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HDVとはどんな米国高配当ETF?安定性が高い理由や利回り・分配金の仕組みを徹底解説

HDVとはどんな米国高配当ETF?安定性が高い理由や利回り・分配金の仕組みを徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.06.25

更新:

2025.06.25

高インフレと金利高で「配当でぶれない収益源」を探す投資家の間で、財務健全株75社に絞った米国高配当ETF・HDVが改めて脚光を浴びています。しかし生活必需品とエネルギーに偏ったセクター構成、円高時に目減りする実質利回り、NISAでは戻らない米国源泉税など、知らないと損をする落とし穴も潜みます。この記事では利回り推移、暴落期の防御力、VYM・SPYDとの比較、配当再投資の効果、為替ヘッジと今後の金利動向による影響まで多角的に検証し、HDVをあなたのポートフォリオに組み入れるべきか判断するための材料を提供します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、HDVの約3.3%配当利回りとβ値0.6台の防御力、年0.08%の超低コストが生む長期メリットを整理しつつ、為替・セクター偏重・米国源泉税といった盲点、急落局面での実績比較、VYM・SPYDとの性能差を一気に把握できます。さらに配当再投資で取得利回りを高める手順や為替ヘッジ要否も理解でき、インカム重視かキャピタル重視か目的別にHDVを何%組み入れるか判断する軸が得られます。読み終えれば、高配当ETF選びの比較フレームと投資効果を数字で説明できるレベルまで理解が深まるでしょう。

目次

HDVとはどんなETF?米国高配当75銘柄に0.08%で投資できる低コストETF

HDVの基本情報:ティッカー・経費率0.08%をサクッと確認

HDVの投資戦略:財務健全な優良企業からの「安定配当」を狙う

日本の「高配当投信」とは何が違う?ETFならではの強み

高配当投資信託とのコストの差

高配当投資信託との取引の自由度の差

HDVの株価推移とチャート分析:急落局面でも値下がりに強い理由

【数値で見る】β値0.6台が示す「値動きの安定感」

【実績で見る】暴落時に証明された「鉄壁の守り」

【トレードオフを理解する】なぜ値上がり益は限定的なのか?

HDVの配当利回りと分配金スケジュール:年4回のインカムを最大化する方法

配当利回り約3.3%と、将来が楽しみな「増配力」

次回分配金はいつ、いくら?権利落ち日をカレンダーに刻もう

配当再投資が生む「取得価額利回り」の成長効果

HDVの構成銘柄・セクター比率:エネルギー+生活必需品が高配当を支える

上位10銘柄で全体の5割超:配当の源泉は巨大企業に集中

セクター比率:景気に強い「生活必需品・エネルギー・ヘルスケア」で守りを固める

安定性の裏に潜む「セクター集中リスク」

HDVに投資する4つのメリット:安定配当と鉄壁の守備力

メリット① 景気後退でも揺るがない「配当安定性」

メリット② 長期投資の強力な味方「年0.08%の低コスト」

メリット③ 暴落時のダメージを軽減する「鉄壁のディフェンス力」

メリット④ 円安は追い風になる「ドル資産効果」

HDVのデメリットと購入前の注意点:知っておくべき3つのリスク

デメリット① 得意分野に依存する「セクター集中リスク」

デメリット② 上昇相場で乗り遅れやすい「成長性の鈍化」

デメリット③ 円高局面で目減りする「為替変動リスク」

【購入前の注意点】短期売買には不向き&NISAでの税金の扱い

HDVはどんな人におすすめ?向いている人・向いていない人の特徴

HDVがポートフォリオの候補となりおすすめな人

HDVよりも他のETFがより適していると考えられる人

HDV vs VYM・SPYD:あなたに合った「高配当ETF」はどれか?

3大ETFの基本スペック比較

HDV vs VYM:安定配当を求めるなら?

どちらがおすすめ?

HDV vs SPYD:利回り重視ならどちらか?

どちらがおすすめ?

タイプ別:あなたに合う高配当ETFはこれ

コア・サテライト戦略におけるHDVの活用法

HDVをサテライトに加えることで得られる3つの効果

注意点:HDVはあくまで「サポート役」

HDVとはどんなETF?米国高配当75銘柄に0.08%で投資できる低コストETF

HDVは、米国の高配当株へ手軽に分散投資したいと考えている投資家にとって、有力な選択肢となるETF(上場投資信託)です。特に「安定した配当収入(インカムゲイン)」と「相場下落時の強さ(守備力)」を両立させたいニーズに応える商品設計が特徴で、長期的な資産形成の核となりうる一本です。

HDVの基本情報:ティッカー・経費率0.08%をサクッと確認

まず、HDVに投資する上で押さえておきたい基本情報を確認しましょう。運用しているのは世界最大の資産運用会社ブラックロック社。HDVは同社の「iシェアーズ・コア」シリーズに位置付けられており、これは長期保有を前提に、特に低コストで設計された主力商品群を意味します。

項目内容
正式名称iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF
運用会社ブラックロック (BlackRock)
ティッカーHDV
上場市場NYSE ARCA (ニューヨーク証券取引所)
経費率年0.08%
連動指数モーニングスター配当フォーカス指数
純資産総額約110億ドル (2025年6月時点)

特に注目すべきは、年0.08%という驚異的な低コストです。これは100万円を投資しても年間の手数料がわずか800円ということで、コストがリターンを圧迫しにくく、長期投資において絶大なメリットとなります。

HDVの投資戦略:財務健全な優良企業からの「安定配当」を狙う

HDVの目的は、単に利回りが高いだけでなく、財務的に健全で、かつ持続的に高い配当を支払う力のある米国企業にまとめて投資することです。

この目的を達成するため、HDVは「モーニングスター配当フォーカス指数」への連動を目指します。この指数は、米国の企業の中から、企業の倒産リスクが低く財務内容が健全と格付けされ、かつ配当利回りの高い75銘柄を厳選して構成されています。

つまり、個別株を一つひとつ分析する手間をかけることなく、HDVを一つ買うだけで「質の高い高配当株ポートフォリオ」が完成するのです。この手軽さと分散効果こそ、HDVが多くの投資家に選ばれる理由です。

日本の「高配当投信」とは何が違う?ETFならではの強み

NISAなどで投資を始める際、似たような名前の日本の「高配当投資信託」との違いに迷うかもしれません。主な違いは「コスト」と「取引の自由度」です。

高配当投資信託とのコストの差

前述の通りHDVの経費率は0.08%ですが、日本の高配当投資信託には手数料が年1%(100万円あたり1万円)を超えるものも珍しくありません。この差は、長期運用では無視できないリターンの差となって現れます。

高配当投資信託との取引の自由度の差

HDVのようなETFは、株式と同じように証券取引所の取引時間中であれば、リアルタイムの株価でいつでも好きなタイミングで売買できます。一方、投資信託は1日1回算出される「基準価額」での取引となるため、価格の柔軟性ではETFに軍配が上がります。

これらの点から、コストを抑えつつ自分のタイミングで機動的に取引したい投資家にとって、HDVのような海外ETFは非常に合理的な選択肢と言えるでしょう。

高配当ETFの特徴やメリットデメリットについて詳しくは、以下のQAをご参照ください。

HDVの株価推移とチャート分析:急落局面でも値下がりに強い理由

HDVの株価は、S&P500のような市場平均と比べると上昇ペースは緩やかです。平時(上昇相場)には少し物足りなく感じるかもしれませんが、その真価は嵐の海(下落相場)でこそ発揮されます。過去のチャートは、HDVが「守りに強い」頼れる存在であることを雄弁に物語っています。

【数値で見る】β値0.6台が示す「値動きの安定感」

HDVのディフェンシブな性格は、「ベータ(β)値」という数値で客観的に証明できます。

ベータ値とは、市場全体(例:S&P500)が1%動いたときに、その銘柄が何%動くかを示す感応度のこと。HDVのベータ値は約0.6台であり、これは市場全体よりも値動きが約4割も穏やかであることを意味します。例えば、市場全体が10%下落するような厳しい局面でも、HDVの下落は6%台に留まる傾向があるのです。

この異なる値動きは、あなたの資産全体の安定性を高める「分散効果」にも繋がります。ポートフォリオにHDVを加えることは、サッカーチームに屈強なディフェンダーを加えるようなもの。チーム全体の失点を減らし、資産の目減りを和らげてくれる効果が期待できます。

【実績で見る】暴落時に証明された「鉄壁の守り」

HDVの守備力は、机上の空論ではありません。近年の市場急落時に、その力ははっきりと証明されました。記憶に新しいのが、世界的なインフレと金利上昇で市場が悲観に包まれた2022年です。この年、S&P500が年間で▲18%と大きく沈む中、HDVは逆に+7%という驚異的なプラスリターンを記録しました。

なぜこれほど強かったのか?その理由はHDVの構成銘柄にあります。景気が悪くなっても、人々は電気やガスの使用をゼロにしませんし、食品や薬の購入を完全にやめることもありません。HDVを構成するエネルギー、生活必需品、ヘルスケアといったセクターは、こうした景気に左右されにくい盤石なビジネスを展開しており、それが暴落時の強力な下支えとなるのです。

【トレードオフを理解する】なぜ値上がり益は限定的なのか?

もちろん、この鉄壁の守りには代償もあります。それは、上昇相場における瞬発力です。

HDVのポートフォリオには、株価の爆発的な成長が期待される新興ハイテク企業などはほとんど含まれていません。その代わりに、すでに巨大企業へと成長し、安定期に入った成熟企業が中心です。安定している分、株価が短期間で何倍にもなるような急成長は見込みにくいのです。

したがって、「守備力」と「成長力」はトレードオフの関係にあると理解しておくことが重要です。HDVは、大きな値上がり益を狙うのではなく、あくまで資産を守りながら着実な配当収入を積み重ねていくことを得意とするETFなのです。

HDVの配当利回りと分配金スケジュール:年4回のインカムを最大化する方法

HDV投資の最大の楽しみは、3ヶ月に一度、お財布にお金がチャリンと入ってくる「分配金」にあると言っても過言ではありません。この定期的なインカムを「どう最大化していくか」が、HDV運用の鍵となります。直近の利回りから将来の育て方まで、詳しく見ていきましょう。

配当利回り約3.3%と、将来が楽しみな「増配力」

HDVの直近の配当利回り(株価に対する年間配当金の割合)は、約3.0%〜3.5%のレンジで推移しており、高配当ETFとして非常に魅力的な水準です(2025年6月時点)。

しかし、HDVの本当の魅力は、この配当が年々成長する可能性を秘めている点にあります。過去の実績を見ても、HDVは安定して分配金を増やしてきた歴史があり、その増配率はライバルのVYMに匹敵し、SPYDを上回る傾向にあります。現在の利回りだけでなく、将来の「増配」にも期待できるのがHDVの強みなのです。

次回分配金はいつ、いくら?権利落ち日をカレンダーに刻もう

HDVは年4回(3月、6月、9月、12月)、定期的に分配金を支払います。この「配当金をもらう権利」を得るためには、「権利落ち日」の前営業日までにHDVを保有している必要があります。

  • 権利落ち日:
    おおよそ支払月の前月(2月,5月,8月,11月)の中旬から下旬に設定されることが多いです。正確な日程は証券会社のウェブサイトで確認しましょう。
  • 分配金の目安:
    直近の実績では、1株あたり0.7ドル〜1.0ドル程度の分配金が出ています。仮に100株保有していれば、その時の為替レートにもよりますが、一度に1万円前後の不労所得が振り込まれるイメージです。

配当再投資が生む「取得価額利回り」の成長効果

HDVのような高配当ETFでは、受け取った配当金を再び同じETFの買付に充てる「配当再投資」が、資産形成を加速させる鍵となります。いわゆる“複利の力”を最大限に活かす運用法です。

この再投資戦略とセットで理解しておきたいのが、「取得価額に対する利回り(Yield on Cost:YOC)」という指標です。これは、投資時の取得単価に対して、将来の年間配当がどれだけの利回りを生むかを表すもので、長期投資の成果を実感する重要なものさしになります。

たとえば、株価100ドル・年配当3.3ドル(配当利回り3.3%)のHDVを10株=1,000ドル分購入したとします。数年後、配当が1株あたり4.5ドルに増えた場合、あなたの「取得価額利回り(YOC)」は4.5%まで成長したことになります。これは現在の株価にかかわらず、当初の投資元本に対する“実質的な利回り”の上昇を意味し、配当が育っていく実感を数字で捉える方法でもあります。

この配当再投資をNISA口座で行えば、さらに効率的です。NISAでは分配金にかかる国内課税(通常約20%)が非課税となるため、受け取った配当の全額をそのまま再投資に回すことができます。税のロスがない分、元本の成長スピードも加速し、YOCも一層高まりやすくなります。

HDVの構成銘柄・セクター比率:エネルギー+生活必需品が高配当を支える

HDVが提供する安定した配当と守備的な値動きは、単なる偶然ではありません。その背景には、厳選された「少数精鋭」の構成銘柄と、景気変動に強いセクターへの偏重という、意図的な設計思想があります。以下でその中身を詳しく見ていきましょう。

上位10銘柄で全体の5割超:配当の源泉は巨大企業に集中

HDVは約75銘柄で構成されていますが、実際には上位10銘柄だけで全体の50%以上を占めており(2025年6月24日現在)、選定基準に基づく集中投資の姿勢が明確です。

HDV 構成上位10銘柄の例

順位ティッカー企業名セクターポートフォリオ比率*
1XOMエクソン・モービルエネルギー8.25%
2JNJジョンソン・エンド・ジョンソンヘルスケア5.12%
3CVXシェブロンエネルギー5.04%
4ABBVアッヴィヘルスケア4.69%
5PMフィリップ・モリス・インターナショナル生活必需品4.68%
6PGRプログレッシブ金融(保険)4.67%
7PGプロクター&ギャンブル生活必需品4.11%
8CMECMEグループ(取引所)金融(取引所)4.10%
9TAT&T通信サービス3.97%
10KOコカ・コーラ生活必需品3.48%

(注: 構成銘柄や比率は定期的に見直されます。出所:BlackRock資料より筆者作成)

上記のように、業界を代表するグローバル企業が並びます。いずれも収益が安定し、潤沢なキャッシュフローを生み出す力を持っているため、長期的に安定した配当を支える基盤となっています。

セクター比率:景気に強い「生活必需品・エネルギー・ヘルスケア」で守りを固める

HDVのもう一つの特徴が、セクター比率の偏りです。下表の通り、景気変動に強い「生活必需品」「エネルギー」「ヘルスケア」の3セクターで、構成比率の約6割を占めています。

HDV セクター別構成比率

セクター(業種)構成比率(%)
生活必需品 (Consumer Staples)21.87%
エネルギー (Energy)21.03%
ヘルスケア (Health Care)16.64%
金融 (Financials)11.97%
公益事業 (Utilities)9.32%
情報技術 (Information Technology)8.77%
通信 (Communication)4.01%
一般消費財 (Consumer Discretionary)2.88%
資本財 (Industrials)2.22%
素材 (Materials)0.99%
その他・現金等0.32%
合計100.00%

(出所:BlackRock iShares公式サイト、2025年6月16日時点のデータを基に作成)

これらのセクターは、人々の生活に欠かせない製品・サービスを提供する業種であり、景気後退局面でも需要が大きく落ち込みにくいという特徴があります。こうした守備力の高さが、HDVの安定配当と値動きのマイルドさを支えているのです。

一方で、近年の株式市場を牽引してきた情報技術(ハイテク)セクターの比率は10%未満に抑えられており、急成長よりも堅実性を重視するETFであることが明確です。

安定性の裏に潜む「セクター集中リスク」

ただし、この強固なセクター構成は、リスクにもつながります。それが「セクター集中リスク」です。

HDVはエネルギー・生活必需品・ヘルスケアに重点を置いており、特定の産業全体が不調になれば、ETF全体のパフォーマンスにも大きな影響が及びます。たとえば、脱炭素化の加速によりエネルギー関連企業の業績が圧迫される局面では、HDVのパフォーマンスが市場平均を下回る可能性も否定できません。

このように、安定性と引き換えに「得意分野への依存」があることは、投資判断における重要な視点です。守りに強いHDVも、セクター構成の偏りを理解したうえで活用すべきETFであることを忘れてはなりません。

HDVに投資する4つのメリット:安定配当と鉄壁の守備力

HDVへの投資は、特に長期的な視点で見たときに多くの恩恵をもたらします。ここでは、その中でも代表的な4つのメリットをご紹介します。

メリット① 景気後退でも揺るがない「配当安定性」

HDVの最大の強みは、配当の「質」の高さです。不況だからといって、人々が生活必需品の購入や電気の使用をやめることはありません。HDVは、こうした景気に左右されにくい安定収益企業で固められているため、経済危機の中でも配当を維持し、着実に支払ってきた実績があります。目先の利回りの高さだけでなく、将来にわたって安定したインカムゲインを期待できるのが大きな魅力です。

メリット② 長期投資の強力な味方「年0.08%の低コスト」

投資の神様ウォーレン・バフェットも「コストを低く抑えよ」と語るように、手数料はリターンを確実に蝕む要因です。HDVの経費率0.08%は、100万円投資しても年間のコストはわずか800円。これは、手数料が1%以上かかる投資信託(年間1万円以上)と比べると雲泥の差です。この差が10年、20年と積み重なることで、最終的な手取り額に大きな違いを生みます。

メリット③ 暴落時のダメージを軽減する「鉄壁のディフェンス力」

資産運用を長く続けるコツは、大きな負けを避けることです。HDVは、その低いボラティリティ(値動きの穏やかさ)から、相場が暴落した際に真価を発揮します。事実、市場全体が大きく下落した2022年にもプラスリターンを記録するなど、その守備力は証明済みです。ポートフォリオの「守りの要」として、資産全体の安定性を高めてくれます。

メリット④ 円安は追い風になる「ドル資産効果」

日本円だけで資産を持っていると、円の価値が下がった(円安になった)場合に、実質的に資産が目減りしてしまいます。HDVは米ドル建ての資産なので、円安が進むと円換算での資産価値は逆に上昇します。これは、将来のインフレや円安に備える「資産防衛」の手段としても有効です。

HDVのデメリットと購入前の注意点:知っておくべき3つのリスク

もちろん、HDVに死角がないわけではありません。光があれば影があるように、メリットの裏返しとも言えるデメリットが存在します。投資を決定する前に、これらのリスクを必ず確認してください。

デメリット① 得意分野に依存する「セクター集中リスク」

鉄壁の守備力の源泉であるエネルギーや生活必需品セクターへの集中は、これらの業種が不調に陥った際には弱点となりえます。例えば、世界的なクリーンエネルギーへの移行が加速し、エネルギーセクター全体に逆風が吹いた場合、HDVは市場平均を下回る可能性があります。

デメリット② 上昇相場で乗り遅れやすい「成長性の鈍化」

ディフェンスが強いチームは、オフェンス(攻撃力)が控えめになりがちです。HDVも同様で、GAFAMに代表されるようなハイテク成長株が市場を牽引する局面では、S&P500などにリターンで劣後しやすいことは覚悟しておく必要があります。大きな値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うETFではないのです。

デメリット③ 円高局面で目減りする「為替変動リスク」

メリット④の裏返しで、円高ドル安が進むと、円換算での資産価値や配当手取り額は減少します。海外資産に投資する以上、為替レートの変動は避けられないリスクとして常に意識しておく必要があります。

【購入前の注意点】短期売買には不向き&NISAでの税金の扱い

HDVは、数ヶ月で利益を出すような短期売買には全く向いていません。あくまで5年、10年といった長期的な視点で、配当を再投資しながら資産をじっくり育てていくためのETFです。

また、NISA口座で運用すれば配当への国内税(約20%)は非課税になりますが、米国で源泉徴収される10%の税金はかかります。この米国税は、NISA口座では「外国税額控除」が利用できないため、取り戻せない点も知っておきましょう。

HDVはどんな人におすすめ?向いている人・向いていない人の特徴

最後に、これまでのメリット・デメリットを踏まえ、どのような投資目的を持つ投資家にとってHDVが適しているか、また、他の選択肢が考えられるケースはどのような場合かを整理します。ご自身の投資方針と照らし合わせる際の参考にしてください。

HDVがポートフォリオの候補となりおすすめな人

以下のような投資方針や目的を持つ場合、HDVはポートフォリオの有力な候補となります。

  • 資産からの定期的・安定的なキャッシュフロー(インカムゲイン)を重視する方
  • 市場の下落局面に備え、ポートフォリオ全体の価格変動(ボラティリティ)を抑えたい方
  • 配当再投資による複利効果を狙い、長期的な視点で資産形成を行いたい方
  • S&P500などに連動するインデックスファンドを中核としつつ、ポートフォリオにディフェンシブな要素を加えたい方

HDVよりも他のETFがより適していると考えられる人

一方で、以下のような目的を優先する場合には、HDV以外のETFがより適している可能性があります。

  • 資産価格の上昇(キャピタルゲイン)によるリターンを最大化したい人:S&P500連動ETF(VOOなど)や、NASDAQ100連動ETF(QQQなど)の方が、より高い成長性を期待できます。
  • 現在の配当利回りの高さを最も重視する人:より高い利回りを追求するSPYDが選択肢となりますが、それに伴うリスク(価格変動や減配の可能性)も十分に理解する必要があります。
  • 個別銘柄やセクターへの集中を避け、より広範な分散投資を志向する人:400銘柄以上に分散するVYMの方が、より市場全体に近いマイルドな選択肢です。

HDV vs VYM・SPYD:あなたに合った「高配当ETF」はどれか?

米国の高配当ETFには、HDV・VYM・SPYDという代表的な3本柱が存在します。いずれも高配当を狙えるETFですが、構成銘柄やリスク水準、配当戦略にそれぞれ違いがあります。本章ではこの「高配当ETF三兄弟」を比較し、自分に合った選択肢を見極めるポイントを解説します。

3大ETFの基本スペック比較

まずは、各ETFの代表的な指標を比較して立ち位置を確認しましょう。

項目HDV(バランス型)VYM(安定・分散型)SPYD(高利回り型)
配当利回り(目安)約3.3%約2.8%約4.5%
経費率0.08%0.06%0.07%
構成銘柄数約75銘柄約460銘柄約80銘柄
選定基準財務健全性を重視広範な分散と安定配当配当利回りを最優先

(※数値はいずれも2025年6月時点の目安)

この表からも読み取れる通り、

  • VYM:最大級の分散性と低コストを特徴とする堅実派
  • SPYD:高利回りだがハイリスクなインカム特化型
  • HDV:両者の中間で、配当の安定性と守備力を兼ね備える構成

HDV vs VYM:安定配当を求めるなら?

VYM(バンガード)は、約460銘柄に広く分散し、市場全体に近い値動きをする「分散重視型」の代表格。REITを除く高配当銘柄群で構成されており、初心者にも安心な設計です。

HDVは一方で、財務健全性に優れた75銘柄に厳選投資。生活必需品やヘルスケア、エネルギーといったディフェンシブセクターへの集中度が高く、特に下落相場での耐性が期待できます。

どちらがおすすめ?

  • VYM:広く分散したETFで、高配当をまずは手堅く始めたい人
  • HDV:堅実企業への絞り込みによって、守りを固めつつ配当を狙いたい人

HDV vs SPYD:利回り重視ならどちらか?

SPYDは、S&P500構成銘柄のうち、配当利回り上位80社を機械的に抽出するスタイルで、利回りの高さが魅力です。ただし選定において財務内容は問われないため、減配や価格変動のリスクも高く、投資には一定の耐性が求められます。

HDVはその点、配当利回りはやや抑えられるものの、財務の健全性を重視する選定により、持続可能なインカム収入を期待できます。

どちらがおすすめ?

  • SPYD:今すぐ高い配当収入を得たい、ハイリスク許容の投資家
  • HDV:安定した配当と将来的な増配を期待する中長期志向の投資家

SPYDがどのような性質のETFかは、以下Q&Aでも解説しています。

タイプ別:あなたに合う高配当ETFはこれ

最後に、投資スタイル別に最適なETFを整理しておきましょう。

VYMが向いている人

  • 高配当ETFは初めてで、広く分散された設計に安心感を求めたい
  • 市場平均に近い値動きを好み、安定的な運用を重視する

SPYDが向いている人

  • 高インカムを最優先とし、リスクを理解したうえで積極的に狙いたい
  • ポートフォリオの一部に高利回り枠を組み込みたい上級者

HDVが向いている人

  • 分散は必要だが、銘柄の質を重視し中長期で持ちたい
  • 配当の安定性と守備的セクターへの投資を両立させたい

コア・サテライト戦略におけるHDVの活用法

コア・サテライト戦略とは、ポートフォリオの中核(コア)に安定的かつ分散された資産を据え、その周辺(サテライト)に目的別の投資対象を組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを最適化する投資手法です。

HDVはこの戦略において、コアにもサテライトにも使える柔軟なETFとして活用できます。以下では、サテライトとしての役割に焦点を当て、戦略的な使い方を詳しく見ていきます。

コアに「市場全体」、サテライトに「配当特化」 一般的なコア資産としては、以下のような「グローバルに分散された株式インデックス」が選ばれます。

  • S&P500連動型ファンド(例:VOO、eMAXISSlim米国株式)
  • 全世界株式(例:VT、楽天・全世界株式インデックス)

これらは株価の成長によるキャピタルゲイン(値上がり益)を主な収益源とし、長期的なリターンの核となります。

一方、サテライトとしてHDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF)を10〜20%程度組み入れることで、以下のような補完効果が期待できます。

HDVをサテライトに加えることで得られる3つの効果

配当収入による「インカム補強」

HDVは年利回り3〜4%前後の安定した分配金を継続的に提供しており、定期的なキャッシュフロー源として機能します。これにより、ポートフォリオ全体の総リターンの平準化インカムニーズ(教育費、生活費、再投資原資など)への対応 が可能になります。

ディフェンシブ性の追加による「下落耐性の強化」

HDVは生活必需品・ヘルスケア・エネルギーといった景気に左右されにくいセクターに集中しており、相場全体が不安定な局面でも価格下落が緩やかになる傾向があります。これにより、S&P500などのボラティリティを緩和する効果が見込まれます。

税制優遇と親和性の高い「NISAとの相性」

NISA口座内でHDVを保有すれば、配当にかかる日本国内課税(約20%)が非課税になります。配当金をそのまま再投資に回すことができ、複利効果を最大化しやすくなります。

具体的なポートフォリオ例(サテライトとしてのHDV活用)

資産分類商品例割合(例)
コア(株式全体)eMAXISSlim全世界株式orS&P50080〜90%
サテライト(配当)HDV(iシェアーズ米国高配当株)10〜20%

このような構成により、「成長+配当」という2つの収益エンジンを持つ、バランスの取れた長期ポートフォリオを形成できます。

注意点:HDVはあくまで「サポート役」

HDVは安定配当が魅力のETFですが、セクターに偏りがある(エネルギー・生活必需品・ヘルスケアが多い)ため、市場全体の成長には乗り遅れることがある点に留意が必要です。あくまで「成長軸はコア」「守りと収入はサテライト」という役割分担を意識し、偏りすぎないバランスを保ちましょう。

よくある質問(FAQ)

この記事のまとめ

HDVは財務優良75銘柄へ年0.08%で分散し、3%台配当とβ0.6台の低ボラで安定収入を狙えますが、生活必需品・エネルギー偏重、円高や米国源泉税、上昇相場の取り残しが弱点です。利回り推移・β値・純資産・経費率・為替を確認し、VYMやSPYDとリターン・流動性・コストを比較して、目標キャッシュフローとリスク許容度に合う組入比率を見極めましょう。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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HDV

HDVとは、米国の大手運用会社ブラックロックが提供する「iShares Core High Dividend ETF」の略称で、高配当株に投資する上場投資信託です。このETFは、株価に対して配当利回りが高く、かつ財務の健全性が高いと思われる米国企業およそ75社に分散投資します。配当に加えて、株価の値上がり益も期待できるバランス型の運用が特長で、投資初心者の方でも「インカム(配当収入)+キャピタルゲイン(値上がり益)」を狙える入口として人気があります。信託報酬が年0.08%と低く設定されており、コスト面でも負担が少ないです。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

経費率

経費率(Expense Ratio)は、投資信託やETF(上場投資信託)などの運用にかかる年間コストを、運用資産総額に対する割合で示した指標です。投資家はこの経費率を負担するため、経費率が低いほど投資のコストが抑えられ、リターンが高まりやすくなります。 例えば、あるETFの経費率が0.2%の場合、年間で運用資産の0.2%が管理費用などに充てられます。経費率には、ファンドの管理費用、売買手数料、監査費用などが含まれます。 一般的に、インデックス型ETFは経費率が低く(0.1%~0.5%程度)、アクティブ運用のファンドは高くなる(1%~2%程度)傾向があります。経費率が高すぎると、長期的に資産が目減りする可能性があるため、投資先を選ぶ際は経費率の低い商品を選ぶことが重要です。

配当利回り

配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。

β(ベータ)

βとは、ベンチマークとの連動性を示す数値のことで、ポートフォリオ運用を考える際にもよく用いられる。 β=個別証券のリターン÷ベンチマークのリターン。この指標が高いほど値動きが激しくなる。例えば、ある銘柄のβ値が1.5ということは、ベンチマークが10%上昇するとその銘柄は15%上昇し、逆にベンチマークが10%下落するとその銘柄は15%下落することを意味する。

セクター分散

セクター分散とは、資産運用において特定の業種や産業(セクター)に偏らず、複数の分野にわたって投資先を分けることで、リスクを軽減する投資手法のことです。たとえば、情報技術、医療、金融、消費財といった異なるセクターに株式を分散させることで、ある業種に不測の事態が起きた場合でも、他のセクターで損失をカバーできる可能性があります。 これは、値動きの傾向が異なる業種を組み合わせることで、全体のポートフォリオの安定性を高めるための戦略です。資産運用の基本である「分散投資」の中でも、地域や資産クラスの分散と並んで重要な考え方の一つです。特に株式投資においては、セクターごとの経済環境の影響が大きいため、この分散の工夫が成果に直結します。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

源泉税

源泉税とは、給与や利子、配当金などの所得を支払う側が、受け取る人にお金を渡す前にあらかじめ税金分を差し引いて国へ納付する仕組みです。たとえば会社は従業員の給料から所得税を天引きし、証券会社は株式の配当金や投資信託の分配金から一定額を源泉徴収して税務署に納めます。 外国株式や海外債券の配当・利息については、源泉徴収が支払国と日本の双方で行われることがありますが、その場合は二重課税を防ぐために「外国税額控除」を利用できます。これは海外で引かれた税額を日本の所得税額から差し引く制度で、確定申告を通じて申請すれば、国外で徴収された分を上限内で取り戻すことが可能です。このように源泉税は国内外を問わず税負担を前払い的に調整する役割を果たしており、外国税額控除を適切に活用することで、最終的な税負担を正しく精算できます。

インカムゲイン(インカム)

インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。

キャピタルゲイン(売却益)

キャピタルゲイン(売却益)とは、保有していた資産を売却することで得られる利益のことを指します。株式や不動産、債券、金などの貴金属を購入時の価格より高い価格で売却した場合、その差額がキャピタルゲインです(対義語:インカムゲイン)。 例えば、1,000円で購入した株を1,500円で売却すれば、500円がキャピタルゲインです。ただし、売却時には税制や手数料を考慮する必要があり、特に金融資産では 譲渡益課税 が適用されることが多くあります。 キャピタルゲインは、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、購入時より価格が下がると 元本割れのリスク も伴います。そのため、資産運用では 売却益の確保 と 税負担の最適化 が重要な戦略の一つです。

分配金

分配金とは、投資信託やREIT(不動産投資信託)などが運用によって得た収益の一部を、投資家に還元するお金のことです。これは株式でいう「配当金」に似ていますが、分配金には運用益だけでなく、元本の一部が含まれることもあります。そのため、分配金を受け取るたびに自分の投資元本が少しずつ減っている可能性もあるという点に注意が必要です。分配金の有無や頻度は投資信託の商品ごとに異なり、毎月、半年ごと、年に一度などさまざまです。投資初心者にとっては、「お金が戻ってくる」という安心感がありますが、長期的な資産形成を考えるうえでは、分配金の出し方やその内容をしっかり理解することが大切です。

運用資産残高(AUM:Assets Under Management)

運用資産残高(AUM:Assets Under Management)は、投資信託やETF(上場投資信託)、ヘッジファンド、年金基金、証券会社、銀行などが預かり・運用している資産の総額を指します。AUMは、ある運用機関がどれだけの資産を管理しているかを示す重要な指標であり、そのファンドや金融機関の規模、影響力、信頼度を測る目安となります。 たとえば、あるETFのAUMが1兆円であれば、そのファンドには投資家から1兆円の資金が集まっていることを意味します。一般に、AUMが大きいファンドほど売買の流動性が高く、経費率(信託報酬などの運用コスト)も低く抑えられる傾向にあります。また、一定規模以上のAUMがあるファンドは、繰上償還のリスクが低く、長期にわたって安定的に運用が継続されやすいという利点があります。 一方で、AUMが極端に大きくなると、特にアクティブ運用ファンドでは、資金の機動的な運用が難しくなり、かえって運用効率を損ねる場合があります。また、AUMが急激に増加している場合は、そのファンドが短期的な人気に支えられている可能性があり、反対に急激に減少している場合は、運用成績の悪化や投資家の信頼低下が背景にあることもあります。 AUMは日々変動します。その変動要因には、株価や債券価格の上昇・下落といった市場環境による影響だけでなく、投資家による資金の流入(買い増し)や流出(解約)といった資金フローの動きも含まれます。したがって、見かけ上のAUMの増減が、市場要因によるものか、資金流出入によるものかを見極めることも、投資判断上は重要です。 投資信託やETFを選ぶ際には、AUMの規模だけでなく、運用成績、コスト、資金流出入の傾向、トラッキングエラー(インデックスとの乖離度合い)なども併せて確認する必要があります。AUMはあくまでひとつの評価軸であり、その背後にある要因を含めて総合的に判断することが、より適切な投資判断につながります。

流動性

流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。

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