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保険金受取時の税金はいくら?特別控除額や非課税枠の仕組みを保険の種類ごとに解説

保険金受取時の税金はいくら?特別控除額や非課税枠の仕組みを保険の種類ごとに解説

保険金受取時の税金はいくら?特別控除額や非課税枠の仕組みを保険の種類ごとに解説

難易度:

執筆者:

公開:

2025.03.05

更新:

2025.11.14

個人年金損害保険相続生命保険定額保険変額保険

金利が低迷するなか、生命保険や個人年金を賢く活用すれば「500万円×法定相続人」や一時所得の50万円控除などで手取りを高められます。しかし名義設定や保険料負担を誤ると、相続税・贈与税・所得税が想定以上に膨らみ、受取額が目減りするリスクが潜みます。本記事では、死亡保険金・医療給付金・個人年金の三局面ごとに課税区分と計算式、控除活用術、典型的な失敗例を実数で示し、ミスなく手取りを最大化する判断軸を提供します。さらに医療費控除への影響や受取方法別キャッシュフローまで掘り下げ、実例を通じて自分のケースに落とし込める構成です。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、死亡保険金・医療給付金・個人年金が相続税・贈与税・所得税のどれに当たるかを即判定でき、500万円×法定相続人や110万円基礎控除、50万円特別控除など複数の非課税枠をどう組み合わせるかが理解できます。さらに契約名義と保険料負担者の調整で税負担を最小化する手順、医療費控除との関係、一時金と年金受取のキャッシュフロー比較まで把握でき、自分の保険設計を見直す具体策が一気に整理できます。典型的な落とし穴と回避策も図表付きで示すため、初心者でも要点をつかみやすく、読み終えた瞬間から行動に移せるはずです。

目次

保険の種類ごとの課税区分と非課税枠

死亡保険金に対する税金は3パターン

保険金が相続税の対象となる場合:受取人が法定相続人

保険金が所得税(一時所得)の対象となる場合:受取人が契約者本人

保険金が贈与税の対象となる場合:契約者と被保険者が異なる

満期保険金・解約返戻金に対する税金は2パターン

一時所得の対象となる場合:自分で保険金を受け取る

贈与税の対象となる場合:第三者が受け取る

医療保険の給付金にかかる税金

個人年金保険にかかる税金は2パターン

年金形式で受け取る場合の税金

個人年金保険を一時金で受け取る場合の税金

保険金に税金がかからないケース

医療費の実費を補填する入院・手術・通院給付金

生命保険の医療特約・入院特約からの給付金

就業不能・所得補償保険のうち、病気やケガに起因する部分

一時所得が特別控除50万円以内に収まる場合

年末調整・確定申告でのチェックポイントや注意点

生命保険料控除は「誰が支払ったか」で決まる

確定申告が必要になるパターン

確定申告が不要なパターン

保険の種類ごとの課税区分と非課税枠

保険はその種類と受取方法により税金の扱いが異なります。生命保険、医療保険、そして個人年金保険における税金の基本的な考え方と具体例について解説します。

保険の種類課税の有無非課税枠や課税内容
死亡保険金非課税受取人が契約者と同一の場合は非課税。受取人が異なる場合は贈与税がかかる可能性があります。
医療保険の給付金非課税原則として非課税。ただし、他の所得に合算される場合があります。
個人年金保険(年金形式)課税雑所得として、受取額から支払保険料を差し引いた金額が課税対象となります。
個人年金保険(一時金形式)課税一時所得として、受取額から払込保険料を引いた金額から特別控除を適用し、その半分が課税対象となります。

死亡保険金に対する税金は3パターン

死亡保険金にかかる税金は、契約者・被保険者・受取人の関係によって変わります。主に 「相続税」「所得税」「贈与税」 の3つのパターンがあります。

保険金が相続税の対象となる場合:受取人が法定相続人

契約者と被保険者が同一で、受取人が法定相続人(子や配偶者)の場合、「相続税」の対象となります。 相続税は500万円 × 法定相続人の数 まで非課税で、非課税枠を超えた分は、遺産と合算して相続税の計算をします。

具体例

受取人が配偶者、子供2人(法定相続人3人) 非課税枠 = 500万円 × 3人 = 1,500万円 受取額2,000万円の場合 → 1,500万円は非課税、500万円が相続税の対象

保険金が所得税(一時所得)の対象となる場合:受取人が契約者本人

契約者と被保険者が異なり、受取人が契約者本人の場合、受け取った保険金は「所得税(一時所得)」の対象になります。計算式は以下のとおりです。

一時所得の対象となる受取保険金の課税対象額は、受取保険金から払込保険料と50万円の特別控除額を引いた金額を半分にした金額です。

課税対象の具体例

親が被保険者で、子ども(契約者)が保険料を支払っていた場合で、受取保険金 2,000万円、払込保険料 1,600万円の場合

(2,000万円 - 1,600万円 - 50万円)÷ 2 = 175万円が課税対象です。

保険金が贈与税の対象となる場合:契約者と被保険者が異なる

契約者と被保険者が異なり、受取人が子供の場合、死亡保険金は原則「贈与税の対象」になります。基礎控除110万円 で、超えた分に対して贈与税がかかります。この場合、払込保険料は考慮されず、受け取った死亡保険金の総額が課税対象となります。

課税対象の具体例

契約者が父、被保険者が母、受取人が子供 の場合で、受取保険金 2,000万円、払込保険料 1,600万円の場合

課税対象額 = 2,000万円 - 110万円 = 1,890万円

保険料負担者による税金の違い

税法上、「誰が実際に保険料を負担したか」が重要です。「契約者=父、被保険者=母、受取人=子」の場合、税金の種類は「保険料の負担者」によって変わります。

被保険者(母)が保険料を支払っていた場合 は、相続税の対象(母の遺産)として取り扱われます。保険料を契約者(父)が支払っていた場合 は贈与税の対象となり、 受取人(子)が「父からの贈与」とみなされ、贈与税が課されます。 基礎控除110万円 を超えた部分に贈与税がかかります。

保険の「契約者」「被保険者」「受取人」の違いや役割については、こちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

満期保険金・解約返戻金に対する税金は2パターン

満期保険金・解約返戻金・生存給付金は、「契約者=受取人」であれば一時所得扱いです。

契約者(保険料負担者)被保険者満期保険金受取人税金の種類
AAA所得税 または 源泉分離課税
ABA所得税 または 源泉分離課税
AAB贈与税
ABB贈与税
ABC贈与税

一時所得の対象となる場合:自分で保険金を受け取る

実務上でもっとも多いのは「自分で払って自分で受け取る」パターンです。多くの貯蓄型保険(終身保険・養老保険・学資保険など)では、満期保険金や解約返戻金を一時金で受け取ると「一時所得」として取り扱われます(年金形式で受け取れば「雑所得」)。

贈与税の対象となる場合:第三者が受け取る

被保険者が生存している状態で、第三者が満期保険金・解約返戻金を受け取る場合は、基本的にその第三者が贈与税の対象になります。

代表的な例

  1. 親が契約・保険料負担→子が満期保険金を受け取る
  2. 夫が契約・保険料負担→妻が生存給付金を受け取る

「誰が保険料を負担していたか」がポイントで、負担者から受取人へ財産が移転したとみなされるためです。

医療保険の給付金にかかる税金

個人が受け取る医療保険の給付金は、基本的に非課税です。たとえば、入院時に100万円の給付金を受け取った場合、その100万円は所得に含まれず、直接税金に影響しません。

ただし、法人が給付金を受け取る場合や、特殊な会計処理が必要な場合は、一旦収入(益金)として計上し、その後、対応する費用(損金)で相殺されるため、数字上は一時的に全体の所得に影響が出ることがあります。しかし、最終的にはその相殺処理により、課税所得に変動はありません。

また、医療費控除の面では、医療保険の給付金が実際に支払った医療費を補填するため、自己負担額が減ります。医療費控除は、実際に自己負担した医療費(=総医療費から給付金などを差し引いた金額)が一定額を超えた場合に適用されます。たとえば、100万円の医療費が発生し、同じく100万円の給付金を受け取った場合、自己負担額は0円になるため、医療費控除の対象となる金額も減り、控除による税金の軽減効果が小さくなります。

まとめると、個人の場合、医療保険の給付金自体は非課税ですが、医療費控除を考える際は、給付金が自己負担額を減らすため、控除の効果が薄れる可能性がある点に注意が必要です。

なお、医療保険の給付金が非課税になる法定根拠は、こちらで詳しく解説しています。

個人年金保険にかかる税金は2パターン

個人年金保険の場合、受け取る方法によって税金の計算方法が異なります。

受取方法税区分税金の特徴
年金形式雑所得毎年税金がかかる(総合課税)
一括受取一時所得50万円控除+1/2課税で税が軽くなりやすい

年金形式で受け取る場合の税金

受け取った金額から支払った保険料の一部を差し引いた金額が雑所得として課税されます。 計算式は以下のとおりです。

個人年金保険を年金形式で受け取る場合、課税対象額は受取保険金から、支払保険料総額を予定受取年数で割ったものを引いた金額です。

例えば、年間120万円の年金を受け取り、支払保険料総額が2,000万円、予定受取年数が20年の場合、 計算は「120万円 - (2,000万円 ÷ 20年) = 120万円 - 100万円 =20万円」となり、この20万円が課税対象となります。

個人年金保険を一時金で受け取る場合の税金

受け取った金額から払込保険料総額を差し引き、さらに最大50万円の特別控除を適用した後、その半分が一時所得として課税されます。課税対象額の計算式は以下のようになります。 個人年金保険を一時金で受け取った場合の受取保険金の課税対象額は、受取一時金から払込保険料総額と特別控除額を引いて半分にした金額です。

例えば、受取一時金が500万円、払込保険料総額が400万円、特別控除額が50万円の場合、 計算は「(500万円 - 400万円) - 50万円 = 50万円」となり、50万円の1/2、つまり25万円が課税対象となります。

保険金と保険料は混同しがちですが、違いをしっかりと押さえる必要があります。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。

保険金に税金がかからないケース

保険の種類や受取人によって、課税関係は異なります。以下で、保険金に対して税金がかからない代表的なケースを紹介します。

医療費の実費を補填する入院・手術・通院給付金

医療保険やがん保険の入院給付金・手術給付金・通院給付金など、実際にかかった医療費や治療に対する補償として支払われるお金は「利益」ではありません。

医療費の穴埋めという性質であるため、原則として所得税・住民税はかかりません。

生命保険の医療特約・入院特約からの給付金

生命保険に付いている医療特約・入院特約から支払われる入院給付金・手術給付金・先進医療給付金なども、心身の損害に対する補償とみなされるため、原則として非課税です。

名目が「生命保険」でも、支払い事由が「病気やケガによる入院・手術」であれば医療保険と同じ扱いになります。

就業不能・所得補償保険のうち、病気やケガに起因する部分

病気やケガで働けなくなったときに、一定期間ごとに受け取る就業不能保険・所得補償保険の給付金のうち、「ケガや病気による就業不能」に限定された補償部分は、心身の損害に対する保険金として非課税になるのが基本です。

一時所得が特別控除50万円以内に収まる場合

一時所得が50万円に収まる場合は、税金がかかりません。満期保険金や解約返戻金などの総受取額から、その保険のために支払った保険料(必要経費にあたる部分)を差し引いた残りが、一時所得の金額です。

他の所得状況や一時所得の有無によって扱いが変わることもあるため、複数の保険や一時所得の対象となる懸賞などが重なっている年は慎重に計算しましょう。

年末調整・確定申告でのチェックポイントや注意点

保険の税金は「受け取ったとき」だけでなく、年末調整・確定申告での申告も大切です。契約者と支払者が異なるケースや家族が契約している保険料を控除できるかどうかなど、実務上で判断に迷いやすいポイントをまとめました。

生命保険料控除は「誰が支払ったか」で決まる

生命保険料控除は、次の2つを満たす必要があります。

  1. 実際に保険料を負担(支払)していること
  2. その保険契約が、あなた自身または扶養親族のための契約であること

この「保険料を負担している人」がポイントで、名義(契約者)と異なることがあります。

契約者支払者(保険料負担者)被保険者控除を使える人
夫が控除可
妻が控除可
親が控除可
親(契約者)子が実際に支払子が控除可
子(契約者)親が実際に支払親が控除可
誰が生命保険料控除を使えるか

控除できるのは「支払者」=保険料を負担した人です。契約者名義や口座名義ではなく、誰が実際に払っているかが重要です。

生命保険料控除を活用すれば、収入が多い方ほど節税が可能です。具体的な仕組みに関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。

「保険料を負担することになっている人」とは

年末調整の申告書には「保険料を負担することになっている人」という記載があります。

これは「法律上・実態として、保険料を支払う義務がある人」「保険料負担者として契約に基づき責任を負っている人」を指します。つまり、あくまでも実態で判断すると理解しておきましょう。

具体例は、以下のとおりです。

保険の種類契約者支払者被保険者控除できる人
子どもの学資保険
子どもの医療保険子ども子ども
親の生命保険
配偶者の医療保険
自分の終身保険自分自分自分自分
ケース別の早見表

年末調整で正しく申告しないと、適切に生命保険料控除を受けられません。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。

確定申告が必要になるパターン

以下の表では、保険金の種類と税区分ごとに、確定申告の要否をまとめています。

「受け取った=必ず申告」ではなく、税区分によって扱いが変わる点が実務上の重要ポイントです。

種類具体例確定申告の要否
一時所得(所得税)満期保険金、解約返戻金、生存給付金(契約者=受取人)必要(年間の給与・所得状況により)
雑所得(個人年金)年金形式で受け取る個人年金必要(公的年金等控除の対象外)
贈与税契約者と受取人が異なるとき原則必要(110万円以下は不要)
相続税保険契約の価値を相続した場合相続税申告で必要

満期保険金や解約返戻金は、受け取った全額ではなく「利益部分」に税金がかかりますが、その金額が20万円を超えると給与所得者であっても確定申告が必要になります。

また、個人年金を年金形式で受け取っている場合は、公的年金とは違って雑所得として扱われるため、給与所得者でも基本的に申告が必要になります。さらに、契約者と受取人が異なる場合は「保険金=贈与」となるため、贈与税の申告が必要です。

確定申告が不要なパターン

続いて、確定申告が不要なパターンを整理します。そもそも非課税のパターンと、課税されるものの申告不要というパターンに分かれます。

ケース理由
医療保険・がん保険の給付金を受け取った非課税のため
死亡保険金を受け取った(相続税扱い)所得税・贈与税の対象ではない
一時所得の課税対象額が20万円以下確定申告不要制度の対象

医療保険やがん保険の給付金は原則として非課税であるため、申告する必要はありません。これは、医療費控除との調整が必要な場合でも、給付金自体に税金がかからないためです。

また、死亡保険金を受け取った場合も、課税されるのは相続税であり、所得税や贈与税は対象外となるため、確定申告は不要です。

さらに、一時所得に該当する満期保険金や解約返戻金であっても、利益部分の1/2を計算した後の「課税対象額」が20万円以下であれば、給与所得者の申告不要制度により確定申告は必要ありません。

この記事のまとめ

保険金の課税区分は契約名義と保険料負担者で決まり、計算式と控除枠を理解すれば余計な税負担を回避できます。500万円×法定相続人の非課税枠や50万円特別控除を活用し、贈与税の高税率や一時所得総合課税リスクを同時にチェックしましょう。流動性・為替・コストを比較しつつ、年金受取か一時金かをキャッシュフローと課税タイミングで評価し、通貨分散と相続対策の整合性を確認することが肝心です。家計シミュレーションで手取り推移を検証した後、契約変更や受取人再設定を行えば、手取り最大化とリスク低減を両立できます。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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贈与税とは、個人が他の個人から金銭・不動産・株式などの財産を無償で受け取った際に、その受け取った側(受贈者)に課される税金です。通常、年間110万円の基礎控除を超える贈与に対して課税され、超過分に応じた累進税率が適用されます。 この制度は、資産の無税移転を防ぎ、相続税との整合性を保つことを目的として設けられています。特に、親から子へ計画的に資産を移転する際には活用されることが多く、教育資金や住宅取得資金などに関しては、一定の条件を満たすことで非課税となる特例もあります。 なお、現在は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2制度が併存していますが、政府は近年、相続税と贈与税の一体化を含めた制度改正を検討しており、将来的に制度の選択肢や非課税枠、課税タイミングが見直される可能性があります。 こうした背景からも、贈与税は単なる一時的な贈与の問題にとどまらず、長期的な資産承継や相続対策の設計に深く関わる重要な制度です。税制の動向を踏まえた上で、専門家と連携しながら最適な活用方法を検討することが求められます。

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雑所得

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死亡保険金

死亡保険金とは、生命保険契約において、被保険者が死亡した際に受取人に支払われる保険金のことを指す。受取人や契約形態によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかの課税対象となる場合がある。

一時所得

一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

特別控除

特別控除とは、一定の条件を満たした場合に特別に認められる所得控除のことを指す。例えば、不動産譲渡所得に対する3,000万円特別控除や、住宅ローン控除などが含まれる。通常の控除とは異なり、特定の政策目的のために設けられており、適用を受けるには条件を満たす必要がある。

課税対象額

課税対象額とは、税金の計算の基礎となる金額のことを指す。所得税であれば、総所得から各種控除を差し引いた後の課税所得が該当する。法人税では、益金から損金を差し引いた後の利益が対象となる。課税対象額が増えるほど税負担も増加するため、適切な税務対策を講じることが重要である

医療費控除

医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。

予定受取年数

予定受取年数とは、年金や分割払いの保険金を受け取る際に、受取人があらかじめ設定する受取期間のことを指す。年金保険や個人年金制度では、この期間の長さによって毎回の受取額が決まり、長期間にわたる場合は1回あたりの受取額が減少し、短期間では増加する。受取年数の設定は、税制やライフプランに影響を及ぼすため、慎重に検討する必要がある。

益金

益金とは、法人税の計算において、企業の所得に算入される収益のことを指す。売上高や営業外収益、資産の売却益、受取配当金などが含まれる。益金は損金と対になる概念であり、最終的な課税所得を決定する重要な要素となる。法人の税負担を適切に管理するためには、益金と損金の区分を正しく理解し、税務処理を行うことが求められる。

損金

損金とは、法人税の計算上、企業の所得から控除できる費用のことを指す。具体的には、給与、仕入原価、広告宣伝費、減価償却費などの事業に直接関連する支出が該当する。損金に計上できるかどうかは税法により定められており、計上可能な費用を適切に処理することで課税所得を抑えることができる。一方で、税務上の損金と会計上の費用が一致しない場合もあり、適切な管理が求められる。

非課税枠

非課税枠とは、税金が課されない金額の上限を指し、様々な税制に適用される制度。 例えば相続税では基礎控除額として「3,000万円+600万円×法定相続人数」が非課税枠となる。贈与税では年間110万円までの贈与が非課税。また、NISA(少額投資非課税制度)では年間の投資上限額に対する運用益が非課税となる。 このような非課税枠は、税負担の軽減や特定の政策目的(資産形成促進など)のために設定されており、納税者にとって税金対策の重要な要素となっている。

契約者

契約者とは、保険や投資信託などの金融商品において契約を締結する当事者のことを指す。契約者は契約の内容を決定し、保険料や掛金の支払い義務を負う。生命保険では、契約者と被保険者が異なる場合もあり、この場合、契約者が保険金の受取人を指定できる。投資信託では、契約者が運用を委託し、受益者として利益を得る。契約内容によっては、解約や変更の権限を有するため、慎重な契約の選択が求められる。

被保険者

被保険者とは、保険の保障対象となる人物。生命保険では被保険者の生存・死亡に関して保険金が支払われる。医療保険では被保険者の入院や手術に対して給付金が支払われる。損害保険では、被保険者は保険の対象物(自動車など)の所有者や使用者となる。被保険者の同意(被保険者同意)は、第三者を被保険者とする生命保険契約において不可欠な要素で、モラルリスク防止の観点から法律で義務付けられている。

保険料負担者

実質的に保険料を支払う者であり、必ずしも契約者と同一である必要はない。例えば、親が契約者となり子供を被保険者とする学資保険で、祖父母が保険料を負担するケースなどがある。税務上は保険料負担者が誰かによって、保険金受取時の税金(所得税・相続税・贈与税)の取扱いが異なるため、税金対策を考慮した契約設計では重要な要素となる。生命保険料控除の適用も、実際の保険料負担者が確定申告または年末調整で受けることができる。

年金形式

保険金や退職金を一定期間にわたって分割で受け取る方式。毎月、3ヶ月ごと、半年ごと、年1回など、定期的に決まった金額を受け取ることができる。老後の生活費を安定的に確保できるメリットがある。確定年金(一定期間)と終身年金(死亡するまで)の2種類があり、インフレに対応した物価スライド型や、将来の金利変動に連動する変動型なども存在する。税制面では「雑所得」として課税され、公的年金等控除が適用される場合もある。

一時金形式

保険金や退職金などを一括で受け取る方式。まとまった資金を一度に受け取ることができるため、住宅ローンの返済や子どもの教育資金など、大きな支出に充てやすいメリットがある。年金形式と比べて、総受取額は少なくなる場合が多いが、資金の即時活用や自己運用が可能。税制面では退職所得控除(退職金の場合)や相続税・贈与税の非課税枠(生命保険金の場合)などが関係し、状況によって有利な選択肢となりうる。インフレリスクや長生きリスクへの対応は自己責任となる点に注意が必要。

受益者(受取人)

資産運用における受益者(受取人)とは、保険、信託、年金、投資信託、相続などの金融資産から利益を受け取る権利を持つ人を指します。各金融商品や制度において、受益者の役割や権利は異なりますが、共通して資産の管理や運用を経て利益を受ける立場にあります。 生命保険では、契約者が指定した受取人が、被保険者の死亡時に保険金を受け取ります。受取人には第一受取人と第二受取人があり、状況に応じて保険金の支払いが行われます。年金においては、企業年金や個人年金の給付を受け取る人が該当し、遺族年金のように家族が受給者となるケースもあります。 信託では、委託者が資産を信託し、受託者が管理・運用した収益を受益者が受け取ります。信託の形態によって、個人向けや法人向けの受益者が存在し、特定の目的に応じた資産運用が可能となります。投資信託では、ファンドに出資した投資家が受益者となり、分配金や運用益を得ます。特にETFなどの上場投資信託では、受益者が市場で自由に取引できる点が特徴です。 相続においては、遺言や法定相続によって故人の資産を受け取る人が受益者とされます。特定の受益者を指定することで、資産の分配を意図的に調整することが可能になります。また、公共の福祉制度においても、社会保障や奨学金の支給対象者が受益者に該当します。 受益者の適切な指定は、資産の円滑な継承や税務対策において重要であり、状況の変化に応じた定期的な見直しが推奨されます。特に、家族構成の変化や法改正の影響を考慮し、適切な受益者設定を行うことが、資産運用を成功させる鍵となります。

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