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SPYDをおすすめしない理由は?メリットとデメリットや配当利回りを解説

SPYDをおすすめしない理由は?メリットとデメリットや配当利回りを解説

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公開:

2025.06.20

更新:

2025.06.20

米国高配当ETFのSPYDは、S&P500の配当利回り上位銘柄に低コストで分散投資できるとあって、インカム重視の個人投資家から熱い視線を集めています。しかし減配頻度の高さ、公益・不動産へのセクター偏在、円高局面での実質利回り低下、NISAでも残る米国課税など、気付きにくい落とし穴も多いのが現実です。本記事では配当推移とトータルリターン、税・為替・インフレコストを多角的に検証し、VYM・HDVとの比較も踏まえて「買う・保有比率を調整する・見送る」の判断軸を提供します。

サクッとわかる!簡単要約

SPYD(米国高配当株ETF)の特徴を、利回りの裏にあるリスク要因まで含めて定量的に把握できます。同様に米国の高配当株に投資するVYMやHDVとの比較を通じて、自身の投資目的に合った活用方針(インカム重視・成長志向・補完的な分散)を整理できるほか、配当再投資や為替シナリオのシミュレーションにより、実質的な税後リターンや毎月のキャッシュフロー変動も具体的にイメージできます。損益分岐点を事前に把握し、納得感を持って投資判断を行うための材料が得られます。

目次

そもそもSPYDとは?S&P500高配当株ETFの基本を解説

S&P500の配当利回り上位80銘柄に低コストで投資できるETF

主な構成銘柄とセクター比率|不動産・公益事業が中心

SPYDを「おすすめしない」と言われる7つの理由

理由1:配当が不安定で減配実績が多い

理由2:株価が上がりにくくトータルリターンが市場平均に劣後する

理由3:構成セクターが偏っており景気変動リスクが高い

理由4:為替リスクがあり円高局面ではリターンが目減りする

理由5:米国課税で手取り配当が目減りする(NISAでも10%課税)

理由6:インフレに弱く配当の実質的な価値が下がる懸念

理由7:他の高配当ETFに長期リターンで見劣りしがち

SPYDは他の高配当ETF(VYM・HDV)と何が違うのか

SPYDとVYMの比較 ― 「利回り特化」vs「幅広い分散」

SPYDとHDVの比較 ― 「利回り」vs「財務の質」

SPYD投資が向いている人・おすすめしない人とは?

SPYDへの投資が向いている人

SPYDをおすすめしない人

そもそもSPYDとは?S&P500高配当株ETFの基本を解説

高配当ETFとして人気のSPYDの基本的な仕組みを解説します。S&P500の配当利回り上位80銘柄に低コストで投資できる魅力や、不動産・公益セクター中心の銘柄構成、NISAで投資できる点など、メリットと注意点の両面からSPYDの全体像を掴みましょう。

S&P500の配当利回り上位80銘柄に低コストで投資できるETF

SPYD(エス・ピー・ワイ・ディー)は、米国の大手運用会社ステートストリート(SSGA)が提供するSPDR(スパイダー)シリーズの一つで、正式名称は「SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF」です。SPDRとは「Standard & Poor's Depositary Receipts」の略で、1993年に世界初のETFであるSPYを上場させたことでも知られる、ETFブランドの草分け的存在です。

SPYDはその名のとおり、S&P500高配当指数(S&P 500 High Dividend Index)に連動し、S&P500採用銘柄の中から配当利回り上位80銘柄に等金額で投資します。2015年10月に設定され、経費率0.07%という低コストで手軽に高配当株へ分散投資できる点から人気を集めています。2025年6月時点の直近配当利回りは4%台後半と、市場平均を上回る水準です。

ETFの基本は以下の記事で詳しく解説しています。

主な構成銘柄とセクター比率|不動産・公益事業が中心

SPYDの組入銘柄は原則等重量で、上位銘柄も1銘柄あたり比率約1.5%前後にとどまります。フィリップモリスやAT&T、アルトリア、コンソリデーテッド・エジソンなど高配当で知られる成熟した大型株が名を連ねています。

セクター別では不動産(約23%)、公益事業(約18%)、生活必需品(約15%)、金融(約14%)といった高配当株の多い業種が上位を占め、情報技術セクターへの投資比率は非常に低く抑えられています。このように「堅実な高配当銘柄」に集中する構成が特徴ですが、その反面として後述する成長性や分散性の偏りも抱えています。

年4回の分配金とNISA対応が魅力だが、注意点も なお、SPYDは年4回(3月・6月・9月・12月)に分配金を支払う設計であり、長期保有すれば定期的なインカムゲインが得られる商品です。NISA口座でも購入可能であり、5万円程度(1株あたり40ドル前後、執筆時点で約5,000〜6,000円)という少額から投資を始められる点も初心者にとって魅力でしょう。

こうしたメリットがある一方、「SPYDだけで配当生活は可能か?」といった議論やリスク指摘も多く見られます。本題の「おすすめしない理由」について、次章から詳しく見ていきます。

SPYDを「おすすめしない」と言われる7つの理由

高配当ETFとして人気のSPYDですが、専門家や経験者の中には「初心者にはおすすめできない」と指摘する声もあります。その背景には、大きく分けて以下のような要因があります。

  • 配当の不安定さ:分配金が安定せず減配リスクがあること
  • 株価成長性の低さ:トータルリターン(値上がり益+配当)が市場平均に劣後していること
  • 構成銘柄と分散性の偏り:特定セクターに集中し景気変動の影響を受けやすいこと
  • 為替リスク:米ドル建てゆえ円高時にリターンが目減りすること
  • 税制面のデメリット:米国源泉税やNISAでの取り扱いによる実質利回り低下
  • インフレ耐性の弱さ:配当収入が物価上昇に追いつかない可能性
  • 他ETFとの比較:類似の高配当ETF(VYMやHDV等)に比べ成長面で見劣りすること

以下では、それぞれのポイントについてデータや具体例を交えながら解説していきます。

理由1:配当が不安定で減配実績が多い

SPYD の魅力は 4%台後半という利回りですが、将来的に同水準を維持できる保証はありません。実際、設定来 36 四半期のうち増配 12 回に対し減配 14 回と、右肩上がりとは言い難い推移です【出所:SSGA 2025/3】。

特に2020年のコロナ禍では、景気悪化に伴い組入企業の多くが配当を削減・停止し、SPYDの分配金も大きく落ち込みました。例えば2020年は年間の分配金総額が前年度比で大幅に減少し、コロナ前に比べ投資家の受取額は減っています。高配当ETFであっても景気次第で減配・無配が発生し得る点は大きなリスクです。

SPYDは銘柄入替(リバランス)によって常に高い利回りの銘柄を組み入れる戦略ですが、その分業績不振銘柄の影響を受けやすく分配金変動が大きくなる傾向があります。実際、過去3年で見ると6回減配・6回増配を経験しており(四半期毎の配当金ベース)安定して右肩上がりに配当が増えるタイプのETFではありません。長期投資で複利効果を狙うには配当の再投資が有効ですが、減配が続くと再投資による資産成長ペースも鈍る懸念があります。配当収入を重視する投資家にとって、SPYDの配当のぶれ幅が大きめである点は「おすすめしない」と言われるゆえんなのです。

理由2:株価が上がりにくくトータルリターンが市場平均に劣後する

高配当=高リターンではない点にも注意が必要です。SPYDは配当利回りこそ魅力的な一方、長期的なトータルリターン(値上がり益+配当再投資)では市場平均に遠く及ばない傾向が指摘されています。実際のデータを見てみましょう。

2023年時点で過去約9年間(※SPYDは2015年末運用開始のため2016年以降で比較)の累積リターンをドルベースで比べると、S&P500指数(市場平均)は+181.6%と大きく資産を増やしたのに対し、SPYDのトータルリターンは+30.7%程度にとどまりました。

これは配当込みの再投資を仮定した数字ですが、市場平均との差は歴然です。要因として、SPYD構成銘柄の多くが既に成熟した企業で株価成長余地が小さいことが挙げられます。つまり「値上がり益(キャピタルゲイン)より配当重視」の銘柄が中心のため、大きな株価上昇は期待しにくいのです。

さらに、株価下落で利回りだけが一時的に高くなった銘柄も組み入れられやすく、そうした銘柄は業績回復が遅れ株価が低迷するケースもあります。結果としてSPYD全体の成長性が損なわれ、トータルでは思ったほど資産が増えない可能性があります。もし資産の着実な成長や値上がり益を重視するのであれば、SPYDはあまり向かないと言えるでしょう。配当だけでなく総合的なリターンで比較検討することが重要です。

理由3:構成セクターが偏っており景気変動リスクが高い

SPYDは銘柄数こそ80と比較的多いものの、実はセクター分散が十分とは言えません。前述のように組入上位には不動産・公益・生活必需品・金融といったセクターが並び、全体として景気敏感株の比重が高くなっています。

一例を挙げると、2025年3月時点で不動産セクターが約23%と最大比率を占め、ついで公益事業18%、生活必需品15%、金融14%となっています。逆にハイテクなどグロース株比率は極端に低く、構成セクターが偏重しているのが特徴です。

この偏りにより、景気や金利動向に対するファンド全体の感応度が高くなる点がリスクです。例えば金利上昇局面では利回り魅力が低下する公益事業・不動産株が売られやすく、SPYDの価格も下落圧力を受けがちです。

また景気後退局面では金融株や不動産株の業績悪化懸念から株価が大きく下落し、結果としてSPYDの基準価格も大きく値下がりしやすい傾向があります。実際、コロナショック時にはSPYDの価格が大幅下落し、S&P500全体以上に下落率が大きくなる場面もあったことが確認されています。

さらに、SPYDの指数構成ルール上、株価下落で配当利回りが上昇した銘柄ほど組み入れられる傾向があります。これは裏を返せば「業績不振で売られた銘柄」が増える可能性を孕みます。そうした銘柄群は将来的な回復が不透明で、結果としてファンド全体のパフォーマンスを引き下げるリスクがあります。以上のように、セクター分散と銘柄選択の観点で構造的な弱点を抱えることから、「SPYDはリスクが高い」と指摘する声があるのです。

理由4:為替リスクがあり円高局面ではリターンが目減りする

日本の投資家がSPYDに投資する場合、為替変動リスクも無視できません。SPYDは米国市場のETFなので、円で買ってドル建て資産を保有する形になります。したがって円相場によって実質的なリターンが左右されるのです。

例えばドル建てではプラスのリターンが出ていても、投資期間中に円高(ドル安)が進行すると、日本円に換算した評価額や受け取る配当金額は減少してしまいます。極端な例では、1ドル=160円のときに得た配当100ドル(=16,000円)も、円高が進み1ドル=100円になると同じ100ドルが10,000円にしかならない計算になります。このように為替次第でせっかくの配当収入が相殺されてしまう可能性があるのです。

特に円高局面では投資タイミングの見極めが難しく、大きな損失リスクも高まります。為替は株式以上に予測困難な要素であり、長期ではプラスマイナス振れるものです。円安になれば有利に働くとはいえ(円換算リターンの押し上げ)、将来常に円安が続く保証はありません。したがって「為替リスクに不安がある人にはSPYDはあまりおすすめできない」という意見もあるほどです。外貨建て資産への投資である点を踏まえ、為替ヘッジなしのリスクを許容できるかどうかも検討しましょう。

理由5:米国課税で手取り配当が目減りする(NISAでも10%課税)

高配当ETFに投資する際は、分配金が実際にどの程度手元に残るかを把握しておくことが重要です。SPYDをはじめとする米国ETFの分配金には、まず米国で源泉税10%が課されます。そのうえで、どの口座で保有しているかによって、さらにかかる税金や取り戻せる範囲が異なります。

課税口座(確定申告しない場合)

日本でも所得税・住民税あわせて20.315%が源泉徴収されるため、米国10%+日本20.315%=合計30.315%の課税となります。たとえば1万円の配当を受け取ると、米国税で1000円、日本税で2031円が引かれ、手取りは約6970円にとどまります。

課税口座(外国税額控除を利用する場合)

確定申告で米国の10%を日本の税額から差し引く「外国税額控除」を活用すれば、日本側の負担は約10.315%まで軽減され、合計税率は約20.315%に抑えられます。手取り額も約7970円まで改善可能です。控除しきれなかった部分は、翌年以降3年間繰り越せます。

NISA口座の場合

日本の20.315%は非課税になりますが、外国税額控除が使えないため、米国源泉10%は確定的なコストとなります。1万円の配当なら1000円が引かれ、手取りは9000円です。

表面利回りが5%のETFでも、口座の種類や申告の有無によって税引き後の利回りは大きく変わります。 課税口座では控除の有無で3.5%〜4.0%、NISA口座では最大で4.5%と想定されるように、見かけの利回りだけで判断するのは危険です。配当目的でSPYDを活用するなら、税引き後の実質利回りベースでの比較・再計算は欠かせません。

理由6:インフレに弱く配当の実質的な価値が下がる懸念

もう一つ見落としがちなのがインフレ(物価上昇)に対する弱さです。SPYDは定期的な高い配当収入が魅力ですが、インフレが進む局面ではその実質的な価値が目減りしかねません。たとえば年5%の配当利回りがあっても、もし物価や生活コストがそれ以上のペースで上昇すれば、配当だけでは購買力を維持できなくなる恐れがあります。特に「配当金生活」を目指すような場合、インフレ率によっては想定以上に生活が苦しくなる可能性も指摘されています。

一般に高配当株は成熟産業が多く、売上や利益の成長率が低いためインフレに伴う業績拡大も限定的です。その結果、配当も大幅には増やせずインフレに追いつかないケースがあります。実際、近年の米国ではインフレ率が上昇しましたが、SPYDの年間配当金額は緩やかな増減に留まり、大きく増配しているわけではありません(むしろ減配も散見されました)。

インフレ局面では株価自体も金利上昇等で伸び悩む傾向があるため、資産全体としても実質成長率がゼロ近くになるリスクがあります。以上のように、インフレ耐性の低さも高配当ETF全般に共通する課題であり、SPYDも例外ではないことを覚えておきましょう。

理由7:他の高配当ETFに長期リターンで見劣りしがち

SPYDは他の主要な高配当ETFと比較して、長期的なトータルリターン(値上がり益+配当)で見劣りします。実際に、人気の高配当ETFであるVYM(バンガード・米国高配当株ETF)やHDV(iシェアーズ・コア米国高配当株ETF)と、2016年から2025年までのトータルリターンを比較したデータを見るとその差は明らかです。

この期間において、SPYDの総合リターンが+30%強にとどまったのに対し、VYMは+80%以上、HDVも+45%前後と、SPYDのパフォーマンスは他の2つのETFに大きく水をあけられています。このように、配当利回りの高さだけでは測れない資産全体の成長性において、SPYDは他の有力な選択肢に比べて伸び悩む傾向があるのです。

SPYDは他の高配当ETF(VYM・HDV)と何が違うのか

SPYD、VYM、HDVは、いずれも米国の人気高配当ETFですが、その運用戦略(銘柄選定の方針)は大きく異なります。この違いが、リターンやリスクの差となって現れます。ここでは、SPYDが他の2つのETFとどう違うのかを具体的に比較します。

SPYDとVYMの比較 ― 「利回り特化」vs「幅広い分散」

SPYDとVYMの最大の違いは分散性にあります。

SPYDはS&P500の中から配当利回り上位80銘柄に集中投資します。景気敏感セクターに偏りやすく、良くも悪くも尖った構成です。一方、VYMは約400〜500銘柄に幅広く分散投資を行います。特定のセクターへの集中を避け、市場全体に近い構成で安定性を高めています。

このため、長期的なトータルリターンでは、安定した値動きをするVYMがSPYDを上回る傾向にあります。特に2010年代後半からの成長相場では、ハイテク株をほとんど含まないSPYDは、より幅広く銘柄を組み入れているVYMに対して相対的に不利でした。

SPYDとHDVの比較 ― 「利回り」vs「財務の質」

SPYDとHDVは、銘柄選定における「質」の捉え方が異なります。SPYDは純粋に配当利回りの高さを基準に機械的に銘柄を選びます。一方HDVは約75銘柄と少数精鋭ですが、配当利回りに加えて「企業の財務健全性」や「配当の持続可能性」を重視します。

結果として、HDVは減配リスクを抑えた構成を目指しており、不況期でも配当の安定性が比較的高いとされています。一方、SPYDは業績不振で株価が下落し、一時的に利回りが高くなった銘柄も組み入れやすいため、HDVに比べて分配金の変動が大きくなる可能性があります。

各ETFにはこうしたリスク・リターン特性の違いがあることを理解し、自分の投資目的に合ったものを選ぶことが重要です。

SPYD投資が向いている人・おすすめしない人とは?

これまで見てきたリスクとメリットを踏まえ、SPYDがどのような投資家に向いているのか、そして、どのような方にはおすすめしにくいのかを具体的にまとめます。高配当ETFの代表格ゆえの魅力を活かすためにも、ご自身がどちらに当てはまるかを確認しましょう。

SPYDへの投資が向いている人

SPYDは「配当によるインカム収入を最重視する長期投資家」に向いています。株価の値上がり益(キャピタルゲイン)よりも、定期的にもらえる分配金によるキャッシュフローを重視し、資産をじっくり育てたいと考える方には良い選択肢となり得ます。経費率の低さや少額から投資できる点も、長期でコツコツとインカムを積み上げる戦略と相性が良いでしょう。ただし、後述するリスクを十分に理解し、許容できることが前提となります。

SPYDをおすすめしない人

一方で、SPYDは「株価の成長や安定性を重視する投資家」や「リスク管理を重視する投資初心者」にはあまりおすすめできません。特に、投資経験が浅い初心者の方は、「高利回り」という言葉に惹かれて安易に手を出す前に、本記事で解説した以下のリスクを再確認してください。

  • 景気動向による減配リスク
  • 構成セクターの偏りによる価格変動リスク
  • 円高時にリターンが目減りする為替リスク
  • NISA口座でも差し引かれる米国源泉税(10%)

これらのリスクを許容できない場合、SPYDへの投資は「思ったほど儲からない」「かえって損をした」という結果につながりかねません。最終的にはご自身の投資目的とリスク許容度に照らし合わせて判断することが重要です。

よくある質問(FAQ)

この記事のまとめ

SPYDは低コストで高配当を享受できる半面、減配実績や景気敏感セクター偏在が総合リターンを揺らし、円高・二重課税が実質利回りを削ります。評価する際は過去の配当推移と株価成長を合わせたトータルリターン、税後利回り、為替前提、金利・インフレ見通しを同じ前提でVYMやHDV、債券など代替資産と比較し、流動性とリバランスコストも確認しましょう。さらに分配金を再投資する場合は課税タイミングによる複利効果の差異も試算しておくと、想定と現実のギャップを縮められます。投資目的とリスク許容度が一致するかを点検し、長期プランに照らして意思決定することが大切です。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

配当利回り

配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。

リターン

リターンとは、投資によって得られる利益や収益のことを指します。たとえば、株式を購入して値上がりした場合の売却益(キャピタルゲイン)や、債券の利息、投資信託の分配金(インカムゲイン)などがリターンにあたります。 これらを合計したものは「トータルリターン」と呼ばれ、投資の成果を総合的に示す指標です。リターンは、元本に対してどれだけ増えたかを「%(パーセント)」で表し、特に長期投資では「年率リターン」で比較されることが一般的です。 リターンが高いほど投資先として魅力的に感じられますが、そのぶんリスク(価格変動の可能性)も高くなる傾向があるため、自分の目的やリスク許容度に応じて、適切なリターンを見込むことが大切です。

減配

減配とは、企業が前期より一株当たりの年間配当金を減額することで、主に業績悪化や設備投資・借入返済など資金需要の高まりを背景に、株主還元を抑制する方針を示すものです。 配当が減ると配当利回りは一時的に低下しがちで、市場では経営の先行きに対する警戒感から株価が下落するケースも少なくありません。もっとも、減配は必ずしも財務悪化だけを意味するわけではなく、大型M&Aや研究開発など長期的な成長投資を優先する際に選択されることもあります。 このため投資家は、削減後の配当額と利益水準との関係を示す配当性向やキャッシュフロー計画を確認し、減配が一時的な施策なのか、配当方針そのものの見直しなのかを見極める必要があります。また、無配転落や配当据え置きへの移行リスクも念頭に置きつつ、連続減配年数や将来の増配回復余地を企業の事業構造と資本政策の観点から総合的に判断することが重要です。

セクター偏重

セクター偏重とは、特定の業種や産業分野(セクター)に投資が大きく偏っている状態を指します。たとえば、ポートフォリオの中でテクノロジー関連株が全体の大部分を占めている場合、それは「テクノロジーセクター偏重」と呼ばれます。このような偏りがあると、そのセクターに何らかの悪影響が出たときに、ポートフォリオ全体が大きく値下がりするリスクが高まります。 特定のセクターが市場全体を大きくけん引しているときや、過去のパフォーマンスが良かった場合に、無意識にセクター偏重が進んでしまうこともあります。特にインデックス投資でも、時価総額の大きい企業が特定の業種に集中していると、指数自体がセクター偏重になることがあります。 資産運用においては、セクターごとのバランスを意識することで、特定の業種に依存しすぎず、リスクを分散した安定的な運用を目指すことが重要です。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

源泉税

源泉税とは、給与や利子、配当金などの所得を支払う側が、受け取る人にお金を渡す前にあらかじめ税金分を差し引いて国へ納付する仕組みです。たとえば会社は従業員の給料から所得税を天引きし、証券会社は株式の配当金や投資信託の分配金から一定額を源泉徴収して税務署に納めます。 外国株式や海外債券の配当・利息については、源泉徴収が支払国と日本の双方で行われることがありますが、その場合は二重課税を防ぐために「外国税額控除」を利用できます。これは海外で引かれた税額を日本の所得税額から差し引く制度で、確定申告を通じて申請すれば、国外で徴収された分を上限内で取り戻すことが可能です。このように源泉税は国内外を問わず税負担を前払い的に調整する役割を果たしており、外国税額控除を適切に活用することで、最終的な税負担を正しく精算できます。

実質利回り

実質利回りとは、資産運用において、名目上の利回りから運用コストや税金、インフレの影響を差し引いた後の、実際に得られる利益率を示す指標です。金融資産や不動産など、さまざまな資産運用の分野で活用され、投資の収益性をより正確に評価するために重要な役割を持ちます。 金融資産においては、債券や定期預金などの固定利回りの金融商品では、インフレ率が名目利回りを上回ると実質利回りがマイナスになり、資産価値が目減りするリスクがあります。そのため、投資家は名目利回りだけでなく、インフレ調整後の実質利回りを確認することで、資産の購買力を維持しながら運用することができます。 不動産投資では、実質利回りは単なる表面利回りとは異なり、賃貸収入から管理費、修繕費、固定資産税、ローンの利息などのコストを差し引いた後の利益をもとに算出されます。さらに、インフレによって家賃が上昇すれば実質利回りが向上する一方で、維持費の増加によって利回りが低下する可能性もあります。そのため、不動産投資では、地域の経済成長や賃料の上昇余地を考慮しながら、実質利回りを長期的に評価することが求められます。 資産運用全体において、実質利回りを考慮することで、単なる表面上の収益ではなく、実際に資産を増やすための正確な指標を得ることができます。運用コストや税金、インフレといった要素を踏まえて投資判断を行うことが、資産の成長と保全のために不可欠です。

REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)

REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金を使って、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの不動産に投資し、そこで得られた賃貸収入や売却益を分配する金融商品です。 REITは証券取引所に上場されており、株式と同じように市場で売買できます。そのため、通常の不動産投資と比べて流動性が高く、少額から手軽に不動産投資を始められるのが大きな特徴です。 投資家は、REITを通じて間接的にさまざまな不動産の「オーナー」となり、不動産運用のプロによる安定した収益(インカムゲイン)を得ることができます。しかも、実物の不動産を所有するわけではないので、物件の管理や修繕といった手間がかからない点も魅力です。また、複数の物件に分散投資しているため、リスクを抑えながら収益を狙える点も人気の理由です。 一方で、REITの価格は、不動産市況や金利の動向、経済環境の変化などの影響を受けます。特に金利が上昇すると、REITの価格が下がる傾向があるため、市場環境を定期的にチェックしながら投資判断を行うことが重要です。 REITは、安定した収益を重視する人や、実物資産への投資に関心があるものの手間やコストを抑えたい人にとって、有力な選択肢となる資産運用手段の一つです。

キャピタルゲイン(売却益)

キャピタルゲイン(売却益)とは、保有していた資産を売却することで得られる利益のことを指します。株式や不動産、債券、金などの貴金属を購入時の価格より高い価格で売却した場合、その差額がキャピタルゲインです(対義語:インカムゲイン)。 例えば、1,000円で購入した株を1,500円で売却すれば、500円がキャピタルゲインです。ただし、売却時には税制や手数料を考慮する必要があり、特に金融資産では 譲渡益課税 が適用されることが多くあります。 キャピタルゲインは、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、購入時より価格が下がると 元本割れのリスク も伴います。そのため、資産運用では 売却益の確保 と 税負担の最適化 が重要な戦略の一つです。

インフレ耐性

インフレ耐性とは、物価が上昇して貨幣の購買力が下がる局面でも、実質的な価値が目減りしにくい資産や投資戦略の性質を指します。たとえば、家賃収入を物価に応じて引き上げやすい不動産、価格が原材料コストに連動しやすい資源関連株式、インフレ連動債のように利払いが物価指数と連動する債券などは、インフレ耐性が高いとされます。 こうした資産をポートフォリオに組み込むことで、将来インフレが進んでも実質的な購買力を維持しやすくなり、長期的な資産形成の安定性を高める効果が期待できます。ただし、市況によってはインフレ耐性の高い資産でも短期的に価格変動が大きくなる場合があるため、目的やリスク許容度に応じて適切に分散投資を行うことが大切です。

バリュー株

バリュー株とは、企業の財務状況や資産価値と比較して割安に取引されている株式を指します。一般的に、成長が鈍化した企業や市場から注目されていない企業に多く、配当利回りが高い傾向にあります。投資家は、企業価値が市場に正しく評価されることで株価が上昇し、利益を得ることを期待して投資します。

グロース株

グロース株とは、現状株価が多少高くても、業績が良好で将来的にさらなる成長や株価の上昇が見込める株のことを指します。成長株とも呼びます。

均等加重型

均等加重型とは、投資ポートフォリオや株価指数の構成方法の一つで、全ての銘柄を等しい割合で保有するアプローチを指します。この方法では、各銘柄に割り当てられる資金の比率が同一であり、市場価値や業績に基づく加重が行われません。均等加重型のポートフォリオや指数は、大型株や業績の良い株だけではなく、小型株やパフォーマンスが低下している株にも平等に投資するため、リスクの分散が促進されます。 この加重方式は、市場や特定の銘柄の偏りが少なく、全体としての市場動向やセクターの平均的なパフォーマンスを捉えるのに適しています。しかし、均等加重型では、市場価値の小さい銘柄が過大に評価される傾向があるため、この点を考慮する必要があります。このアプローチは特に、市場全体に均等に露出したいと考える投資家に適しており、バランスの取れた投資戦略として活用されています。

時価総額加重型

時価総額加重型とは、株価指数や投資信託などの運用で用いられる算出方式の一つで、**構成銘柄の時価総額(株価 × 発行済株式数)に応じて比率(ウエイト)を決める方法**です。つまり、企業の規模が大きいほど、その銘柄が指数やファンド全体に与える影響も大きくなります。 たとえば、時価総額加重型の株価指数では、アップルやマイクロソフトのような巨大企業の動きが、指数全体の変動に大きく影響を与えます。逆に、時価総額の小さい企業は指数への影響が小さくなります。 この方式は、市場全体の動きを自然に反映しやすく、売買や構成比の調整がシンプルで効率的であることから、S&P500やCRSP USトータル・マーケット・インデックスなど、多くの代表的なインデックスで採用されています。 一方で、時価総額が大きい銘柄に偏りやすくなるため、特定の業種や企業に依存した構成になることもあり、分散効果がやや限定的になるケースもあります。資産運用においては、この構造を理解しておくことで、ポートフォリオ全体のバランスやリスクをより適切に把握することができます。

リバランス

リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

景気感応度

景気感応度とは、企業の売上や利益、または株価や債券価格など資産の価値が、景気循環の変動に対してどの程度影響を受けやすいかを示す度合いです。 自動車や半導体、鉄鋼などの産業は景気が拡大すると需要が急増し、逆に景気後退局面では落ち込みやすいため景気感応度が高いとされます。一方、食料品や医薬品、公共料金など生活必需品を扱う業種は景気変動の影響が比較的小さいため、景気感応度が低い「ディフェンシブ」セクターと呼ばれます。 投資家はポートフォリオのリスクを管理するために、景気感応度の異なる資産を組み合わせることで、景気サイクルに強い構成を目指すことができます。

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