ねんきんネットは登録しない方がいいと言われましたがなぜでしょうか?
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2025/08/02 08:50
男性
60代
最近、年金の管理や将来の受取見込みを確認するために「ねんきんネット」への登録を検討していたところ、「登録しない方がいい」という意見を聞きました。どのような懸念があるのか詳しく教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「ねんきんネット」は、自身の年金記録や将来の年金見込み額をオンラインで確認できる便利なサービスですが、一部で「登録しない方がいい」という声もあります。その背景には、いくつかの懸念があるようです。ただし、それらの多くは誤解や過度な不安に基づくものであり、正しく理解すれば必要以上に心配する必要はありません。
よく挙げられる懸念のひとつは、サイバーセキュリティに対する不安です。インターネット上で個人情報を扱う以上、情報漏えいやフィッシング詐欺などのリスクを心配する声はもっともですが、ねんきんネットでは通信の暗号化や多要素認証(SMS認証など)などの安全対策が講じられています。パスワードの管理を適切に行い、不審なメールに注意するなど、基本的な対策を取ることでリスクを大きく減らすことができます。
次に、登録時に基礎年金番号や生年月日、住所などの個人情報を入力することに対する心理的な抵抗感もあります。しかし、これらはすでに日本年金機構に登録済みの情報であり、入力すること自体が新たなリスクを生むわけではありません。近年ではマイナポータル経由での連携により、手続きの簡略化と本人確認の精度向上も進んでいます。
また、「ねんきんネットに登録すると紙の年金定期便が届かなくなる」という誤解もあります。実際には、電子通知への切り替えは任意であり、登録しただけで紙の通知が停止されることはありません。希望すれば、従来通り紙での受け取りも継続できます。
こうした点を踏まえると、ねんきんネットは適切な使い方をすれば、年金の確認やライフプラン設計に非常に役立つツールです。iDeCoやNISAといった他の制度と合わせて将来設計を行う際にも、自分の年金受給見込みを常に把握できることは大きなメリットとなります。また、記録ミスや未納漏れを早期に発見し、訂正できる点も安心材料の一つです。
過剰な不安にとらわれるよりも、制度の正しい理解と基本的なセキュリティ対策を前提に、「ねんきんネット」を活用することを前向きに検討する価値は十分にあると言えるでしょう。
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ねんきんネット
ねんきんネットとは、日本年金機構が提供しているオンラインサービスで、自分の年金に関する情報をインターネット上で確認できる仕組みです。年金の加入履歴や将来の年金受取見込み額、保険料の納付状況などを、自宅のパソコンやスマートフォンからいつでも確認できます。 ログインには基礎年金番号やマイナンバーが必要で、安全性にも配慮されています。紙の通知だけではわかりにくかった年金情報を自分で管理できるようになるため、資産運用や老後の生活設計を考えるうえで非常に便利なツールです。
日本年金機構
日本年金機構とは、日本の公的年金制度の運営を担う独立行政法人で、厚生労働省の所管のもと、2010年に「社会保険庁」の業務を引き継いで設立されました。主な業務には、国民年金や厚生年金の保険料の徴収、年金の記録管理、受給資格の審査、年金の支給などがあり、日本全国の年金加入者に対して安定的かつ公平に制度を運営する役割を果たしています。個人に関する年金の記録や手続き、相談は、全国の年金事務所を通じて行うことができます。公的年金制度を適切に維持・管理するための中心的な機関として、国民の老後の生活を支える土台となっています。
多要素認証
多要素認証とは、システムやサービスにログインするときに、複数の異なる種類の情報を使って本人確認を行う仕組みのことです。一般的なIDとパスワードに加えて、スマートフォンに送られる確認コードや、生体認証(指紋や顔認証)などを組み合わせて使います。 これにより、パスワードが盗まれてしまった場合でも、他の認証手段がないとログインできないため、不正アクセスのリスクを大幅に減らすことができます。金融機関のオンラインサービスや証券口座、クレジットカードの利用時など、特にセキュリティが重要とされる場面でよく導入されています。個人の資産や情報を守るうえで、非常に効果的な対策といえます。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、実在する銀行や証券会社、通販サイトなどを装って、偽のメールやWebサイトにユーザーを誘導し、IDやパスワード、クレジットカード番号などの個人情報をだまし取る詐欺行為のことです。「あなたのアカウントが停止されました」「不正利用がありました」などの不安をあおるメッセージで注意を引き、本物そっくりの偽サイトに誘導して入力を促すのが典型的な手口です。 近年では、スマートフォンのSMSやSNSを使った手法も増えており、巧妙さが増しています。このような詐欺に対しては、メールのリンクをむやみにクリックしないことや、公式アプリやブックマークを通じてログインすることが有効な対策となります。特に金融資産を扱うサービスでは、多要素認証の導入によって被害を防ぐ効果も期待されています。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
年金定期便
年金定期便とは、日本年金機構が毎年1回、すべての年金加入者に送付している通知書で、自分の年金加入状況や将来の年金見込額などが記載されています。送付される時期は誕生月で、記録漏れや間違いがないかを確認するための大切な資料です。35歳・45歳・59歳の節目の年には、より詳しい情報が載った特別バージョンが送られ、老後の生活設計を具体的に考えるきっかけになります。内容を確認することで、年金記録の確認や将来の資金計画に役立てることができます。ねんきんネットを利用すれば、これと同様の情報をオンラインでも確認できます。