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貯蓄型保険と掛け捨て保険はどっちが得?5つの違いやそれぞれが向いている人の特徴を紹介

貯蓄型保険と掛け捨て保険はどっちが得?5つの違いやそれぞれが向いている人の特徴を紹介

貯蓄型保険と掛け捨て保険はどっちが得?5つの違いやそれぞれが向いている人の特徴を紹介

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執筆者:

公開:

2025.06.18

更新:

2025.11.18

ライフイベント貯蓄型保険定期保険生命保険

「教育費や老後資金を貯めつつ家族の保障も確保したい」―そんな願いに応える手段として注目されるのが貯蓄型保険ですが、高い保険料や元本割れリスクを見落とすと後悔につながります。反対に掛け捨て保険はコストを抑えられる一方で資産形成性はゼロ。本記事では両タイプを保険料、返戻金、資産形成性、流動性、柔軟性の五つの軸で比較し、目的別に最適な組み合わせ方と公的保障を踏まえた活用ポイントを具体的に解説します。

サクッとわかる!簡単要約

本稿を読めば、貯蓄型と掛け捨ての違いを短時間で理解し、返戻率や「元が取れるか」に惑わされず「保障は守り、投資は攻め」という視点で保険を設計できるようになります。必要保障額を数値で把握し、浮いた保険料をNISAやiDeCoに回す判断基準、さらに独立系FPを活用した客観的な商品選定プロセスまで身に付くため、読了後すぐに自分に合う保険プランづくりへ行動を移せます。

目次

貯蓄型保険とは?仕組みと特徴

掛け捨て型保険とは?仕組みと特徴

掛け捨て型と貯蓄型どっちが得?本当に見るべきポイントとは?

保険の本質を理解する

貯蓄型保険の手数料は高くなりやすい

返戻率ではなく保険に入る目的との整合性で判断する

保険と貯金はどっちが得?判断するための3つの考え方

ポイント1:保険は「守り」資産形成は「攻め」と割り切る

ポイント2:貯蓄型保険以外よりもNISA・iDeCoのほうがさまざまな面で有利

ポイント3:公的保険でもある程度のリスクに備えられる

貯蓄型保険と掛け捨て保険の違いを5つの視点で比較

①保険料(毎月の支出):掛け捨ては安く貯蓄型は高い

②解約返戻金・満期金:掛け捨てはゼロだが貯蓄型はあり

③資産形成性:掛け捨てはほぼゼロだが貯蓄型はあり

④流動性:掛け捨ては優れているが貯蓄型は制約あり

⑤保険の柔軟性:掛け捨ては見直し容易、貯蓄型は硬直的

民間の生命保険以外の選択肢|都道府県民共済

貯蓄型保険とは?仕組みと特徴

貯蓄型保険は、保険としての保障機能と貯蓄機能を併せ持つ保険商品です。支払った保険料の一部が積み立てられ、満期時や解約時に満期保険金や解約返戻金として戻ってくる仕組みになっています。

  1. 代表的な商品には終身保険、養老保険、学資保険などがあります。最大の特徴は、保険期間中は死亡保障などの保険機能を持ちながら、将来的に積み立てたお金を受け取れる点です。保険料は掛け捨て型と比べて高額になりますが、長期的な資産形成の手段として活用できます。

また、生命保険料控除による節税効果も期待できます。ただし、早期解約すると元本割れのリスクがあり、インフレによる実質的な価値の目減りも考慮する必要があります。予定利率が固定されている商品が多く、市場金利が上昇しても恩恵を受けにくいという側面もあります。

貯蓄型保険の特徴や種類などは、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

掛け捨て型保険とは?仕組みと特徴

掛け捨て型保険は、保障期間中に保険事故が発生した場合のみ保険金が支払われ、満期時や解約時の返戻金がない、または極めて少ない保険商品です。定期保険、医療保険、がん保険などが代表的で、純粋に保障機能に特化しています。

  1. 最大のメリットは保険料の安さです。貯蓄機能がない分、同じ保障額でも貯蓄型保険と比べて保険料を大幅に抑えることができます。これにより、家計への負担を軽減しながら、必要な保障を確保できます。特に子育て世代など、一時的に高額な保障が必要な時期に適しています。

保険料が掛け捨てになるため「もったいない」と感じる人もいますが、保険本来の目的である「万が一への備え」を最小コストで実現できる合理的な選択肢です。保障内容の見直しや、ライフステージに応じた保険の切り替えも柔軟に行えるため、変化する生活環境に対応しやすいという利点もあります。

掛け捨て型保険の特徴やメリットなどは、こちらの記事も参考にしてみてください。

掛け捨て型と貯蓄型どっちが得?本当に見るべきポイントとは?

貯蓄型と掛け捨て型を比較するときによく聞かれるのが「結局どっちが得なの?損なの?」という質問です。そもそも、保険は万が一のリスクに備えるものであり、損得で評価するものではありません。

この前提を踏まえて、保険選びで見るべきポイントを解説します。

保険の本質を理解する

保険の本質は「相互扶助の仕組み」であり、多数の人が少額の保険料を出し合い、万が一の事態に遭遇した人を経済的に支援するシステムです。つまり、個人では対応困難な大きなリスクを、集団で分散・共有することで管理可能にする金融技術といえます。

この本質を理解せずに「掛け捨てか貯蓄型か」という選択をすると、判断を誤りやすくなります。保険を投資や貯蓄の手段として捉えてしまうと、本来必要な保障が不足したり、逆に不要な高額保険料を支払い続けることになりかねません。

  1. 重要なのは、まず自分や家族が直面する可能性のあるリスクを把握し、そのリスクが現実化した際の経済的損失を評価することです。その上で、貯蓄では対応できない規模のリスクに対して保険を活用するという順序で考えるべきです。

保険はあくまでリスク管理の手段であり、この原則を理解することで、掛け捨て型と貯蓄型のどちらが自分に適しているかを合理的に判断できるようになります。

貯蓄型保険の手数料は高くなりやすい

保険について考えるとき、多くの人が目先の返戻率や受取額に注目しがちです。例えば、「貯蓄型保険なら満期に払った分以上戻ってくるから得」「掛け捨ては何も返ってこないから損」といった見方です。

貯蓄型保険で満期金や解約返戻金を受け取れるのは、自分が払った保険料の一部が戻ってきているに過ぎません。契約者が積み立てたお金と、運用益の一部が返ってきている構造です。

  1. 貯蓄型の保険料は、大きく分けて「保障のためのコスト(純保険料部分)」と「貯蓄のための積立金部分」に充てられています。保障コストは掛け捨て保険の保険料に相当し、積立金部分が将来戻ってくるお金になります。つまり、満期や解約で受け取れるお金は、自分が積み立てていたお金が戻るだけなのです。

例えば、ある貯蓄型保険の月額保険料が1万円、その掛け捨て型相当の保障だけなら月額3千円だとします。この場合、差額の7千円は将来返ってくるかもしれない積立です。貯蓄型では毎月1万円払って将来まとめていくらか受け取りますが、掛け捨て型では毎月7千円少ない支払いで済み、その分を自分で貯めておくことも可能です。

「保険で積み立てるか、自分で積み立てるか」の違いであり、単に貯蓄型だけが得をして掛け捨て型が損をしているわけではないことがわかります。

貯蓄型保険で戻ってくるお金も、そこに至るまでにかなりの保険料を支払っています。例えば「20年間で200万円払って、満期に220万円受け取れる保険」があったとします。一見20万円得しているようですが、その間の200万円の支出を考慮しなければ正しい比較はできません。

しかも、その20万円増は20年運用した結果なので、年利換算ではごくわずかです。保険料総額に対する戻りの割合(返戻率)や内部利回りをきちんと計算すると、貯蓄型保険の運用効率は悪く、積極的に資産を増やす手段としては適切ではありません。

返戻率ではなく保険に入る目的との整合性で判断する

大切なのは、自分が何のために保険に入るのか、将来どんな資金を準備したいのかを明確にした上で判断することです。保険の目的は万が一の事態が発生したときの安心感であり、そもそも損得で考えるべきではありません。

  1. 例えば、「掛け捨てだと元が取れないから嫌だ」と貯蓄型に入ったとします。しかし肝心の保障が足りていなければ、本末転倒です。万一の際に家族に充分なお金が残せなければ、保険に入る意味がありません。

「万が一の際の生活保障」という目的に対して、必要十分な保障額が得られるかをまず考えましょう。その上で、貯蓄性や返戻率は副次的な要素として評価すべきです。

変額保険・NISA・iDeCoの違いに関して、以下のFAQで解説しています。目的と手段を整理するときの考え方について、参考にしてみてください。

保険と貯金はどっちが得?判断するための3つの考え方

貯蓄型保険を活用した保険と自分自身で行う貯金のどちらが得か、と迷う方は少なくありません。結論としては、保険と貯蓄は分けて考えるべきです。その理由について、以下で詳しく解説します。

ポイント1:保険は「守り」資産形成は「攻め」と割り切る

お金の計画において、保険は守りの手段、投資は攻めの手段と言われます。保険は「もしものときの備え」、つまり家計を守る防御策です。

一方で、資産運用(投資)は「お金を増やす手段」、将来のために積極的に資産を増やす手段です。この役割の違いを明確に理解し、混同しないことが家計管理の基本となります。

貯蓄型保険は保障と貯蓄を同時に叶える商品ですが、裏を返せば攻めと守りを1つにまとめた妥協策に過ぎません。そもそも、保険と資産形成では、目的が以下のように全く違います。

保険と資産形成の違い

  1. 保険:万が一のリスクに対して、契約者全員で備える
  2. 資産形成:将来の豊かな生活のために、自分で備える

目的が違うものを一つの商品としてまとめると、どちらの機能も中途半端になる恐れがあります。つまり、保障に重点を置けば貯蓄効率は下がり、貯蓄性を高めれば保障コストは割高になってしまうのです。

保険を貯蓄代わりにしている方の中には「投資は怖いが保険なら安心」と思っているケースもあります。しかし、資産を増やすという点では保険はあくまで控えめな手段であり、インフレや長寿リスクに十分備えられません。

掛け捨て型保険で万一の必要保障だけ押さえ、浮いたお金は全て積立投資や貯蓄に回すことで、それぞれの役割を専門特化させられます。保険料は最小限なので家計への負担が減り、より多くの資金を資産形成に振り向けられます。

自分自身で投資をすれば、市場環境によっては保険の積立より高いリターンを狙うことも可能です。たとえ投資のリターンが保険ほど安定していなくとも、長期分散すればリスクを抑えて増やせる可能性が高まります。

資産形成をする際に有効活用すべき制度がNISAです。NISAに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

ポイント2:貯蓄型保険以外よりもNISA・iDeCoのほうがさまざまな面で有利

貯蓄型保険に頼らなくても、資産形成をする方法はたくさんあります。保険会社や保険代理店の営業員から「貯蓄型保険は安心安全な方法」というセールストークを受けるかもしれませんが、他の手段と比較したうえで、加入すべきか判断しましょう。

例えば、元本保証型の手段としては、銀行預金や積立定期預金が挙げられます。金利は低いものの確実に貯まりますし、いつでも引き出せる流動性もあります。学資保険の代わりに児童手当をそのまま貯金しておく、という家庭もあります。

さらに、昨今注目すべきは積立投資です。NISAのつみたて投資枠やiDeCoなどを利用すれば、毎月少額から投資信託で運用が可能です。20年〜30年という長期でコツコツ積み立てれば、多少のリスク商品でもリターンが期待でき、長期分散でリスクもかなり緩和されます。

例えば、子どもの教育資金を学資保険ではなく、NISAで10年以上積み立てて運用した場合、運用次第では学資保険以上に資金を用意できる可能性もあります(もちろん元本保証はありませんが、その分期待リターンは高めです)。

老後資金を計画的に用意したい場合、iDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめです。老後資金目的であれば、個人年金保険よりもiDeCoの方が税制優遇も大きく、自分で運用商品を選べるメリットがあります。

iDeCoに関する基本情報や個人年金保険との比較に関しては、以下の記事をご覧ください。

ポイント3:公的保険でもある程度のリスクに備えられる

民間保険への加入を検討する前に、まず社会保険制度の理解を深めることが重要です。日本の社会保険制度は非常に優れており、既に私たちの生活における多くのリスクをカバーしています。

保険制度備えられるリスク主な給付内容
健康保険病気・ケガによる医療費負担・医療費の7割給付・高額医療費制度・傷病手当金(休業補償)など
厚生年金保険老後の生活資金不足・老齢厚生年金・基礎年金との2階建て構造
現役世代の死亡リスク・遺族厚生年金・遺族基礎年金との2階建て構造
障害による収入減少・障害厚生年金・障害基礎年金との2階建て構造
介護保険要介護状態による経済負担・介護サービス費用の7~9割給付・居宅・施設サービス
雇用保険失業による収入途絶・失業給付・職業訓練給付など
育児・介護による休業・育児休業給付・介護休業給付
労災保険業務上・通勤中の事故・疾病・療養補償給付・休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付など

これらの公的保障を正確に把握することで、本当に必要な民間保険を判断できます。例えば、遺族基礎年金や遺族厚生年金がある中で過度な生命保険に加入したり、高額医療費制度があるにも関わらず過剰な医療保険に入るリスクを避けられるでしょう。

また、保険以外にも児童手当で教育資金の一部を用意することが可能です。高校や大学の授業料無償化など、様々な公的支援制度を含めてシミュレーションすれば、実は必要な民間保険は不要というケースもあり得ます。

  1. 前述のように保険を最小限にして他の手段に資金を回した方が、トータルでは効率的なことも少なくありません。保険商品だけに頼る必要は全くなく、選択肢は多様だということを覚えておきましょう。

貯蓄型保険と掛け捨て保険の違いを5つの視点で比較

貯蓄型と掛け捨て型、それぞれの基本が分かったところで、具体的に何がどう異なるのかを比較してみましょう。以下では5つの視点から両者の特徴の違いを解説します。

①保険料(毎月の支出):掛け捨ては安く貯蓄型は高い

同じ保障内容・保障額で比べると、掛け捨て型は保険料が安く、貯蓄型は高い設定になります。

項目貯蓄型保険掛け捨て型保険
保険料の水準高い安い
保険料の構成保険料=保障部分+貯蓄部分保険料=保障部分のみ
月額保険料の例(30歳男性、死亡保障1,000万円)約15,000円〜25,000円約2,000円〜4,000円
保険料の変動契約時に固定(平準保険料)年齢とともに上昇する場合が多い
解約時の扱い解約返戻金あり解約返戻金なし(掛け捨て)
保険料負担感重い(家計への影響大)軽い(家計への影響小)
保険料の支払期間終身払い or 有期払い選択可主に定期更新

貯蓄型保険の保険料が高い理由は、保険料の中に将来受け取る満期金・返戻金のための積立分が含まれているためです。掛け捨て型は積立部分がない分、必要最小限のコストで大きな保障を得ることができます。

子育て世帯のように「今は住宅ローンや教育費で出費が多いが、万一の保障も厚くしたい」という場合、掛け捨て型なら保険料を抑えつつ必要な保障を用意できます。

保険料の決定方法については、こちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

②解約返戻金・満期金:掛け捨てはゼロだが貯蓄型はあり

貯蓄型保険には、契約によって満期保険金または解約返戻金があります。満期保険金とは保険期間を満了したとき(満期を迎えたとき)に受け取れるお金、解約返戻金は途中解約したときに戻ってくるお金です。

項目貯蓄型保険掛け捨て型保険
解約返戻金ありなし(もしくは極少額)
満期金あり(養老保険)なし
返戻率80%〜110%程度(契約年数により変動)0%
早期解約時元本割れリスクあり損失は既払保険料のみ
満期時の受取額払込保険料総額以上になる場合あり受取なし
税制上の取扱い一時所得または雑所得として課税課税対象なし

例えば、養老保険なら満期時に死亡保障と同額の満期金が支払われます。終身保険では、契約期間の途中で解約すれば、払込期間に応じた解約返戻金を受け取れます。

一方で、掛け捨て型保険には基本的にこれらがありません。契約期間が満了しても満期金はゼロ、途中解約しても返戻金はないかごくわずかです。掛け捨て型にはそうした貯蓄性が一切ないため、仮に保険金を請求するような事態(死亡や入院など)が一度も起こらなければ、払った保険料は全て戻ってこず、そのまま「掛け捨て」になります。

  1. ただし、貯蓄型保険の返戻金も、いつでも満額戻るわけではありません。貯蓄型保険は契約からしばらくの間は解約返戻金が払込保険料総額を下回るのが一般的で、短期で解約すると元本割れが発生します。

「掛け捨て保険は損をしている気がする」と安易に貯蓄型保険に加入するのは避け、本当に長期間にわたって保険料を払い続けられるかを確認しましょう。

③資産形成性:掛け捨てはほぼゼロだが貯蓄型はあり

保険を使ってお金を貯めたり運用したりする効果は、貯蓄型と掛け捨て型で異なります。

項目貯蓄型保険掛け捨て型保険
資産形成機能あり(強制貯蓄)なし
運用効果低〜中(予定利率に依存)なし
インフレ対応弱い(固定利率が多い)関係なし
複利効果あり(長期継続時)なし
投資効率低い(手数料・コスト高)運用なし
資産の増加期待限定的(安全性重視)なし
他の投資との比較株式・投信より利回り低い差額を他投資に回せる

貯蓄型保険では、保険会社を介して投資信託や債券などを購入しています。つまり、保険商品に応じて、一定の資産形成が可能です。

例えば、終身保険では契約後20年~30年と経過するうちに解約返戻金額が徐々に増え、払込保険料の累計を上回ります(運用利回りや商品設計による)。つまり、一種の積立貯金・長期運用として機能する面があるのです。

  1. もっとも、保険での運用は基本的に保守的で、利回りもさほど高くありません。保険会社は預かった資金を主に安全性の高い債券や貸付などで運用し、契約者に還元します。そのため、貯蓄型保険の返戻率(増える率)は、株式投資や投資信託などリスク資産ほど大きくはなく、ローリスク・ローリターンな運用なのです。

一方、掛け捨て型保険では保険料がすべて保障部分に充てられるため、資産形成の機能はありません。毎月の保険料は純粋に保障の対価として消費され、積み立てられる部分はゼロです。

しかし、掛け捨て型保険に加入して保険料を抑えられれば、投資余力が生まれます。保険会社を介して運用するよりも、自分自身でNISAやiDeCoなどを活用して運用したほうが、効率的な資産形成が可能です。

④流動性:掛け捨ては優れているが貯蓄型は制約あり

流動性とは、必要なときに資金を取り崩せる柔軟性のことです。

項目貯蓄型保険掛け捨て型保険
解約の自由度制約あり(元本割れリスク)高い(いつでも解約可能)
解約手続き複雑(書類多数、審査期間が長い)簡単(電話・ネットで完結)
現金化までの期間1〜2週間程度即時(次回保険料から停止)
一部解約可能(契約者貸付等)不可
解約時の損失大きい(特に早期解約時)小さい(その月の保険料のみ)
急な資金需要への対応契約者貸付で対応可能解約のみ
流動性リスク高い(長期拘束)低い(短期解約が容易)

貯蓄型保険は資産性を持つ分、途中で現金化できる可能性があります。例えば急にお金が必要になった場合、解約して解約返戻金を受け取ることができ、保険商品によっては契約者貸付という制度で解約返戻金の一定範囲内でお金を借りることが可能です。

しかし、実際には貯蓄型保険の流動性はあまり高くありません。契約から短期間で解約すると、返戻金が極めて少額だったりゼロだったりするため、大切な資産を失ってしまいます。

  1. 契約後しばらくの間は解約しても元本割れが避けられないため、「すぐにお金が必要だから解約しよう」と思っても、思った額を受け取れない可能性があります。このように、実質的にはお金を自由に引き出せない期間が長く、流動性が低い点を押さえておきましょう。

掛け捨て型保険はそもそも積立部分がなく解約返戻金も基本ないため、「流動性」という概念は当てはまりません。掛け捨て保険は契約をやめても戻ってくるお金がないので、資産を取り崩すという発想自体がありません。

積立金がない分、「今解約したら◯◯円返ってくる」などと悩まずに、必要がなくなれば契約を終了できます。貯蓄型だと解約による損失が大きく悩んでしまう局面でも、掛け捨て型保険の場合、「保障が不要になったら解約」と、シンプルに考えられます。

年代別に適した生命保険について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

⑤保険の柔軟性:掛け捨ては見直し容易、貯蓄型は硬直的

家族構成やライフステージの変化に合わせて保障を調整したり、保険そのものを乗り換えたりする場面は多々あります。契約内容の柔軟性や見直しのしやすさの違いについて、見てみましょう。

項目貯蓄型保険掛け捨て型保険
保障額の変更困難(減額は可能、増額は審査厳格)容易(新規契約で対応)
保険期間の変更不可(契約時に固定)柔軟(更新時に調整可能)
特約の追加・削除限定的比較的自由
他社への乗り換え困難(解約返戻金の損失)容易(損失少ない)
ライフステージ対応硬直的柔軟
見直し頻度低い(長期契約前提)高い(定期的見直し推奨)
保険料調整困難容易(保障内容変更で対応)
転換・下取り可能(ただし不利な条件多い)該当なし

掛け捨て型保険は仕組みがシンプルであるため、総じて保障の見直しがしやすい特徴があります。掛け捨て型の多くは定期保険のように契約期間が区切られているため、期間満了(更新時)のタイミングで、家族の年齢や経済状況に応じて保障額や内容を見直すことが容易です。

例えば、子どもが独立した後は必要保障額が減るので更新せず保障を減らす、逆に新たに住宅ローンを組んだから死亡保障を増やす、といった調整がスムーズにできます。

また、掛け捨て型は一契約あたりの期間が限定されているため、ライフステージの節目で自然と見直しの機会が訪れるとも言えます。保障が切れる節目に合わせて、自分に本当に必要な保障は何かを再検討することで、無駄な保険料負担を回避することが可能です。

さらに、掛け捨て型保険は貯蓄型のように、解約による損失を心配する必要がありません。より良い保険商品が見つかれば、手軽に乗り換えができます。つまり、掛け捨て型はライフイベントに柔軟に対応しやすい保険なのです。

一方で、貯蓄型保険は長期契約であることが多く、簡単に解約・変更してしまうとせっかく積み立てたお金が減ってしまう恐れがあります。例えば、終身保険に10年間加入した後、「保障が要らなくなったから」と解約すると、タイミングによっては払込保険料より少ない返戻金しか受け取れないかもしれません。

  1. 結果的に損失が出る可能性があるため、「とりあえず入ってみて、後で不要なら解約すればいいや」と安易に考えるのは危険です。

保障内容の調整についても、貯蓄型は掛け捨て型ほど自由度が高くありません。契約途中で保障額を増やすには追加契約や特約が必要になったり、減額にも制限があったりします。一度契約したら、基本的にはそのまま満期まで持つことを前提に作られています。

民間の生命保険以外の選択肢|都道府県民共済

民間の生命保険だけでなく、よりシンプルで割安な選択肢を探している方に向けて、「都道府県民共済」という制度をご紹介します。

これは各都道府県に設立された「県民共済生活協同組合」が運営する、非営利の共済保険です。営利を目的とした民間保険会社とは異なり、加入者同士が相互扶助の理念のもと、リスクを分かち合うしくみが特徴です。

視点内容
加入年齢おおむね0~65歳(商品により上限異なる)
保障期間1年更新・終身ではない(99歳まで自動更新可のタイプもあり)
取扱い商品総合保障型(死亡・入院・手術・通院など)/医療特化型/年金型/火災共済など
保険料月掛金1,000~4,000円程度が中心。年齢・性別で細かな差は原則なし
割戻金毎年決算後、余剰が出れば掛金の数%~数十%を現金還元
申し込み方法郵送・インターネット・窓口(生協店舗等)

都道府県民共済は、年齢や性別ごとのリスク差を平均化しているため、同じ保障額なら民間保険より割安です。手頃な掛金で死亡保障・高度障害・入院・手術などにまとめて備えられるため、仕組みもシンプルです。

また、都道府県民共済には「割戻金」という仕組みがあります。決算剰余が出れば、翌年3月に掛金の一部が還元されるため、実質コストがさらに下がります。

  1. シンプルで分かりやすい設計の保障が欲しいという方や、家計を圧迫しない割安な保険を探している方は、都道府県民共済の加入も検討すると良いでしょう。

都道府県民共済については以下記事で詳しく開設しています。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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運用効率

運用効率とは、預けたお金がどれだけ無駄なく増えたかを測る指標で、同じリスク水準に対して得られたリターンの大きさを比べることで評価します。代表的な計算方法に、リターンを価格変動(リスク)で割るシャープレシオがあり、値が大きいほど同じリスクでより多くの利益を生んだことを示します。さらに、信託報酬や売買手数料といったコストも考慮することで、実際に手元に残る利益の効率性を確認できます。 短期では市場の変動が大きく影響しやすく、長期ではコストの差が積み上がるため、期間によって運用効率が変わる点にも注意が必要です。 このように運用効率を意識することで、単にリターンの大小を見るだけでなく、リスクとコストを踏まえた賢い資金の働かせ方を判断できるようになります。

都道府県民共済

都道府県民共済とは、各都道府県に住む人々が組合員となり、掛金を出し合って万一の病気やけが、死亡などに備える協同組合方式の保険制度です。営利を目的としない仕組みのため、保険料に相当する掛金が比較的低く抑えられ、余剰が出た場合には割戻金として組合員に還元される特徴があります。 また、シンプルな保障内容とわかりやすい加入手続きが支持されており、家計の固定費を抑えつつ必要な保障を確保したい人に適した選択肢といえます。

非営利性

非営利性とは、組織や事業が株主や出資者への配当を目的とせず、得た剰余金をサービスの充実や利用者への還元に充てる性格を指します。営利企業が利益最大化を追求するのに対し、非営利組織は公共性や組合員の利益といった社会的使命を第一に掲げるため、料金や掛金が比較的低く抑えられたり、余剰が利用者へ戻る仕組みが備わっています。資産運用や保険分野では、共済や協同組合がこの非営利性を持つことで、コストを抑えながら必要な保障やサービスを提供し、家計にやさしい選択肢となる点が大きな特徴です。

割戻金

割戻金とは、共済や協同組合型の保険で決算後に剰余が生じた場合、その余剰を組合員や契約者に払い戻すお金のことです。営利企業の配当と異なり、非営利組織が掲げる「構成員への利益還元」という理念に基づいており、掛金が安いままでも実際の保障コストがさらに低く済めば、その差額が割戻金として戻ってきます。 これにより加入者は、当初の掛金だけでなく実質的な負担額も小さく抑えられ、家計の防衛力を高めながら保障を維持できます。また、割戻金の有無や金額は毎年の事業成績に左右されるため、共済を選ぶ際には過去数年の割戻実績を確認することが、長期的なコストパフォーマンスを判断するうえで大切です。

共済組合

共済組合とは、同じ職業や地域、団体に所属する人たちが組合員となり、毎月の掛金を出し合って病気・けが・死亡・退職などのリスクに備える相互扶助の仕組みです。組合は営利を目的とせず、集めた掛金から給付や保険金を支払い、余剰が出れば割戻金として組合員に還元します。 公務員や教職員、自治体職員などを対象にした組合が多く、団体ならではの大口契約効果で掛金が抑えられる点が特徴です。また、組合員向けの融資や福利厚生サービスを行うこともあり、保障に加えて生活支援機能を備える場合があります。

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