円安の局面で、ドル建て保険は解約を検討すべき良いタイミングでしょうか?
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2025/09/03 08:42
男性
60代
円安で解約返戻金の円換算が増えており、ドル建て保険を今解約すべきか迷っています。ただ、元本割れのリスクや解約時の課税、保障の喪失も不安です。どの条件がそろえば、解約を検討すべき適切なタイミングと言えるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
円安だからという理由だけで、ドル建て保険の解約を急ぐ必要はありません。解約を検討する価値があるかどうかは、解約返戻金の額、税金、保障の必要性、そして他の資産状況を総合的に見て判断すべきです。
まず確認していただきたいのは、現在の解約返戻金の正確な額です。ドル建て保険は契約初期に解約すると解約控除により元本割れするケースが多く、為替差益があっても実際の受取額はマイナスになる可能性があります。保険会社に問い合わせて、今解約した場合の具体的な金額を確認してください。
次に税金の影響を考慮する必要があります。解約時に利益が出ている場合、一時所得として課税され、受取額から払込保険料を引いた額から特別控除50万円を差し引き、その半分が課税対象となります。為替で得をしても、税引後の手取り額が思ったより少ないことがありますので、実質的な利益を計算することが重要です。
保障機能についても、慎重な検討が必要です。ドル建て保険には死亡保障などが付いており、解約するとこの保障を失います。ご自身やご家族にとってこの保障が本当に必要か、他の保険でカバーできているかを確認してください。当初、保障目的で加入したのであれば、単に為替が有利だからという理由で解約するのは本末転倒です。
為替相場の今後については、専門家でも予測は困難です。現在の円安が続くとも限りませんし、円高に転じる可能性もあります。短期的な為替変動だけを見て判断すると、後悔する可能性があります。
判断のポイントは、当初の加入目的に立ち返ることです。保障目的だったのか、貯蓄や運用目的だったのか。今すぐ資金が必要なのか、他にもっと有利な運用先があるのか。保険の運用実績や保障内容に不満がなく、当面資金需要もないのであれば、無理に解約を急ぐ必要はありません。
最終的には、保障の喪失を許容できるか、総コストと税後の手取り、為替リスクのバランスで総合判断しましょう。
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関連する専門用語
解約控除
解約控除とは、保険や一部の投資商品を契約期間の途中で解約した場合に、契約者が受け取る解約返戻金などから差し引かれる手数料のことをいいます。特に契約から数年以内など、早い段階で解約した際に高めに設定されていることが多く、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。 この制度は、販売時にかかった初期費用や運用の準備にかかるコストを回収するために設けられていますが、契約者にとっては思ったよりも少ない金額しか戻ってこないというリスクにつながります。そのため、商品選びの際には解約控除の有無やその金額、期間などをよく確認し、「途中で解約したらどうなるか」をあらかじめ理解しておくことがとても大切です。長期での運用を前提とした商品には特に注意が必要です。
一時所得
一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。
特別控除
特別控除とは、一定の条件を満たした場合に特別に認められる所得控除のことを指す。例えば、不動産譲渡所得に対する3,000万円特別控除や、住宅ローン控除などが含まれる。通常の控除とは異なり、特定の政策目的のために設けられており、適用を受けるには条件を満たす必要がある。
必要保障額
必要保障額とは、万一の際に残された家族が現在と同等の生活水準を維持しながら、将来の教育費や住宅費といった支出も含めて安心して暮らしていけるよう、生命保険などで準備すべき金額を指します。具体的には、遺族の生活費、子どもの教育資金、住宅ローンの残債、葬儀費用などの「必要資金」から、公的遺族年金、勤務先の死亡退職金、既存の貯蓄や保険などの「準備済み資金」を差し引くことで算出します。 この必要保障額は、家族構成や年齢、子どもの進学予定、住宅ローンの残り期間など、個々のライフプランによって大きく異なります。たとえば、子どもが小さいうちは教育費や生活費の負担が長期にわたるため保障額は大きくなりがちですが、成長とともに必要な保障額は徐々に減少していきます。また、配偶者の就労状況や資産形成の進捗によっても必要な金額は変動します。 そのため、保険を一度加入したら終わりではなく、ライフステージの変化に応じて定期的に見直すことが重要です。保障が過剰であれば保険料の無駄払いになり、逆に不足していればいざというときに家族が困ることになります。こうしたリスクを避けるためにも、保険はライフプラン全体の中での位置づけとして考えることが不可欠です。 保険加入を検討する際には、営業担当者の提案を鵜呑みにせず、自分の生活設計に照らして必要な保障内容を見極めることが大切です。保障の目的や期間、公的制度とのバランス、そして家計や資産運用との整合性を踏まえた設計にすることで、無理なく持続可能な保険の活用が実現できます。必要に応じて、ライフプランニングに精通した中立的な専門家に相談し、現状の見直しと将来設計を行うのも有効な方法です。
解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。
為替相場
為替相場とは、異なる通貨同士を交換する際の比率、つまり「どれくらいの円で1ドルを買えるか」といった為替レートのことを指します。たとえば、1ドル=150円という為替相場であれば、1ドルを手に入れるためには150円が必要という意味になります。この相場は常に変動しており、通貨の需要と供給、経済指標、金利差、政治情勢などさまざまな要因によって日々変わっていきます。 投資や貿易、旅行などに大きく影響するため、為替相場は世界中の投資家にとって非常に重要な情報となっています。特に外貨建て資産に投資する際には、為替の動きが収益に直結するため、注意深く見る必要があります。





