ユニットリンクの世界株式プラス型は利回りが良いと聞きましたが本当ですか?注意点もあれば教えて下さい
ユニットリンクの世界株式プラス型は利回りが良いと聞きましたが本当ですか?注意点もあれば教えて下さい
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2025/08/15 08:42
男性
30代
近年よく耳にする「ユニットリンクの世界株式プラス型」ですが、実際にどの程度の利回り実績があるのでしょうか?また、注意点もあれば教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
結論からお伝えすると、「ユニットリンクの世界株式プラス型」は世界の株式市場の成果に連動するため、相場が上昇している局面では利回りが良く“見えやすい”商品です。ただし元本保証はありません。為替変動や各種コスト、途中解約時の控除が実質利回りを押し下げる主因になる点を、必ず前提にしてください。
ユニットリンクは変額保険の一種で、保険契約の中で特別勘定(ファンド)に投資します。「世界株式プラス型」は名称のとおり世界の株式に投資しますが、インデックス連動型かアクティブ運用か、どの指数をベンチマークにしているのか、通貨ヘッジを行うのか、といった設計は商品によって異なります。パンフレットや目論見書相当資料で中身を確認することが前提です。
「利回りが良い」と言われやすい背景には、長期的に株式の期待リターンが預金や債券より高い傾向があることに加え、円安が進んだ時期には外貨建て資産の円換算評価が押し上げられることがあります。つまり、株式相場と為替の追い風が重なると、円ベースの成績が良く見えるのです。
一方で、利回りの見え方は評価期間に強く依存します。上昇相場の期間だけを切り取れば良く見え、下落期を含めれば印象は変わります。さらに重要なのは「手数料控除後のネット利回り」で評価することです。資料のチャートが手数料控除前か後かは必ず確認し、期間も横並びで比較してください。ベンチマークや通貨ヘッジの有無・方針も、成績解釈に直結します。
リスク面では、まず元本保証がないことが最重要です。世界株式は年単位でマイナス30%程度の下落が起こり得ます。相場下落耐性と保有期間の長さが問われます。
為替リスクも避けて通れません。ヘッジなしなら円高で評価額が下がり、ヘッジありでもヘッジコストが利回りを削る可能性があります。為替は長期サイクルで動くため、どちらを選ぶにせよ特性を理解しておく必要があります。
コストは保険関係費用(予定死亡保険料や維持費など)と運用関係費用(特別勘定の信託報酬等)に分かれ、合算すると一般の投資信託より割高になりやすい傾向があります。アクティブ運用の場合は運用コストが高めになることも多く、ネット利回りの差につながります。
途中解約時の控除にも注意が必要です。初期数年の解約にペナルティが設計されているケースが一般的で、短期でやめると不利になりやすい設計です。特別勘定のスイッチングに回数制限や手数料がある場合もあるため、頻繁な乗り換えはコスト増を招きます。
積立停止や市場下落が重なると、積立金が目減りし失効リスクが生じることがあります。保険料負担を継続できるか、家計のキャッシュフローと整合しているかを事前に点検してください。
税制の扱いは、途中解約の差益が原則として一時所得課税(50万円の特別控除があり、超過部分の1/2が総合課税)になるといった特徴がありますが、受け取り方や契約関係で取扱いが変わる可能性があります。生命保険料控除や死亡保険金の非課税枠など、保険ならではのメリットもあるため、個別に確認するのが無難です。
NISAの低コスト投信との比較も有益です。一般にNISAの投信はコストが低く換金性も高い一方、ユニットリンクには保険機能や相続時の取り扱いに利点があります。目的(資産形成か、保障・相続も含めた設計か)、費用、柔軟性、税制の観点で並べて比較してください。
コストの影響をイメージするために、100万円を20年運用する簡単な概算を示します。手数料控除前で年率6%成長なら約320万円、手数料控除後で年率4%なら約219万円です。同じ市場環境でも、コスト差だけで最終金額に約100万円の差が生じ得ます。実際の費用水準とリターンは商品・時期で異なる点に留意してください。
為替の影響も数値で捉えると理解が進みます。ドル建て資産が年率0%でも、円が10%上昇(円高)すれば円ベースの評価は約マイナス10%です。逆に円安はプラス寄与ですが、為替要因による追い風は恒常的ではありません。
適性を整理すると、長期(目安10年以上)保有を前提に相場・為替のブレを許容でき、途中解約ペナルティを避けられる見込みがあり、死亡保障や相続時の扱いなど保険機能も活用したい方にはフィットしやすい商品です。反対に、3~5年以内に資金を取り崩す可能性が高い、低コストと換金性を最優先したい、為替変動で評価額が大きく動くのが心理的に辛い、といった方には不向きです。
購入前に確認したい論点は、ベンチマークと運用手法(インデックスかアクティブか)、通貨ヘッジの有無とヘッジコスト、保険関係費用と運用関係費用を合わせた総コスト(年率)、解約控除の年数と料率、スイッチングの条件(回数・手数料)、失効条件(最低積立金や休止時の扱い)、解約・年金・死亡時などの税務、NISAの投信など代替手段との比較、家計の資金計画との整合性、そして資料がネット利回り(費用控除後)で表示されているか、の各点です。
まとめると、世界株式プラス型は「世界の成長を取りに行く器」として機能しますが、期待リターンの源泉は市場と為替であり、最終的な受け取り額はコストとルールの理解・運用継続の可否に大きく左右されます。目的・期間・リスク許容度・税務を整理し、商品資料と代替手段を横並びで比較したうえで判断してください。特定商品の推奨ではありませんが、迷う場合は家計全体の計画に照らして専門家に相談することをおすすめします。
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ベンチマークとは、特定の目標や標準として用いる指標のことを指し、ビジネス、金融、技術など様々な分野で利用されます。この指標を用いて、パフォーマンスの測定や戦略の効果を評価し、改善点を見つけることができます。特に投資分野においては、ベンチマークはポートフォリオのパフォーマンスを評価するための基準点として活用され、特定の市場指数や同業他社の成績などが用いられます。 たとえば、投資ファンドの管理者は、自身のファンドのパフォーマンスをS&P 500やナスダックなどの市場指数と比較して評価することが多いです。この比較によって、ファンドの戦略が市場全体と比べてどの程度効果的であるか、またはリスクが適切に管理されているかを判断します。 ベンチマークは、透明性と目標設定を促進し、継続的な改善を目指すための重要なツールです。しかし、ベンチマークを選定する際には、その適切性や関連性を慎重に評価する必要があります。適切でないベンチマークを選ぶと、誤った方向性を示すことがあり、結果的にパフォーマンスの誤解を招くことになるためです。したがって、目標とする成果と密接に関連する、かつ実現可能なベンチマークを設定することが極めて重要です。
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為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
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信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
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一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。
ユニット・リンク
ユニット・リンクとは、保険商品としての保障機能と、投資信託のように運用成果によって将来受け取る金額が変わる仕組みを組み合わせた金融商品です。保険料の一部が投資に回され、その運用結果が良ければ将来受け取る金額が増え、逆に運用がうまくいかなければ減る可能性があります。自分で選んだ運用先の成果が直接反映されるため、一般的な貯蓄型保険と比べて増える可能性がある一方、元本が保証されない点に注意が必要な商品です。




