傷病手当金を受給しながら扶養に入ることはできますか?
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2025/09/04 09:09
男性
50代
私は現在、体調不良で会社を休職しており、健康保険から傷病手当金を受給しています。この場合、夫の扶養に入ることは可能でしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
傷病手当金を受給しながら扶養に入れるかどうかは、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」で取り扱いが異なります。
まず、税法上の扶養控除についてです。傷病手当金は非課税所得にあたり、課税対象の収入には含まれません。したがって、他に給与や事業収入がなければ、扶養控除の条件を満たすことができます。このため、税制面では傷病手当金の受給が直接的な障害になることはありません。
一方で、社会保険上の扶養には注意が必要です。社会保険の扶養条件には「年間収入130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)」という基準があります。この判定では、傷病手当金は「収入」として扱われます。そのため、受給額が年間130万円未満であれば扶養に入ることが可能ですが、これを超える場合は扶養に入ることができません。
さらに、傷病手当金はあくまで一時的な給付であり、受給期間や将来の見込み額によっても判断が変わることがあります。最終的な可否は加入している健康保険組合や協会けんぽが決定するため、必ず確認することが大切です。
まとめると、税法上の扶養には入れる可能性が高いが、社会保険上の扶養は受給額によって制限を受けるというのが基本的な考え方です。
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税法上の扶養
税法上の扶養とは、家族などを経済的に支えている人が、税金の計算においてその家族を「扶養している」と申告することで、所得控除を受けられる仕組みのことです。実際の生活費を支援している場合でも、税法上で一定の条件を満たしていないと「扶養」として認められない場合があります。 たとえば、子どもや配偶者、親などの年間所得が一定以下であることや、生計が同じであることなどが条件です。扶養控除が適用されると、所得税や住民税が軽減され、手取り収入が増えることになります。資産運用においては、こうした税制優遇を理解し、家族全体での節税や収支バランスを考えることが、効率的な家計管理につながります。
扶養控除
扶養控除とは、所得税や住民税を計算する際に、扶養している家族がいる場合にその人数や年齢に応じて課税対象となる所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。これにより、税金の負担が軽くなります。対象となるのは、16歳以上の子どもや親などで、生計を共にしており、年間の所得が一定額以下であることが条件です。 子どもが16歳未満の場合は扶養控除の対象にはなりませんが、別途「児童手当」などの支援があります。控除額は扶養親族の年齢や学生かどうかなどによって異なり、たとえば「特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子ども)」はより大きな控除額が認められています。税負担を軽減し、家族を支える世帯への配慮を目的とした制度です。
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非課税所得とは、所得が発生していても税金がかからないと法律で定められている収入のことをいいます。たとえば、失業保険の給付金や、障害年金、遺族年金、一定額の生活保護費、通勤手当の一部などがこれに該当します。 また、一定額までの奨学金や、死亡保険金のうち法定範囲内の受取額なども非課税とされています。これらの収入は、所得税や住民税の計算の対象から外れるため、確定申告や年末調整において申告する必要がない場合があります。資産運用の場面では、NISA口座で得た利益が非課税になるなど、制度をうまく活用することで税金の負担を軽減できる点が大きなメリットとなります。
社会保険上の扶養
社会保険上の扶養とは、健康保険や年金などの社会保険制度において、家族を扶養していると認められることで、その家族が保険料を支払わずに保険の適用を受けられる仕組みのことです。たとえば、会社員の配偶者や子どもが一定の収入以下であれば、その家族を「扶養家族」として申請することができます。 扶養に入った家族は、保険料を払わなくても健康保険証を持つことができ、医療費の助成なども受けられます。税金上の扶養とは異なり、収入の基準や生計の状況が細かく定められているため、両方の扶養条件を正しく理解しておくことが大切です。資産運用や家計設計をする際には、この制度を活用することで支出を抑え、手元資金の効率的な活用につながります。
協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)
協会けんぽとは、正式名称を「全国健康保険協会管掌健康保険」といい、主に中小企業に勤める会社員やその家族が加入する公的医療保険制度です。企業と被保険者が折半で保険料を納めることで、病気やけがの治療費の一部を負担したり、傷病手当金や出産手当金などの給付を受けられる仕組みになっています。 保険料率や給付内容は全国一律ではなく、都道府県ごとの医療費水準に応じて毎年度見直されるため、加入者は自分の居住地の料率やサービスを確認しておくと安心です。大企業が独自に設立する健康保険組合と異なり、規模の小さな事業所でも安定した医療保障を受けられることが特徴で、退職後には任意継続被保険者として最長2年間まで加入を継続できます。