日経平均高配当利回り株ファンドのデメリットを教えて下さい
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2025/10/09 09:13
男性
50代
日経平均高配当利回り株ファンドは名前のとおり、高配当株に投資するファンドとして人気があるようですが、実際に投資を始める前に注意すべき点も知っておきたいです。日経平均高配当利回り株ファンドに投資する際のデメリットやリスクについて、初心者にもわかりやすく教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
日経平均高配当利回り株ファンドは、高配当という魅力がある一方で、いくつかの明確なデメリットを理解しておく必要があります。結論から言うと、「高配当=安定・お得」とは限らず、減配リスクや業種偏り、成長鈍化、コスト負担などの要因で、期待したほどのリターンを得られない場合があります。
まず、配当利回りが高い銘柄は、株価が下がっているために見かけ上利回りが高くなっているケースがあります。景気悪化や企業業績の悪化によって減配・無配となる可能性もあり、将来の配当が保証されているわけではありません。特に「予想配当利回り」はあくまで見込みであり、実際の受け取り額が想定より少なくなることもあります。
次に、この種のファンドは構成銘柄が特定の業種に偏りやすい点も注意が必要です。金融、商社、エネルギー、資源関連などの比率が高くなり、景気や原油価格の影響を受けやすくなります。その結果、分散効果が弱まり、特定業種が下落するとファンド全体の基準価額も大きく下がるリスクがあります。
また、高配当株は一般に「バリュー株」や「低リスク株」の性質を持ち、成長株が上昇する局面では値上がりが遅れる傾向にあります。金利上昇局面では債券の利回りと競合し、株価が相対的に下がることもあります。したがって、上昇相場では他の株式ファンドに劣るパフォーマンスになることも少なくありません。
運用コストも軽視できません。高配当ファンドは定期的な入れ替えを行うため、売買コストや課税が発生し、リターンを押し下げます。信託報酬も、日経平均などの広範なインデックスファンドに比べて高めの設定になっていることが多く、長期ではコスト差が成果に影響します。
さらに、分配金の扱いにも注意が必要です。分配金は基準価額から差し引かれるため、再投資をしなければ資産は増えません。受け取るたびに課税されることで手取りが減る場合もあります。特に積立NISAの対象外であるファンドも多く、非課税の恩恵を受けにくい点もデメリットです。
「日経平均」と名が付いていても、実際には日経225全体ではなく高配当銘柄の一部で構成されるため、ニュースで報じられる日経平均の値動きとは異なる動きをすることがあります。この乖離を理解せずに投資すると、思ったような成果を得られない場合があります。
最後に、流動性の低いETFや投資信託では、売買時にスプレッドが広がったり、基準価額との乖離が生じたりすることがあります。売買タイミングによっては実質的なコストが高くなることもあるため注意が必要です。
以上のように、日経平均高配当利回り株ファンドは安定配当を狙う手段として有効な一方で、減配・業種偏重・コスト・税制・流動性といった複数のリスクを抱えます。投資する際は、他のインデックスファンドやグロース系資産と組み合わせてバランスを取り、ファンドの構成・コスト・分配方針をしっかり確認したうえで活用することが重要です。
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日経平均高配当株50指数
日経平均高配当株50指数とは、日本経済新聞社が算出・公表している株価指数で、東証プライム市場に上場する企業の中から、配当利回りの高い50銘柄を選定して構成されるものです。 この指数は、株主への利益還元に積極的で、安定的な配当が見込まれる企業に着目した投資指標として活用されており、高配当戦略を重視する投資家にとって魅力的な対象となっています。 銘柄の選定は年に1回見直され、時価総額や流動性、財務の健全性なども考慮されるため、単に利回りが高いだけでなく、持続可能な配当が期待できる企業が含まれる傾向にあります。この指数をベンチマークとするETF(たとえば「日経高配当株50ETF」)も存在し、個人投資家が分散投資の手段として利用することができます。
配当利回り
配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。
基準価額
基準価額とは、主に投資信託の商品価格を表すもので、投資信託1口あたりの価値を示しています。毎営業日に一度計算され、投資信託が保有している株式や債券などの資産の時価総額から、運用にかかる費用を差し引いた金額を、発行済みの総口数で割って算出されます。 投資信託の購入や売却の際には、この基準価額が参考になりますので、価格の動きに注目することが大切です。ただし、基準価額は市場価格とは異なり、リアルタイムで変動するわけではないため、翌営業日の価格になることが多い点にもご注意ください。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
分配金
分配金とは、投資信託やREIT(不動産投資信託)などが運用によって得た収益の一部を、投資家に還元するお金のことです。これは株式でいう「配当金」に似ていますが、分配金には運用益だけでなく、元本の一部が含まれることもあります。そのため、分配金を受け取るたびに自分の投資元本が少しずつ減っている可能性もあるという点に注意が必要です。分配金の有無や頻度は投資信託の商品ごとに異なり、毎月、半年ごと、年に一度などさまざまです。投資初心者にとっては、「お金が戻ってくる」という安心感がありますが、長期的な資産形成を考えるうえでは、分配金の出し方やその内容をしっかり理解することが大切です。
バリュー株
バリュー株とは、企業の財務状況や資産価値と比較して割安に取引されている株式を指します。一般的に、成長が鈍化した企業や市場から注目されていない企業に多く、配当利回りが高い傾向にあります。投資家は、企業価値が市場に正しく評価されることで株価が上昇し、利益を得ることを期待して投資します。