意点2:約20%かかる税金が実質利回りを下げる

株式の配当金には、通常約20%の税金がかかるという点も忘れてはならないデメリットです。

具体的には、20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金が、配当金が支払われる際に自動的に差し引かれます(源泉徴収)。例えば、課税口座で1万円の配当金を受け取る場合、実際に手元に入る金額は約8,000円に減ってしまいます。

この税金は、投資家が意識しないうちにリターンを押し下げているコストです。この税負担を合法的にゼロにできるのが、NISA口座を活用する大きなメリットと言えます。

優良高配当株の選び方と4つのチェックポイント

高配当株投資の魅力とリスクを理解した上で、次はいよいよ実践的な銘柄選びのステップです。表面的な利回りの高さだけに惹かれて投資すると、将来の減配や株価下落で後悔しかねません。この章では、「高配当の罠」を避け、安心して長期保有できる優良企業を見つけ出すための具体的な4つのチェックポイントを解説します。財務の健全性からビジネスモデル、配当実績まで、数字の裏側を読み解くための具体的な指標と考え方を身につけましょう。

このように株式を選定する場合には会社四季報が活用できます。会社四季報の使い方については以下の記事で詳しく解説しています。

ポイント1.基本のスクリーニング条件:利回り3%以上、財務健全性など

まずは、多くの候補の中から銘柄を絞り込むための、基本的な条件を確認します。

1.配当利回りの水準

利回りはだいたい3~6%程度が適切とされます。2%台以下なら高配当とは言えず、逆に7%以上の利回りは減配リスクのシグナルである可能性が高いです。異常に高い利回りには飛びつかず、その理由を慎重に調べましょう。

2.企業規模(時価総額)や財務健全性

時価総額が大きく財務基盤が安定している企業は減配リスクが小さい傾向があります。目安として時価総額1,000億円以上、自己資本比率30%以上などの条件を満たす企業は財務リスクが低く安心と言われます。自己資本比率が極端に低い会社(借入依存が高い会社)は、業績悪化時に配当維持が難しくなる可能性があるため避けたほうが無難です。

ポイント2. ビジネスモデルの安定性:高配当を維持しやすいセクターを見極める

高配当株は、特定の業種(セクター)に偏る傾向があります。企業の事業内容が、安定して利益を生み出しやすいビジネスモデルかどうかを見極めましょう。

  • インフラ・公益事業セクター(電力・ガスなど):景気に左右されにくい典型的なディフェンシブセクター。
  • 通信セクター(電話・通信サービス):不況でも一定の需要がある生活インフラで、高配当株の代表例。
  • 金融セクター(銀行・保険など):概して配当利回りは高めだが、経済環境に業績が左右されやすい。
  • 素材・エネルギーセクター(石油、商社、鉄鋼、資源など):景気サイクルに影響を受けるが、事業規模が大きく配当利回りも比較的高め。
  • 生活必需品・食品セクター:不況に強く業績安定性が高いディフェンシブ業種。
  • ハイテク・グロース(IT・成長企業)セクター:事業拡大を優先するため無配や低配当が一般的。

このように、高配当株は業種ごとの特性とも深く関わっています。投資家としては「なぜその企業は高い配当利回りを実現できているのか」を業界特性やビジネスモデルから考えてみることが重要です。

ポイント3.配当の原資と実績:「連続増配」と配当性向を確認

将来も安定して配当が支払われるかを見極めるために、過去の実績と配当の源泉を確認します。

1.過去に減配していないか

連続増配年数や減配履歴の有無も重要です。過去5~10年程度配当を減らしていない企業は、今後も減配しにくい傾向があります。増配を継続中なら株主還元に積極的な姿勢と判断できます。

2.配当性向(利益に占める配当金支払割合)

配当性向が高すぎないかを確認しましょう。目安として配当性向50%以下が望ましいとされます。配当性向が100%に迫るようでは利益の大半を配当に回しており無理が生じています。50%以下であれば仮に利益が半減しても同額配当を維持でき、減配リスクを抑えられます。

3.業績が安定しているか

売上高や利益が年々減少していないかをチェックします。業績が凸凹で不安定な会社は将来減配・無配に陥るリスクがあります。長期にわたり緩やかでも成長・安定している企業は配当維持の余力が大きいと判断できます。

ポイント4.収益性:ROEも組み合わせ総合的に判断

企業がどれだけ効率良く利益を生み出しているか、その「稼ぐ力」も確認しましょう。

代表的な指標がROE(自己資本利益率)です。これは、株主が出したお金(自己資本)を使って、企業がどれだけの利益を上げたかを示す数値です。一般的に、ROEが10%以上ある企業は収益性が高く、配当の原資となる利益にも余裕があると考えられます。稼ぐ力が強い企業は、業績が悪化しにくい分、結果的に配当を維持できる可能性も高まります。

以上のポイントを総合的にチェックすることで、「利回りの数字が高いだけ」のハイリスクな銘柄を避け、安心して長期保有できる優良な高配当株を絞り込むことができます。

NISAで高配当株投資を始めるメリットと必須の注意点

優良な高配当株を見つけたら、その利益を最大化するための具体的な戦略を考えます。特に、税金をいかに抑えるかは、長期的なリターンに大きな差を生む重要な要素です。この章では、高配当株投資と非常に相性が良い「NISA(ニーサ)」制度の活用法に焦点を当てます。非課税のメリットを最大限に享受するための必須知識と、知らなければ損をしてしまう注意点を詳しく解説します。

NISA口座の活用最大のメリット:配当金と売却益がまるごと非課税になる

NISAを活用する最大のメリットは、通常約20%かかる税金がゼロになることです。

通常の課税口座では、配当金や株式を売却して得た利益に対して、20.315%の税金が課せられます。しかし、NISA口座内で得た利益であれば、この税金が一切かかりません。例えば1万円の配当金も、課税口座なら手取りは約8,000円ですが、NISA口座なら1万円をまるごと受け取ることができます。

2024年から始まった新NISAでは、この非課税の恩恵を無期限で受けられるようになったため、長期的な資産形成を目指す上で非常に強力な制度です。

知らなければ損をするNISAの2つの注意点

この強力な非課税メリットですが、自動的に適用されるわけではなく、投資家自身が知っておくべきルールがあります。特に以下の2点は、設定や知識がないと意図せず課税されてしまうため、必ず確認してください。

注意点1:配当金の受け取り方法は「株式数比例配分方式」に設定する

NISA口座で配当金を非課税で受け取るためには、絶対に知っておくべきルールがあります。それは、配当金の受け取り方法を証券会社で「株式数比例配分方式」に設定しておくことです。

もし他の方法(銀行口座での受け取りなど)を選択していると、NISA口座内の株の配当金であっても課税されてしまうため、必ずご自身の証券口座の設定を確認しましょう。

注意点2:外国株の配当金には現地で税金がかかる

NISAは日本の税制度なので、外国の税金までは非課税にできません。例えば、米国株の配当金には、米国で10%の税金が源泉徴収されます。この税金はNISA口座で保有していても引かれてしまい、また、通常は利用できる外国税額控除もNISA口座では適用できないため、取り戻すことはできません。

この記事のまとめ

配当利回りは投資額に対する年間の配当収益を測る重要な指標であり、日本株全体の平均利回り約2%に対して、3〜6%が高配当株の目安となります。ただし、利回りの高さだけを追うのではなく、配当性向が50%以下であるか、連続増配実績があるか、ROE(自己資本利益率)が高水準かなど、持続性や企業の安定性も同時にチェックすることが重要です。また、2024年開始の新NISAを活用して、配当金を非課税で受け取るために「株式数比例配分方式」の設定を確認しましょう。今回の記事で示した選定基準を参考にしながら、まずは手元の銘柄の配当利回りと財務状況を確認し、安定した高配当株投資を実践してみてください。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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基礎知識国内株式キャピタルゲインNISA企業価値投資理論

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配当利回り

配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。

高配当株

高配当株とは、企業が株主に支払う配当金の利回りが相対的に高い株式のことを指します。一般的に、配当利回り(1株当たりの年間配当金 ÷ 株価)が高い銘柄が高配当株とされ、安定したキャッシュフローを求める投資家に人気があります。特に、金融、エネルギー、インフラ関連など、景気の影響を受けにくい業種に多い傾向があります。 高配当株への投資は、定期的なインカムゲイン(配当収入)を得ることができるため、長期投資や老後資産形成にも適しています。ただし、企業の業績悪化や減配リスク、株価下落の可能性にも注意が必要です。配当だけでなく、企業の財務健全性や成長性を考慮しながら投資判断を行うことが重要です。

インカムゲイン(インカム)

インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。

キャピタルゲイン(売却益)

キャピタルゲイン(売却益)とは、保有していた資産を売却することで得られる利益のことを指します。株式や不動産、債券、金などの貴金属を購入時の価格より高い価格で売却した場合、その差額がキャピタルゲインです(対義語:インカムゲイン)。 例えば、1,000円で購入した株を1,500円で売却すれば、500円がキャピタルゲインです。ただし、売却時には税制や手数料を考慮する必要があり、特に金融資産では 譲渡益課税 が適用されることが多くあります。 キャピタルゲインは、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、購入時より価格が下がると 元本割れのリスク も伴います。そのため、資産運用では 売却益の確保 と 税負担の最適化 が重要な戦略の一つです。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

予想配当利回り

予想配当利回りとは、株式投資においてその企業が今後支払うと見込まれる配当金が、現在の株価に対してどの程度の割合になるかを示す指標のことです。具体的には、1年間の予想配当金を株価で割って計算されます。たとえば、ある企業の株価が1,000円で、1株あたり年間40円の配当が見込まれている場合、予想配当利回りは4%となります。 この指標は、株を保有することで得られる「配当収入の効率」を測るために使われ、特に安定した収益を求める投資家にとって重要です。ただし、あくまで将来の見込みに基づいているため、企業業績の悪化などで実際の配当が減額されるリスクもある点に注意が必要です。

実績配当利回り

実績配当利回りとは、過去1年間に実際に支払われた配当金をもとに算出される、株価に対する配当の割合を示す指標です。計算方法は、1株あたりの年間実績配当金を現在の株価で割ったもので、株を保有していた場合にどのくらいの配当収入を得られたかを示します。 たとえば、昨年度に1株あたり50円の配当があり、現在の株価が1,000円であれば、実績配当利回りは5%となります。予想配当利回りと異なり、すでに確定したデータに基づいているため信頼性が高く、企業の安定的な配当実績を確認する際に有効です。ただし、将来の配当も同じ水準が続くとは限らないため、他の指標と併せて判断することが大切です。

増配

増配とは、企業が前期より一株当たりの年間配当金を増額することであり、利益成長や手元資金の潤沢さを背景に株主還元を強化する意思表示として行われます。配当金が増えると、株価が一定でも年間配当金を株価で割った配当利回りが上昇するため、インカムゲインを重視する投資家にとっては大きな魅力となります。特に連続増配年数が長い企業は、景気変動下でも安定したキャッシュフローを維持できる経営体質だと評価されやすく、株式の長期保有を促す材料にもなります。 もっとも、増配は企業の資本政策の一手段であり、好業績時でも将来の成長投資を優先する局面では実施されない場合があります。反対に、業績悪化が続けば配当を前年と同額に据え置く、あるいは前期より減額する減配に転じるリスクもあります。投資家は配当の持続可能性を測る指標として、配当総額を当期純利益で割った配当性向や、営業キャッシュフローとのバランスを確認し、企業に増配余力があるかどうかを見極めます。 このように増配は、企業の収益力と株主還元姿勢を映し出すシグナルであり、配当利回りや配当性向、減配・据え置きの動向と合わせて分析することで、株式投資の判断材料として活用できます。

減配

減配とは、企業が前期より一株当たりの年間配当金を減額することで、主に業績悪化や設備投資・借入返済など資金需要の高まりを背景に、株主還元を抑制する方針を示すものです。 配当が減ると配当利回りは一時的に低下しがちで、市場では経営の先行きに対する警戒感から株価が下落するケースも少なくありません。もっとも、減配は必ずしも財務悪化だけを意味するわけではなく、大型M&Aや研究開発など長期的な成長投資を優先する際に選択されることもあります。 このため投資家は、削減後の配当額と利益水準との関係を示す配当性向やキャッシュフロー計画を確認し、減配が一時的な施策なのか、配当方針そのものの見直しなのかを見極める必要があります。また、無配転落や配当据え置きへの移行リスクも念頭に置きつつ、連続減配年数や将来の増配回復余地を企業の事業構造と資本政策の観点から総合的に判断することが重要です。

無配

無配とは、企業が株主に対して配当金を支払わないことを意味します。通常、企業は利益が出るとその一部を株主に配当金として還元しますが、業績不振や将来への投資を優先する場合などには、配当を出さないという選択をすることがあります。このような状態を「無配」と呼びます。 無配は、必ずしもその企業が危険というわけではなく、将来の成長に向けた資金確保を意図しているケースもあります。ただし、配当を目的に投資をしている人にとっては、無配企業への投資は収入を得にくいため注意が必要です。長期間にわたる無配が続く場合、投資家の信頼が下がることもあるため、無配の背景や企業の財務状況をしっかり確認することが大切です。

複利

複利とは、利息などの運用成果を元本に加え、その合計額を新たな元本として収益拡大を図る効果。利息が利息を生むメリットがあり、運用成果をその都度受け取る単利に比べ、高い収益を期待できるのが特徴。短期間では両者の差は小さいものの、期間が長くなるほどその差は大きくなる。

配当性向

配当性向とは、会社がその期に稼いだ税引後の利益、つまり当期純利益のうち、どれくらいを株主への配当金として支払ったかを示す割合です。投資家にとっては、企業が利益をどの程度還元してくれるのかを知る目安になります。 計算方法は、1株当たりの配当額を1株当たりの当期純利益で割って求められます。たとえば、配当性向が50%であれば、会社が利益の半分を配当として出しているということになります。配当を重視する投資家にとっては重要な指標であり、企業の利益配分方針を理解するために役立ちます。

自己資本比率

自己資本比率とは、会社が持っている全体の資産のうち、どれだけが借金ではなく自分自身の資本(=自己資本)でまかなわれているかを示す割合のことです。 この比率が高いほど、会社は外部からの借入れに頼らずに経営していることになり、財務的に安定していると判断されやすくなります。たとえば、自己資本比率が50%であれば、会社の資産の半分が自己資本、残り半分が借入金などの他人資本ということになります。 投資家にとっては、自己資本比率が高い企業ほど経営の安定性が高く、倒産のリスクが低いと考えられるため、企業の健全性を見極めるうえで重要な指標のひとつです。特に長期投資を考える際には、注目しておきたい数字です。

ROE(Return On Equity/自己資本利益率)

ROE(Return On Equity/自己資本利益率)とは、企業が株主から預かった自己資本をどれだけ効率的に活用し、利益を生み出しているかを示す財務指標です。計算式は「ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100」または「ROE(%)= EPS(一株当たり利益)÷ BPS(一株当たり純資産)× 100」で求められます。 ROEが高いほど、株主資本を効率的に活用して収益を上げていると判断され、投資家にとって魅力的な企業と見なされやすくなります。ただし、自己資本を減らしてROEを意図的に高める手法もあるため、借入依存度(財務レバレッジ)とのバランスも考慮する必要があります。長期投資の際は、ROEの推移や業界平均と比較し、持続的な成長が可能かを見極めることが重要です。 「Return On Equity」(自己資本利益率)の略。企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合で、計算式はROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100、またはROE(%)=EPS(一株当たり利益)÷ BPS(一株当たり純資産)× 100。ROE(自己資本利益率)は、投資家が投下した資本に対し、企業がどれだけの利益を上げているかを表す重要な財務指標。ROEの数値が高いほど経営効率が良いと言える。

株式数比例配分方式

株式数比例配分方式は、上場株式の配当金を保有株数の割合どおりに各証券口座へ直接入金する受取方法です。JASDEC(証券保管振替機構)経由で株式を預託する国内のほぼすべての証券会社で設定でき、配当領収証の郵送や銀行振替指図が不要になるため、入金確認や再投資がスムーズに行えます。 利用の流れは、各証券会社の「配当金受取方式」メニューで本方式を選択するだけ(手数料不要)。同じ銘柄を複数口座で保有していても、証券会社ごとに保有株数が自動集計され、口座単位で課税・入金されます。 一方で、未上場株・名義書換未済株、米国株など海外株式、従業員持株会口座はJASDECの対象外となり、この方式を選択できません。また、古い口座では初期設定が配当領収証方式のまま残っている場合があるため、切り替え状況の確認が必要です。 複数口座をまたいで配当を受け取りたい投資家や、配当金をそのまま同じ口座で再投資したい個人投資家にとって、最も手間が少なく実務的な受取方法と言えます。

ディフェンシブセクター

ディフェンシブセクターとは、景気の変動にあまり左右されず、経済が悪化しても安定した収益を保ちやすい業種のことを指します。具体的には、食品、医薬品、電力、ガス、水道など、人々の生活に欠かせないサービスを提供する企業が含まれます。 不況時にも一定の需要が見込めるため、株価が大きく下がりにくいという特徴があります。投資家にとっては、ポートフォリオ全体の値動きを安定させる役割を果たすため、リスクを抑えたいときに選ばれることが多い分野です。

グロースセクター

グロースセクターとは、将来的な業績の成長が期待される企業や産業の集まりを指します。たとえば、IT、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーなど、今後の市場拡大や技術革新が見込まれている分野が該当します。このセクターに属する企業は、利益をすぐに配当として株主に還元するのではなく、新しい製品開発や市場拡大のために再投資する傾向があります。 そのため、短期的な利益よりも中長期的な株価の上昇を目指す投資家にとって魅力的です。ただし、成長への期待が大きい分、業績が思ったほど伸びなかった場合には株価が急落するリスクもあります。値動きが激しいことが多いため、投資には慎重な判断が求められます。

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