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定期保険と終身保険の違いを徹底比較!あなたに最適な死亡保険の選び方

定期保険と終身保険の違いを徹底比較!あなたに最適な死亡保険の選び方

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執筆者:

公開:

2025.06.20

更新:

2025.09.12

ライフイベント貯蓄型保険基礎知識定期保険生命保険

死亡保険を検討する際に必ず悩むのが「定期保険と終身保険のどちらを選ぶべきか」という問題です。両者は保障期間、保険料、貯蓄性において大きく異なり、ライフステージや家計状況によって最適な選択が変わります。

この記事では、中立的な立場から定期保険と終身保険の違いを詳しく解説し、あなたの状況に応じた保険選びをサポートします。保険料の比較から具体的な活用方法まで、専門的な視点で分かりやすく説明していきます。

サクッとわかる!簡単要約

この記事では、定期保険と終身保険の特徴を比較し、ライフステージごとに最適な選び方を解説しています。定期保険は「低コストで必要な期間だけ大きな保障」を確保でき、終身保険は「一生涯の安心と資産形成」を実現できます。例えば子育て世代には2,000〜5,000万円規模の定期保険が現実的で、シニア世代には300〜500万円の終身保険が効果的です。読後には自分に必要な保障額を計算し、無駄なく保険を設計する具体的な行動に移せます。

目次

定期保険の種類

一般的な定期保険(平準定期保険)

逓減(ていげん)定期保険

収入保障保険

終身保険の種類

定期保険と終身保険の基本的な違い

保険期間の違い

保険料の違い

解約返戻金の違い

定期保険のメリット・デメリット

定期保険の3つのメリット

定期保険の3つのデメリット

終身保険のメリット・デメリット

終身保険の3つのメリット

終身保険の3つのデメリット

どっちが得?ライフステージ別の選び方

独身の方におすすめ

新婚・子育て世代におすすめ

子育て終了・中高年におすすめ

シニア世代におすすめ

必要保障額の正しい計算方法

必要保障額の基本式

遺族の支出内容

遺族の収入内容

必要な保障額を具体例でシミュレーション

支出見込額の計算

収入見込額・資産額の計算

年代別の平均必要保障額

保険料を抑える方法

払込方法の工夫

保険金額の最適化

定期・終身の両方を使い分ける

複数保険会社の比較検討

よくある保険選びの失敗例と対策

失敗例1:保障額設定のミス

失敗例2:更新時の保険料上昇を軽視

失敗例3:保険だけでの資産形成

定期保険の種類

定期保険には保険金の受け取り方や保障額の変化によって、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解することで、あなたのニーズに最も適した保険を選べるでしょう。

定期保険の主な種類は「平準定期保険」「逓減定期保険」「収入保障保険」の3つです。どの保険も掛け捨て型で保険料が割安ですが、保障の形や受け取り方が大きく異なります。

一般的な定期保険(平準定期保険)

平準定期保険は定期保険の中で最も基本的なタイプで、保険期間中の保険金額が一定で変わらない死亡保険です。「四角の保険」とも呼ばれ、シンプルで分かりやすい仕組みが特徴となっています。

保険期間は年満了(10年・20年など)と歳満了(60歳・70歳まで)から選択でき、更新時は健康告知が不要です。ただし、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、一般的に保険料は上昇します。

子育て期間中の基本的な死亡保障や住宅ローン返済期間中の保障、退職までの一定期間の保障として活用されています。保険金額が一定のため、万一の際も遺族が受け取る金額が明確で安心です。

逓減(ていげん)定期保険

逓減定期保険は保険期間の経過とともに保険金額が段階的に減少していく定期保険で、「三角の保険」とも呼ばれています。必要保障額の変化に合わせた合理的な保険設計が可能です。

契約当初は高額な保険金額ですが、時間の経過で保険金額が減少するため、平準定期保険より保険料を割安に抑えられます。保険金は一括で受け取る仕組みで、年金形式での受け取りはできません。

子どもの成長に合わせた教育費の備えや住宅ローンの団体信用生命保険の補完として活用されています。時間とともに減少する家族の必要保障額に効率的に対応できるのがメリットです。

収入保障保険

収入保障保険は死亡時に保険金を年金形式で毎月受け取れる定期保険で、「家族収入保険」や「生活保障保険」とも呼ばれます。給与のように毎月一定額を受け取れるため、遺族の生活設計がしやすいのが特徴です。

保険金総額は死亡時期により変動し、早期死亡ほど受け取り総額が多くなります。一括受取も可能ですが、年金受取より総額は少なくなる点に注意が必要です。

遺族の生活費を安定的に確保したい場合や子育て期間中の収入代替として活用されています。最低保証期間(2年・5年など)が設定されているため、保険期間満了直前の死亡でも一定期間の保障を受けられます。

税務上の違い 収入保障保険は初年度受け取り分が相続税の対象で、2年目以降は所得税の対象となります。一方、逓減定期保険は一括受取のため相続税のみが適用される点で取り扱いが異なります。

終身保険の種類

終身保険には運用方法や仕組みの違いにより、以下のような種類があります。それぞれの特徴を比較表で確認しましょう。

終身保険は一生涯の保障が続く点は共通していますが、運用方法やリスク・リターンの特性が大きく異なります。自分の投資経験やリスク許容度に応じて適切な商品を選ぶことが重要です。

保険種類保険金額解約返戻金予定利率リスク向いている人
定額終身保険契約時に確定契約時に確定固定確実性を重視する人
変額終身保険運用成績で変動
(最低保証あり)
運用成績で変動
(元本割れあり)
変動積極的な運用を希望する人
外貨建て終身保険為替により変動為替により変動比較的高め中~高外貨分散投資したい人
低解約返戻金型終身保険契約時に確定払込期間中70%
払込後通常水準
固定保険料を抑えたい人
積立利率変動型終身保険最低保証+α金利変動で変動市場連動インフレ対策重視の人

定額終身保険は最も基本的な終身保険で、契約時に保険金額と解約返戻金が確定しており安定性が高くなっています。変額終身保険は保険料を投資信託等で運用し、運用成績により保険金額・解約返戻金が変動しますが、死亡保険金には最低保証があります。

外貨建て終身保険は米ドル・豪ドル等で運用するため、円建てより高い利回りが期待できる一方で為替リスクがあります。低解約返戻金型終身保険は払込期間中の解約返戻金を通常の70%程度に抑制し、その分保険料を割安に設定した商品です。

積立利率変動型終身保険は市場金利の変動に連動して積立利率が変動するため、インフレリスクへの対応力があります。

終身保険の特徴やおすすめの商品に関しては、こちらの記事をご覧ください。

定期保険と終身保険の基本的な違い

定期保険と終身保険の最大の違いは保障期間にありますが、それ以外にも保険料や解約返戻金の有無など、重要な違いが複数存在します。これらの違いを正しく理解することで、自分に適した保険選びができるでしょう。

両者の特徴を「保険期間」「保険料」「解約返戻金」の3つの観点から詳しく比較していきます。

保険期間の違い

定期保険は10年・20年などの期間限定の保障で、保険期間が満了すると保障が終了します。更新型の商品では契約を継続できますが、歳満了タイプは基本的に更新できません。

終身保険は一生涯にわたって保障が続くため、被保険者がいつ亡くなっても死亡保険金を受け取れます。解約しない限り保障が消失しないため、確実に遺族へお金を残せる安心感があります。

年満了(10年・20年更新)と歳満了(60歳・70歳まで)の仕組みも定期保険の重要な選択肢です。年満了は短期間での見直しが可能で、歳満了は長期間の安定した保障を確保できます。

保険料の違い

定期保険は同じ保障額の終身保険と比べて、保険料が大幅に割安に設定されています。30歳男性が2,000万円の死亡保障に加入する場合、定期保険なら月額3,000円程度ですが、終身保険では月額3万円以上になるケースが一般的です。

終身保険の保険料は加入時から変わりませんが、定期保険は更新時に年齢に応じて保険料が上昇します。長期的に見ると、定期保険も継続コストが高くなる可能性があります。

保険料の支払総額で比較すると、定期保険は保険期間中のみの支払いですが、終身保険は長期間または一生涯の支払いが続くため注意が必要です。

保険料の決定方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

解約返戻金の違い

定期保険は基本的に掛け捨て型で、解約時や保険期間満了時に受け取れるお金はありません。一部の商品で解約返戻金がある場合もありますが、支払った保険料に比べて非常に少額です。

終身保険には貯蓄性があり、解約時には契約からの経過期間に応じた解約返戻金を受け取れます。保険料払込期間終了後は、支払った保険料総額を上回る解約返戻金を受け取れる場合もあります。

ただし、終身保険も早期解約では元本割れ(支払った保険料より少ない返戻金)になるリスクがあるため、長期継続が前提の商品といえるでしょう。

定期保険のメリット・デメリット

定期保険は保険料の安さと保障の柔軟性が大きな魅力ですが、一方で掛け捨てになる点や更新時の保険料上昇などのデメリットもあります。メリットとデメリットを正しく理解して、自分の状況に適しているかを判断しましょう。

定期保険の特徴を活かせるのは、一定期間だけ大きな保障が必要で、保険料を抑えたい方です。

定期保険の3つのメリット

保険料が安い

定期保険最大のメリットは、同じ保障額で終身保険の約5分の1から3分の1という圧倒的に安い保険料です。月額数千円で数千万円の大きな保障を確保でき、家計への負担を最小限に抑えられます。

子育て世代など支出が多い時期でも、手頃な保険料で必要十分な死亡保障を準備できるため、家計とのバランスを保ちやすくなります。

ライフステージに合わせて見直しやすい

定期保険は保険期間が決まっているため、満了時や更新時に必要保障額を見直せます。子どもの独立や住宅ローン完済など、ライフステージの変化に応じて保障内容を柔軟に調整可能です。

結婚・出産・転職・退職などの人生の節目で、そのときの状況に最適な保障を選び直せる利便性があります。

特定期間に集中した保障が可能

子育て期間中の手厚い保障や住宅ローン完済までの保障など、リスクが高い特定期間に的を絞った効率的な保障設計ができます。

必要な期間だけ大きな保障を持ち、不要になったら保障を減らすまたは終了できるため、無駄な保険料を払わずに済みます。

定期保険の3つのデメリット

更新時に保険料が上昇する

定期保険の更新時は年齢の上昇により保険料が再計算されるため、ほぼ確実に保険料が高くなります。50代以降は保険料の上昇幅が大きくなり、家計への負担が重くなる可能性があります。

また、多くの商品で80歳前後に更新不可年齢が設定されているため、高齢期には保障を継続できなくなります。

保険料が掛け捨てになる

定期保険は貯蓄性がないため、解約時や保険期間満了時に戻ってくるお金がありません。長期間保険料を支払い続けても、保障を使わなければ支払った保険料は全て掛け捨てになります。

「保険料がもったいない」と感じる方には、心理的なデメリットとなる場合があります。

一生涯の保障が得られない

定期保険では更新可能年齢に上限があるため、最終的には保険期間が終了し、保障のない状態になります。高齢期の整理資金(葬儀費用など)を準備できない点がデメリットです。

老後に保険がない状態で万一のことがあれば、遺族が葬儀費用などを自己負担する必要があります。

終身保険のメリット・デメリット

終身保険は一生涯の保障と貯蓄性が魅力ですが、保険料の高さや早期解約時の元本割れリスクなどのデメリットもあります。長期的な視点で メリットとデメリットを比較検討することが大切です。

終身保険は確実性を重視し、保障と貯蓄を同時に準備したい方に適した保険です。

終身保険の3つのメリット

一生涯の保障で安心できる

終身保険は被保険者がいつ亡くなっても死亡保険金を受け取れるため、確実に遺族へお金を残せます。保険料も加入時から変わらないため、高齢期になっても保険料負担が増加する心配がありません。

年齢とともに健康状態が悪化しても、保険料の上昇や契約の更新を心配する必要がないのは大きな安心材料です。

貯蓄性があり資産形成に活用できる

終身保険は解約時に解約返戻金を受け取れるため、老後資金や教育資金の準備に活用できます。保険料払込期間終了後は、支払った保険料総額を上回る解約返戻金を受け取れる商品が多くあります。

保障を持ちながら計画的な資産形成ができるため、「保険」と「貯蓄」の両方の目的を同時に達成可能です。

相続対策としても有効活用できる

終身保険の死亡保険金は「500万円×法定相続人数」の非課税枠があるため、相続税の軽減効果が期待できます。現金を保険金として遺族に残すことで、納税資金の準備や相続税対策として活用されています。

また、受取人を指定できるため、確実に特定の人にお金を残したい場合にも有効です。

終身保険の3つのデメリット

保険料が高額になりやすい

終身保険の保険料は定期保険の3~5倍と非常に高額になります。同じ家計で大きな死亡保障を準備しようとすると、保険料負担が家計を圧迫する可能性があります。

特に有期払い(60歳払済など)の場合、月々の保険料がさらに高額になるため、家計とのバランスを慎重に検討する必要があります。

早期解約で元本割れする

終身保険は払込期間中に解約すると、支払った保険料総額を下回る解約返戻金しか受け取れない「元本割れ」のリスクがあります。特に契約から10年以内の早期解約では、大幅な損失となる場合があります。

また、インフレが進行した場合、契約時に設定された保険金額や解約返戻金の実質的な価値が目減りするリスクもあります。

保障内容の見直しがしにくい

終身保険は定期保険のような自動的な見直しタイミングがないため、ライフステージの変化に応じた保障内容の調整が困難です。必要保障額が減少しても保障額が変わらないため、過剰な保障状態が続く可能性があります。

自発的に見直しを行わないと、保障の過不足が発生するリスクがあります。

どっちが得?ライフステージ別の選び方

保険選びにおいて「定期保険と終身保険のどちらが良いか」は、年齢・家族構成・収入状況・価値観によって大きく異なります。それぞれのライフステージで重要となるリスクと必要保障額を理解し、最適な保険選択をしましょう。

一般的には若い世代は定期保険中心、中高年以降は終身保険中心の構成が推奨されています。

貯蓄型保険と掛け捨て型保険の違いに関しては、以下の記事詳しく解説しています。

独身の方におすすめ

独身の方は扶養家族がいないため、大きな死亡保障は必要ありません。葬儀費用として300~500万円程度の終身保険に加入しておけば十分です。

若いうちに終身保険に加入することで、将来にわたって保険料を安く抑えられます。また、将来の結婚・出産に備えて家計への負担を最小限に留めることが重要です。

独身時代は貯蓄性のある終身保険で将来への備えを始めつつ、結婚後に定期保険を追加する戦略が効果的です。健康なうちに終身保険に加入しておけば、将来の健康状態に関係なく一生涯の保障を確保できます。

新婚・子育て世代におすすめ

子育て世代は教育費や生活費を含めて2,000~5,000万円の大きな保障が必要になります。この金額を終身保険だけで準備すると月額保険料が非常に高額になるため、定期保険をメインとした保障設計が現実的です。

収入保障保険で生活費を年金形式で準備し、平準定期保険や逓減定期保険で一時的な大きな支出に備える組み合わせが効果的です。

終身保険は葬儀費用程度(300~500万円)で併用し、将来の保障の核として位置づけましょう。子どもの独立とともに定期保険を減額し、終身保険の比重を高めていく計画が理想的です。

子育て終了・中高年におすすめ

子どもの独立により必要保障額が大幅に減少するため、定期保険から終身保険への移行を検討する時期です。老後の整理資金や配偶者の生活資金として、中程度の終身保険を中心とした保障設計に変更しましょう。

相続対策として終身保険を活用し、効率的な資産移転を図ることも重要な検討事項です。低解約返戻金型終身保険を活用すれば、効率的な資産形成も可能になります。

定期保険は住宅ローン完済までの期間や配偶者の年金受給開始までの期間など、限定的な用途での活用に留めることが適切です。

シニア世代におすすめ

シニア世代は配偶者の生活保障として200~500万円程度の終身保険で、葬儀費用や当面の生活資金を準備することが重要です。

相続税対策として一時払終身保険を活用し、現金を保険金として効率的に遺族に残す戦略も有効です。医療費負担の増加に備えて、一定の現金確保も忘れずに行いましょう。

定期保険は基本的に不要ですが、配偶者が若い場合や特殊な事情がある場合には、限定的な活用を検討する場合もあります。

生命保険を活用した相続税対策は、以下の記事で詳しく解説しています。

必要保障額の正しい計算方法

適切な保険選択のためには、まず「本当に必要な保障額」を正確に計算することが不可欠です。感情的に高額な保障を設定するのではなく、客観的な根拠に基づいた必要保障額を算出しましょう。

必要保障額は「遺族の支出」から「遺族の収入」を差し引いて計算します。

必要保障額の基本式

必要保障額の計算は以下の基本式で行います。

必要保障額

  1. 必要保障額=支出見込額−収入見込額・資産額

なお、具体的な内訳は以下のとおりです。

内容詳細
支出見込額子どもが独立するまでの生活費・教育費
子どもが独立した後の配偶者の生活費
教育費、住居費、葬儀費などの別途必要資金
収入見込額・資産額社会保険からの遺族年金や老齢年金
死亡退職金や企業保障
配偶者の働きによる収入
預貯金や相続財産などの資産

この計算式により、社会保険の給付も考慮しながら実際に必要な保障額を算出します。たとえば、子どもが大学を卒業するまでの生活費と配偶者のその後の生活費を計算し、それから見込まれる社会保険の遺族年金や他の収入を差し引いていきます。

つまり、社会保険の給付は収入見込額の一部として差し引くことが必要で、過不足なく保障額を決めることができます。

計算時期によって必要保障額は変化するため、定期的な見直しと再計算が必要です。特に子どもの成長、住宅購入、転職などのライフイベント時には必ず再計算を行いましょう。

遺族の支出内容

被保険者が亡くなった後の遺族の生活費は、現在の生活費の70~80%程度で計算します。被保険者分の食費や小遣いなどの個人的支出が不要になるためです。

末子が独立するまでの期間は現在の生活費の70%、独立後の配偶者単身の生活費は50%程度で見積もるのが一般的です。

教育費は進学コースにより大きく異なりますが、幼稚園から大学まですべて私立の場合は1人当たり約2,500万円が目安です。公立中心なら1人当たり約1,000万円程度となります。

賃貸住宅の場合は家賃が継続的に必要です。持ち家で住宅ローンがある場合、団体信用生命保険でローンが完済されるかを確認してください。

葬儀費用の全国平均は約200万円ですが、地域や宗教により大きく異なります。お墓の準備や法要費用なども含めて400万円程度を見込んでおくと安心です。

遺族の収入内容

厚生年金加入者の遺族は「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」を受給できます。遺族基礎年金は子どもがいる配偶者に支給され、遺族厚生年金は終身で受給可能です。

国民年金のみの場合は遺族基礎年金のみとなるため、会社員より手厚い死亡保障が必要です。

会社員の場合、死亡時に支給される死亡退職金を確認しましょう。勤続年数や会社の規定により金額は異なりますが、数百万円から数千万円の場合があります。勤務先から支給される弔慰金や、各種共済制度からの給付金も収入として計算できます。金額は比較的少額ですが、見落とさずに含めることが大切です。

専業主婦(主夫)が働きに出る場合の収入や、既に働いている配偶者の継続収入を見込みます。子育てとの両立や年齢を考慮して現実的な金額で計算しましょう。

現在保有している預貯金や投資信託、株式などの金融資産は遺族の収入として計算できます。ただし、教育費など特定目的の資産は別途管理が必要です。

遺族年金に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

必要な保障額を具体例でシミュレーション

具体的な事例に基づいて、必要保障額をシミュレーションしてみます。

内容詳細
【家族構成】・世帯主:35歳、会社員、年収600万円
・配偶者:32歳、専業主婦(パート収入年80万円)
・長男:8歳
・長女:5歳
【前提条件】・現在の家計支出:月30万円(年360万円)
・持ち家(住宅ローン残高:2,000万円、団体信用生命保険加入済み)
・現在の貯蓄:500万円

支出見込額の計算

費目期間・対象年額期間(年)総額(万円)
子ども独立までの生活費長女22歳まで288万円17年4,896
配偶者の老後生活費49歳〜85歳200万円36年7,200
長男の教育費小学校〜大学--550
├ 小学校〜高校(公立)---150
└ 大学(私立文系)---400
長女の教育費小学校〜大学--550
├ 小学校〜高校(公立)---150
└ 大学(私立文系)---400
葬儀費---200
住居費---0
合計13,396

支出見込額を合計すると、1億3,396万円と試算できました。続いて、社会保険からの給付や預貯金などを鑑みて、民間保険で備えるべき保証額を計算します。

収入見込額・資産額の計算

収入・資産項目内訳年額期間(年)総額(万円)
遺族年金7,428
遺族基礎年金子ども2人分含む102万円14年1,428
遺族厚生年金配偶者85歳まで120万円50年6,000
配偶者の収入6,760
子ども独立までパート収入80万円17年1,360
子ども独立後フルタイム想定150万円36年5,400
企業保障1,500
死亡退職金---1,200
既存資産500
合計15,888

収入見込額・資産額を合計すると1億5,888万円となり、支出見込額の合計を上回りました。つまり、今回の事例では追加の生命保険は不要という結論になります。

ただし、あくまでも上表はシミュレーションに過ぎません。実際には、配偶者の就労状況が変化したり子どもの進路が想定とは異なったり、可変要素が多くあります。必要に応じて適宜見直し、保障が不足する場合は必要な分だけ加入を検討しましょう。

年代別の平均必要保障額

生命保険文化センターの調査データによると、年代別の平均的な必要保障額は以下のようになっています。

年代保障額の目安主な理由・特徴
30代3,000~4,000万円• 子どもが小さく教育費が長期間必要
• 最も大きな保障額が必要な時期
• 住宅ローンがある場合はさらに保障額が増加
40代2,500~3,500万円• 子どもの成長により必要保障額は徐々に減少
• 進学費用がピークを迎える
• 依然として大きな保障が必要
50代1,500~2,500万円• 子どもの独立が近づき必要保障額は大幅に減少
• 配偶者の老後生活費が主な保障目的
60代以上500~1,000万円• 葬儀費用や配偶者の当面の生活費程度で十分
• 相続対策も含めて検討が必要

一般的に年齢が上がるにつれて必要保障額は減少する傾向にあることがわかります。特に30代では教育費と住宅ローンの両方を考慮する必要があり、保障額が最も高くなる点が特徴です。

なお、保険は「入ったら終わり」ではありません。ライフステージの変化(転職、出産、住宅購入、離婚等)に応じて保障内容を見直すことが大切です。また、インフレや教育費の変動も考慮に入れる必要があります。

保険料を抑える方法

保険料の負担を軽減しつつ、必要な保障を確保するためには、いくつかの工夫があります。これらの方法を活用することで、同じ保障内容でも保険料を大幅に節約できる可能性があります。

保険料の節約は長期間にわたって家計改善効果をもたらすため、加入時にしっかりと検討しましょう。

払込方法の工夫

険料の支払い方法を月払いから年払いに変更するだけで、一般的に年間保険料を約5%節約できます。半年払いでも約2~3%の節約効果があります。

まとめ払いにより保険会社の事務コストが削減されるため、その分が保険料割引として契約者に還元されます。

口座振替による払込手数料の節約も積み重ねると大きな差になります。クレジットカード払いの場合はポイント還元も考慮して最適な方法を選択しましょう。

保険料の一時払いと平準払いの違いに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

保険金額の最適化

感情的に設定した高額な保障額ではなく、必要保障額の計算結果に基づいて適正化することで保険料を大幅に削減できます。

公的保障制度(遺族年金など)を正しく理解し、その分を保障額から差し引くことも重要です。住宅ローンがある場合の団体信用生命保険の効果も忘れずに考慮しましょう。

段階的な保障額設定により、ライフステージに応じた無駄のない保障設計が可能です。

定期・終身の両方を使い分ける

5~10年程度の短期間だけ保障が必要な場合は、更新型の定期保険が保険料を抑えられます。

長期間(15年以上)の保障が必要な場合は、全期型(歳満了)を選択することで、将来の保険料上昇を避けられます。

ライフプラン全体を考慮して、最適な期間設定を行うことが保険料節約のポイントです。

資産形成を進めたいなら、変額保険や外貨建て保険も検討する余地があります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

複数保険会社の比較検討

同条件での保険料比較は必須 同じ保障内容でも保険会社により保険料は大きく異なります。複数社で見積もりを取り、最も条件の良い保険会社を選択しましょう。

ネット保険の活用により、営業コストが削減された分だけ保険料が安くなる場合があります。保険相談サービスを上手に活用して、効率的な比較検討を行ってください。

ただし、保険料の安さだけでなく、保険会社の財務健全性や支払い能力も重要な選択基準です。

あなたに合った「保険の種類」を選ぶことも大切です。こちらの記事で、生命保険の種類を解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

よくある保険選びの失敗例と対策

保険選びでは多くの方が共通する失敗パターンがあります。これらの失敗例を事前に知ることで、適切な保険選択ができるようになるでしょう。

保険は長期間にわたる契約のため、初期の判断ミスが大きな影響を与えます。

失敗例1:保障額設定のミス

「もしものときに家族に迷惑をかけたくない」という思いから、必要以上に高額な保障額を設定してしまうケースが頻発しています。月々の保険料負担が重くなり、家計を圧迫する原因となります。

効果的な対策は、必要保障額の客観的に計算することです。必要保障額の計算式に基づいて、根拠のある保障額を設定しましょう。遺族年金などの公的保障も正しく織り込むことで、適正な保障額を算出できます。

定期的な見直しにより、ライフステージの変化に応じて保障額を調整することも重要です。

失敗例2:更新時の保険料上昇を軽視

契約時の保険料だけを見て定期保険に加入し、更新時の保険料上昇を軽視してしまう失敗があります。50代以降は保険料が急激に上昇するため、継続困難になる場合があります。

効果的な対策は、ライフプラン全体で検討することです。契約期間全体での保険料負担を試算し、家計への影響を事前に確認しましょう。必要に応じて全期型や終身保険への移行も検討してください。

更新不可年齢も考慮して、老後の保障確保方法を事前に計画することが大切です。

失敗例3:保険だけでの資産形成

「保険で貯蓄もできる」という理由で終身保険だけに資産形成を依存し、他の投資手段を検討しない失敗があります。終身保険の利回りは必ずしも高くないため、資産形成効率が悪くなる場合があります。

NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用しつつ、投資信託や株式も併用しましょう。終身保険は確実性の高い資産形成手段として位置づけ、より高いリターンを期待できる資産への投資をするのがおすすめです。

リスクとリターンのバランスを考慮した分散投資により、効率的な資産形成が可能です。

この記事のまとめ

保険は「家計を守るコスト」と「資産を育てる手段」を混同せず、必要保障額が大きい期間は掛け捨てでコストを抑え、目的が明確な長期資金だけを貯蓄型で賄うのが合理的です。契約前には総支払額と返戻金の実質利回り、流動性、解約条件を比較し、複数社の見積もりをFPと検証することで後悔を防げます。読後は現在加入中の保険証券を確認し、保障と貯蓄を分離した設計になっているか点検してみましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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ファイナンシャル・プランナーとは、お金に関する幅広い知識を持ち、個人や家庭のライフプランに応じた資金計画や資産運用、保険、税金、年金、相続などについてアドバイスを行う専門家のことです。略して「FP(エフピー)」と呼ばれることもあります。例えば、子どもの教育資金や老後の生活費をどのように準備するか、住宅ローンをどう組むべきか、保険は見直すべきかといった具体的な悩みに対して、相談者の状況に合ったプランを提案してくれます。国家資格や民間資格を持つファイナンシャル・プランナーが存在し、中立的な立場でアドバイスをしてくれる点が信頼されています。投資や家計管理に自信がない方にとって、人生の重要なお金の意思決定をサポートしてくれる心強い存在です。

貯蓄型保険(積立型)

貯蓄型保険(積立型)とは、万が一の保障に加えて、将来的にお金が戻ってくる仕組みを備えた保険商品のことです。保険料の一部が積み立てられ、契約満了時や途中解約時に「解約返戻金」や「満期保険金」として受け取れるようになっています。 代表的な商品には、終身保険、養老保険、学資保険などがあり、保険としての安心を持ちながら、同時に資産形成も行えるのが特徴です。特に、教育資金や老後資金の準備、相続対策など、目的を持った長期の計画に活用されます。 「掛け捨て型保険」と異なり、支払った保険料が将来的に戻ってくるため、保険と貯金の“ハイブリッド”として位置づけられる商品です。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるほか、運用利回りが低めに抑えられていることが多いため、目的と期間をしっかり考えて加入することが大切です。 保障と貯蓄を1つの仕組みで両立させたい人にとって、計画的な資産形成の手段として有効な選択肢のひとつです。

解約返戻金

解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。

予定利率

予定利率は、生命保険会社が保険契約者に対してあらかじめ約束する運用利回りのことです。これは保険会社が保険料を計算する際に用いる重要な指標の一つで、契約者から払い込まれた保険料を運用して得られると予想される運用利回りを表します。 予定利率は保険料の設定に大きな影響を与えます。予定利率が高い場合は保険料が安くなり、低い場合は高くなります。これは、高い予定利率では将来の運用によるリターンを多く見込めるため、保険料を低く抑えることができるからです。 予定利率の決定方法は、まず金融庁が国債の利回りなどを参考に「標準利率」を設定し、その後各保険会社が標準利率を基準に自社の状況を反映して決定します。 予定利率には特徴があり、契約時点の率が適用され、基本的には支払い終了時や更新時まで同率で変わりません。バブル経済期には高い予定利率の保険が多く販売され、これらは「お宝保険」と呼ばれています。近年は低金利環境により、予定利率は低下傾向にあります。 保険料の計算には予定利率以外にも、予定死亡率(性別、年齢別に想定される死亡率)や予定事業費率(保険会社の運営に必要な経費の割合)も影響します。これら3つの要因を合わせて「予定基礎率」と呼びます。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、個人が支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の課税所得額を一定金額まで減らすことができる税制上の優遇制度です。この控除によって、納める税金が軽減されるため、実質的に保険料の一部が戻ってくる効果があります。 対象となる保険は、「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3つの区分に分かれており、それぞれに控除限度額が設けられています。控除を受けるには、保険会社から発行される控除証明書を年末調整や確定申告の際に提出する必要があります。保険による万一への備えと、節税効果の両方を得られる制度として、多くの人に活用されています。初心者にとっても、生命保険を契約する際にはこの控除制度の存在を知っておくことで、より効果的な保険選びや家計管理につなげることができます。

都道府県民共済

都道府県民共済とは、各都道府県に住む人々が組合員となり、掛金を出し合って万一の病気やけが、死亡などに備える協同組合方式の保険制度です。営利を目的としない仕組みのため、保険料に相当する掛金が比較的低く抑えられ、余剰が出た場合には割戻金として組合員に還元される特徴があります。 また、シンプルな保障内容とわかりやすい加入手続きが支持されており、家計の固定費を抑えつつ必要な保障を確保したい人に適した選択肢といえます。

掛け捨て保険

掛け捨て保険とは、一定期間の保障を得ることに特化した保険で、保険期間が終わった後に保険料が戻ってこないタイプの保険です。代表的なものに、定期型の生命保険や医療保険があります。保障が必要な期間に絞って加入できるため、毎月の保険料を安く抑えられるのが大きな特徴です。貯蓄機能はないものの、万一に備えるコストパフォーマンスが高く、特に子育て世代や住宅ローン返済中など、一時的に大きな保障を必要とする方に適しています。「お金が戻らないから損」と感じる方もいますが、必要な時期に必要な保障を効率よく確保する手段として、多くの方に利用されています。

終身保険

終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。

個人年金保険

個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。

養老保険

養老保険とは、「保障」と「貯蓄」の両方の機能を備えた生命保険です。契約期間中に万が一亡くなった場合には「死亡保険金」が支払われ、無事に満期を迎えた場合には「満期保険金」として同じ金額が受け取れるのが大きな特徴です。 そのため、老後資金の準備やお子さまの教育資金づくりなど、将来に備えながら万が一にも備えられる保険として活用されています。貯金感覚で利用できる点から、計画的に資金を準備したい方に適しています。 ただし、保障と貯蓄の両方を兼ね備えているため、保険料は定期保険よりも高めに設定されている点には注意が必要です。しっかりと目的と費用のバランスを考えて加入することが大切です。

学資保険

学資保険とは、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品で、一定期間保険料を支払うことで、子どもの進学時期(中学・高校・大学入学など)に合わせて祝い金や満期保険金が受け取れる仕組みになっています。保険であるため、契約者(通常は親)に万が一のことがあった場合でも、以後の保険料の支払いが免除され、満期時には予定どおりの給付金が支払われる点が大きな特徴です。 貯蓄機能と保障機能が組み合わさっており、「教育費を積み立てながら万一に備えたい」と考える家庭に人気があります。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるため、長期的な資金計画としての活用が前提となります。初心者の方にとっては、預貯金とは違う形で将来の教育資金を準備できる手段のひとつとして、選択肢に入れて検討する価値があります。

定期保険

定期保険とは、あらかじめ決められた一定の期間だけ保障が受けられる生命保険のことです。たとえば10年や20年といった契約期間のあいだに万が一のことがあれば、保険金が支払われますが、その期間を過ぎると保障はなくなります。保障期間が限定されているため、保険料は比較的安く設定されています。特に子育て世代や住宅ローンを抱えている方など、特定の期間だけ万が一の保障を重視したい場合に適しています。貯蓄性はなく、純粋に「保障のための保険」である点が特徴です。

医療保険

医療保険とは、病気やケガによる入院・手術などの医療費を補償するための保険です。公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、日本では健康保険や国民健康保険が公的制度として提供されています。一方、民間医療保険は、公的保険でカバーしきれない自己負担分や特定の治療費を補填するために活用されます。契約内容によって給付金の額や支払い条件が異なり、将来の医療費負担を軽減するために重要な役割を果たします。

がん保険

がんと診断されたときや治療を受けたときに給付金が支払われる民間保険です。公的医療保険ではカバーしきれない差額ベッド代や先進医療の自己負担分、就業不能による収入減少など、治療以外の家計リスクも幅広く備えられる点が特徴です。通常は「診断一時金」「入院給付金」「通院給付金」など複数の給付項目がセットされており、加入時の年齢・性別・保障内容によって保険料が決まります。 更新型と終身型があり、更新型は一定年齢で保険料が上がる一方、終身型は加入時の保険料が一生続くため、長期的な負担の見通しを立てることが大切です。がん治療は医療技術の進歩で入院期間が短くなり通院や薬物療法が中心になる傾向があるため、保障内容が現在の治療実態に合っているかを確認し、必要に応じて保険の見直しを行うと安心です。

就業不能保険

就業不能保険とは、病気やけがで働けなくなり、収入が得られなくなった場合に、一定期間ごとに保険金が支払われる民間の保険商品です。この保険は、入院や自宅療養などで仕事を続けられない状況が長引いたときに、生活費やローン返済などの家計の負担を軽減するために設けられています。 公的な障害年金制度ではカバーしきれない部分を補う目的があり、自営業者やフリーランスなど、収入の保障が不安定な人に特に注目されています。保障内容や支払期間、免責期間などは契約ごとに異なるため、自分の職業やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

満期保険金

満期保険金とは、保険契約で定められた期間が終了したときに、契約者や被保険者に支払われるお金のことをいいます。たとえば、10年や20年などの一定期間保険料を払い続け、満期になったときにその保険が「満了」すると、あらかじめ決められた金額が支払われます。 このお金は、死亡や病気などのリスクに備えるだけでなく、貯蓄のように将来の資金づくりにも役立つという特徴があります。特に学資保険や養老保険などでよく使われる仕組みです。

返戻率

返戻率とは、生命保険や学資保険などの貯蓄型保険において、支払った保険料の総額に対して、満期や解約時に受け取れる金額(解約返戻金や満期保険金)がどのくらいの割合で戻ってくるかを示す指標です。たとえば、200万円の保険料を支払って、満期時に220万円を受け取れる場合、返戻率は110%となります。 この数値が100%を上回れば「支払った保険料より多く戻る」、下回れば「元本割れ」ということになります。返戻率は商品選びの際の比較指標としてよく使われ、特に学資保険や個人年金保険など、将来の資金準備を目的とした保険において注目されます。 ただし、返戻率が高い商品は契約条件が厳しかったり、途中解約に弱かったりする場合もあるため、利率だけでなくライフプラン全体を見据えて判断することが大切です。保険を「貯蓄」としても考える初心者にとって、返戻率は理解しておくべき基本的な指標です。

流動性

流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。

元本割れ

元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。

必要保障額

必要保障額とは、万一の際に残された家族が現在と同等の生活水準を維持しながら、将来の教育費や住宅費といった支出も含めて安心して暮らしていけるよう、生命保険などで準備すべき金額を指します。具体的には、遺族の生活費、子どもの教育資金、住宅ローンの残債、葬儀費用などの「必要資金」から、公的遺族年金、勤務先の死亡退職金、既存の貯蓄や保険などの「準備済み資金」を差し引くことで算出します。 この必要保障額は、家族構成や年齢、子どもの進学予定、住宅ローンの残り期間など、個々のライフプランによって大きく異なります。たとえば、子どもが小さいうちは教育費や生活費の負担が長期にわたるため保障額は大きくなりがちですが、成長とともに必要な保障額は徐々に減少していきます。また、配偶者の就労状況や資産形成の進捗によっても必要な金額は変動します。 そのため、保険を一度加入したら終わりではなく、ライフステージの変化に応じて定期的に見直すことが重要です。保障が過剰であれば保険料の無駄払いになり、逆に不足していればいざというときに家族が困ることになります。こうしたリスクを避けるためにも、保険はライフプラン全体の中での位置づけとして考えることが不可欠です。 保険加入を検討する際には、営業担当者の提案を鵜呑みにせず、自分の生活設計に照らして必要な保障内容を見極めることが大切です。保障の目的や期間、公的制度とのバランス、そして家計や資産運用との整合性を踏まえた設計にすることで、無理なく持続可能な保険の活用が実現できます。必要に応じて、ライフプランニングに精通した中立的な専門家に相談し、現状の見直しと将来設計を行うのも有効な方法です。

個人年金保険料控除

個人年金保険料控除とは、一定の条件を満たす個人年金保険に加入し、その保険料を支払った場合に受けられる所得控除の制度です。確定申告や年末調整で申告すると、支払った保険料のうち所定の計算式で算出した額が所得から差し引かれ、その分だけ所得税や住民税が軽減されます。2012年以降に契約した新制度では、控除できる上限額が所得税で年間4万円、住民税で年間2万8,000円と定められ、一般・介護医療・個人年金の各保険料控除を合わせた適用限度額は所得税で12万円までとなっています。将来の年金づくりを行いながら節税も図れるため、長期的な資産形成を目指す人にとって利用価値の高い制度です。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1ヶ月間に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超過分については後から払い戻しを受けられる公的な医療費助成制度です。日本の公的医療保険制度では、治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者等は1〜2割)とされていますが、重い病気や手術、長期入院などで医療費がかさむと、家計への影響が大きくなります。高額療養費制度は、そうした経済的負担を軽減するために設けられており、「所得区分に応じた月ごとの上限額」を超える分について、申請によって払い戻しを受けることができます。 さらに、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示すれば、病院の窓口で支払う額自体を、最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の申請を待たずに、現金の一時的な負担を大きく減らすことができます。 この制度の上限額は、70歳未満・70歳以上で異なり、さらに被保険者の所得区分(年収目安)に応じて細かく設定されています。例えば、年収約370万〜770万円程度の方(一般的な所得区分)であれば、1ヶ月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となり、想定以上の医療費負担が発生しても、上限を超えた分は保険者から還付されます。 資産運用の観点では、この制度の存在によって、突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、「民間医療保険や緊急時資金の準備」を過度に厚くする必要がない可能性があります。 つまり、医療費リスクへの備えを公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考える際、この制度の適用範囲を正しく理解しておくことが、保険の選択や生活防衛資金の適切な設定に役立ちます。特に、高所得者層や自営業者は制度上の上限額が比較的高めに設定されている点や、支給までにタイムラグがあることも踏まえ、制度と現金の備えの両面から検討することが重要です。

割戻金

割戻金とは、共済や協同組合型の保険で決算後に剰余が生じた場合、その余剰を組合員や契約者に払い戻すお金のことです。営利企業の配当と異なり、非営利組織が掲げる「構成員への利益還元」という理念に基づいており、掛金が安いままでも実際の保障コストがさらに低く済めば、その差額が割戻金として戻ってきます。 これにより加入者は、当初の掛金だけでなく実質的な負担額も小さく抑えられ、家計の防衛力を高めながら保障を維持できます。また、割戻金の有無や金額は毎年の事業成績に左右されるため、共済を選ぶ際には過去数年の割戻実績を確認することが、長期的なコストパフォーマンスを判断するうえで大切です。

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、その遺族に支給される公的年金のことです。対象となるのは、主に配偶者(特に一定年齢以上の妻)、子ども、父母、孫、祖父母などで、生計を同じくしていたことが条件とされます。 遺族基礎年金が子どもがいる世帯を中心に支給されるのに対し、遺族厚生年金は子どもがいなくても一定の条件を満たせば支給されるため、対象範囲がやや広いのが特徴です。支給額は、亡くなった人の厚生年金の納付記録や報酬額に基づいて計算されるため、個人差があります。また、遺族基礎年金と併用して受け取れる場合もあり、特に現役世代の死亡リスクに備える重要な保障制度のひとつとされています。家計の柱を失ったときに、遺族の生活を長期にわたって支える仕組みです。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が亡くなったときに、その人に生計を維持されていた一定の家族(主に子どもがいる配偶者や子ども自身)に支給される年金です。これは公的年金制度のひとつで、生活保障を目的としており、主に子育て世帯を対象にしています。たとえば、夫が亡くなり、子どもを育てる妻がいる場合、その妻に遺族基礎年金が支給されます。受給の条件には、亡くなった人が保険料を一定期間納付していたことや、受け取る側に対象となる子どもがいることなどが含まれます。支給額は定額で、子どもの人数に応じた加算もあります。子どもが一定年齢に達すると支給は終了します。家計を支える人を失ったときに、遺族の生活を一定期間支援する大切な制度です。

J-FLEC認定アドバイザー

J-FLEC認定アドバイザーとは、金融リテラシーの向上を目的とする団体「J-FLEC(ジャパン・ファイナンシャル・リテラシー・アセスメント・コンソーシアム)」が認定する、金融教育の専門知識を持ったアドバイザーのことです。この資格を持つ人は、家計の見直しや資産形成、金融商品の選び方などについて、正しい知識に基づいたアドバイスができると認められています。投資初心者やお金に関する判断に自信がない方が、信頼できる相談相手として活用できる存在です。特に中立的な立場でアドバイスを行うことが求められており、特定の商品を売ることが目的ではない点が大きな特徴です。

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