たわらノーロード先進国株式には、どんなデメリットや注意点がありますか?
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2025/10/15 09:13
男性
30代
たわらノーロード先進国株式は人気のインデックスファンドですが、実際に投資するとなるとリスクやデメリットも気になります。購入前に注意すべきポイントや見落としがちなリスクについて、具体的に教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
たわらノーロード先進国株式は長期分散投資の土台になり得る優良なインデックスファンドですが、為替変動や指数の偏り、税制上の非効率など、理解しておくべき注意点があります。特に「人気だから安心」と考えるのは危険で、仕組みを理解したうえで保有することが重要です。
最大の注意点は為替リスクです。為替ヘッジがないため、円高になると現地株価が上がっても円換算ではリターンが下がることがあります。逆に円安時は有利になりますが、為替は予測が難しく、短期的な値動きで一喜一憂しやすい点に注意が必要です。ヘッジあり商品ではコストがかかるため、長期投資ではリターンを削る可能性もあります。
また、このファンドが連動する指数は米国株の比率が高く、構成銘柄が時価総額の大きいテック企業などに偏りやすい特徴があります。そのため上昇局面では利益を得やすい一方、特定セクターの下落局面では基準価額の下げが大きくなる傾向があります。
さらに、日本株や新興国株は含まれないため、これだけでは世界全体への分散が不十分です。全世界に近づけたい場合は、他の地域のインデックスファンドを組み合わせる必要があります。
コスト面では信託報酬は低水準ですが、実際には売買コストや指数使用料などの「実質コスト」により、基準価額が指数と少しずつ乖離することがあります。特に資金流出入が大きい時期は、運用上の売買によってトラッキング誤差が広がることもあるため、月次レポートで確認しておくと安心です。
また、ファンド内部で受け取る海外配当には外国税が課され、個人では控除を受けられません。そのため、同じ指数を追う海外ETFより税効率がやや劣るケースがあります。課税口座かNISA口座かによっても最終的な手取りが変わるため、運用目的に応じて口座を選ぶことが大切です。
長期保有を前提にしても、運用方針や委託先の変更、規模縮小に伴う繰上げ償還などのリスクはゼロではありません。貸株による収益を得ている場合は、相手方リスクや課税上の扱いにも注意が必要です。
短期的には、為替と株価の両方の変動で値動きが大きくなることがあります。積立投資で時間分散を効かせるとしても、リスク許容度を超える下落が起きると心理的に耐えにくくなります。国内債券や現金などの安定資産とのバランスを事前に決めておくことが重要です。
購入前には、地域構成、為替ヘッジの有無、コスト、トラッキング差、純資産残高、口座区分などを確認し、全体の資産配分の中で適切な位置づけにすることが、たわらノーロード先進国株式を上手に活用するためのポイントです。
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為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
トラッキングエラー
トラッキングエラーとは、主にインデックスファンドなどの運用成績が、目標とする指数(たとえば日経平均株価やS&P500など)とどれくらいズレているかを示す指標です。ファンドは基本的に指数に連動するように運用されますが、運用コストや売買のタイミングの違いなどにより、実際の成績が指数と完全に一致することはまれです。 この差が大きいほど、運用が指数とずれていると評価されます。トラッキングエラーが小さいほど、より正確に指数に連動しているとされ、インデックス投資においては重要な確認ポイントとなります。
繰上償還(投資信託)
繰上償還とは、投資信託や債権などにおいて、運用資産が少なくなり一定規模を下回った場合に運用会社が効率的な運用をすることが難しくなったと判断して、償還期日(あらかじめ設定されていた期限)を繰り上げて、償還期日よりも前に償還することをいう。投資目的を早期に達成した場合にも行われることがある。