純金積立はやめとけと言われました。理由を教えて
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2024/11/08 18:27
男性
60代
現在、NISAで資産運用しています。満額使っているので、他の資産を検討したところ金が安定資産として長期保有するにはいいのではないかと思いました。なかでも、純金積立はドルコスト平均法が使えるし、金は安定して値上がりするのでいいのではないかと思ったのですが、知人に純金積立は絶対やめたほうがいいと止められました。<br>純金積立はそんなに良くないのでしょうか?見解をおしえてください
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
純金積立が敬遠される主な理由は、①高コスト、②無インカム、③流動性の3点に集約されます。まず、買付ごとに1.5〜2.5%もの手数料がかかり、さらに年会費や口座管理料が上乗せされるサービスも珍しくありません。信託報酬0.1〜0.4%程度の金ETFと比べると、同じ「毎月1万円」を積み立ててもスタート時点で数%のハンデを背負う計算です。
次に、金は配当や利息を生まないため、投資リターンは純粋に価格上昇(キャピタルゲイン)だけに依存します。手数料が高いほど「元を取る」にはより大きな値上がりが必要で、価格が横ばいまたは下落すれば損失が顕在化しやすくなります。
さらに、純金積立は証券口座の商品と異なり、解約から現金化まで数営業日を要するケースが多く、資金が必要なタイミングで売却できないリスクも無視できません。短期売買には向かず、ライフイベントで換金したい場面ではスプレッド(買値と売値の差)と手数料がダブルで負担となります。
「インフレや金融危機に強い分散資産として金を長期保有したい」という目的自体は合理的です。ただし、その手段としてはコストと換金性に優れる金ETFや為替ヘッジ付き金投信を定額購入する方が、同じドルコスト平均法でも効率的にリスク分散効果を享受できます。加えて、株式インデックス、債券、REITなどインカムも得られる低コスト資産を組み合わせれば、ポートフォリオ全体の安定性は一段と高まります。
要するに、純金積立そのものが「悪い投資」ではないものの、高コストかつ低流動性という構造を理解せずに始めると期待リターンを削ってしまいます。金を組み込みたい場合は、まず手数料と換金時の柔軟性を比較し、ETFなど代替手段も含めて選択することをおすすめします。
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インカムゲイン(インカム)
インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。
キャピタルゲイン(売却益)
キャピタルゲイン(売却益)とは、保有していた資産を売却することで得られる利益のことを指します。株式や不動産、債券、金などの貴金属を購入時の価格より高い価格で売却した場合、その差額がキャピタルゲインです(対義語:インカムゲイン)。 例えば、1,000円で購入した株を1,500円で売却すれば、500円がキャピタルゲインです。ただし、売却時には税制や手数料を考慮する必要があり、特に金融資産では 譲渡益課税 が適用されることが多くあります。 キャピタルゲインは、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、購入時より価格が下がると 元本割れのリスク も伴います。そのため、資産運用では 売却益の確保 と 税負担の最適化 が重要な戦略の一つです。