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買ってはいけない高配当株とは?危険を避ける5つのポイントや配当利回りの目安・デメリットを徹底解説

買ってはいけない高配当株とは?危険を避ける5つのポイントや配当利回りの目安・デメリットを徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.08.25

更新:

2025.08.25

高配当株は、低金利環境でも安定収入が得られる手段として人気を集めています。しかし「配当利回りが高いほどお得」という考えは危険です。例えば2023年時点の市場平均が約2.25%である一方、7〜8%超の銘柄には業績悪化や一時的な増配といったリスクが潜んでいます。

知らずに投資すると減配や株価下落で損失を被る可能性もあるのです。本記事では、買ってはいけない高配当株の特徴や見分け方、さらに代替案まで解説し、安全に資産形成を進めるための実践的な視点を提供します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、高配当株の「魅力」と「落とし穴」をバランスよく理解できます。例えば、利回り7〜8%超の異常値や配当性向100%超といった危険信号を避けるための視点が得られます。また、業績や財務の健全性を確認する5つのチェックリストを通じて、表面的な利回りに惑わされない投資判断の力が身につきます。さらに、個別株選びに不安がある方のために、日本や米国の高配当ETF、J-REITといった代替案も紹介。読み終える頃には、自分に合ったリスクを取れる投資戦略をイメージできるようになります。

目次

高配当株の仕組みや特徴

高配当株とは?市場平均より利回りが高い株式のこと

高配当株の魅力は?定期的な現金収入(インカムゲイン)

高配当株の注意点は?「高利回り=安心」という誤解

高配当利回りの罠:数字だけで選ぶのが危険な2つの理由

理由1:業績悪化による「減配・無配」で株価が下落する

理由2:株価が上がりにくい「低成長」の可能性がある

買ってはいけない高配当株に共通する4つの特徴

特徴1:配当利回りが異常に高い

特徴2:業績が不安定または右肩下がり

特徴3:配当性向が高すぎる

特徴4:一時的な要因で配当が急増している

危険な高配当株を避けるための5つのチェックポイント

チェック1:配当利回りは異常に高くないか?

チェック2:利益は右肩下がりや頭打ちではないか?

チェック3:安定した配当実績と明確な方針があるか?

チェック4:配当性向は高すぎないか?

チェック5:財務状況は健全か?

個別株選びに不安な場合:リスクを抑える3つの代替案

代替案1:日本の高配当ETFで手軽に分散投資する

代替案2:米国の高配当ETFで世界へ分散投資する

代替案3:J-REITで不動産の家賃収入を得る

高配当株の仕組みや特徴

NISAの普及などを背景に、高配当株投資への関心が高まっています。安定した配当収入を期待して始めたものの、「どの銘柄を選べば良いかわからない」「利回りの高さだけで選んでいいのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この章では、高配当株投資を始める前に押さえておきたい基本的な仕組みや、その魅力と注意点を解説します。ここを理解することが、将来の失敗を避けるための第一歩となります。

高配当株とは?市場平均より利回りが高い株式のこと

高配当株とは、市場の平均と比べて配当利回りが高い株式を指します。配当利回りは、株価に対して1年間でどれだけの配当金を受け取れるかを示す割合です。

明確な定義はありませんが、日本では一般的に利回りが3〜4%以上の銘柄が高配当株と見なされる傾向があります。例えば、東証プライム市場全体の平均利回りは約2.25%(2023年4月時点)であり、これを大きく上回る水準です。

配当利回りについては以下Q&Aでも説明しています。

高配当株の魅力は?定期的な現金収入(インカムゲイン)

株を保有しているだけで得られる定期的な現金収入、いわゆるインカムゲインが最大の魅力です。銀行預金の金利が極めて低い現在、株式からの配当金は貴重な収入源となり得ます。

得られた配当金は、生活費の足しにしたり、再投資して資産をさらに増やしたり、あるいはFIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指すための資金源にしたりと、不労所得を望む多くの投資家にとって有力な選択肢です。特に新しいNISA制度を活用すれば配当金が非課税になるため、その恩恵も大きくなります。

高配当株の注意点は?「高利回り=安心」という誤解

魅力の多い高配当株ですが、「利回りが高いほど良い銘柄だ」と考えるのは危険な誤解です。実際には、利回りが極端に高い銘柄には、業績悪化による株価下落といった何らかの理由が隠れている場合があります。

単に配当利回りランキングが高いという理由だけで投資すると、将来の減配(配当金が減ること)や株価の急落によって、配当金以上の損失を被るリスクも少なくありません。

高配当株投資で成功するには、表面的な利回りの数字だけでなく、その裏側にある企業の本当の実力を見抜く視点が不可欠です。次の章から、そのための具体的な方法を詳しく見ていきましょう。

高配当利回りの罠:数字だけで選ぶのが危険な2つの理由

高い配当利回りは魅力的ですが、その数字の裏に隠されたリスクを見過ごしてはいけません。なぜ高配当株が「おすすめしない」と言われることがあるのか、その主な理由を2つの側面から解説します。配当金だけでなく、株価下落や成長性といった視点を持つことが重要です。

理由1:業績悪化による「減配・無配」で株価が下落する

企業の業績が悪化すれば、高配当株であっても配当金の引き下げ(減配)や配当停止(無配)に踏み切ることがあります。そうなると、配当を期待していた投資家による売りが殺到し、株価は急落しかねません。

配当金がもらえなくなる上に、株価の下落で元本割れを起こし、結果的に配当以上の損失を出すリスクがあるのです。将来の配当は保証されていない、ということを理解しておく必要があります。

理由2:株価が上がりにくい「低成長」の可能性がある

高配当を出す企業の多くは事業が成熟期にあり、成長の余地が限られています。利益の大部分を配当として株主に還元するため、事業拡大への再投資に回す資金が少なくなりがちです。

その結果、企業の成長は緩やかになり、株価の大幅な上昇(キャピタルゲイン)は期待しにくくなります。配当は得られても、資産全体としては増えにくいという側面があるのです。

これらの理由から、「高利回りだから安心」という考えは誤解です。高配当株は決してノーリスクではなく、配当は企業の業績次第で変動するため、配当金だけを生活の基盤にすることも現実的ではありません。投資で成功するには、利回りの数字だけでなく、企業の本当の実力や財務の健全性まで見極める視点が不可欠です。

買ってはいけない高配当株に共通する4つの特徴

魅力的に見える高配当株の中には、将来的に減配や株価下落のリスクを抱える「買ってはいけない銘柄」が隠れています。ここでは、そうした危険な銘柄に共通する4つの特徴を具体的に解説します。これらのポイントを押さえるだけで、投資の失敗確率を大きく下げることができるでしょう。

特徴1:配当利回りが異常に高い

極端に高い配当利回りは、最も分かりやすい危険信号です。配当利回りは「年間配当金÷株価」で計算されるため、利回りが異常に高くなる背景には「配当額の急増」か「株価の急落」のどちらかが存在します。

特に危険なのが、株価の下落によって利回りが上がっているケースです。業績悪化や経営不安が原因で株価が急落し、見かけ上の利回りだけが上昇している可能性があります。実際に利回り10%を超えるような銘柄の株価チャートを見ると、長期間にわたり株価が下がり続けていることも少なくありません。目安として7%から8%を超える著しく高い利回りは、株価暴落や減配のサインと考えましょう。

特徴2:業績が不安定または右肩下がり

安定した配当は、安定した業績があってこそ成り立ちます。配当は企業の利益から支払われるため、売上や利益が減り続ければ配当の維持は困難になります。業績が不安定、もしくは右肩下がりの企業の株は避けましょう。

特に注意したいのが、業績が「頭打ち(横ばい)」の企業です。数年間成長が停滞していると、景気悪化などの些細なきっかけで株価が暴落し、減配に追い込まれることがあります。優良企業とされた米国のスリーエム(MMM)も、近年の業績停滞で株価が暴落し、結果的に減配に至りました。業績の安定成長が見込めない企業の高配当は、持続性に欠けるため長期投資には不向きです。

特徴3:配当性向が高すぎる

配当性向は、企業が稼いだ利益のうち、どれだけの割合を配当に回しているかを示す指標です。この数値が極端に高い(特に100%を超える場合)銘柄は危険な兆候です。

配当性向が100%超の状態とは、企業が稼いだ利益以上の金額を配当で支払っていることを意味し、「タコ足配当」と呼ばれます。これは内部留保の取り崩しや借金で配当を賄う不健全な経営であり、いずれ資金繰りが行き詰まり、減配や無配に陥るリスクが非常に高い状態です。

健全な企業は将来の成長投資にも資金を回すため、配当性向を30〜50%程度に設定することが多くあります。恒常的に80%を超えている銘柄は要注意、100%超なら減配は時間の問題と考えるべきです。

特徴4:一時的な要因で配当が急増している

直近の配当金が急増し、一時的に高配当に見える銘柄にも注意が必要です。その増配が一過性の要因によるものであれば、長続きしないからです。

典型例が、創立記念などで出される「特別配当」や「記念配当」です。これらは翌年にはなくなるため、配当利回りは元の水準に戻ります。また、市況株など外部環境によって一時的に業績が急拡大したケースも同様です。例えば海運業界は、コロナ禍の2021年前後に大幅な増配を行いました。日本郵船(9101)の利回りは一時15%を超えましたが、市況が落ち着くと業績も正常化し、2024年3月期の配当は前期の4分の1に減少しました。こうした高配当は持続性に欠けるため、長期の安定配当を期待する投資には向いていません。

危険な高配当株を避けるための5つのチェックポイント

これまで解説した「買ってはいけない高配当株」の特徴を、具体的な数値で判断できる5つのチェックリストにまとめました。感覚的な判断を避け、誰でも再現可能な基準で銘柄を評価する方法です。このリストを使えば、投資の失敗確率を大幅に下げることができます。

チェック1:配当利回りは異常に高くないか?

まず、配当利回りが市場平均(2〜3%)と比べて極端に高くないかを確認します。特に利回りが7〜8%を超える銘柄は危険信号です。なぜその利回りが実現できているのか、株価の急落や一時的な要因が隠れていないか、背景を探るようにしましょう。

チェック2:利益は右肩下がりや頭打ちではないか?

配当の源泉は企業の利益です。売上高や営業利益が過去数年にわたって安定的に成長しているかを確認します。たとえ現状の配当が高くても、業績が右肩下がりや頭打ちの状態では、将来の減配リスクが高まります。継続的な成長力を見極めましょう。

チェック3:安定した配当実績と明確な方針があるか?

企業の株主還元への姿勢は、過去の配当実績に表れます。過去5〜10年で安易な減配をしていないか、配当を維持・増加させる「累進配当」などの方針を掲げているかを確認しましょう。一時的な要因で直近の配当だけが高くなっていないかも注意点です。

チェック4:配当性向は高すぎないか?

企業の利益に対して配当を支払いすぎていないか、配当性向で持続可能性を確認します。この数値が恒常的に80%を超えている場合は要注意です。100%超は利益以上の配当を出している状態であり、原則として投資対象から外すべき危険な水準です。

配当性向については以下Q&Aでも説明しています。

チェック5:財務状況は健全か?

安定配当のためには、企業の健全な財務体質も重要な条件です。特に以下の2点を確認しましょう。

一つ目は、企業が事業活動で自由に使える現金を示す「フリーキャッシュフロー(FCF)」です。これがマイナス続きの企業は、貯蓄を取り崩したり借金をしたりして配当を支払っている可能性があり危険です。

二つ目は、借入金である「有利子負債」が過大でないかです。負債が多すぎると利益が利息の支払いに消え、配当に回す余裕がなくなります。企業の財務状況を確認する習慣をつけましょう。

これらのチェックリストを活用すれば、「利回り10%超・業績悪化・配当性向100%超・財務悪化」といった典型的に危険な銘柄を避けられるようになります。

逆に、利回りが4〜5%程度でも、業績が安定し財務も健全で配当余力がある企業こそ、長期投資に適した優良銘柄と言えるでしょう。通信やインフラ関連などの安定した業種には、10年以上減配していない銘柄も存在します。「高配当株=悪」と決めつけず、中身をしっかり見極めることが何より重要です。

個別株選びに不安な場合:リスクを抑える3つの代替案

危険な高配当株の見分け方を解説してきましたが、それでも個別銘柄を選ぶのは難しいと感じるかもしれません。ここでは、一つの銘柄に集中するリスクを避け、より手軽に高配当投資を始められる代替案を3つ紹介します。初心者でも安心して取り組める方法です。

代替案1:日本の高配当ETFで手軽に分散投資する

ETF(上場投資信託)は、株式と同じように市場で売買できる投資信託の一種です。プロが選んだ高配当株の詰め合わせに投資するようなイメージで、一つのETFを少額から買うだけで複数の銘柄に分散投資ができます。これにより、個別企業の倒産や減配といったリスクを大幅に低減できるのが最大のメリットです。

例えば、「日経平均高配当株50指数」に連動するETF(銘柄コード:1489)は、日経平均採用銘柄の中から利回り上位50社にまとめて投資できます。分配金利回りは個別株ほどの高さはありませんが、その分リスクが抑えられ、安定した配当収入が期待できます。NISA口座を活用すれば分配金も非課税になるため、相性の良い投資先です。

ただし、ETFにはいくつかの注意点もあります。まず、分配金は自動で再投資されないため、複利効果を狙うには自分で買い増しを行う手間が必要です。また、保有中は信託報酬という運用コストがかかり続けることも覚えておきましょう。これらの点を理解すれば、ETFは個別株を選ぶより堅実に高配当戦略を実践できる有力な選択肢となります。

高配当ETFについては以下記事で詳しく解説しています。

代替案2:米国の高配当ETFで世界へ分散投資する

投資先を日本国内に限定せず、世界経済の中心である米国に目を向けるのも有効な選択肢です。VYMやSCHDといった米国の優良な高配当ETFは、長期的な成長と増配が期待できます。数百社もの銘柄で構成されているため分散効果が非常に高く、為替リスクはあるものの、日本の株式だけに投資するよりも資産を安定させやすいでしょう。

米国の高配当ETFのVYMについては以下記事で解説しています。

代替案3:J-REITで不動産の家賃収入を得る

株式だけでなく、不動産からの収入に目を向けるのも一つの方法です。J-REIT(不動産投資信託)は、オフィスビルや商業施設など複数の不動産に少額から投資できる商品です。

家賃収入が分配金の源泉となるため、企業の業績に左右される株式配当とは値動きが異なる傾向があり、比較的安定した利回りが期待できます。ただし、不動産市況や金利の変動が価格に影響するリスクも理解しておきましょう。

REITについては以下記事で詳しく解説しています。

この記事のまとめ

高配当株は安定収入を期待できる一方で、異常に高い利回りや配当性向の高さといった危険信号を見落とすと、大きな損失につながる可能性があります。利回りの数字だけに頼らず、業績の安定性や財務の健全性を確認することが、長期的に安心して配当を受け取るための鍵です。本記事で紹介したチェックポイントを実践すれば、投資判断の精度を高め、リスクを避けやすくなります。もし個別株選びに不安を感じる場合は、ETFやREITといった分散投資の選択肢を取り入れるのも有効です。自分に合った方法でリスクを抑えつつ、着実に資産形成を進めていきましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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高配当株

高配当株とは、企業が株主に支払う配当金の利回りが相対的に高い株式のことを指します。一般的に、配当利回り(1株当たりの年間配当金 ÷ 株価)が高い銘柄が高配当株とされ、安定したキャッシュフローを求める投資家に人気があります。特に、金融、エネルギー、インフラ関連など、景気の影響を受けにくい業種に多い傾向があります。 高配当株への投資は、定期的なインカムゲイン(配当収入)を得ることができるため、長期投資や老後資産形成にも適しています。ただし、企業の業績悪化や減配リスク、株価下落の可能性にも注意が必要です。配当だけでなく、企業の財務健全性や成長性を考慮しながら投資判断を行うことが重要です。

配当利回り

配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。

インカムゲイン(インカム)

インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。

減配

減配とは、企業が前期より一株当たりの年間配当金を減額することで、主に業績悪化や設備投資・借入返済など資金需要の高まりを背景に、株主還元を抑制する方針を示すものです。 配当が減ると配当利回りは一時的に低下しがちで、市場では経営の先行きに対する警戒感から株価が下落するケースも少なくありません。もっとも、減配は必ずしも財務悪化だけを意味するわけではなく、大型M&Aや研究開発など長期的な成長投資を優先する際に選択されることもあります。 このため投資家は、削減後の配当額と利益水準との関係を示す配当性向やキャッシュフロー計画を確認し、減配が一時的な施策なのか、配当方針そのものの見直しなのかを見極める必要があります。また、無配転落や配当据え置きへの移行リスクも念頭に置きつつ、連続減配年数や将来の増配回復余地を企業の事業構造と資本政策の観点から総合的に判断することが重要です。

無配

無配とは、企業が株主に対して配当金を支払わないことを意味します。通常、企業は利益が出るとその一部を株主に配当金として還元しますが、業績不振や将来への投資を優先する場合などには、配当を出さないという選択をすることがあります。このような状態を「無配」と呼びます。 無配は、必ずしもその企業が危険というわけではなく、将来の成長に向けた資金確保を意図しているケースもあります。ただし、配当を目的に投資をしている人にとっては、無配企業への投資は収入を得にくいため注意が必要です。長期間にわたる無配が続く場合、投資家の信頼が下がることもあるため、無配の背景や企業の財務状況をしっかり確認することが大切です。

キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)

キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。

配当性向

配当性向とは、会社がその期に稼いだ税引後の利益、つまり当期純利益のうち、どれくらいを株主への配当金として支払ったかを示す割合です。投資家にとっては、企業が利益をどの程度還元してくれるのかを知る目安になります。 計算方法は、1株当たりの配当額を1株当たりの当期純利益で割って求められます。たとえば、配当性向が50%であれば、会社が利益の半分を配当として出しているということになります。配当を重視する投資家にとっては重要な指標であり、企業の利益配分方針を理解するために役立ちます。

タコ足配当

タコ足配当とは、企業が株主に配当金を支払う際に、本来の利益からではなく、会社の資産や元本の一部を取り崩して支払う状態を指します。これはまるでタコが自分の足を食べて生き延びているようなイメージから名付けられた表現です。 通常、配当は企業が得た利益の一部を株主に還元するものですが、タコ足配当は業績が悪化して利益が出ていないにもかかわらず、無理に配当を出している状態であり、長期的には企業の財務健全性を損なう可能性があります。 配当を受け取る株主にとっては短期的に収入が得られるものの、その裏で企業価値が削られているリスクがあるため、注意が必要です。投資先の企業がどのようにして配当を出しているのかを確認することは、健全な資産運用の第一歩です。

特別配当

特別配当とは、企業が通常の定期的な配当とは別に、臨時的な理由によって一時的に支払う追加の配当金のことです。たとえば、大型の資産売却によってまとまった利益が出た場合や、業績が大幅に好転した場合などに、株主への利益還元の一環として行われます。 特別配当は毎期必ず支払われるものではなく、企業の経営判断によって実施されるため、その都度内容が異なります。株主にとっては予想外の収入となることがあり好意的に受け止められやすいですが、継続性がないため一時的なものとして認識しておく必要があります。また、企業が将来の成長投資よりも株主還元を優先しているシグナルとも捉えられるため、内容や背景をしっかり確認することが重要です。

記念配当

記念配当とは、企業が創立○周年や上場○周年、業績の節目となる達成など、特別な出来事を祝う目的で、一時的に支払う配当金のことです。通常の配当金に上乗せする形で支払われることが多く、株主への感謝を示すために行われます。 これはあくまで臨時的なものであり、翌期以降も継続されるわけではありません。企業のブランド価値や株主との関係強化を目的とする場合が多く、投資家にとっては予期せぬ利益となることがあります。 ただし、記念配当があるからといって企業の業績が常に良好であるとは限らないため、その配当の背景にある企業の財務状況や意図を確認することも大切です。

累進配当

累進配当とは、企業が配当金を「減らさないこと」を基本方針とし、業績の改善や成長に応じて段階的に引き上げていく配当政策のことです。 たとえ一時的に業績が悪化しても、配当金を維持するか、可能であれば増やしていく姿勢をとることで、長期保有の株主に対する安定した還元を重視する考え方です。 欧米企業で広く採用されている手法であり、日本でも一部の上場企業が取り入れています。累進配当は、企業が配当の安定性と持続性に自信を持っていることを示すため、株主からの信頼獲得にもつながります。ただし、業績が大きく落ち込んだ場合でも配当維持を優先することで、無理な資金繰りにつながるリスクもあるため、その実現性や企業の財務体質を見極めることが大切です。

フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローとは、企業が事業活動を通じて得た現金のうち、設備投資などの支出を差し引いた後に、自由に使えるお金のことを指します。 たとえば、売上から得た資金で商品の仕入れや社員の給料を払い、さらに機械や建物への投資を行った後に手元に残る現金がフリーキャッシュフローです。この金額が多ければ、企業は株主への配当や借金の返済、新たな投資など、柔軟に資金を活用できる状態にあると言えます。投資家にとっては、企業の実質的な資金力や成長余力を測る重要な指標となります。

有利子負債

有利子負債とは、利息を支払う義務がある借入金や社債などの負債のことを指します。企業が銀行からお金を借りたり、社債を発行して資金調達を行った場合、その借金には利息を支払う必要があり、これが有利子負債にあたります。資産運用の場面では、企業の財務の健全性を判断するために有利子負債の額や返済能力が注目されます。借金が多すぎる企業は、景気の悪化時に財務リスクが高まる可能性があるため、投資判断において注意が必要です。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

J-REIT(Japan Real Estate Investment Trust)

J-REIT(ジェイリート)とは、「Japanese Real Estate Investment Trust」の略で、日本国内で設立・運用される不動産投資信託のことです。東京証券取引所を中心に上場しており、オフィスビル、商業施設、住宅、物流施設、ホテルなど、多様な不動産に投資します。投資家から集めた資金で不動産を取得・運用し、賃貸収入や売却益を原資として、利益の90%以上を分配することで法人税の軽減を受ける仕組みになっています。 J-REITは、税制優遇を受けられる点や比較的安定した分配金が期待できることから、国内投資家にとって魅力的な資産運用手段の一つです。ただし、日本経済や不動産市場の動向、金利変動、自然災害リスクなどの影響を受けるため、慎重な運用が求められます。もともとREITは米国で生まれた仕組みですが、日本の法律や市場環境に適応した制度が整備され、J-REITとして発展しています。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

日経平均高配当株50指数

日経平均高配当株50指数とは、日本経済新聞社が算出・公表している株価指数で、東証プライム市場に上場する企業の中から、配当利回りの高い50銘柄を選定して構成されるものです。 この指数は、株主への利益還元に積極的で、安定的な配当が見込まれる企業に着目した投資指標として活用されており、高配当戦略を重視する投資家にとって魅力的な対象となっています。 銘柄の選定は年に1回見直され、時価総額や流動性、財務の健全性なども考慮されるため、単に利回りが高いだけでなく、持続可能な配当が期待できる企業が含まれる傾向にあります。この指数をベンチマークとするETF(たとえば「日経高配当株50ETF」)も存在し、個人投資家が分散投資の手段として利用することができます。

VYM

VYMとは、バンガード社が提供する「Vanguard High Dividend Yield ETF」の略称で、米国の大型株を中心に配当利回りの高い企業に投資する上場投資信託です。このETFは約440〜590銘柄に分散投資し、高配当銘柄を広くカバーしつつ、費用率は0.06%と非常に低いため、コストパフォーマンスにも優れています。 年間配当利回りは2.7%前後で、四半期ごとの配当支払いが行われています。長期保有による安定的なインカムゲインと株価上昇の両方を狙いたい投資家に向いた商品です。

SCHD

SCHDとは、アメリカの資産運用会社チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)が提供する高配当株ETF「Schwab U.S. Dividend Equity ETF」のティッカーシンボルです。 このETFは、安定した配当を出し続けているアメリカ企業に分散投資することを目的としており、特に配当利回りだけでなく、財務の健全性や収益性も重視して銘柄を選定しています。構成銘柄にはコカ・コーラやホーム・デポなどの有名な大型企業が多く含まれており、米国株式市場における配当重視の投資戦略をとる人に人気です。経費率(運用手数料)も低く、長期保有による資産形成を目指す投資家にとって魅力的な商品です。配当金は四半期ごとに支払われ、日本からでも証券会社を通じて購入することが可能です。

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