ストップ高・ストップ安の計算方法や手順を教えて下さい
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2025/08/12 10:49
男性
30代
株式投資を始めたばかりですが、ニュースでよく聞く「ストップ高」や「ストップ安」の意味がよくわかりません。これらはどのように決まり、具体的にどうやって計算されるのかを知りたいです。計算手順や参考になるルールもあれば教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「ストップ高」「ストップ安」とは、株価の急激な変動を防ぐために、東京証券取引所が定めている「値幅制限(値幅制)」の上限・下限にあたる価格です。前日の終値や、株式分割・配当落ちなどを調整した「基準値段」に対して、定められた範囲内でしか値動きできない仕組みになっており、これに達すると「ストップ高(上限)」「ストップ安(下限)」と呼ばれます。
計算の手順は次の通りです。まず、基準値段を確定します。通常は前日の終値ですが、企業の株式分割や配当落ちなどがある場合は、調整後の特別気配が基準になります。次に、東京証券取引所が公表している「値幅表」を使い、基準値段が属する価格帯を調べます。たとえば、基準値が640円であれば「500~699円」の値幅帯にあたり、±100円が値幅です。
その後、基準値段に値幅を足し引きして上限(ストップ高)と下限(ストップ安)を求めます。このとき、取引できる最小単位(Tickサイズ)に合うように、切り捨てなどの調整が必要な場合もあります。Tickサイズは価格帯によって異なり、たとえば1,000円以下の株では0.1円刻み、3,000円以下では0.5円刻みなどがあります。
具体例として、前日終値が640円の銘柄の場合、値幅は±100円なので、ストップ高は740円、ストップ安は540円になります。別の例では、終値が1,180円であれば値幅は±300円となり、ストップ高は1,480円、ストップ安は880円となります。
同じ銘柄が2営業日連続でストップ高(またはストップ安)になり、注文が成立しないなど一定条件を満たすと、3日目以降は値幅が自動的に拡大される「値幅拡大ルール」もあります。ETFや一部商品では、1日で拡大されることもあります。
注意点として、ストップ高に買い注文を出しても売り注文がなければ約定しないため、「ストップ高=売買成立」ではない点に注意が必要です。ストップ安の場合も同様です。また、信用取引をしている場合は、ストップ安により担保評価額が大きく下がることで、追加保証金(追証)が発生するリスクもあります。
なお、ストップ高やストップ安に達した場合でも、その日の終値や特別気配が翌営業日の基準値段となり、再度新しい値幅で計算されることになります。また、先物やオプションなどの派生商品では、株式とは異なる値幅制限やサーキットブレーカー制度が採用されているため、別途確認が必要です。
まとめると、ストップ高・安の計算は「基準値段の確認」「値幅の特定」「上下限の算出」「Tickサイズへの調整」という流れで行います。価格帯ごとに定められた固定値幅が使われており、全銘柄に共通のルールが適用されます。株価の急変動時にはストップ高・安に到達することも多いため、日々の基準値段と最大の変動幅を意識しておくことが、リスク管理の第一歩となります。
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ストップ高
ストップ高とは、株式市場において、ある銘柄の株価がその日に上昇できる最大限の価格まで達し、それ以上は取引されなくなる状態のことを指します。これは、急激な株価の変動を抑えるために証券取引所が設定している「値幅制限」によって決まる仕組みです。 ストップ高になると、それ以上の価格で売買することができなくなりますが、買い注文は入り続けるため、板情報では「買い気配」のまま取引が成立しない場合もあります。初心者の方にとっては、ストップ高は「その銘柄に非常に強い買い需要があるサイン」として捉えることが多いですが、その理由が一時的なニュースや思惑である場合もあるため、冷静な判断が重要です。
ストップ安
ストップ安とは、株式市場で一日に下がることのできる最大限の価格まで株価が下落し、それ以上は取引ができなくなる状態のことです。これは、株価の急激な下落による混乱を防ぐために、取引所があらかじめ決めている制度です。株価が大きく下がり続けると投資家の不安が広がり、市場がパニックに陥る可能性があります。そのような極端な変動を一時的に食い止めることで、冷静な判断ができるように時間を確保する役割を果たしています。ストップ安になると、その銘柄の売買は可能ですが、価格はそれ以上下がらず、買い注文が非常に少ない場合は売りたい人がいても売れないことがあります。特に企業の業績悪化や不祥事、経済の悪材料などが原因で発生することが多いです。
値幅制限
値幅制限とは、株式などの金融商品が一日に変動できる価格の幅をあらかじめ定めておく制度のことです。この制度によって、ある銘柄の価格が急激に上がったり下がったりすることを防ぎ、市場の混乱やパニックを抑える役割を果たします。たとえば、ある株が前日に1,000円で終わった場合、値幅制限によってその翌日に取引できる範囲は上限1,100円、下限900円といったように決まります。 この上限まで株価が上がると「ストップ高」、下限まで下がると「ストップ安」と呼ばれます。値幅制限の幅は、株価の水準や市場の状況、特別な材料があるかどうかなどによって異なり、東証などの取引所がルールとして細かく定めています。
値幅表
値幅表とは、株式や先物などの金融商品において、1日に動くことができる価格の上限と下限を定めた値幅制限を一覧にした表のことです。取引所が銘柄ごとや価格帯ごとに設定しており、極端な価格変動による混乱や不公平を防ぐ役割があります。 たとえば株価が急騰・急落しても、この値幅制限内でしか取引できないため、投資家はパニック売買や過度な投機から守られます。初心者にとっては、1日の最大値上がり幅や値下がり幅を知ることで、リスク管理や売買戦略を立てやすくなります。