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個人年金保険とiDeCoは併用できる!併用時のメリットや注意点、どっちが得かを解説

個人年金保険とiDeCoは併用できる!併用時のメリットや注意点、どっちが得かを解説

個人年金保険とiDeCoは併用できる!併用時のメリットや注意点、どっちが得かを解説

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執筆者:

公開:

2024.11.06

更新:

2025.12.05

個人年金貯蓄型保険ドルコスト平均法タックスプランニングiDeCo

老後資金づくりで「個人年金とiDeCo、どっちが得なのか」「いまの個人年金を続けるべきか、やめてiDeCoやNISAに乗り換えるべきか」と迷う方は少なくありません。長寿化が進んでいる中で、老後資金の用意は喫緊の課題です。この記事では、両制度の仕組みや節税効果、リターン・流動性・元本割れリスク、さらに併用時の控除や年末調整での扱いまでを整理し、「自分はどれをどの順番で使うべきか」を判断できるよう、落ち着いて解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、個人年金保険とiDeCoの仕組みや違い、節税効果・リターン・流動性・受取時課税を比較しながら、「自分はどちらを優先すべきか」「併用すべきか」「今の契約を見直すべきか」を判断できます。この記事を読むことで、制度の特徴と損得ポイントを体系的に理解し、老後資金づくりを最適化する具体的な選択や行動が取れるようになります。

目次

年金を増やすなら、個人年金保険とiDeCoどっち?特徴を比較

個人年金保険とiDeCoはどっちが得?

節税メリット:iDeCoが圧倒的に強い

リターン:個人年金は低め・iDeCoのほうが高くなる可能性がある

手数料:個人年金は見えにくくiDeCoは透明性が高い

流動性:個人年金は解約可・iDeCoは60歳まで原則不可

受取時の課税:どちらも優遇があるが仕組みが異なる

個人年金保険とiDeCoの税制及び税制優遇制度の違い

1.税制優遇:控除額と受取課税の違い

2.流動性:途中解約・引き出し制限を比較

3.リターンとコスト:「安定・保証」の個人年金保険か「非課税での成長」を狙うiDeCoか

個人年金保険とiDeCoを同額つみたてた場合の控除額と節税効果のシミュレーション

個人年金保険とiDeCoを併用するメリット

老後資金を「安定+成長」の両面から準備できる

控除枠が別カテゴリーで使えるため節税効果を最大化できる

受取方法を複数持つことで税負担を分散できる

老後資金を目的別に整理しやすくなる

年末調整での書類の書き方と注意点

個人年金保険とiDeCoを併用するときの注意点

iDeCoや個人年金保険で元本割れを防ぐための注意点

注意点1:年代に応じて「守りの資産」へシフトする

注意点2:為替・市場リスクを理解してから選ぶ

注意点3:安易な途中解約は損失のもと、継続できる計画を

個人年金保険とiDeCoの片方を選択する場合の選び方

どちらか選ぶなら個人年金保険がおすすめな人

どちらか選ぶならiDeCoがおすすめな人

iDeCoで積極的にリターンを目指す場合の運用シミュレーション

年金を増やすなら、個人年金保険とiDeCoどっち?特徴を比較

個人年金保険と同じく、現役の頃から老後生活に向けて資産形成できる制度としてiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。

「個人年金保険とiDeCoの違いがよくわからない」という方へ向けて、それぞれの特徴を比較したうえで解説します。

個人年金保険iDeCo
保険料・掛金保険会社が定める範囲内で加入者が決定する12,000円~68,000円/月(働き方によって異なる)
加入対象者保険会社により異なる・60歳未満の方
国民年金第2号被保険者で60歳以上65歳未満の方
・60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方
・国民年金に任意加入している海外居住の方
受取方法有期年金や確定年金など(保険会社により異なる)・一時金
・年金(5年以上20年以下の期間で運営管理機関が定める方法)
・一時金と年金の併用
途中解約可能原則不可能
運用主体保険会社加入者自身
口座開設手数料・口座維持手数料なしあり
個人年金保険とiDeCoの特徴比較表

個人年金保険とiDeCoは、いずれも加入者が決めた保険料(掛金)を支払いながら自分専用の年金を用意できます。

個人年金保険は途中解約が可能(ただし元本割れの可能性がある)な一方で、iDeCoは原則解約ができません。

また、iDeCoは運営管理機関(金融機関)の選定から運用商品の選択など、加入者による選択の幅が広いです。一方、個人年金保険は、変額保険の場合は運用タイプを選べるものの、基本的には保険会社に詳細をお任せします。

iDeCoに関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてください。

個人年金保険とiDeCoはどっちが得?

個人年金保険とiDeCoは、いずれも老後資金を準備するうえで有効な手段です。どちらの制度が得なのか、詳細を確認しましょう。

節税メリット:iDeCoが圧倒的に強い

節税という観点では、個人年金保険よりもiDeCoが大幅に有利です。

iDeCoは「積立時・運用時・受取時」のすべてで税制優遇を受けられる優遇制度で、掛金がそのまま所得控除となる点が最大の魅力です。所得が高いほど節税効果は大きく、年収500〜700万円以上の会社員ではとくにメリットが顕著です。

一方で、個人年金保険の生命保険料控除は上限が小さく、適用される控除枠も限られています。節税効果自体はありますが、iDeCoと比較すると差は歴然です。

観点iDeCo個人年金保険
積立時掛金全額が所得控除最大4万円(所得税)の生命保険料控除
運用時運用益が非課税保険会社により制限、非課税効果は限定的
受取時年金受取・一時金の控除が強い雑所得 or 一時所得で一般的な課税方式
節税メリットの比較

「とにかく税金を減らしたい」「老後資金の効率を上げたい」人には、まずiDeCoを検討する価値があります。

リターン:個人年金は低め・iDeCoのほうが高くなる可能性がある

個人年金保険は、契約時に受取額が確定しているため安全性が高い一方で、運用利回りは低く設定されていることが一般的です。特に超低金利環境では、返戻率はわずかな上昇に留まり、インフレに資産価値が追いつかない可能性があります。

対してiDeCoは、運用商品の選択肢が広く、株式比率を高めることで長期的なリターンを狙える点が強みです。もちろん市場の値動きによって元本割れのリスクもありますが、長期積立であれば成長資産の恩恵を受けやすいという特徴があります。

手数料:個人年金は見えにくくiDeCoは透明性が高い

個人年金保険は、保険会社が管理・運用・保障を一体で提供するため、手数料が内部に含まれて見えにくい仕組みになっています。そのため、意図せず返戻率が伸びにくくなるケースもあります。

一方のiDeCoは、加入時・運営機関・運用商品など手数料が明確に公開されています。特に低コストのインデックスファンドを選べば、ランニングコストは非常に小さく抑えられ、長期的な投資効率が高まります。

流動性:個人年金は解約可・iDeCoは60歳まで原則不可

個人年金保険は、中途解約をすれば資金を取り戻すことができます。ただし契約初期は特に返戻率が低く、元本割れのリスクが大きい点には注意が必要です。

iDeCoの場合は、原則として60歳まで引き出すことができません(法令で厳格に規制)。そのため、教育資金や住宅資金など中途で使う可能性がある資金は、iDeCoに入れすぎると不便になる場合があります。

受取時の課税:どちらも優遇があるが仕組みが異なる

個人年金保険の受取は「雑所得」もしくは「一時所得」として課税され、比較的シンプルな課税方式です。保険として積み立てた分が一定の優遇を受けられますが、節税効果は限定的です。

iDeCoは、受け取り方によって大きな税制優遇を受けられます。

iDeCo受取時の税金

  1. 年金として受取→公的年金等控除が適用され負担が小さい
  2. 一時金で受取→退職所得控除が強力で、長期加入者はほぼ非課税になるケースもある

iDeCoは拠出時だけでなく、受取り時にも税負担が軽減されるため、「積立→運用→受取」のすべてでトータルの手取りが増えやすい仕組みです。

個人年金保険とiDeCoの税制及び税制優遇制度の違い

個人年金保険とiDeCoにはいずれも税制優遇制度がありますが、それぞれ違いがあります。受取時の課税関係も異なるため、加入前に確認しておきましょう。

個人年金保険iDeCo
保険料・掛金拠出時の税制優遇所得税:最大40,000円
住民税:最大28,000円
全額が小規模企業等掛金控除の対象
運用中の税制優遇なし運用益が非課税
受取期の税制優遇雑所得として課税(公的年金等控除の対象外)
一時金受取:一時所得の特別控除の対象
年金受取:公的年金等控除の対象
一時金受取:退職所得控除の対象
受取時の課税(控除適用前)運用益に対して課税される積立額と運用額の合計に対して課税される

年金積立期間の節税効果が大きいのはiDeCoです。拠出した掛金の全額が課税所得から控除(小規模企業等掛金控除)の対象となるため、個人年金保険料控除よりも大きな節税効果を得られます。ここでは、税制優遇、流動性、リターンとコストの3点に分けて解説します。

1.税制優遇:控除額と受取課税の違い

個人年金保険とiDeCoでは、積立時と受取時の控除や課税に違いがあります。

【積立時】iDeCoは全額所得控除、個人年金保険は上限あり

個人年金保険とiDeCoでは、積立時および受取時の税制優遇に大きな違いがあります。積立時(掛金拠出時)、iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象です。

例えば年間24万円拠出すれば、その全額が課税所得から差し引かれます。一方、個人年金保険の保険料は生命保険料控除(個人年金保険料控除)の対象となり、年間8万円以上の保険料を支払っても所得税で最大4万円、住民税で2.8万円の所得控除に留まります。

【受取時】課税対象は違うが、どちらも大きな控除が使える

受取時にも課税方法が異なります。iDeCoでは将来受け取る年金や一時金に対し、掛金とその運用益を含めた全体が課税対象となりますが、公的年金等控除(年金受取時)や退職所得控除(一時金受取時)が適用され、大きな控除が受けられます。

個人年金保険では受取額のうち運用益部分のみが課税対象で、年金形式で受け取る場合は雑所得扱い(公的年金等控除の適用あり)となり、一時金で受け取る場合は運用益から一時所得として課税されます(50万円の特別控除後、その半額が課税対象)。

  1. このようにiDeCoは拠出時・受取時とも大きな税優遇があるのに対し、個人年金保険の控除額は限定的です。高額の掛金を拠出できる方や高所得者ほど、全額所得控除できるiDeCoの節税メリットが大きくなります。ただし、両制度とも税制以外の特徴も踏まえて活用を検討することが重要です。

2.流動性:途中解約・引き出し制限を比較

途中解約や引き出しに関する制限も、個人年金保険とiDeCoで大きく異なります。

流動性の面ではiDeCoは原則途中引き出し不可で長期資金向きなのに対し、個人年金保険は途中解約により現金化可能ですが損失の可能性を伴います。老後資産づくりでは、緊急時に備え無理のない範囲で資金を拠出し、流動性と運用をバランスさせることが大切です。

原則60歳まで資金がロックされるiDeCo

資金の流動性(必要なときに現金化できるか)にも両者で明確な違いがあります。iDeCoの場合、原則60歳までは掛金や運用益を途中で引き出すことができません。拠出金額の減額や一時停止は可能ですが、老後資金として積み立てられた資産は定められた受給開始年齢(60歳以降)になるまでロックされる点に注意が必要です。

個人年金保険は解約可能だが元本割れリスクに注意

個人年金保険の場合、契約時に決めた年齢から年金受取を開始する設計ですが、どうしても資金が必要になった場合は中途解約して解約返戻金を受け取ることが可能です。ただし、解約返戻金はそれまでに払い込んだ保険料総額より少なくなるのが一般的であり、早期解約すれば元本割れ(受取額が払込総額を下回ること)となるリスクが高い点に注意しましょう。

3.リターンとコスト:「安定・保証」の個人年金保険か「非課税での成長」を狙うiDeCoか

運用リターンの期待値やコスト面でも両者は性質が異なります。

観点個人年金保険iDeCo
運用方法保険会社が予定利率で運用。将来の受取額が契約時に確定する(定額型の場合)自分で運用商品を選択(預金・投資信託・保険商品など)しリスク資産にも投資可能
元本保証原則元本保証(途中解約を避け、保険会社が破綻しない前提)元本保証なし。市場変動により元本割れの可能性あり
リターンの特徴低リスク・低リターン。インフレ時に実質価値目減りリスクあり非課税運用により複利効果大。高リターンを狙えるが市場変動リスクあり
運用益への課税-(内部で運用、非課税効果は限定的)運用益が全額非課税で再投資される
コスト構造手数料は見えない形で保険料に含まれる(実質利回りが低くなりやすい)口座管理手数料・信託報酬などが明示される(商品次第で低コスト運用が可能)
向いているタイプ元本保証・確定額の安心を重視する人非課税メリットを活かし、資産成長を目指す人

個人年金保険(特に定額型)では契約時に将来受け取る年金額が確定し、保険会社が提示する予定利率で積立が行われます。そのため保険会社が破綻せず途中解約もしなければ、基本的に受取額が払込保険料を下回ることはなく、元本が保証されるのが特徴です。

ただし保証される利回りは低めで、インフレ(物価上昇)が起きた際には受取額の実質的な価値が目減りするリスクがあります。一方、iDeCoは預金・投資信託・保険商品など自ら運用商品を選んで積み立てる仕組みで、株式や債券といったリスク資産への投資も可能です。運用益は口座内で非課税で再投資されるため、通常課税される20%程度の運用益に税がかからず効率的に資産を増やせます。

また、自分で商品を選んで積極運用すれば高いリターンを得られる可能性がありますが、その反面、市場変動により元本割れが生じるリスクも伴います。

コスト面では、iDeCoは口座管理手数料や信託報酬(投資信託の運用コスト)といった費用がかかります。一方、個人年金保険は手数料が表立って請求されることはありませんが、保険料の一部が保険会社の経費等に充当されるため実質的な利回りは低めです。

  1. 個人年金保険は低リスク・低リターンでコストは保険料込み、iDeCoは自己責任の運用で非課税メリットがあるがリスクと手数料もあると言えます。ご自身のリスク許容度と目標に応じて、元本保証の安心感と非課税運用によるリターン拡大のバランスを検討しましょう。

個人年金保険とiDeCoを同額つみたてた場合の控除額と節税効果のシミュレーション

年金及び一時金受取時には、iDeCoは積立金額も課税対象となるのに対し、個人年金保険は運用益のみが課税対象となります。ただし、iDeCoを年金で受け取る場合でも、一時金で受け取る場合でも、加入期間によって税制優遇措置もあります。

毎月2万円(年間24万円)を保険料(掛金)として支払ったケースで、それぞれの節税効果を比較してみましょう。

所得控除額控除なしの所得税額控除後の税額節税額10年間の節税総額
iDeCoの場合240,000円1,200.000円1,152,000円48,000円480,000円
個人年金の場合40,000円1,200,000円1,192,000円8,000円80,000円
課税所得が600万円(所得税率20%)の方の場合
所得控除額控除なしの所得税額控除後の税額節税額10年間の節税総額
iDeCoの場合240,000円1.840.000円1,784,800円55,200円552,000円
個人年金の場合40,000円1.840.000円1,830,800円9,200円92,000円
課税所得が800万円(所得税率23%)の方の場合
所得控除額控除なしの所得税額控除後の税額節税額10年間の節税総額
iDeCoの場合240,000円3.300.000円3,220,800円79,200円792,000円
個人年金の場合40,000円3.300.000円3,286,800円13,200円132,000円
課税所得が1000万円(所得税率33%)の方の場合

節税できる金額に、年間で数万円の差が生まれることがわかります。

さらに、iDeCoでは運用益に対して課税されません。運用がうまくいき大きな利益を得られたとしても、運用益はそのまま年金(または一時金)受け取りの原資となります。

制度を全体的に比較すると、基本的に税制優遇のメリットに関してはiDeCoが上回っているといえるでしょう。

個人年金保険とiDeCoを併用するメリット

個人年金保険とiDeCoは同時に加入でき、控除も併用できます。つまり、個人年金保険料控除と小規模企業等掛金控除をそれぞれ活用し、より大きな節税効果を得ることが可能です。

ここでは、併用することで得られる主なメリットを解説します。

老後資金を「安定+成長」の両面から準備できる

個人年金保険は「将来の受取額が確定している」点が最大の特徴です。一方、iDeCoは市場成長の恩恵を受けながら、長期でリターンを伸ばすことができます。

両者の使い分け

  1. 個人年金保険→将来の最低限の生活費を確実に確保
  2. iDeCo→将来的な資産成長を狙える増やす部分

以上のように、堅実性と成長性をバランスよく組み合わせた老後資金づくりが可能になります。「すべてを投資にするのが不安」という人にとって、併用は心理的な安心感にもつながります。

控除枠が別カテゴリーで使えるため節税効果を最大化できる

個人年金保険は「生命保険料控除」、iDeCoは「小規模企業共済等掛金控除」に分類されます。個人年金保険とiDeCoは「どちらか一方しか使えない制度」ではなく、それぞれ役割が異なるため、組み合わせることで老後資金の安定性・効率性を高めることができます。

つまり、両方使うと2つの控除枠を同時に使えるため、単独で利用するより節税効果が大きくなります。特に所得が高い人ほど、併用のメリットがより大きくなります。

受取方法を複数持つことで税負担を分散できる

老後資金を受け取る際、課税方式が複数になることは大きなメリットです。

両者の受取時の税制

  1. 個人年金保険→雑所得(年金受取)や一時所得
  2. iDeCo→公的年金等控除(年金受取)、退職所得控除(一時金)

それぞれ課税ルールが異なるため、受け取り方を組み合わせることで税負担をコントロールできます。

老後資金を目的別に整理しやすくなる

併用は、老後資金を「目的別」に分けて整理できる点でもメリットがあります。たとえば、個人年金は生活費のベースにして、iDeCoは資産成長・長寿リスクへの備え(余裕資金)として使い分ける方法が考えられます。

このように、役割分担が明確になることで、老後の資金計画が立てやすくなるでしょう。「どれだけ確定収入が必要か」「どの程度リスクを取るか」など、資産形成の戦略が立てやすくなる点も大きなメリットです。

年末調整での書類の書き方と注意点

個人年金保険とiDeCoを併用している場合、年末調整ではそれぞれ別の書類を提出し、異なる欄に記入します。

制度届く証明書記入する欄
個人年金保険保険会社からの「生命保険料控除証明書」「給与所得者の保険料控除申告書」の生命保険料控除欄
iDeCo国民年金基金連合会からの「小規模企業共済等掛金払込証明書」「給与所得者の保険料控除申告書」の小規模企業共済等掛金控除欄

控除区分を間違えないようにしましょう。iDeCoの掛金を生命保険料控除の欄に記入してしまうと、正しく控除が受けられなくなります。

また、個人年金保険を複数契約している場合は、証明書も複数届きます。すべての証明書をもれなく提出するよう気をつけてください。iDeCoの掛金を年内に変更した場合は、最新の払込金額が反映された証明書かどうか確認が必要です。

個人年金保険とiDeCoを併用するときの注意点

個人年金保険とiDeCoを併用すると、保険料と掛金が家計に与える影響が大きくなります。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、個人年金保険は短期間で解約すると元本割れする恐れがある点に留意すべきです。

保険料と掛金の負担が重く、家計に余裕がない状況でお金が必要になると対応できません。やむを得ず、元本割れを受け入れたうえで個人年金保険の解約を余儀なくされ、結果的に資産を失う事態になりかねません。

それぞれを併用する場合は、長期的に無理なく支払えるかどうかを確認し、当面の生活に支障が出ないように気をつけましょう。

個人年金保険に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

iDeCoや個人年金保険で元本割れを防ぐための注意点

iDeCoと個人年金保険の両制度に共通する元本割れリスクへの備えについて、以下のチェックリストで確認しましょう。

注意点1:年代に応じて「守りの資産」へシフトする

元本確保型商品の活用: 定年が近づくにつれ元本保全の優先度が高まります。iDeCoでは元本保証型の商品(定期預金や保険会社の提供する定額貯金商品など)も選択できるため、必要に応じて安全資産へシフトして元本割れのリスクヘッジを行いましょう。個人年金保険についても、リスクを取りたくない場合は定額型(円建て)の商品を選ぶことで契約時点の予定利率に基づく確実な積立ができます。

注意点2:為替・市場リスクを理解してから選ぶ

高い利回りを狙って変額保険や外貨建て個人年金保険に加入する場合や、iDeCoで海外資産に投資する場合は、為替変動や市場変動リスクによって元本割れが生じ得ることを理解しておきましょう。例えば外貨建ての個人年金保険はインフレ対策になり得ますが、円高など為替次第では受取額が払込総額を下回る可能性があります。リスク資産へ配分する金額は、ご自身が許容できる範囲に留めることが大切です。

注意点3:安易な途中解約は損失のもと、継続できる計画を

個人年金保険では契約後の途中解約や払込免除(支払い停止)を行うと、それまでの積立に対して解約控除が発生したり、保障が失われたりします。解約返戻金は多くの場合払い込んだ総額より少なくなるため、加入時には無理のない保険料設定を行い、途中解約せず継続できる見通しを持ちましょう。iDeCoの場合は原則解約できませんが、掛金の減額や停止は可能なので、家計悪化時には無理に拠出を続けず一時停止する判断も必要です。

個人年金保険とiDeCoの片方を選択する場合の選び方

2022年度末において、個人年金保険の契約件数は約2005万件、iDeCoの加入者は約239万人でした。個人年金保険に加入している人が多いようですが、どちらが向いているのかは価値観や投資経験の有無などによって異なります。

以下で、個人年金保険とiDeCoをおすすめできる人の特徴をそれぞれ解説します。

どちらか選ぶなら個人年金保険がおすすめな人

個人年金保険がおすすめな人の特徴は以下のとおりです。

個人年金保険がおすすめな人

  1. 将来受け取れる金額を確定させたい人
  2. 自分で投資判断を下せる自信がない人
  3. 手間をかけたくない人
  4. 信頼できる保険会社の担当者がいる人
  5. 途中解約の事態に備えたい人

個人年金保険では、契約時に将来受け取れる年金額が決まります。将来受け取れる金額を確定させたほうが安心できるという方に向いているでしょう。

iDeCoの場合は自分で運用管理機関や運用商品を選定する必要がありますが、個人年金保険では「保険会社と契約して、保険料を毎月支払うだけ」で済みます。手間をかけずに老後資金を用意したいと考えている方に向いている可能性があります。

既にほかの保険に加入しており、信頼できる保険会社の担当者がいる場合は、担当者と相談したうえで加入を判断するのも一つの手段です。不安がある場合は、担当者に資産状況やライフイベントを一緒に考えてもらうとよいでしょう。

途中解約はできるだけ避けるべきですが、どうしても資金が必要になったときにお金を引き出したい場合は個人年金保険が向いています。iDeCoは原則60歳になるまで引き出せず、柔軟に資金ニーズへ対応できないためです。

個人年金保険の他にも、生命保険の中には資産形成に役立つ商品があります。詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

どちらか選ぶならiDeCoがおすすめな人

iDeCoがおすすめな人の特徴は以下のとおりです。

iDeCoがおすすめな人

  1. 自分で投資判断を下せる人
  2. 効率よく資産形成を行いたい人
  3. 節税メリットを最大限活かしたい人
  4. 所得税率が高い人
  5. 老後資金作りに注力したい人

自分で投資判断を下せる方は、加入者が柔軟に運用商品を選べるiDeCoが向いています。株式や債券、不動産へ投資する割合を自分のリスク許容度に合わせて調整できるため、自由度の高さを優先したい方はiDeCoを始めましょう。

iDeCoで積極的にリターンを目指す場合の運用シミュレーション

iDeCoで毎月2万円を「年率1%」「年率3%」「年率5%」で運用したときのシミュレーション結果は以下のとおりです。

5年後7年後10年後
1%約1,224,241円
運用益:約24,241円
約1,731,248円
運用益:約51,248円
約2,510,931円
運用益:約110,931円
3%約1,274,192円
運用益:約74,192円
約1,838,990円
運用益:約158,990円
約2,751,331円
運用益:約351,331円
5%約1,326,151円
運用益:約126,151円
約1,954,082円
運用益:約274,082円
約3,018,694円
運用益:約618,694円
運用シミュレーション

さらに、iDeCoには運用益が非課税になるメリットがあります。効率よく資産形成を行ううえで効果的な税制優遇なので、有効活用することをおすすめします。

個人年金保険は年間でいくら保険料を支払っても所得控除の上限がありますが、iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象です。特に所得税率が高い方は節税額も大きくなるため、よりメリットを感じられます。

iDeCoは原則60歳まで引き出せませんが、逆にいえば着実に老後資金を用意できます。途中解約をする予定がなく、老後資金作りに注力したい方は活用するのがおすすめです。

この記事のまとめ

老後資金づくりでは、まず自分が重視する軸(節税・安定・流動性・成長性)を明確にし、現在の契約内容や家計の負担感を確認しましょう。そのうえで、個人年金・iDeCo・NISAを組み合わせる最適な比率を検討し、必要に応じて加入状況の見直しや控除の確認を行うことが次のステップです。

判断に迷う場合は、投資のコンシェルジュの無料相談をご利用ください。あなたの状況に合った老後資金設計を一緒に作ってみませんか。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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個人年金保険

個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。

確定拠出年金(DC)

確定拠出年金(DC)は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。

時間分散

時間分散とは、投資のタイミングを複数回に分けることで、相場の変動リスクを軽減する方法です。ドルコスト平均法はこの時間分散の考え方を活用した投資手法で、価格の高低に左右されにくく、平均購入価格を抑えることが可能です。

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