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生命保険は掛け捨てで十分?|損しない選び方やメリット、向いている人の特徴を解説

生命保険は掛け捨てで十分?|損しない選び方やメリット、向いている人の特徴を解説

生命保険は掛け捨てで十分?|損しない選び方やメリット、向いている人の特徴を解説

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執筆者:

公開:

2025.11.18

更新:

2025.11.18

生命保険

生命保険に加入する際、「掛け捨ては損」と考える人は少なくありません。しかし、保険の本質を理解すれば、掛け捨て型こそが合理的な選択である場合も多いことが分かります。本記事では、仕組みやメリット・デメリットを整理し、主要な掛け捨て商品の特徴と選び方を詳しく解説します。

サクッとわかる!簡単要約

掛け捨て保険は、保険料のすべてを「保障」に充てる仕組みで、安い保険料で大きな安心を得られる点が特徴です。貯蓄型と異なり、満期や解約時にお金は戻りませんが、必要な期間だけ効率的にリスクをカバーできます。特に20〜40代や子育て世帯にとって、家計の負担を抑えながら保障を持てる合理的な選択肢です。読了後には、保険の本質と自分に合った掛け捨て商品の見極め方が分かります。

目次

掛け捨て保険とは?基本的な仕組み

保険料が戻らない理由

保障期間と更新の仕組み

保険の本質は掛け捨てである

保険は相互扶助の仕組み

リスク移転のコスト

純粋な保障機能の重要性

掛け捨て保険の種類と特徴

定期保険

医療保険

がん保険

収入保障保険

就業不能保険

掛け捨て保険のメリット

保険料を大幅に抑えられる

必要な期間だけ保障を確保できる

ライフステージに応じた見直し

掛け捨て保険のデメリット

満期保険金がない

解約返戻金が期待できない

更新時に保険料が上昇する

高齢になると加入が困難

掛け捨て保険が向いている人

20代・30代の若年層

子育て世帯

住宅ローン返済中の世帯

資産運用を別で行いたい人

掛け捨て保険が向かない人

貯蓄が苦手な人

老後資金を準備したい人

相続対策を考えている人

失敗しない掛け捨て保険の選び方

必要保障額を算出する

保険期間を設定する

適切な特約を付加する

複数社の保険商品を比較検討する

掛け捨て保険とは?基本的な仕組み

掛け捨て保険とは、契約期間中に保険事故(死亡や入院など)が発生した場合のみ保険金や給付金が支払われる保険のことです。保険期間が満了しても、支払った保険料は返ってきません。

代表的な掛け捨て型の保険には、定期保険、医療保険、がん保険などがあります。これらの保険は、純粋に「リスクに備える」という保険本来の機能に特化しているのが特徴です。

保険料が戻らない理由

掛け捨て保険の保険料が戻らない理由は、支払った保険料がすべて「リスクプール」に充てられるためです。リスクプールとは、加入者全員で作る共同の資金のことで、保険事故が起きた人への保険金支払いに使われます。

保険会社は、統計データに基づいて保険事故の発生確率を計算し、必要な保険料を設定しています。1万人の加入者がいて、年間10人に保険事故が発生すると予測される場合、全員から集めた保険料でその10人分の保険金を賄う仕組みです。

貯蓄型保険の場合、保険料の一部は将来の返戻金として積み立てられます。しかし、掛け捨て型では積立部分がないため、同じ保障内容でも保険料を大幅に抑えることが可能になるのです。

保障期間と更新の仕組み

掛け捨て保険の保障期間は、10年、20年、60歳まで、65歳までなど、あらかじめ決められています。この期間を「保険期間」と呼び、期間満了後は保障が終了します。

更新型の掛け捨て保険では、保険期間満了時に健康状態の告知なしで更新できる場合があります。ただし、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、保険料は上昇するのが一般的です。

全期型と呼ばれるタイプでは、契約時から保険期間満了まで保険料が変わりません。初期の保険料は更新型より高めですが、トータルの支払額を抑えたい方に適しています。どちらを選ぶかは、ライフプランや家計の状況に応じて検討することが大切です。

保険の本質は掛け捨てである

保険という仕組みを正しく理解すれば、「掛け捨て」こそが保険の本来の姿であることがわかります。保険選びは満期金や返戻金の有無ではなく、「発生頻度は低いが巨額の損失に対する移転コストとして妥当か」で評価すべきです。

ここでは、保険の成り立ちから、なぜ掛け捨てが合理的なのかを解説します。

保険は相互扶助の仕組み

保険の本質は「相互扶助」、つまり加入者全員でリスクを分かち合う仕組みです。多くの人が少しずつお金を出し合い、不幸にも事故に遭った人を助けるという考え方が基本となっています。

1万人が年間1万円ずつ保険料を支払い、合計1億円のリスクプールを作ったとします。その年に10人が事故に遭い、1人あたり1,000万円の保険金が必要になれば、ちょうど1億円で賄えます。事故に遭わなかった9,990人の保険料は、困った10人を助けるために使われるのです。

この相互扶助の精神こそが保険の原点であり、支払った保険料が戻ってこないのは当然のことです。火災保険や自動車保険で、事故がなかったから保険料を返せという人はいません。

生命保険も同じで、保険金を受け取らなかったということは「無事に過ごせたこと」を意味します。本来喜ぶべきことであって、保険料が「もったいない」と考えるのは本質を見誤っています。

リスク移転のコスト

保険料は、自分では負担しきれない大きなリスクを、保険会社に移転するための対価です。個人では対応できない数千万円の経済的損失を、月々数千円で回避できるのが保険の価値なのです。

30歳の男性が急死し、残された家族には3,000万円以上の経済的損失が発生した場合を考えてみましょう。この金額を自力で準備するには、毎月10万円ずつ貯蓄しても25年かかります。しかし、定期保険なら月々3,000円で、加入初日からこのリスクをカバーできるのです。

保険会社は、数理計算に基づいてリスクを引き受け、運営コストを加えて保険料を設定しています。このコストは、巨大なリスクから解放される「安心料」と考えるべきでしょう。年間3万6,000円で3,000万円のリスクを移転できるなら、きわめて効率的な取引といえます。

純粋な保障機能の重要性

保険の最も重要な機能は「保障」であり、貯蓄型保険に含まれる貯蓄機能は付加的なものにすぎません。掛け捨て保険は、この保障機能に特化することで、最小のコストで最大の安心を提供できます。

家計のリスク管理を考える際、保険でカバーすべきは「発生確率は低いが、発生した場合の損失が大きいリスク」です。死亡、重度障害、がん、長期就業不能などがこれに該当します。

掛け捨て保険には、掛けたお金を「捨てる」という、損をするようなイメージを持つかもしれません。しかし、実際には将来必要となる教育資金や老後資金は、保険ではなく計画的な貯蓄や投資で準備するほうが合理的なのです。

「貯蓄型保険と掛け捨て保険はどっちが得なの?」という疑問をお持ちの方は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

掛け捨て保険の種類と特徴

掛け捨て保険には、死亡保障から医療保障まで、さまざまな種類があります。それぞれの保険は対象となるリスクが異なるため、自分のニーズに合った保険を選ぶことが重要です。各種類の特徴を理解して、必要な保障を効率的に準備しましょう。

定期保険

定期保険は、一定期間の死亡・高度障害に備える掛け捨て型の生命保険です。被保険者が保険期間中に死亡または所定の高度障害状態になった場合、受取人に保険金が支払われます。

保険金額は500万円から1億円以上まで幅広く設定でき、子どもの教育費や住宅ローンの返済など、具体的な目的に応じて選択できます。

定期保険には、保険金額が一定の「平準定期保険」と、時間の経過とともに保険金額が減少する「逓減定期保険」があります。逓減定期保険は、住宅ローンの残高減少に合わせて保障額を調整できるため、より合理的な保障設計が可能です。

定期保険と終身保険の違いは、こちらの記事で解説しています。あわせて参考にしてみてください。

医療保険

医療保険は、病気やケガによる入院・手術に備える掛け捨て型の保険です。公的医療保険でカバーできない差額ベッド代や先進医療費、入院中の収入減少に対応できます。

基本的な保障内容は、入院給付金(1日あたり5,000円〜1万円)と手術給付金(入院給付金の10倍〜40倍)です。最近では、日帰り手術や通院治療にも対応した商品が増えています。

特約を付加することで、女性特有の病気や三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)への保障を手厚くすることも可能です。ただし、特約を増やすと保険料が上がるため、本当に必要な保障かどうか慎重に検討することが大切です。

医療保険について詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。

がん保険

がん保険は、がんの診断・治療に特化した掛け捨て型の保険です。がんと診断された時点で一括して支払われる「診断給付金」が主な保障となります。

診断給付金は50万円〜300万円程度が一般的で、治療方法を問わず自由に使えるのが特徴です。抗がん剤治療や放射線治療の通院給付金、先進医療特約なども付加できます。

多くのがん保険には90日間の免責期間があり、加入後3か月以内にがんと診断されても保障の対象になりません(免責期間がないがん保険もあります)。これは、すでにがんの疑いがある状態での加入を防ぐための仕組みです。家族にがんの既往歴がある方は、早めの加入を検討するとよいでしょう。

がん保険の特徴やメリットについては、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。

収入保障保険

収入保障保険は、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合、遺族に毎月一定額の保険金が支払われる掛け捨て型の保険です。一括で受け取る定期保険とは異なり、年金形式で受け取れるのが特徴です。

たとえば、月額20万円の収入保障保険に加入していた場合、残された家族は契約期間満了まで毎月20万円を受け取れます。

保険金の受取総額は、保険事故が起きた時期によって変動します。加入直後に保険事故が起きれば受取総額は多くなりますが、満期間近では少なくなります。この仕組みにより、子どもの成長に応じて必要保障額が減少する実態に合った保障を、効率的に準備できるのです。

収入保障保険の特徴や定期保険との違いについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

就業不能保険

就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなった場合に、毎月一定の給付金を受け取れる掛け捨て型の保険です。医療保険では対応できない、長期の収入減少リスクに備えることができます。

給付条件は「入院または医師の指示による在宅療養が60日以上継続した場合」のように、保険会社によって異なります。月額給付金は10万円〜50万円程度で設定でき、会社員なら傷病手当金との差額を、自営業者なら生活費全体をカバーできるよう設計します。

精神疾患を保障対象に含む商品も増えていますが、その分保険料は高くなる傾向があります。自身の職業や健康状態を考慮して、必要な保障を選択することが重要です。

就業不能保険や高年収の会社員が医療費負担に備える方法について知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。

掛け捨て保険のメリット

掛け捨て保険には、保険料の安さだけでなく、柔軟な保障設計ができるメリットがあります。特に若い世代や子育て世帯にとって、家計への負担を抑えながら必要な保障を確保できる点は大きな魅力です。

保険料を大幅に抑えられる

掛け捨て保険の最大のメリットは、貯蓄型と比較して保険料を大幅に抑えられることです。同じ死亡保障3,000万円でも、30歳男性の場合、定期保険なら月々3,000円程度、終身保険なら月々3万円以上と、約10倍の差が生じるケースは少なくありません。

この差額を活用すれば、別の金融商品で資産形成することも可能です。たとえば、月々2万7,000円の差額をつみたてNISAで20年間運用した場合、年利5%なら約1,100万円の資産を形成できる計算になります。保険と投資を分けることで、より効率的な資産運用が実現できるのです。

必要な期間だけ保障を確保できる

掛け捨て保険は、ライフステージに応じて必要な期間だけ保障を確保できます。子どもが独立するまでの20年間、住宅ローン返済中の25年間など、具体的な期間を設定して加入できるのが特徴です。

子育て世帯の場合、末子が大学を卒業するまでが最も保障が必要な時期です。この期間に限定して高額な死亡保障に加入し、子どもの独立後は保障額を減らすことで、無駄のない保障設計ができます。

期間を限定することで、トータルの保険料支出も抑えられます。30歳から60歳まで月々3,000円の定期保険に加入した場合、総支払額は108万円です。一方、同じ保障の終身保険なら1,000万円以上の保険料が必要になることもあります。

ライフステージに応じた見直し

掛け捨て保険は、ライフステージの変化に応じて柔軟に見直しができます。結婚、出産、住宅購入、子どもの進学など、人生の節目で保障内容を調整しやすいのがメリットです。

独身時代は医療保険のみ、結婚後は死亡保障を追加、子どもが生まれたら保障額を増額、といった具合に段階的に保障を充実させることができます。逆に、子どもの独立後は保障額を減らして保険料負担を軽減することも可能です。

見直しのタイミングは、家族構成が変わったときや、年収が大きく変動したときが適切です。特に住宅ローンを組んだ場合は、団体信用生命保険に加入することが多いため、その分の死亡保障を減額できます。定期的な見直しにより、常に最適な保障を最小のコストで維持できるのです。

保険を見直すタイミングに関しては、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。

掛け捨て保険のデメリット

掛け捨て保険は保険料が安いという大きなメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。これらの注意点を理解したうえで、自分にとって本当に適切な選択かどうか判断することが大切です。

満期保険金がない

掛け捨て保険には、満期を迎えても満期保険金がありません。保険期間中に何も起こらなければ、支払った保険料はすべて「掛け捨て」となります。

たとえば、30歳から60歳まで月々3,000円の定期保険に加入した場合、30年間で総額108万円を支払うことになります。無事に満期を迎えられることは喜ばしいことですが、経済的には108万円が戻ってこないため、「もったいない」と感じる方も少なくありません。

ただし、この108万円は「安心を買うコスト」と考えることもできます。保険の本質は「万一への備え」であることを理解することが重要です。

解約返戻金が期待できない

掛け捨て保険は、途中で解約しても解約返戻金がないか、あってもごくわずかです。貯蓄型の保険なら、解約時にある程度のお金が戻ってきますが、掛け捨て型にはその機能がありません。

急にまとまったお金が必要になった場合、貯蓄型なら解約返戻金を活用できます。また、契約者貸付制度を利用して、解約返戻金の範囲内で借り入れることも可能です。しかし、掛け捨て型にはこうした資金調達の手段がないため、別途、緊急資金を準備しておく必要があります。

解約返戻金がないということは、保険を「貯蓄の代わり」として活用できないことを意味します。老後資金や教育資金の準備を保険で行いたい方には不向きでしょう。資産形成は別の金融商品で行い、保険は純粋にリスク対策として位置づける必要があります。

更新時に保険料が上昇する

更新型の掛け捨て保険では、更新のたびに保険料が上昇します。年齢が上がるにつれて死亡リスクや病気のリスクが高まるため、保険料も比例して高くなるのが一般的です。

保険料が上昇する一例

  1. 30歳:月々2,000円
  2. 40歳の更新時:3,500円
  3. 50歳の更新時:5,000円

以上のように、更新のたびに段階的に上昇していきます。特に50代以降の上昇率は大きく、60歳で更新する場合、30歳時の5倍以上になることも珍しくありません。

収入が増えていれば問題ありませんが、定年退職後は年金生活となるため、高額な保険料の負担が困難になる可能性があります。更新型を選ぶ場合は、将来の保険料上昇を見込んで、早めに全期型への切り替えや、保障額の見直しを検討することが大切です。

高齢になると加入が困難

掛け捨て保険は、高齢になるほど加入が困難になります。多くの定期保険や医療保険では、新規加入の年齢上限が65歳〜70歳に設定されています。また、加入できたとしても、保険料が非常に高額になるケースがほとんどです。

さらに、健康状態によっては加入を断られる可能性も高くなります。高血圧や糖尿病などの持病があると、通常の保険には加入できず、引受基準緩和型保険を選ばざるを得ません。

引受基準緩和型保険は、健康状態の告知項目が少ない代わりに、保険料が割高に設定されています。通常の保険の1.5〜2倍の保険料になることも多く、高齢での新規加入はかなりの経済的負担となります。

引受基準緩和型保険や無選択型保険に関しては、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。

掛け捨て保険が向いている人

掛け捨て保険は、すべての人に適しているわけではありません。ライフステージや家族構成、資産状況によって、掛け捨て型が最適な選択となる人がいます。ここでは、掛け捨て保険のメリットを最大限活用できる人の特徴を具体的に解説します。

20代・30代の若年層

20代・30代の若年層は、掛け捨て保険が特に向いています。この年代は保険料が安く、少ない負担で大きな保障を確保できるためです。また、収入がまだ安定していない時期でも、無理なく継続できる点がメリットです。

この年代は結婚や出産など、ライフイベントが多い時期でもあります。掛け捨て型なら、状況の変化に応じて柔軟に保障内容を見直せるため、無駄のない保険設計が可能です。貯蓄型のように長期間の固定的な支払いに縛られることもありません。

子育て世帯

子育て世帯にとって、掛け捨て保険は最も合理的な選択肢のひとつです。子どもが成人するまでの期間限定で、高額な死亡保障が必要になるためです。教育費の準備と保険料のバランスを考えると、掛け捨て型が適しています。

子ども1人あたりの教育費は、幼稚園から大学まですべて公立でも約1,000万円、私立なら2,000万円以上かかります。万一の場合、この教育資金を確保するために、3,000万円〜5,000万円の死亡保障が必要になるでしょう。掛け捨て型なら、月々5,000円程度でこの保障を準備できます。

子どもの成長とともに必要保障額は減少していきます。末子が大学を卒業すれば、高額な死亡保障は不要になるため、そのタイミングで保険を見直すことができます。20年間という期間限定の保障なら、掛け捨て型が効率的です。

住宅ローン返済中の世帯

住宅ローンを返済中の世帯も、掛け捨て保険が向いています。団体信用生命保険(団信)でローン残債はカバーされますが、生活費や教育費などは別途準備が必要だからです。

3,000万円の住宅ローンを組んだ場合、団信で住居は確保されます。しかし、残された家族の生活費として、別途2,000万円程度の保障が必要になるでしょう。定期保険なら、ローン返済期間に合わせて25年や30年の保険期間を設定でき、月々3,000円〜4,000円で準備できます。

住宅ローンの繰り上げ返済を進めるにつれて、必要保障額も減少していきます。逓減定期保険を活用すれば、ローン残高の減少に合わせて保険金額も減らせるため、より合理的な保障設計が可能です。

資産運用を別で行いたい人

NISAやiDeCoなど、保険以外で資産運用を行っている人には、掛け捨て保険が適しています。保険と投資を分離することで、それぞれの目的に最適な商品を選択できるためです。

貯蓄型保険の予定利率は0.5〜1.5%程度と低く、インフレに対応できない可能性があります。一方、NISAで全世界株式に投資すれば、長期的には年率5〜7%のリターンが期待できます。保険料の差額を投資に回すことで、より効率的な資産形成が可能になるのです。

たとえば、終身保険との差額2万円を20年間、年率5%で運用すれば約820万円の資産を形成できます。掛け捨て保険で保障を確保しながら、別途資産運用することで、リスク管理と資産形成の両立が実現できるでしょう。

変額保険・NISA・iDeCoの違いについて知りたい方は、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。

掛け捨て保険が向かない人

掛け捨て保険は効率的な保障手段ですが、すべての人に適しているわけではありません。貯蓄習慣やライフプラン、資産管理の考え方によっては、貯蓄型保険のほうが適している場合もあります。

貯蓄が苦手な人

毎月の収支管理が苦手で、なかなか貯蓄ができない人には、掛け捨て保険は向きません。貯蓄型保険なら、保険料の支払いを通じて自動的に資産形成ができるため、貯蓄が苦手な人でも確実にお金を貯められます。

終身保険や養老保険は、保険料の一部が積立に回されるため、「強制貯蓄」の機能があります。口座振替やクレジットカード払いで自動的に引き落とされるため、意識せずに資産を形成できるのです。10年、20年と継続すれば、まとまった解約返戻金を受け取れます。

掛け捨て保険を選んだ場合、浮いた保険料を自分で運用する必要があります。しかし、「今月は出費が多いから投資は来月にしよう」と先送りしがちな人は、結局お金が貯まらない可能性が高いでしょう。

老後資金を準備したい人

老後資金の準備を保険で行いたい人には、掛け捨て型は適していません。掛け捨て保険には貯蓄機能がないため、老後に向けた資産形成ができないからです。

個人年金保険や終身保険なら、60歳や65歳で保険料の払込みを終了し、その後は年金として受け取ったり、一括で解約返戻金を受け取ったりできます。

公的年金だけでは老後の生活費が不足する可能性が高い現代において、私的年金の準備は重要です。iDeCoやNISAなどの制度もありますが、投資リスクを取りたくない人や、確実に老後資金を準備したい人には、貯蓄型保険が向いているでしょう。保険なら死亡保障も兼ねられるため、一石二鳥です。

相続対策を考えている人

相続対策を重視する人には、掛け捨て保険より終身保険などの貯蓄型保険が適しています。生命保険の死亡保険金には、相続税の非課税枠(法定相続人1人あたり500万円)があるため、相続税対策として活用できるからです。

終身保険は一生涯保障が続くため、いつ亡くなっても確実に保険金が支払われます。また、受取人を指定できるため、特定の相続人に確実に資産を渡すことも可能です。

掛け捨て型の定期保険では、保険期間が終了すれば保障がなくなってしまいます。80歳、90歳まで更新し続けることは保険料の面で現実的ではありません。相続対策として保険を活用したい場合は、終身保険や一時払い終身保険など、確実に保険金が支払われる商品を選ぶべきでしょう。

生命保険を活用した相続税対策については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

失敗しない掛け捨て保険の選び方

掛け捨て保険を選ぶ際は、単に保険料の安さだけで判断してはいけません。必要な保障額を適切に設定し、保険期間や特約の有無など、総合的に検討することが重要です。

必要保障額を算出する

必要保障額は「遺族の支出総額」から「遺族の収入総額」を差し引いて計算します。この金額が、万一の際に保険でカバーすべき金額となります。正確に算出することで、過不足のない保障を準備できるでしょう。

区分内容
遺族の支出・生活費(現在の7割程度)
・教育費(子ども1人あたり1,000万円〜2,000万円)
・住居費、葬儀費用など
収入・資産・遺族年金(月額10万円〜15万円程度)
・配偶者の収入
・預貯金
・死亡退職金など

たとえば、35歳会社員で妻と子ども2人の場合、今後25年間の支出が8,000万円、収入が5,000万円なら、必要保障額は3,000万円です。ただし、住宅ローンがある場合は団信でカバーされるため、その分を差し引いて計算します。

なお、遺族年金について詳しく知りたい場合は、こちらもあわせて参考にしてみてください。

保険期間を設定する

保険期間は、ライフイベントに合わせて設定することが基本です。「末子の大学卒業まで」「定年退職まで」「住宅ローン完済まで」など、具体的な目標を定めることで、無駄のない保障期間を設定できます。

子育て世帯なら、末子が22歳になる年(大学を卒業して就職するとき)を満期に設定するのが一般的です。現在35歳で末子が3歳なら、19年後の54歳満了となります。ただし、きりのよい20年満期や55歳満期を選ぶことで、保険料が割安になるケースもあります。

更新型と全期型の選択も重要なポイントです。10年更新型は初期の保険料が安いものの、更新のたびに保険料が上昇します。一方、全期型は保険料が一定ですが、初期負担が大きくなります。

適切な特約を付加する

特約を上手に活用することで、基本保障では対応できないリスクもカバーできます。ただし、特約を付けすぎると保険料が高額になるため、本当に必要なものだけを選ぶことが大切です。

代表的な特約には、保険料払込免除特約(三大疾病になったら以後の保険料が免除)や災害割増特約(事故死の場合は保険金が増額)などがあります。

複数社の保険商品を比較検討する

掛け捨て保険は、保険会社によって保険料や保障内容に差があります。同じ条件でも、保険料が違うこともあるため、必ず複数社を比較検討することが大切です。一般的に、ネット型保険は保険料が割安です。

比較する際のポイントは、保険料だけでなく、保険金の支払い条件、免責事項、付帯サービスなども確認することです。特に医療保険やがん保険では、入院日数の制限、手術給付金の対象範囲、通院保障の有無など、細かい条件の違いが重要になります。

そもそも、生命保険が不要というケースもあります。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。

この記事のまとめ

掛け捨て保険は、必要なリスクだけに備えられる、もっともコスト効率の良い保障手段です。保険料が戻らない点にとらわれず、家計の大きな損失を防ぐための“必要経費”として捉えることが重要です。

まずは、遺族の生活費や教育費、住居費などから、公的遺族年金や貯蓄を差し引き、必要保障額を明確にするところから始めましょう。保障額と期間を過不足なく設計できれば、家計を圧迫せずに適切な備えが整います。

もし自分に合った保障設計が分からない場合は、投資のコンシェルジュの無料相談で、家計状況や将来計画に合わせた最適な保障プランを一緒に確認できます。気軽に活用してください。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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生命保険

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掛け捨て保険

掛け捨て保険とは、一定期間の保障を得ることに特化した保険で、保険期間が終わった後に保険料が戻ってこないタイプの保険です。代表的なものに、定期型の生命保険や医療保険があります。保障が必要な期間に絞って加入できるため、毎月の保険料を安く抑えられるのが大きな特徴です。貯蓄機能はないものの、万一に備えるコストパフォーマンスが高く、特に子育て世代や住宅ローン返済中など、一時的に大きな保障を必要とする方に適しています。「お金が戻らないから損」と感じる方もいますが、必要な時期に必要な保障を効率よく確保する手段として、多くの方に利用されています。

貯蓄型保険(積立型)

貯蓄型保険(積立型)とは、万が一の保障に加えて、将来的にお金が戻ってくる仕組みを備えた保険商品のことです。保険料の一部が積み立てられ、契約満了時や途中解約時に「解約返戻金」や「満期保険金」として受け取れるようになっています。 代表的な商品には、終身保険、養老保険、学資保険などがあり、保険としての安心を持ちながら、同時に資産形成も行えるのが特徴です。特に、教育資金や老後資金の準備、相続対策など、目的を持った長期の計画に活用されます。 「掛け捨て型保険」と異なり、支払った保険料が将来的に戻ってくるため、保険と貯金の“ハイブリッド”として位置づけられる商品です。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるほか、運用利回りが低めに抑えられていることが多いため、目的と期間をしっかり考えて加入することが大切です。 保障と貯蓄を1つの仕組みで両立させたい人にとって、計画的な資産形成の手段として有効な選択肢のひとつです。

定期保険

定期保険とは、あらかじめ決められた一定の期間だけ保障が受けられる生命保険のことです。たとえば10年や20年といった契約期間のあいだに万が一のことがあれば、保険金が支払われますが、その期間を過ぎると保障はなくなります。保障期間が限定されているため、保険料は比較的安く設定されています。特に子育て世代や住宅ローンを抱えている方など、特定の期間だけ万が一の保障を重視したい場合に適しています。貯蓄性はなく、純粋に「保障のための保険」である点が特徴です。

終身保険

終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。

医療保険

医療保険とは、病気やケガによる入院・手術などの医療費を補償するための保険です。公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、日本では健康保険や国民健康保険が公的制度として提供されています。一方、民間医療保険は、公的保険でカバーしきれない自己負担分や特定の治療費を補填するために活用されます。契約内容によって給付金の額や支払い条件が異なり、将来の医療費負担を軽減するために重要な役割を果たします。

がん保険

がんと診断されたときや治療を受けたときに給付金が支払われる民間保険です。公的医療保険ではカバーしきれない差額ベッド代や先進医療の自己負担分、就業不能による収入減少など、治療以外の家計リスクも幅広く備えられる点が特徴です。通常は「診断一時金」「入院給付金」「通院給付金」など複数の給付項目がセットされており、加入時の年齢・性別・保障内容によって保険料が決まります。 更新型と終身型があり、更新型は一定年齢で保険料が上がる一方、終身型は加入時の保険料が一生続くため、長期的な負担の見通しを立てることが大切です。がん治療は医療技術の進歩で入院期間が短くなり通院や薬物療法が中心になる傾向があるため、保障内容が現在の治療実態に合っているかを確認し、必要に応じて保険の見直しを行うと安心です。

収入保障保険

収入保障保険とは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、遺された家族が毎月一定額の保険金を受け取れる生命保険の一種です保険金は一括ではなく、年金のように月々の定額支給という形で受け取るため、日々の生活費や教育費など、継続的な支出に備えるのに適した保険です。 この保険の特徴は、契約期間が経過するごとに受け取れる総額(=支給期間)が短くなるため、保険料が比較的割安に設定されていることです。必要な保障額を効率よく確保できることから、特に子育て中の家庭や、一家の収入を支える人に万が一があった場合のリスクに備えたい方に人気があります。

就業不能保険

就業不能保険とは、病気やけがで働けなくなり、収入が得られなくなった場合に、一定期間ごとに保険金が支払われる民間の保険商品です。この保険は、入院や自宅療養などで仕事を続けられない状況が長引いたときに、生活費やローン返済などの家計の負担を軽減するために設けられています。 公的な障害年金制度ではカバーしきれない部分を補う目的があり、自営業者やフリーランスなど、収入の保障が不安定な人に特に注目されています。保障内容や支払期間、免責期間などは契約ごとに異なるため、自分の職業やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

解約返戻金

解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。

満期保険金

満期保険金とは、保険契約で定められた期間が終了したときに、契約者や被保険者に支払われるお金のことをいいます。たとえば、10年や20年などの一定期間保険料を払い続け、満期になったときにその保険が「満了」すると、あらかじめ決められた金額が支払われます。 このお金は、死亡や病気などのリスクに備えるだけでなく、貯蓄のように将来の資金づくりにも役立つという特徴があります。特に学資保険や養老保険などでよく使われる仕組みです。

相互扶助

相互扶助とは、個人同士や集団が互いに助け合い、困ったときに支え合うという考え方を指します。資産運用の文脈では、保険や共済制度など、参加者が資金を出し合い、誰かに不測の事態が起きたときにその資金を使って支援する仕組みに見られます。これは、利益を得るための投資というより、リスクに備える方法の一つとして位置づけられます。相互扶助の精神は、個人だけでなく、地域社会や組織、国家レベルでも活用されることがあり、共通の目的に向かって協力し合う土台となっています。

逓減定期保険

逓減定期保険とは、保険期間の経過に応じて保険金額が段階的に減っていくタイプの定期保険です。つまり、契約当初は高めの保障額が設定されていても、時間の経過とともにその保障額が少しずつ減っていく仕組みになっています。 これは、家計の責任が時間とともに減っていくという考え方に基づいています。たとえば、子どもの教育費や住宅ローンの残高が年々減少していくようなケースに合わせて、必要保障額を効率的に準備することができます。 また、保障額が逓減する分、同じ定期保険でも保険料を比較的抑えることができる点も特徴です。資産運用というよりは、家計のリスク管理に役立つ保険で、必要な時期に無駄のない保障を確保したい初心者にとっても利用しやすい商品です。

特約

特約とは、保険契約や金融契約、不動産契約などにおいて、基本契約に追加される特別な条件や取り決めのことを指します。これは標準的な契約内容とは別に、契約者の希望や状況に応じて付加されるもので、主契約の補足・強化・変更などを目的とします。 たとえば、生命保険では「災害特約」や「払込免除特約」などがあり、基本の保障に加えて追加の保障や条件変更を可能にします。特約は自由度が高い反面、内容や適用条件が複雑になることもあるため、契約時にはその内容を正確に理解しておくことが重要です。資産運用や保険設計においては、特約の有無によって将来のリスク対応力やコスト負担が大きく変わる可能性があるため、戦略的に選ぶべき要素のひとつです。

リビング・ニーズ特約

リビング・ニーズ特約とは、生命保険の被保険者が余命6か月以内などの診断を受けた場合に、死亡保険金の全部または一部を生前に受け取れる仕組みです。 医療費や介護費など多額の出費が急に必要になる場面で、保険金を先に受け取ることで生活資金を確保しやすくなります。受け取った後も契約を消滅させずに続けられるケースが多く、残りの保険金や保障内容は契約時の条件に従って変動します。 税金面では非課税枠や控除の対象になることもあり、利用前に受取額や相続税・所得税への影響を確認することが大切です。

団体信用生命保険(団信)

団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ人が亡くなったり高度障害になったりした場合に、その時点のローン残高が保険金で返済される保険です。多くの場合、住宅ローンを借りる際に金融機関が加入を条件とすることがあり、略して「団信(だんしん)」とも呼ばれます。 この保険に加入しておけば、万が一のことがあった際に遺族がローンを引き継ぐ必要がなくなり、家に住み続けることができるため、大きな安心材料になります。保障の範囲は、死亡や高度障害に限らず、がんや三大疾病、就業不能までカバーするタイプもあり、ライフスタイルに応じて選ぶことができます。

引受基準緩和型保険

引受基準緩和型保険とは、健康状態に不安がある人や持病のある人でも加入しやすいように、通常の保険よりも加入時の審査基準(引受基準)を緩やかにした保険のことです。一般の保険では健康状態に関する詳しい質問や診査が必要ですが、このタイプでは「過去〇年以内に入院したことがありますか?」など、限定的な質問だけで加入できるケースが多くあります。 ただし、保険料は通常の保険よりも割高に設定されることが一般的で、契約から一定期間(例:1~2年)は保障内容が制限される「免責期間」が設けられることもあります。持病や高齢によって通常の保険に加入できなかった人にとっては、貴重な保障手段となります。加入のハードルは低い一方で、保障内容や費用のバランスをよく理解することが大切です。

必要保障額

必要保障額とは、万一の際に残された家族が現在と同等の生活水準を維持しながら、将来の教育費や住宅費といった支出も含めて安心して暮らしていけるよう、生命保険などで準備すべき金額を指します。具体的には、遺族の生活費、子どもの教育資金、住宅ローンの残債、葬儀費用などの「必要資金」から、公的遺族年金、勤務先の死亡退職金、既存の貯蓄や保険などの「準備済み資金」を差し引くことで算出します。 この必要保障額は、家族構成や年齢、子どもの進学予定、住宅ローンの残り期間など、個々のライフプランによって大きく異なります。たとえば、子どもが小さいうちは教育費や生活費の負担が長期にわたるため保障額は大きくなりがちですが、成長とともに必要な保障額は徐々に減少していきます。また、配偶者の就労状況や資産形成の進捗によっても必要な金額は変動します。 そのため、保険を一度加入したら終わりではなく、ライフステージの変化に応じて定期的に見直すことが重要です。保障が過剰であれば保険料の無駄払いになり、逆に不足していればいざというときに家族が困ることになります。こうしたリスクを避けるためにも、保険はライフプラン全体の中での位置づけとして考えることが不可欠です。 保険加入を検討する際には、営業担当者の提案を鵜呑みにせず、自分の生活設計に照らして必要な保障内容を見極めることが大切です。保障の目的や期間、公的制度とのバランス、そして家計や資産運用との整合性を踏まえた設計にすることで、無理なく持続可能な保険の活用が実現できます。必要に応じて、ライフプランニングに精通した中立的な専門家に相談し、現状の見直しと将来設計を行うのも有効な方法です。

遺族年金

遺族年金とは、家計の支え手である人が亡くなった際に、残された家族の生活を保障するために支給される年金のことです。公的年金制度の中に組み込まれており、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があります。対象となるのは、主に配偶者や子どもで、支給額や期間は家族構成や被保険者の加入状況などによって異なります。遺族年金は、残された家族が安定した生活を続けるための公的な支援制度として、生活設計においてとても重要な役割を果たします。

三大疾病(しっぺい)

三大疾病(しっぺい)とは、一般的に「がん」「心疾患」「脳卒中」の3つの重い病気をまとめて指す言葉です。これらの病気は、発症すると長期の治療が必要になることが多く、医療費も高額になる可能性があります。特に生命保険や医療保険の中では、この三大疾病に対応した保障が設けられている商品が多く、一時金の支給や保険料の免除などの仕組みもあります。 資産運用の観点からも、病気による収入減や支出増をカバーするために、三大疾病に備えた保険を活用することは、生活の安定と将来設計のうえで重要な手段となります。

ファイナンシャル・プランナー(FP)

ファイナンシャル・プランナーとは、お金に関する幅広い知識を持ち、個人や家庭のライフプランに応じた資金計画や資産運用、保険、税金、年金、相続などについてアドバイスを行う専門家のことです。略して「FP(エフピー)」と呼ばれることもあります。例えば、子どもの教育資金や老後の生活費をどのように準備するか、住宅ローンをどう組むべきか、保険は見直すべきかといった具体的な悩みに対して、相談者の状況に合ったプランを提案してくれます。国家資格や民間資格を持つファイナンシャル・プランナーが存在し、中立的な立場でアドバイスをしてくれる点が信頼されています。投資や家計管理に自信がない方にとって、人生の重要なお金の意思決定をサポートしてくれる心強い存在です。

つみたてNISA

つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を応援するために、国が用意した税制優遇制度のひとつです。正式には「少額投資非課税制度(NISA)」の一種で、一定の条件を満たした投資信託やETFに積立投資をすることで、その運用益や分配金が最長20年間、非課税になります。 対象商品は金融庁が選定した長期投資にふさわしい商品に限られているため、初心者でも安心して始めやすい制度です。毎年の投資上限額が決まっており、計画的に資産を育てていくのに向いています。将来の資産形成を目指す人にとって、つみたてNISAは非常に有効な選択肢のひとつです。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

予定利率

予定利率は、生命保険会社が保険契約者に対してあらかじめ約束する運用利回りのことです。これは保険会社が保険料を計算する際に用いる重要な指標の一つで、契約者から払い込まれた保険料を運用して得られると予想される運用利回りを表します。 予定利率は保険料の設定に大きな影響を与えます。予定利率が高い場合は保険料が安くなり、低い場合は高くなります。これは、高い予定利率では将来の運用によるリターンを多く見込めるため、保険料を低く抑えることができるからです。 予定利率の決定方法は、まず金融庁が国債の利回りなどを参考に「標準利率」を設定し、その後各保険会社が標準利率を基準に自社の状況を反映して決定します。 予定利率には特徴があり、契約時点の率が適用され、基本的には支払い終了時や更新時まで同率で変わりません。バブル経済期には高い予定利率の保険が多く販売され、これらは「お宝保険」と呼ばれています。近年は低金利環境により、予定利率は低下傾向にあります。 保険料の計算には予定利率以外にも、予定死亡率(性別、年齢別に想定される死亡率)や予定事業費率(保険会社の運営に必要な経費の割合)も影響します。これら3つの要因を合わせて「予定基礎率」と呼びます。

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