「少額投資は意味がない」という声を見かけましたが、本当でしょうか?
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2025/10/17 09:12
男性
30代
資産運用を始めようと思っていますが、「少額投資は意味がない」「ある程度の資金がないと増えない」といった意見をよく耳にします。実際、毎月1万円や数千円といった少額からでも投資を始める価値はあるのでしょうか。複利効果や積立のメリットがどの程度期待できるのか、また初心者が少額で始める際の注意点についても知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
少額投資は十分に意味があります。投資の成果は資金の大きさよりも、時間と継続、そしてコストの管理によって大きく変わります。毎月数千円でも、早く始めて長く続けることで複利の効果が働き、価格変動を平準化する積立のメリットも得られます。さらにNISAを活用すれば、非課税で効率よく資産を増やすことも可能です。
少額投資が有効な理由は、複利の力にあります。早く始めた人ほど「増えたお金にも利息がつく」という連鎖が長く続くため、最終的な資産額に大きな差が出ます。小さくても早く始めることが、大きく遅く始めるよりも有利に働くのです。
また、毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法は、価格が高いときに少なく、安いときに多く購入するため、長期的に平均取得単価を下げる効果があります。市場のタイミングを読む必要がなく、初心者でも安定して続けやすい点も大きな強みです。
税制面でも、少額投資は非常に有利です。新NISAを利用すれば、値上がり益や分配金、売却益が非課税となり、少額でも効率よく複利を生かせます。仮に毎月1万円を20年間、年利4%で積み立てた場合、元本240万円が約366万円になる試算もあります。金額は小さくても、時間を味方につければ確かな成果につながります。
少額投資を始める際は、まず生活防衛資金を確保し、信託報酬の低いインデックスファンドを選びましょう。全世界株式など、1本で分散投資ができる商品が初心者には適しています。投資は自動積立にして、年に一度少しずつ積立額を増やすのが理想です。
最も大切なのは、短期的な値動きに惑わされず、淡々と続けることです。市場のニュースで不安になっても積立を止めないことが、長期的な成功につながります。少額投資の本当の価値は、複利や非課税効果だけでなく、資産形成の習慣を身につけることにあります。小さく始めて続ける行動こそ、最も確実な資産づくりの第一歩です。
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関連する専門用語
少額投資
少額投資とは、比較的少ないお金から始めることができる投資のことを指します。たとえば、数百円から数千円といった金額で株式や投資信託、ロボアドバイザーなどを利用して資産運用を始めることができます。まとまった資金がなくても、投資の仕組みや市場の動きを学びながら実践できる点が大きな特徴です。初心者が投資の第一歩として挑戦しやすく、リスクを抑えながら経験を積むことができます。また、近年ではスマートフォンのアプリやネット証券を通じて簡単に少額投資を始められる環境が整ってきており、誰でも気軽に資産形成を始めやすくなっています。
複利効果
複利効果とは、投資で得られた利益を元本に組み入れて再び運用することにより、利益が利益を生むという仕組みのことを指します。たとえば、最初に100万円を年利5%で運用した場合、1年後には105万円になりますが、その翌年は105万円に対して5%の利息がつくため、さらに増えた金額に利息が上乗せされていきます。このように、運用期間が長くなるほど利益が加速度的に増えていくのが複利効果の特徴です。特に配当再投資や自動積立投資との組み合わせによって、この効果はより強く現れます。短期間では実感しにくいかもしれませんが、10年、20年といった長期で見ると、元本だけで運用する単利に比べて、はるかに大きな資産形成が可能になります。複利効果は「時間を味方につける」資産運用の基本的な考え方として、投資初心者にとっても非常に重要です。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。
新NISA
新NISAとは、2024年からスタートした日本の新しい少額投資非課税制度のことで、従来のNISA制度を見直して、より長期的で柔軟な資産形成を支援する目的で導入されました。この制度では、投資で得られた利益(配当や売却益)が一定の条件のもとで非課税になるため、税負担を気にせずに投資ができます。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されており、年間の投資可能額や総額の上限も大幅に引き上げられました。 また、非課税期間が無期限となったことで、より長期的な運用が可能となっています。投資初心者にも利用しやすい仕組みとなっており、老後資金や将来の資産形成の手段として注目されています。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。




