仕手筋とはどういう人達ですか?
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2025/08/12 10:49
女性
40代
株式投資を勉強している中で「仕手筋」という言葉を目にしましたが、具体的にどのような人たちを指すのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「仕手筋」とは、株価を意図的に大きく動かして短期的に利益を得ようとする人たちのことを指します。いわゆる「仕手戦」と呼ばれる株式相場の動きを演出し、その中で売買差益を狙います。証券会社やファンドなどの正規の金融機関ではなく、私的なグループや個人投資家によって構成されていることが多く、市場の裏側で動く存在として知られています。
仕手筋には、資金力のある個人投資家のほか、元証券会社の関係者やブローカーなど、市場の仕組みに精通した人々が多く含まれます。彼らは板情報(取引の注文状況)やSNS、企業のIR(投資家向け広報)活動などを駆使して、一般投資家の注目を集める情報を流すのが得意です。
仕手筋の典型的な手口としては、まず出来高が少なく、株価が比較的安い小型株をこっそり大量に買い集める「玉集め」から始まります。次に、その銘柄に関する好材料や話題性のあるテーマをSNSや投資サイトで流布し、個人投資家を呼び込みます。そして、実際に株価が急騰するような買い注文を入れて注目を集め、さらに買いを呼び込むことで株価を吊り上げます。最後には自分たちの保有株を高値で売り抜け、急落を招くケースが多く見られます。
仕手筋が狙いやすい銘柄にはいくつかの特徴があります。具体的には、流通している株数が少ない(浮動株が少ない)、時価総額が小さい(100億~300億円未満)、明確な業績が見えにくいが「テーマ株」や「思惑買い」が起きやすい、そして大株主が安定しておらず株主構成が分散しているといった点です。
こうした株価の操作行為は、金融商品取引法で「相場操縦」として明確に禁止されています。証券取引等監視委員会(SESC)が調査と摘発を行っており、最近では取引履歴の電子化やAIの活用で違反の検出が進んでいます。ただし、SNSを通じた情報操作は証拠の特定が難しく、グレーなケースも多く存在します。
個人投資家として仕手筋による銘柄に巻き込まれないようにするためには、いくつかの対策が重要です。例えば、理由が不明確なまま急騰している銘柄には注意を払いましょう。また、噂だけでなく企業のIR資料や決算情報を確認し、根拠ある投資判断をすることが大切です。さらに、板情報や歩み値を観察し、大口の不自然な注文がないかもチェックポイントになります。
仮にこうした銘柄に短期的なトレード目的で関わる場合でも、ポートフォリオ全体の中でごく一部に留め、損切りルールを明確にしておくことが重要です。SNSなどで得られる情報は、発信者のフォロワー数や人気ではなく、一次情報の有無や内容の裏付けを基に評価するよう心がけましょう。
まとめると、仕手筋は株価の一時的な急騰急落を狙って動く存在であり、初心者にとっては非常にリスクの高い領域です。派手な値動きに惑わされず、地に足の着いた情報収集とリスク管理を行うことが、資産を守る上で何よりも大切です。
関連する専門用語
仕手筋(してすじ)
仕手筋とは、株式市場で特定の銘柄の価格を意図的に大きく動かそうとする個人やグループのことを指します。一般的には、資金力を持つ投資家や組織が、流動性の低い銘柄を大量に買い集めて株価をつり上げ、他の投資家の注目を集めて買いを誘い、その後高値で売り抜けるという手法がとられます。 このような行為は、法律的には非常にグレーゾーンにあり、場合によっては相場操縦とみなされて違法となることもあります。仕手筋の動きは非常に予測が難しく、初心者にとってはリスクが高いため、関わらないことが賢明です。
玉集め
玉集めとは、相場で株式などの金融商品を一定の目的のもとに少しずつ買い集めていく行為を指します。「玉(たま)」は取引ポジションを意味し、買い注文を複数回に分けて実行することで、市場に目立たずに大量の株を保有することができます。 仕手筋などが値動きを仕掛ける前段階で行うことが多く、急激に買いを入れて相場を動かさないよう、出来るだけ株価を安定させたまま集めるのが特徴です。個人投資家にとっては、玉集めが進んでいる銘柄はその後大きく値動きする可能性があるため、注目すべきシグナルの一つとなりますが、確実に上がる保証はないため慎重な判断が必要です。
浮動株
各企業の上場株式のうち、実際に売買される可能性の高い株式(上場株式から固定株を控除したもの)
相場操縦
相場操縦とは、株式や為替、商品などの市場において、価格を人為的に変動させようとする行為を指します。実際の需要や供給に基づかない売買を繰り返したり、虚偽の情報を流して投資家を誤導したりすることで、相場があたかも動いているかのように見せかけます。 こうした行為は、他の投資家に誤った判断を促す恐れがあるため、金融商品取引法などで明確に禁止されており、違反すれば刑事罰の対象になります。相場操縦は、一見すると一時的に利益を得られるように見えるかもしれませんが、市場全体の信頼性を損なう重大な違反行為とされています。
IR
IRとは、「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の略で、企業が投資家や株主に向けて自社の情報を発信し、理解を深めてもらうための活動全般を指します。企業は自社の経営方針や財務状況、将来の成長戦略などを積極的に開示し、投資家との信頼関係を築こうとします。IR活動がしっかりしている企業は、投資家からの評価も高まりやすく、資金調達や株価の安定にも良い影響を与えるとされています。投資初心者にとっても、IR活動を通じて企業の透明性や誠実さを見極めることができます。
損切り(ロスカット)
損切り(ロスカット)とは、投資で保有している資産の価格が下がり、これ以上損失を広げないために、その資産をあえて売却して損失を確定させる行為のことをいいます。多くの投資家は、含み損の状態で損を確定させることに心理的な抵抗を感じますが、損切りをしないまま価格がさらに下がると、より大きな損失につながる可能性があります。そのため、あらかじめ損失の許容範囲を決めておき、一定の価格に達したら機械的に売る「ルールとしての損切り」が資産を守る手段として重要です。また、FXや信用取引では、証拠金維持のために強制的にロスカットが行われることもあります。損切りは投資のリスク管理の基本のひとつです。