
個人年金保険とiDeCoは選ぶならどっち?選び方や併用時の注意点を解説
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公開:
2024.11.06
更新:
2025.06.27
老後資産の形成手段として個人年金保険とiDeCoが広く知られていますが、仕組みやリスクを十分理解せず選んでしまうと、想定外のトラブルが起きる可能性があります。個人年金保険は安定性が高い一方で、途中解約すると元本割れを起こしやすく、iDeCoは税制優遇や運用益非課税などのメリットが大きい反面、原則60歳まで資金が引き出せない制約があります。本記事では両者の特徴やリスクを比較し、あなたが納得できる選択をするための判断軸を明確に示します。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、個人年金保険とiDeCoのそれぞれのメリット・デメリットを税制優遇、流動性、リターン・コストの3つの視点から明確に理解できます。節税効果や運用益の非課税メリットではiDeCoが有利ですが、60歳まで資金が引き出せないという制約があります。一方、個人年金保険は元本が保証され安定感があるものの、途中解約で元本割れリスクがあります。併用時の注意点も知ることで、自分のライフプランに合った制度を選べるようになります。
年金を増やすなら、個人年金保険とiDeCoどっち?特徴を比較
個人年金保険と同じく、現役の頃から老後生活に向けて資産形成できる制度としてiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。
「個人年金保険とiDeCoの違いがよくわからない」という方へ向けて、それぞれの特徴を比較したうえで解説します。
個人年金保険 | iDeCo | |
---|---|---|
保険料・掛金 | 保険会社が定める範囲内で加入者が決定する | 12,000円~68,000円/月(働き方によって異なる) |
加入対象者 | 保険会社により異なる | ・60歳未満の方 国民年金第2号被保険者で60歳以上65歳未満の方 ・60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方 ・国民年金に任意加入している海外居住の方 |
受取方法 | 有期年金や確定年金など(保険会社により異なる) | ・一時金 ・年金(5年以上20年以下の期間で運営管理機関が定める方法) ・一時金と年金の併用 |
途中解約 | 可能 | 原則不可能 |
運用主体 | 保険会社 | 加入者自身 |
口座開設手数料・口座維持手数料 | なし | あり |
個人年金保険とiDeCoは、いずれも加入者が決めた保険料(掛金)を支払いながら自分専用の年金を用意できます。
個人年金保険は途中解約が可能(ただし元本割れの可能性がある)な一方で、iDeCoは原則解約ができません。
また、iDeCoは運営管理機関(金融機関)の選定から運用商品の選択など、加入者による選択の幅が広いです。一方、個人年金保険は、変額保険の場合は運用タイプを選べるものの、基本的には保険会社に詳細をお任せします。
個人年金保険とiDeCoの税制及び税制優遇制度の違い
個人年金保険とiDeCoにはいずれも税制優遇制度がありますが、それぞれ違いがあります。受取時の課税関係も異なるため、加入前に確認しておきましょう。
個人年金保険 | iDeCo | |
---|---|---|
保険料・掛金拠出時の税制優遇 | 所得税:最大40,000円 住民税:最大28,000円 | 全額が小規模企業等掛金控除の対象 |
運用中の税制優遇 | なし | 運用益が非課税 |
受取期の税制優遇 | 年金受取:公的年金等控除の対象 一時金受取:一時所得の特別控除の対象 | 年金受取:公的年金等控除の対象 一時金受取:退職所得控除の対象 |
受取時の課税(控除適用前) | 運用益に対して課税される | 積立額と運用額の合計に対して課税される |
年金積立期間の節税効果が大きいのはiDeCoです。拠出した掛金の全額が課税所得から控除(小規模企業等掛金控除)の対象となるため、個人年金保険料控除よりも大きな節税効果を得られます。ここでは、税制優遇、流動性、リターンとコストの3点に分けて解説します。
1.税制優遇:控除額と受取課税の違い
個人年金保険とiDeCoでは、積立時と受取時の控除や課税に違いがあります。
【積立時】iDeCoは全額所得控除、個人年金保険は上限あり
個人年金保険とiDeCoでは、積立時および受取時の税制優遇に大きな違いがあります。積立時(掛金拠出時)、iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象です。例えば年間24万円拠出すれば、その全額が課税所得から差し引かれます。一方、個人年金保険の保険料は生命保険料控除(個人年金保険料控除)の対象となり、年間8万円以上の保険料を支払っても所得税で最大4万円、住民税で2.8万円の所得控除に留まります。
【受取時】課税対象は違うが、どちらも大きな控除が使える
受取時にも課税方法が異なります。iDeCoでは将来受け取る年金や一時金に対し、掛金とその運用益を含めた全体が課税対象となりますが、公的年金等控除(年金受取時)や退職所得控除(一時金受取時)が適用され、大きな控除が受けられます。個人年金保険では受取額のうち運用益部分のみが課税対象で、年金形式で受け取る場合は雑所得扱い(公的年金等控除の適用あり)となり、一時金で受け取る場合は運用益から一時所得として課税されます(50万円の特別控除後、その半額が課税対象)。このようにiDeCoは拠出時・受取時とも大きな税優遇があるのに対し、個人年金保険の控除額は限定的です。高額の掛金を拠出できる方や高所得者ほど、全額所得控除できるiDeCoの節税メリットが大きくなります。ただし、両制度とも税制以外の特徴も踏まえて活用を検討することが重要です。
2.流動性:途中解約・引き出し制限を比較
途中解約や引き出しに関する制限も、個人年金保険とiDeCoで大きく異なります。
流動性の面ではiDeCoは原則途中引き出し不可で長期資金向きなのに対し、個人年金保険は途中解約により現金化可能ですが損失の可能性を伴います。老後資産づくりでは、緊急時に備え無理のない範囲で資金を拠出し、流動性と運用をバランスさせることが大切です。
原則60歳まで資金がロックされるiDeCo
資金の流動性(必要なときに現金化できるか)にも両者で明確な違いがあります。iDeCoの場合、原則60歳までは掛金や運用益を途中で引き出すことができません。拠出金額の減額や一時停止は可能ですが、老後資金として積み立てられた資産は定められた受給開始年齢(60歳以降)になるまでロックされる点に注意が必要です。
個人年金保険は解約可能だが、元本割れリスクに注意
個人年金保険の場合、契約時に決めた年齢から年金受取を開始する設計ですが、どうしても資金が必要になった場合は中途解約して解約返戻金を受け取ることが可能です。ただし、解約返戻金はそれまでに払い込んだ保険料総額より少なくなるのが一般的であり、早期解約すれば元本割れ(受取額が払込総額を下回ること)となるリスクが高い点に注意しましょう。
3.リターンとコスト:「安定・保証」の個人年金保険か、「非課税での成長」を狙うiDeCoか
運用リターンの期待値やコスト面でも両者は性質が異なります。個人年金保険(特に定額型)では契約時に将来受け取る年金額が確定し、保険会社が提示する予定利率で積立が行われます。そのため保険会社が破綻せず途中解約もしなければ、基本的に受取額が払込保険料を下回ることはなく、元本が保証されるのが特徴です。
ただし保証される利回りは低めで、インフレ(物価上昇)が起きた際には受取額の実質的な価値が目減りするリスクがあります。一方、iDeCoは預金・投資信託・保険商品など自ら運用商品を選んで積み立てる仕組みで、株式や債券といったリスク資産への投資も可能です。運用益は口座内で非課税で再投資されるため、通常課税される20%程度の運用益に税がかからず効率的に資産を増やせます。
また、自分で商品を選んで積極運用すれば高いリターンを得られる可能性がありますが、その反面、市場変動により元本割れが生じるリスクも伴います。
手数料の仕組みもチェック。iDeCoは直接、個人年金保険は間接的に発生
コスト面では、iDeCoは口座管理手数料や信託報酬(投資信託の運用コスト)といった費用がかかります。一方、個人年金保険は手数料が表立って請求されることはありませんが、保険料の一部が保険会社の経費等に充当されるため実質的な利回りは低めです。要するに、個人年金保険は低リスク・低リターンでコストは保険料込み、iDeCoは自己責任の運用で非課税メリットがあるがリスクと手数料もあると言えます。ご自身のリスク許容度と目標に応じて、元本保証の安心感と非課税運用によるリターン拡大のバランスを検討しましょう。
個人年金保険とiDeCoを同額つみたてた場合の控除額と節税効果のシミュレーション
年金及び一時金受取時には、iDeCoは積立金額も課税対象となるのに対し、個人年金保険は運用益のみが課税対象となります。ただし、iDeCoを年金で受け取る場合でも、一時金で受け取る場合でも、加入期間によって税制優遇措置もあります。
毎月2万円(年間24万円)を保険料(掛金)として支払ったケースで、それぞれの節税効果を比較してみましょう。
所得控除額 | 控除なしの所得税額 | 控除後の税額 | 節税額 | 10年間の節税総額 | |
---|---|---|---|---|---|
iDeCoの場合 | 240,000円 | 1,200.000円 | 1,152,000円 | 48,000円 | 480,000円 |
個人年金の場合 | 40,000円 | 1,200,000円 | 1,192,000円 | 8,000円 | 80,000円 |
所得控除額 | 控除なしの所得税額 | 控除後の税額 | 節税額 | 10年間の節税総額 | |
---|---|---|---|---|---|
iDeCoの場合 | 240,000円 | 1.840.000円 | 1,784,800円 | 55,200円 | 552,000円 |
個人年金の場合 | 40,000円 | 1.840.000円 | 1,830,800円 | 9,200円 | 92,000円 |
所得控除額 | 控除なしの所得税額 | 控除後の税額 | 節税額 | 10年間の節税総額 | |
---|---|---|---|---|---|
iDeCoの場合 | 240,000円 | 3.300.000円 | 3,220,800円 | 79,200円 | 792,000円 |
個人年金の場合 | 40,000円 | 3.300.000円 | 3,286,800円 | 13,200円 | 132,000円 |
節税できる金額に、年間で数万円の差が生まれることがわかります。
さらに、iDeCoでは運用益に対して課税されません。運用がうまくいき大きな利益を得られたとしても、運用益はそのまま年金(または一時金)受け取りの原資となります。
制度を全体的に比較すると、基本的に税制優遇のメリットに関してはiDeCoが上回っているといえるでしょう。
個人年金保険とiDeCoを併用するメリット
個人年金保険とiDeCoは同時に加入でき、控除も併用できます。つまり、個人年金保険料控除と小規模企業等掛金控除をそれぞれ活用し、より大きな節税効果を得ることが可能です。
iDeCoのほうが節税メリットは大きいため、iDeCoを優先的に活用するとよいでしょう。さらに保険料を支払う余裕がある場合、個人年金保険への加入を検討してみてください。
併用すれば、「個人年金保険では安定的に老後資金を用意し、iDeCoではリスクを取って積極的に運用する」というバランスの取れた資産形成を行えます。
個人年金保険とiDeCoを併用するときの注意点
個人年金保険とiDeCoを併用すると、保険料と掛金が家計に与える影響が大きくなります。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、個人年金保険は短期間で解約すると元本割れする恐れがある点に留意すべきです。
保険料と掛金の負担が重く、家計に余裕がない状況でお金が必要になると対応できません。やむを得ず、元本割れを受け入れたうえで個人年金保険の解約を余儀なくされ、結果的に資産を失う事態になりかねません。
それぞれを併用する場合は、長期的に無理なく支払えるかどうかを確認し、当面の生活に支障が出ないように気をつけましょう。
iDeCoや個人年金保険で元本割れを防ぐための注意点
iDeCoと個人年金保険の両制度に共通する元本割れリスクへの備えについて、以下のチェックリストで確認しましょう。
注意点1:年代に応じて「守りの資産」へシフトする
元本確保型商品の活用: 定年が近づくにつれ元本保全の優先度が高まります。iDeCoでは元本保証型の商品(定期預金や保険会社の提供する定額貯金商品など)も選択できるため、必要に応じて安全資産へシフトして元本割れのリスクヘッジを行いましょう。個人年金保険についても、リスクを取りたくない場合は定額型(円建て)の商品を選ぶことで契約時点の予定利率に基づく確実な積立ができます。
注意点2:為替・市場リスクを理解してから選ぶ
高い利回りを狙って変額保険や外貨建て個人年金保険に加入する場合や、iDeCoで海外資産に投資する場合は、為替変動や市場変動リスクによって元本割れが生じ得ることを理解しておきましょう。例えば外貨建ての個人年金保険はインフレ対策になり得ますが、円高など為替次第では受取額が払込総額を下回る可能性があります。リスク資産へ配分する金額は、ご自身が許容できる範囲に留めることが大切です。
注意点3:安易な途中解約は損失のもと、継続できる計画を
個人年金保険では契約後の途中解約や払込免除(支払い停止)を行うと、それまでの積立に対して解約控除が発生したり、保障が失われたりします。解約返戻金は多くの場合払い込んだ総額より少なくなるため、加入時には無理のない保険料設定を行い、途中解約せず継続できる見通しを持ちましょう。iDeCoの場合は原則解約できませんが、掛金の減額や停止は可能なので、家計悪化時には無理に拠出を続けず一時停止する判断も必要です。
個人年金保険とiDeCoの片方を選択する場合の選び方
2022年度末において、個人年金保険の契約件数は約2005万件、iDeCoの加入者は約239万人でした。個人年金保険に加入している人が多いようですが、どちらが向いているのかは価値観や投資経験の有無などによって異なります。
以下で、個人年金保険とiDeCoをおすすめできる人の特徴をそれぞれ解説します。
どちらか選ぶなら個人年金保険がおすすめな人
個人年金保険がおすすめな人の特徴は以下のとおりです。
- 将来受け取れる金額を確定させたい人
- 自分で投資判断を下せる自信がない人
- 手間をかけたくない人
- 信頼できる保険会社の担当者がいる人
- 途中解約の事態に備えたい人
個人年金保険では、契約時に将来受け取れる年金額が決まります。将来受け取れる金額を確定させたほうが安心できるという方に向いているでしょう。
iDeCoの場合は自分で運用管理機関や運用商品を選定する必要がありますが、個人年金保険では「保険会社と契約して、保険料を毎月支払うだけ」で済みます。手間をかけずに老後資金を用意したいと考えている方に向いている可能性があります。
既にほかの保険に加入しており、信頼できる保険会社の担当者がいる場合は、担当者と相談したうえで加入を判断するのも一つの手段です。不安がある場合は、担当者に資産状況やライフイベントを一緒に考えてもらうとよいでしょう。
途中解約はできるだけ避けるべきですが、どうしても資金が必要になったときにお金を引き出したい場合は個人年金保険が向いています。iDeCoは原則60歳になるまで引き出せず、柔軟に資金ニーズへ対応できないためです。
どちらか選ぶならiDeCoがおすすめな人
iDeCoがおすすめな人の特徴は以下のとおりです。
- 自分で投資判断を下せる人
- 効率よく資産形成を行いたい人
- 節税メリットを最大限活かしたい人
- 所得税率が高い人
- 老後資金作りに注力したい人
自分で投資判断を下せる方は、加入者が柔軟に運用商品を選べるiDeCoが向いています。株式や債券、不動産へ投資する割合を自分のリスク許容度に合わせて調整できるため、自由度の高さを優先したい方はiDeCoを始めましょう。
例えば、iDeCoで毎月2万円を「年率1%」「年率3%」「年率5%」で運用したときのシミュレーション結果は以下のとおりです。
年率 | 5年後 | 7年後 | 10年後 |
---|---|---|---|
1% | 約1,224,241円 運用益:約24,241円 | 約1,731,248円 運用益:約51,248円 | 約2,510,931円 運用益:約110,931円 |
3% | 約1,274,192円 運用益:約74,192円 | 約1,838,990円 運用益:約158,990円 | 約2,751,331円 運用益:約351,331円 |
5% | 約1,326,151円 運用益:約126,151円 | 約1,954,082円 運用益:約274,082円 | 約3,018,694円 運用益:約618,694円 |
さらに、iDeCoには運用益が非課税になるメリットがあります。効率よく資産形成を行ううえで効果的な税制優遇なので、有効活用することをおすすめします。
個人年金保険は年間でいくら保険料を支払っても所得控除の上限がありますが、iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象です。特に所得税率が高い方は節税額も大きくなるため、よりメリットを感じられます。
iDeCoは原則60歳まで引き出せませんが、逆にいえば着実に老後資金を用意できます。途中解約をする予定がなく、老後資金作りに注力したい方は活用するのがおすすめです。
よくある質問(FAQ)
この記事のまとめ
個人年金保険とiDeCoのどちらを選ぶか判断する際には、節税効果、流動性、運用コストやリスクを総合的に考慮する必要があります。節税メリットや運用益の非課税効果を重視する場合はiDeCoが優位ですが、60歳まで資金を引き出せないという制約を理解しておくべきです。一方、個人年金保険は元本保証型が多く安定性が魅力ですが、途中解約すると元本割れする可能性があります。併用する場合は資金計画を無理なく長期的に立てることが重要です。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。
確定拠出年金
確定拠出年金は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。
時間分散
時間分散とは、投資のタイミングを複数回に分けることで、相場の変動リスクを軽減する方法です。ドルコスト平均法はこの時間分散の考え方を活用した投資手法で、価格の高低に左右されにくく、平均購入価格を抑えることが可能です。