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就業不能保険とは?必要な人・主要商品の違い・選び方を徹底解説

就業不能保険とは?必要な人・主要商品の違い・選び方を徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.06.25

更新:

2025.06.25

長期療養で働けなくなったとき、傷病手当金が最長1年6か月で途切れた後の家計をどう守るかは切実なテーマです。住宅ローンや教育費といった固定支出が残る中、2025年6月時点で選べる主要4商品の免責期間や精神疾患対応には大きな差があります。本記事では、公的保障で足りない額の算出法から商品比較・設計のコツまでを体系的に整理し、読者が自分に本当に必要な備えを数字で判断できるよう導きます。

サクッとわかる!簡単要約

この記事で得られるのは「いざ仕事を休んだら、家計のどこにどれだけ穴が開くのか」を具体的に可視化する力です。固定支出・公的保障・貯蓄を三つ巴で計算し、平均給付期間13か月という実態を踏まえて必要月額を導出。さらに免責60日と120日で保険料がどう変わるか、SBI生命やライフネットなど4商品の保障範囲と費用を比較する視点が身に付きます。読み終えれば、加入か見送りかを迷わず決められる状態になれるでしょう。

目次

就業不能保険とは何か

公的制度(傷病手当金・障害年金)でカバーしきれないリスク

就業不能保険の仕組み(免責期間・給付額・満了年齢)

死亡保険・医療保険・収入保障保険との違い

働けなくなったときの家計への影響

病気・ケガ・精神疾患による長期休職リスク

平均的な就業不能期間と収入のギャップ

必要保障額の考え方(固定支出-公的保障-生活防衛資金)

就業不能保険が必要な人とは?

専業主婦(夫)世帯

共働き家庭で片方に収入が集中しているケース

フリーランス・歩合給中心で収入の波が大きい人

住宅ローンや教育費など、固定支出が大きい家庭

就業不能保険の主要商品を比較する(2025年6月時点)

SBI生命「働く人のたより」|手頃な保険料で幅広くカバー

ライフネット「働く人への保険3」|精神疾患一時金つきでオンライン完結

チューリッヒ生命「くらすプラスZ」|短期+長期のハイブリッド型

東京海上日動あんしん生命「あんしん就業不能保障保険」|5疾病・障害・介護状態に備えられる

就業不能保険の選び方と設計のコツ

必ず確認すべきポイント

免責期間と生活防衛資金のバランスをとる

給付金額は「固定支出-他の収入」で設計する

保障期間は「子の独立」「ローン完済」までを目安に

精神疾患の取扱いと支払条件の違いに注意する

就労不能の定義と支払限度額を確認する

ケーススタディ:保険が役立つ/不要な典型例

【役立った例①】住宅ローン+子2人の30代共働き

【役立った例②】40代フリーランス|体調不良で収入ゼロになった例

【不要な例①】独身・貯蓄800万円|加入せず現金で備える選択

【不要な例②】30代公務員共働き|病休制度と配偶者収入で生活が維持できた例

就業不能保険とは何か

就業不能保険とは、ケガや病気、心身の不調などで働けなくなるリスクに備える保険です。まずは、基本的な仕組みから確認しましょう。

公的制度(傷病手当金・障害年金)でカバーしきれないリスク

会社員や公務員であれば、病気やケガで働けなくなっても健康保険から「傷病手当金」が最長1年6か月支給され、給与の約3分の2が補償されます。また、業務上のケガなら労災保険の補償も受けられます。

しかし、自営業・フリーランスなど国民健康保険の方には、傷病手当金がありません。また、労働者ではないため労災保険による補償も受けられません。つまり、働けなくなると即座に収入が途絶えてしまうリスクがあるのです。

公的年金の障害年金を受給するには、障害等級1級・2級といった重度の状態であることが条件です。障害年金が支給されるケースは限定的で、金額も現役時代の収入を十分カバーできるとは限りません。

就業不能保険は、こうした公的制度の隙間を埋める存在です。病気・ケガ・メンタル疾患で長期療養が必要になり、働けない場合に保険会社から給付金を受け取れるため、休業中の生活を支えられます。

就業不能保険の仕組み(免責期間・給付額・満了年齢)

就業不能保険の仕組みを理解するために、代表的な用語を押さえておきましょう。

就業不能保険の仕組み

  1. 支払対象外期間(免責期間):就業不能状態になってから給付金受取が始まるまでの自己負担期間
  2. 就業不能給付金(月額給付額):働けなくなった場合に毎月受け取れる給付金
  3. 保険期間・満了年齢:保障が続く期間で、多くは55歳~70歳の範囲で5年刻み等で選択する

就業不能保険の支払対象外期間(免責期間)は、一般的に60日や180日で設定されています。この期間は、就業不能保険から給付金を受け取れません。

例えば、免責期間が60日なら、働けなくなってから60日(約2か月)経過後に給付開始となります(2か月以内に復職できれば給付なし)。免責期間を短く設定すれば早く給付を受け取れる一方で、保険料が高くなるため、手持ちの生活防衛資金とのバランスがとれるかを考えましょう。

就業不能給付金(月額給付額)は、保険会社ごとに上限が定められています。現在の資産状況や月々の生活費、ローンの返済額などに応じて、見合った額を設定しましょう。給付金額を高く設定すると、保険料が高額になるため注意が必要です。

保険期間が「65歳満了」という契約なら、65歳までの間に就業不能状態に該当すると給付の対象です。保障期間はライフプランに合わせて設定し、定年退職年齢や子どもの独立、住宅ローン完済の時期までを目安にするのが一般的です。

  1. この他にも、保険商品によっては給付金の受取方法(毎月定額か一時金か)や、支払い対象となる就業不能状態の定義が異なります。特に、精神疾患の場合は支払い条件が厳しかったり保障対象外となったりすることもあるため、契約前に約款を確認することが大切です。

死亡保険・医療保険・収入保障保険との違い

就業不能保険と混同されがちな、死亡保険・医療保険・収入保障保険との違いを整理しましょう。

保険種類主な保障内容給付・支払形態典型的な給付事由向いているケース・目的
就業不能保険病気やケガで長期間働けず、所得が減った場合の生活費を補填月額給付(年金形式)が一般的。一定期間または就業不能状態が続く限り支給医師の診断に基づく就業不能状態(例:医師が所定就業不能認定を出した日から×日経過後)自営業者・フリーランスなど、勤務不能による収入減リスクが大きい人
死亡保険(終身・定期保険など)被保険者が死亡した場合に遺族に保険金を支払う一時金として一括支払い被保険者の死亡(災害・病気を含む)遺族への生活費・教育費・葬儀費用の確保、相続対策
医療保険入院・手術など医療費の自己負担を補う入院給付金(日額)・手術給付金など、都度支給入院日数・手術の種類が保険会社所定条件に該当公的医療保険の自己負担分や差額ベッド代をカバーしたい人
収入保障保険被保険者が死亡した場合、残りの保険期間に応じて年金形式で生活費を補填月額または年額で定期的に支払い(逓減型)被保険者の死亡子どもが独立するまでの生活費・教育費確保を重視する家庭

死亡保険(生命保険)は、被保険者が死亡する事態に備えるための保険です。収入保障保険も死亡保障に備えるための保険で、遺族に対して一時金ではなく毎月一定額が年金形式で支給されます。遺族の生活を支えるのが目的で、就業不能保険のように本人が生存中に受け取る給付金はありません(高度障害状態になった場合は保険金の支払い対象)。

医療保険は、入院・手術など治療にかかる費用に対して給付金が出る保険です。公的医療保険でカバーしきれない自己負担医療費を補うのが目的で、入院日額給付金や手術給付金が支払われます。就業不能保険は、治療費そのものではなく収入減少を補填する生活費用途の給付であり、入院の有無に関わらず「働けない状態」が一定期間続いたときに支払われます。

働けなくなったときの家計への影響

実際に働けない状況に陥ると、「生活が破綻してしまうのではないか」という不安を抱えるものです。具体的に、どのようなリスクが考えられるかを見ていきましょう。

病気・ケガ・精神疾患による長期休職リスク

「自分がそんな長期間働けなくなるなんて」と思うかもしれません。しかし、公的データを見ると長期療養のリスクは決して低くありません。

厚生労働省の患者調査によると、2か月以上の長期入院をしている人の数は、若い世代では死亡者数を上回っています。

長期入院患者(人口10万人あたり)死亡者数(人口10万人あたり)
30~34歳67.4人44.3人
40~44歳112.0人90.8人

つまり、働き盛り世代では、入院による就業不能リスクのほうが死亡リスクより高いのです。中年層でも、がん・脳卒中・うつ病など、重度の疾病で数か月以上働けなくなる可能性は十分に考えられます。

また、精神疾患による休職も近年増加傾向にあります。うつ病などで長期間仕事を離れるケースも珍しくなく、復職までに半年~1年以上かかることもあります。

公的な傷病手当金は精神疾患も対象ですが、支給期間(1年6か月)を超えて治療が長引けば、収入は途絶えてしまいます。身体疾患だけでなく精神疾患のリスクに備えるためにも、就業不能保険は有効な対策です。

平均的な就業不能期間と収入のギャップ

保険会社の資料によると、所得補償保険の平均給付期間は約13か月です。あくまでも平均値ではあるものの、1年以上にわたって通常の収入が得られないリスクは、誰しもが直面する可能性があります。

会社員であれば、1年6か月は給与の3分の2程度が傷病手当金で補われます。しかし、その間も生活費はもちろん、住宅ローンの返済は発生し続ける点に注意が必要です。固定支出の多い家庭では、通常の収入を得られないことで、家計が赤字となる可能性があります。

1年6か月を過ぎても復職できなければ、障害年金を受給できない限り、収入はゼロになります。

一方、自営業やフリーランスの方には傷病手当金の仕組みがないため、休業開始と同時に収入が途絶えます。仮に1年間休業せざるを得なくなったら、その間の売上・収入はゼロです。事業継続のための固定経費(事務所代など)がある人は、それらを貯蓄や借入で賄わなくてはなりません。

  1. 就業不能期間が長引けば貯蓄は底を突き、生活水準を維持できません。自分だけでなく家族にも迷惑・負担をかけてしまい、苦しい生活を余儀なくされるでしょう。

実際に、生命保険文化センターの調査では2か月以上の長期入院では、自己負担費用と逸失収入の合計が平均100万円超との報告もあります。経済的打撃が大きいからこそ、就業不能保険による備えを検討する必要があります。

なお、障害年金の受給要件や受給額は、以下の記事で詳しく解説しています。

必要保障額の考え方(固定支出-公的保障-生活防衛資金)

就業不能保険でどれくらいの保障を用意すればよいか、考えてみましょう。基本的な考え方は、「毎月の固定支出」から「公的保障や他の収入」「生活防衛資金で賄える分」を引いた不足分が、就業不能保険で備える目安です。

必要保障額の考え方

  1. 固定支出:基礎生活費や住居費など、働けなくなっても毎月必ず出ていく支出
  2. 公的保障や他の収入:傷病手当金・障害年金・失業手当・配偶者の収入など、公的・私的を問わず利用できる収入源
  3. 生活防衛資金で賄う分:手元の貯蓄(非常用資金)から切り崩して充てられる金額
  4. 必要保障額(就業不能給付金月額):5万円

以上を踏まえると、必要保障額(就業不能給付金月額)は「固定支出の月額–公的保障・他の収入–貯蓄から補填できる額」となります。

具体例

  1. 毎月の固定支出:25万円
  2. 公的保障や他の収入:15万円
  3. 生活防衛資金で賄う分:5万円
  4. 必要保障額(就業不能給付金月額):5万円

保障額が大きいほど、保障期間を長くするほど安心は大きくなりますが、欲張りすぎないように注意しましょう。保険料負担が重くなり、家計を圧迫するのは問題です。

闇雲に保険に加入するのではなく、公的制度や貯蓄で賄える部分を見極め、不足する「本当に必要な部分」を保険でカバーすることを意識しましょう。

障害状態に該当したとき、頼れる社会保険制度が障害年金です。障害年金の申請手順についても、以下のFAQで確認してみてください。

就業不能保険が必要な人とは?

就業不能保険に加入する必要性が、特に大きいと考えられる人の特徴を紹介します。

専業主婦(夫)世帯

専業主婦(夫)世帯では、働き手が就業不能になると家計のバランスが崩れてしまいます。長期間にわたって働けなくなるリスクに備えるために、就業不能保険の加入を検討しましょう。

共働き世帯なら、片方が働けなくなっても、もう片方の収入で当面の生活費を賄えます。しかし、専業主婦(夫)世帯は稼働収入が1本しかなく、その1本が途絶えると即座に家計が赤字化するリスクがあります。

傷病手当金を受給できたとしても、基礎生活費や住宅ローン、教育費を賄えるとは限りません。家事・育児を担う配偶者が「明日からフルタイムで働く」ことは現実的に難しく、主たる生計維持者の収入をカバーするのは難しいでしょう。

共働き家庭で片方に収入が集中しているケース

収入源が2人ある共働き家庭でも、片方の収入に家計の大部分を依存している場合は要注意です。例えば夫がフルタイム高収入・妻がパート程度という場合、実質的には「大黒柱は一人」の状況といえます。

もし主要な稼ぎ手が長期休職すると、もう一方の収入だけでは住宅ローンや生活費をまかないきれず、家計は逼迫してしまいます。主たる稼ぎ手の就業不能に備えるために、就業不能保険に加入しておけば、家計を守れるでしょう。

「共働きだから大丈夫」と油断せず、夫婦どちらか一方の収入が途絶えたら家計が成り立たないケースでは、その高収入の方に就業不能保険を検討することが大切です。特に子どもが小さく教育費がこれからかかる時期や、住宅ローン返済中の家庭では、就業不能保険に加入する意義は大きいでしょう。

  1. 一方、共働きでお互いの収入が同程度、かつどちらかが休んでも片方の収入で最低限やりくりできるなら、必ずしも就業不能保険が必要とは限りません。「妻の収入だけでもローンと生活費は払える」という場合は、就業不能保険に加入しなくてもリスクに対処できます。

フリーランス・歩合給中心で収入の波が大きい人

自営業者やフリーランス、報酬が歩合制の人は、収入が不安定になりがちです。仕事を休めば即収入減につながるため、就業不能保険に加入する必要性が大きいでしょう。

特に、自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険には、傷病手当金がありません。ケガや病気で働けなくなったとき、一気に収入がゼロになるリスクがあります。さらに、治療に専念する間は新規案件を受注できず、復帰後もしばらく収入が元に戻らない可能性もあります。

会社員なら有給休暇や病休制度で収入を一部補償できますが、自営業者やフリーランスにはそれもありません。蓄えが十分でなければ、途絶えた収入の穴埋めに借金や事業資金の切り崩しを迫られるケースもあります。

  1. 自営業者やフリーランスは、社会保障が薄い点を必ず理解する必要があります。「休むとそのまま収入減に直結する働き方」の人は、就業不能保険で休業中の生活費をカバーすることが有効です。

住宅ローンや教育費など、固定支出が大きい家庭

家計の中で住宅ローン返済や子どもの教育費など、固定的な支出が大きい家庭も、働けなくなった場合の影響が深刻です。毎月の住居費や学費は待ってはくれず、収入が減っても支払いが続きます。

固定費が重いほど、就業不能時に貯蓄を取り崩すスピードも速まり、生活防衛資金が尽きるリスクが高まります。短期間なら貯蓄でしのげても、半年・1年と続けば厳しいでしょう。就業不能保険で月10万円でも給付があれば、支出の一部を賄えるため、家計の破綻を防ぎやすくなります。

私立高校・大学への進学など、教育費がかさむ時期も同様です。学費は期限までに納めねばならず、親が休職中でも待ってはくれません。収入減で教育費が捻出できず、進学を断念する事態は避けなければなりません。

固定費の負担が大きいライフステージの家庭は就業不能保険に加入し、長期療養を余儀なくされても、生活費・ローン・学費を払えるだけの毎月の現金収入を確保すると安心です。

就業不能保険の主要商品を比較する(2025年6月時点)

就業不能保険にも様々な商品があります。2025年6月現在、特にネット申込できるダイレクト系の商品を中心に人気がありますが、対面型で家計保障保険(収入保障保険)とセットで加入できる商品も提供されています。それぞれ特徴が異なるため、主な商品の違いを見てみましょう。

SBI生命「働く人のたより」|手頃な保険料で幅広くカバー

SBI生命「働く人のたより」は、ネット生保ならではのリーズナブルな保険料で人気No.1の就業不能保険です。保険料は業界最安水準で「30歳男性・給付月10万円・60歳満了・60日免責」の場合、月額約1,850円です。

区分内容
特徴ネット生保ならではの保険料最安水準(例:30歳男性・月給付10万円・60歳満了・免責60日で約1,850円)
全疾病型プランを選べば精神疾患を含む病気・ケガによる入院/在宅療養を幅広く保障
障害等級認定を要さず、医師の判断で長期療養が必要とされれば給付対象(支払い条件が緩やか)
免責期間を60日/120日などから選択可能(長期備えでも低コスト)
給付は契約満了年齢まで月額で継続(状態改善で停止、再発で再開)
受取方法を「満額タイプ」「ハーフタイプ」から選択できる
向いている人保険料を極力抑えつつ広い保障を求める人
自営業・フリーランスなど休業=無収入リスクが大きい層(満額タイプで手取りを確保したい)
会社員で最初の1年6か月は傷病手当金がある人(ハーフタイプで効率的にカバー)
精神疾患による長期療養も視野に入れる人
退職年齢までの長期所得補償を一本で備えたい人

全疾病型プランを選べば、精神疾患を含むあらゆる病気・ケガによる入院・在宅療養が給付対象となり、保障範囲が広くなります。具体的には、「病気やケガで入院、または入院後自宅療養している状態」が所定の就業不能状態と定義され、障害等級の認定がなくても医師の判断で長期療養が必要で働けないと判断されれば給付対象です。

給付期間は「保険期間(契約満了年齢)まで」で、保険金の支払事由に該当していれば、月額給付を受け取れます。全疾病型なら精神疾患も保障対象となるため、うつ病をはじめとした精神疾患で長期療養になった場合も、他の病気同様に免責期間経過後から給付金を受け取れます(※ただし入院または医師の指示による自宅療養状態であることが条件)。

受取方法は、以下のように「満額タイプ」と「ハーフタイプ」から選べます。

受取方法の種類

  1. 満額タイプ:免責期間終了後は設定した給付金額(例えば10万円)を毎月満額受け取れ
  2. ハーフタイプ:休職開始から最初の1年6か月間は給付金が半額(5万円)に抑えられ、1年6か月経過後から満額(10万円)受け取れる

ハーフタイプは初期支払削減特則とも呼ばれ、保険料をさらに低減できます。会社員や公務員など、最初の1年6か月は傷病手当金がある人は、このハーフタイプで公的保障+保険給付で調整することも可能です(傷病手当金支給終了後に保険から満額給付が開始されるイメージ)。

ライフネット「働く人への保険3」|精神疾患一時金つきでオンライン完結

ライフネット生命「働く人への保険3」は、ネット専業生保であるライフネット生命が提供する就業不能保険です。オンラインで申込から契約まで完結し、若年層にも利用しやすい商品となっています。

区分内容
特徴オンライン完結型:申込〜契約までネットで完了、若年層でも手続きしやすい
精神疾患・短期就業不能に一時金
うつ病等で所定状態になれば「精神疾患治療一時金」、免責未満の就業不能でも一時金支給
免責期間選択可(標準60日、120日型などで保険料調整可能)
就業不能が続く限り契約満了まで月額給付(標準タイプ)
ハーフタイプがあり、最初1年6か月は半額給付で保険料を節約できる
復帰支援一時金オプション:長期療養後の復職時に一時金支給
産前産後・育児・介護休業中でも申込可
向いている人ネット手続きに慣れた20〜40代で手軽に契約したい層
精神疾患リスクや短期休職に備えたい人(一時金で安心したい)
傷病手当金など公的保障はあるが、追加の精神疾患カバーを求める会社員
保険料は抑えつつ付帯サービスも重視する人(復帰支援一時金など)
ストレスの高い業種・働き方でメンタルヘルスに不安がある若手ビジネスパーソン

免責期間は60日型が基本ですが、任意で免責期間を変更可能です。例えば、120日型にすれば保険料を抑えられます。

給付期間は「保険期間満了まで」で、長期にわたって就業不能状態に陥っても安心です。就業不能状態が続く限り、復職するか契約満了に至るまで、毎月給付金が受け取れます。

精神疾患や短期の就業不能に対しても、一時金が支給されます。具体的には、うつ病をはじめとした精神疾患で所定の長期療養状態になった場合に、「精神疾患治療一時金」が受け取れます。

また、短期入院による就業不能(免責期間未満の入院でも長期働けないと判断された場合)にも一時金が支給される点は、ライフネット生命ならではの特徴です。精神疾患で長期間働けないケースもカバーしつつ、継続給付ではなく一時金対応とすることで、リスクに備えられます。

チューリッヒ生命「くらすプラスZ」|短期+長期のハイブリッド型

チューリッヒ生命「くらすプラスZ」は、他社にないユニークな給付システムを採用した就業不能保険です。「長期的な就業不能」と「短期的な収入減少」の両方に備えられる、ハイブリッド型の商品です。

区分内容
特徴短期×長期ハイブリッド:同一月で入院・在宅療養が計10日以上あればその月分を給付(短期サポート)+重度障害なら満了まで長期給付
免責0日相当で補償を受けられる
精神疾患・家事不能も対象(入院または在宅療養指示が10日以上あれば給付)
保険料は30歳男性・月給付10万円・60歳満了で月額約2,890円
主婦(主夫)プランがあり、収入がなくても加入可、家事不能も保障
1か月単位で判定し、短期で回復すれば給付終了、長期化すれば自動で年金型給付へ移行
向いている人貯蓄が少なく1〜2か月の収入減でも困る人(免責0日で即サポート)
自営業・フリーランスなど短期収入断絶リスクが高い層
専業主婦(主夫)やパートで家事・育児ができないと困る家庭
就業不能保険初心者でシンプルな条件を重視する人
精神疾患やケガのどちらにも備えたい若年層〜ミドル層

短期収入サポートでは、「同一月に合計10日以上の入院・在宅療養」があれば、その月に給付金が支給されます。入院と在宅療養の日数を合算できるため、有給休暇で入院した場合などもカウント可能です。実質的に、「免責0日」のような形で活用できるメリットがあります。

給付期間は「保険期間満了まで」で、長期にわたって就業不能状態に陥っても、収入をサポートしてくれます。精神疾患に関しては、障害等級1級に該当したとき、長期収入サポートを受けられます。短期収入サポートでは精神疾患は給付金の対象外となっているため、注意しましょう。

家事ができない状態も保障対象、保険料も手頃であるため、収入の少ないパートの方でも加入しやすい特徴があります。

短期収入サポート給付金と長期収入サポート給付金の2本立てで、入院や療養が短期間で済んでも、支払った保険料が無駄にならない点はメリットの一つといえるでしょう。

東京海上日動あんしん生命「あんしん就業不能保障保険」|5疾病・障害・介護状態に備えられる

東京海上日動あんしん生命の「あんしん就業不能保障保険」は、5疾病・障害・介護状態に重点を置いたタイプです。5疾病で入院し治療を受けた場合に一時金を、5疾病で働けなくなった場合には毎月給付金を受け取れます。

区分内容
特徴5大疾病+障害・介護に集中保障:がん・急性心筋梗塞・脳卒中・肝硬変・慢性腎不全で入院すると基準月額×2の一時金
60日超働けなくなった・所定の高度障害・要介護状態になった場合は月額給付を受け取れる
入院・在宅療養が連続60日続いたと医師が診断したとき支払い開始。がんは契約後90日以内の発症は対象外(約款で制限)
給付期間は選択制(例:2年・5年):一生涯ではなく上限を設けて保険料を抑制。最低2年保証あり
メンタル由来の就業不能はカバーしないため別商品で補完が必要
過去1年非喫煙かつ所定の健康基準を満たすと保険料が割安になる
営業担当やFPが家計保障定期保険と組み合わせ、死亡・高度障害・就業不能を一括設計しやすい(ネット完結型ではない)
向いている人重い大病・重度障害・介護リスクだけを重点的に備えたい人(軽症や精神疾患は自己対策で可)
死亡時・就業不能時の毎月収入を“ワンストップ”で設計したい子育て世帯や働き盛り世帯
非喫煙で健康状態が良好な人――優良体割引でネット生保との差を縮められる
FPや営業担当に相談しながらカスタマイズしたい保険初心者〜中級者
就業不能が長期化しても5年以内の資金ブリッジがあれば十分と考える層

がん・急性心筋梗塞・脳卒中・肝硬変・慢性腎不全の5大疾病で所定の入院をすると、一時金(基準月額×2)を受け取れます。さらに、5疾病で60日超の長期療養状態や所定の高度障害状態、要介護状態になった場合に毎月給付金が支払われます。

比較的重い病気や障害状態、介護状態に手厚く備えられる保険といえるでしょう。免責期間は60日ですが、保障開始から90日以内にがんを発症すると保障対象外など、一部制限がある点に注意が必要です。

なお、基本的に精神疾患は保障対象外です。メンタルヘルスへのリスクに備えたい場合は、精神疾患まで補償に含まれているネット型の就業不能保険を選ぶのが無難です。

東京海上日動あんしん生命は担当者と対面で相談でき、ライフプラン全体を見据えて、あなたに合った提案をしてくれます。必要に応じて、「家計保障定期保険(収入保障保険)」と組み合わせれば、死亡時・高度障害時・就業不能時も途切れなく「毎月収入」を確保できます。

就業不能保険の選び方と設計のコツ

就業不能保険は、心身の不調で働けなくなり、収入が途絶えてしまうリスクに備えるものです。以下で、選ぶ時のポイントやどのような契約内容でリスクに備えればよいのかを解説します。

必ず確認すべきポイント

免責期間

保険商品によって、免責期間は「60日」や「120日」など異なります(選択可能な場合もある)。免責期間が短い商品ほど、休業開始から早く給付を受け取れる一方で、保険料は高めになる点に注意が必要です。

傷病手当金を受け取れる会社員や公務員の方は、免責期間が長くても問題ない可能性があります。一方で、傷病手当金を受け取れない自営業者やフリーランスの方は、免責期間が短いほうが安心できるでしょう。

給付期間

給付期間(受取期間)によって、就業不能状態が続いた場合に、最長で何年間給付されるかが決まります。多くのネット保険は「保険期間満了まで(例:65歳までずっと)」となっており、所定の状態が続けば給付金を受け取れます。

一方で、対面型では「支払期間5年」のように、上限を設けているプランもあります。

精神疾患に対応しているか

昨今はストレス社会ともいわれており、いつ、誰がメンタルヘルスを損なっても不思議ではありません。精神疾患の保障があったほうが安心できる方は、メンタルヘルスが原因で働けなくなった状態も保障対象に含まれるか確認しましょう。

保険商品によっては、精神疾患が対象に含まれていても、支払条件が厳しかったり一時金のみだったりする場合があります。

あわせて、精神疾患にかかったときの障害年金の申請方法も、以下のFAQで確認してみてください。

保険料

同じ保障内容であれば、保険料を抑えるに越したことはありません。保険料は家計にとってコストである以上、複数の商品やプランを比較して、合っている商品を選択しましょう。

一般的に、ネット保険は割安です。保険会社によっては、非喫煙者割引や優良体(健康体)割引がある商品もあります。

  1. ただし、保険の本質は「万が一のリスクに備えること」です。保険料を抑えた結果、十分な保障を受けられなければ本末転倒です。必要な保障額を見極めたうえで、コストパフォーマンスに優れた保険商品を選びましょう。

免責期間と生活防衛資金のバランスをとる

就業不能保険を検討する際、免責期間(支払対象外期間)をどう設定するかは、保険料に直結します。基本的に「傷病手当金を受け取れるか」「生活防衛資金が十分か」によって、以下のように考えるとよいでしょう。

生活防衛資金が十分にある生活防衛資金が十分にない
傷病手当金あり免責期間を長くして保険料を抑える免責期間を長くして保険料を抑える
傷病手当金なし免責期間を長くして保険料を抑える免責期間を短くしてリスクに備える

社会保険制度からの給付や資産で当面の生活費をカバーできるのであれば、免責期間が長くてもそこまで問題はありません。

例えば、会社員や公務員の方で6か月分以上の生活費を貯蓄できていれば、免責期間が長くても当面の生活を支えられます。免責期間を180日に設定し、休業開始から半年間は貯蓄でしのぎ、半年後から保険給付を受けるプランが考えられます。

一方で貯蓄がほとんどなく、1~2か月の収入減でも家計が回らなくなってしまう恐れがある場合は、免責期間を短くして早めに給付が出るように設定すると安心です。

会社員や公務員の方は、「傷病手当金+貯蓄で賄える期間=免責期間」と考えると無駄がありません。多くの会社員は1年6か月は傷病手当金がありますから、当面は保険給付がなくても困らないはずです。そのため、ハーフタイプを活用して最初の1年6か月は給付金を半額に抑える設計も一つの方法です。

このように考えれば、二重の備えや保険料の無駄を省き、効率よくリスクヘッジができます。免責期間の選択肢が複数ある商品では、ぜひシミュレーションして最適な期間を見極めましょう。

給付金額は「固定支出-他の収入」で設計する

就業不能保険の月額給付金は、高ければ高いほど安心ですが、その分保険料負担も重くなります。必要以上に大きな保障は家計を圧迫するため、給付金額の設定は「最低限これだけあれば生活を維持できる」というラインを基準にしましょう。

具体的には、前述の必要保障額の考え方である「固定支出-公的保障-自己資金」を応用します。休職中でも確実に発生する支出(住居費・光熱費・食費・保険料・教育費など)を洗い出し、公的補償や配偶者収入でカバーできる分を差し引いた不足額が、おおよその必要月額給付金です。

具体例

  1. 毎月の必須支出:25万円
  2. 傷病手当金:10万円
  3. 配偶者の収入:5万円
  4. 資産の取り崩しペース:5万円

上記の例では、毎月の不足額である5万円を就業不能保険で補うイメージです。

自営業者や単身者は、傷病手当金や配偶者の収入がありません。この場合、給付金額を10万~15万円にするとよいでしょう。

大切なのは、「保障額=日々の生活に必要な額」にすることです。休職中は旅行や外食など余計な支出は減らせるはずなので、本当に必要な生活費だけを見積もり、適切な給付金額を設計しましょう。

保障期間は「子の独立」「ローン完済」までを目安に

就業不能保険の保障期間(保険期間)は、ほとんどの商品で55歳・60歳・65歳・70歳満了などから選択できる設計になっています。どれを選ぶかは悩みどころですが、一つの目安は「大きな責任が一段落する年齢まで」です。

具体例

  1. 子どもが独立するまで
  2. 住宅ローンを完済するまで
  3. 年金受給を開始するまで
  4. 十分な生活防衛資金を確保できるまで(事前のシミュレーションが必須)

例えば、現在35歳で子どもが3歳なら、大学卒業・独立は約20年後の55歳頃でしょう。また住宅ローンがあと25年残っていれば完済は60歳です。この場合、55~60歳くらいまで保障があれば、万一働けなくなっても大事なライフイベントは乗り切れます。

公的年金を65歳から受け取る予定の方は、65歳までに設定するとよいでしょう。年金という安定収入を得られれば、就業不能保険の必要性は小さくなるためです。

  1. これらはあくまでも一例で、夫婦の働き方や資産状況、何歳まで働く予定なのかによっても調整する必要があります。例えば共働きで子どもがいない夫婦なら、お互いの年金生活開始までカバーできればよく、60歳満了でも十分かもしれません。

基本は定年までを目安にしつつ、子どもの独立やローン完済時期も考慮して決めてください。必要以上に長く設定すると保険料が割高になるため、適切な区切りを見極めることがポイントです。

精神疾患の取扱いと支払条件の違いに注意する

契約前に必ず確認しておきたいポイントとして、保険商品が定めている「精神疾患の取扱い」と「支払対象となる範囲」が挙げられます。商品ごとに保障内容が異なるため、内容を理解していないと「思っていた状況では給付金が出なかった」という事態になりかねません。

特に重要なのが、精神疾患に関する取扱いです。精神疾患を保障する場合でも、給付金が一時金のみだったり、支払期間に制限があったりと、制約が付くのが一般的です。

例えば、うつ病で長期休職したケースでも、入院を伴わない自宅療養だと対象外となる商品があります。また、支払対象となる精神疾患を「統合失調症と双極性障害に限る」など限定している例もあります。契約時には約款の「精神障害に関する特則」などを必ず確認し、自分が備えたいリスクに対応できるかチェックしましょう。

就労不能の定義と支払限度額を確認する

一般的に、就業不能状態の定義は「病気やケガで医師の指示により入院または在宅療養し、就業できない状態」です。商品により「障害等級○級に該当」「所定の要介護状態の場合」など、詳細な条件を設けていることがあるため、事前に確認しましょう。

例えば、「医師の指示のもと、入院または在宅療養」という条件と「入院または公的年金の障害等級1・2級に該当」という条件では、後者のほうがハードルが高いといえます。

また、支払限度額を設けている商品もあります。「5年で打ち切り」「精神疾患は通算○回まで」といった上限が定められていることがあるため、詳細の確認は欠かせません。

  1. 約款やパンフレットの細かな記載に目を通し、「ここまでは出る」「これは出ない」を理解しましょう。いざという時に想定外の不支給になる事態を防ぐためにも、保険会社の担当者やファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談することも効果的です。

障害年金を受給できないケースに関しては、以下のFAQをご覧ください。

ケーススタディ:保険が役立つ/不要な典型例

最後に、就業不能保険が実際に役立ったケース、逆に不要なケースの具体例を紹介します。ご自身の状況に近いケースがないか、シミュレーションしてみてください。

【役立った例①】住宅ローン+子2人の30代共働き

ケース

  1. 夫:(35歳会社員・手取り月40万円)
  2. 妻:(33歳契約社員・手取り月15万円)
  3. 毎月の支出:40万円
  4. 公的保障:
    健康保険の傷病手当金で月約26万円(給与の2/3)
  5. 貯蓄:300万円

主に生計を支えている夫が脳腫瘍で手術・長期療養となり、休職を強いられます。治療とリハビリで、1年近く職場復帰できない状況でした。

夫の健康保険から傷病手当金として月約26万円、妻は夫の生活補助をするために就労ペースを落とし、手取り収入が月8万円に減ります。

傷病手当金と妻の収入だけでは毎月の生活費をカバーできず、毎月5万~6万円程度の赤字が発生する状況です。しかし、毎月5万円の給付金を受け取れる就業不能保険に加入していたため、毎月の生活費をほぼ「プラスマイナスゼロ」の状況にできました。

これにより、住宅ローンも問題なく返済を継続でき、治療費も捻出できたようです。また、ほとんど貯蓄の取り崩しをせずに済んだため、将来の教育資金を減らさずに済みました。

  1. 主な収入源である夫が就業不能状態に陥っても、「傷病手当金+妻の収入+就業不能保険」で、生活費をカバーできた事例です。就業不能保険に加入していたことが、生活水準を落とさずに済む結果となりました。

【役立った例②】40代フリーランス|体調不良で収入ゼロになった例

ケース

  1. 夫:(45歳フリーランスエンジニア、月平均収入50万円)
  2. 妻:(専業主婦)
  3. 子ども:中学生の子1人
  4. 毎月の支出:25万円
  5. 公的保障:
    なし
  6. 貯蓄:300万円

夫が慢性肝炎の悪化で体調を崩し、医師から「6か月間は療養に専念するように」という指示を受けます。働けない期間は既存案件をキャンセルし、新規受注も停止します。

自営業のため傷病手当金がなく、軽度の障害状態で障害年金も受給できない状況でした。夫の収入がゼロになるだけでなく、妻は専業主婦で収入がなかったため、6か月間収入ゼロが続きました。

しかし、事前に就業不能保険に加入していたため、毎月15万円の給付金を受け取ります。毎月約10万円の赤字が発生しましたが、貯蓄の取り崩しでカバーし、夫が復帰するタイミングで200万円以上の貯蓄を残すことができました。

  1. フリーランスは、就業不能になると一気に無収入になります。今回は、就業不能保険に加入していたことで、復帰するタイミングでも貯金を残すことができました。保障を手厚くすると保険料は高くなりますが、自営業で無収入リスクが高い分、手厚く備えておけば生活を維持できます。

【不要な例①】独身・貯蓄800万円|加入せず現金で備える選択

ケース

  1. 独身女性(32歳会社員、手取り月27万円)
  2. 毎月の支出:20万円
  3. 公的保障:
    健康保険の傷病手当金で月約17万円(給与の2/3)
  4. 貯蓄:800万円

スポーツ中に大怪我をしてしまい、手術・入院と自宅療養で合計6か月の就業不能期間が発生してしまいました。

収入減になってしまいましたが、勤務先の健康保険から傷病手当金として、休職中の給与補填として毎月約17万円が支給されました。序盤は有給休暇を消化したため、大きな収入減を防ぐことができました。

傷病手当金の受給中は家計が赤字になってしまいましたが、800万円という十分な貯蓄があったため、一部を取り崩して補填。就業不能保険がなくても生活が苦境に陥ることなく、復帰できたそうです。

彼女は「独身で自分の生活費だけなら、もしもの時は貯金で対処できるし、最悪親に頼ることもできる。毎月の保険料を払うより、その分貯金した方が有効」と判断したそうです。自分の置かれている状況を冷静に分析したうえで、合理的な判断を下した好事例といえるでしょう。

  1. 独身で貯蓄に余裕があれば、就業不能保険なしでも乗り切れます。彼女は約6か月の就業不能に直面したものの、結果的に公的保障と貯蓄で十分に対応可能でした。「働けなくなるリスク」は恐怖であるものの、十分な経済的余力がある人は、必ずしも保険が必要ではないことを示しています。

なお、高年収の方でも、医療費負担に備える必要性があります。詳しくは以下の記事も、あわせてご覧ください。

【不要な例②】30代公務員共働き|病休制度と配偶者収入で生活が維持できた例

ケース

  1. 夫:(35歳市役所職員、手取り月30万円
  2. 妻:(34歳
    IT企業エンジニア、手取り月28万円)
  3. 子ども:なし
  4. 毎月の支出:32万円
  5. 公的・職域保障:地方公務員の病気休暇(90日全額支給)+病気休職(最長3年・給与80%)
  6. 貯蓄:1,000万円

夫が膝半月板損傷で手術し、医師から「4か月は職場復帰不可」と指示されました。

就職期間が発生したものの、公務員の病気休暇制度により最初の90日は給与100%、4か月目も休職扱いで80%が支給されたようです。妻の給与と合わせて、生活を維持するために十分な収入は確保できました。

また、貯蓄が1,000万円あることも精神的な余裕を生んでいます。「勤務先から十分な保障を受けられるし、共働きで一気に収入がゼロになるリスクはほとんどない」という判断から、就業不能保険は不要を判断していたようです。

  1. 公務員は、病気休暇・休職制度が手厚い強みがあります。また、今回のケースでは配偶者も安定収入があるため、家計が破綻してしまうリスクが非常に小さいケースでした。十分な生活防衛資金があれば、就業不能保険ではなく、貯蓄や投資に資金を回すほうが合理的です。

この記事のまとめ

就業不能保険は「収入が止まったときに不足する分だけを埋める」目的で設計するのが要点です。固定費、傷病手当金・配偶者収入、生活防衛資金のバランスを確認し、免責期間と給付額を最適化しましょう。数字を算出した結果、保障が必要と感じたらネット型の商品で試算し、保険料が家計を圧迫しないことを確かめたうえで専門家に相談すると、ムダのない備えに最短で到達できます。

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投資のコンシェルジュ編集部

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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関連する専門用語

月額給付金

月額給付金とは、国や保険会社などが特定の条件を満たした個人に対して、毎月決まった金額を継続的に支給するお金のことです。これは、年金や保険、あるいは一部の投資商品における仕組みとして利用されることがあります。 たとえば、老後の生活資金として公的年金から受け取るお金や、民間の個人年金保険に加入している場合に得られる給付金などが該当します。毎月一定の金額が入ることで、将来の生活設計が立てやすくなるというメリットがあります。特に資産運用においては、元本を取り崩すことなく定期的に収入を得られる仕組みとして注目されます。

精神疾患

精神疾患とは、心の働きや感情、思考、行動などに何らかの支障が生じ、日常生活に困難をきたす状態を指します。うつ病や不安障害、統合失調症、双極性障害などさまざまな種類があり、症状の現れ方や重さも人によって異なります。 精神疾患は特別な人だけに起こるものではなく、誰にでも起こり得るものであり、適切な治療や支援を受けることで改善が期待できます。資産運用の観点では、長期にわたり働けない状態になる可能性を考慮し、収入保障保険や医療保険、障害年金の制度などと関連づけて理解することが重要です。

非喫煙者割引

非喫煙者割引とは、生命保険や医療保険などの加入時に、たばこを吸わない人が保険料の割引を受けられる制度のことです。喫煙習慣があると、がんや心疾患などの重大な病気のリスクが高まるとされており、保険会社はその分の医療費や保険金の支払いリスクを考慮します。 そのため、リスクの低い非喫煙者には保険料を安く設定することで、公平性を保つとともに健康意識を促す役割もあります。割引を受けるには一定期間以上の禁煙が必要で、加入時に申告と検査が求められることがあります。

保険金支払条件

保険金支払条件とは、保険会社が契約者に対して保険金を支払うために満たさなければならない条件のことです。これは保険商品ごとに明確に定められており、たとえば死亡、入院、手術、がんの診断など、どのような状態になったときに、どの種類の保険金が支払われるかが記載されています。 保険金を確実に受け取るためには、この条件を正確に理解し、必要な書類を提出することが求められます。また、契約時に告知義務を果たしていない場合や、免責事由に該当する場合には、支払いの対象外となることもあります。資産運用においては、万一の際の保障が確実に機能するよう、支払条件を十分に確認しておくことが大切です。

ハーフタイプ

ハーフタイプとは、保険や給付金の受け取り方法に関する形式の一つで、給付金を全額一度に受け取るのではなく、一定割合を分けて受け取る仕組みを指します。 たとえば、年金や医療保険、就業不能保険などで、支払いの開始時点では半額を受け取り、残りの半額を一定期間後に受け取るなど、給付の時期や金額を分割する設計です。 特に就業不能保険においては、働けなくなった直後からすぐに満額の給付が開始されるのではなく、初期期間に限って給付が半額になる「ハーフタイプ」が導入されることがあります。これにより、保険料の負担を抑えつつ、必要最低限の生活資金を確保するという設計が可能になります。長期の生活保障を重視する際に、このタイプを選ぶことで、柔軟な資金計画が立てやすくなります。

五大疾病

五大疾病とは、日本の医療制度や保険商品などで特に重視される5つの主要な病気を指します。具体的には「がん(悪性新生物)」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」「精神疾患」の5つが該当します。 これらの病気は発症すると治療が長期化したり、日常生活に大きな支障をきたすことが多く、医療費の負担や就業不能などの経済的リスクも高くなります。 そのため、保険商品においては、五大疾病に対応した給付金が用意されているものが多く、早期発見・早期治療に加え、万が一の経済的な備えとしても重要視されています。特に近年は、精神疾患もこの枠組みに加えられ、社会的な認識と対策が強化されています。

就業不能保険

就業不能保険とは、病気やけがで働けなくなり、収入が得られなくなった場合に、一定期間ごとに保険金が支払われる民間の保険商品です。この保険は、入院や自宅療養などで仕事を続けられない状況が長引いたときに、生活費やローン返済などの家計の負担を軽減するために設けられています。 公的な障害年金制度ではカバーしきれない部分を補う目的があり、自営業者やフリーランスなど、収入の保障が不安定な人に特に注目されています。保障内容や支払期間、免責期間などは契約ごとに異なるため、自分の職業やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

障害年金

障害年金とは、病気やケガによって日常生活や就労に支障がある状態となった場合に、一定の条件を満たすと受け取ることができる公的年金の一種です。これは、老後に受け取る老齢年金とは異なり、まだ働き盛りの年齢であっても、障害の状態に応じて生活を支えるために支給されるものです。 受け取るためには、初診日の時点で年金制度に加入していたことや、一定の保険料納付要件を満たしていること、そして障害の程度が法律で定められた等級に該当することが必要です。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、どの年金制度に加入していたかによって対象や支給額が異なります。これは障害を抱えながらも暮らしていく人の経済的な支えとなる大切な制度です。

保険期間

保険期間とは、保険契約が有効であり、保障が適用される期間のことを指します。この期間中に事故や病気などの保険事故が発生した場合に限り、保険会社から保険金や給付金が支払われます。保険期間には「定期型」と「終身型」があり、定期型は一定の期間で保障が終了するのに対し、終身型は一生涯にわたって保障が続きます。 また、医療保険や生命保険、就業不能保険など、それぞれの保険商品によって保険期間の長さや更新の有無が異なるため、自分のライフプランや必要な保障に応じて選ぶことが大切です。保険期間を正しく理解することで、保障が必要なときに備えが切れているといった事態を防ぐことができます。

収入保障保険

収入保障保険とは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、遺された家族が毎月一定額の保険金を受け取れる生命保険の一種です保険金は一括ではなく、年金のように月々の定額支給という形で受け取るため、日々の生活費や教育費など、継続的な支出に備えるのに適した保険です。 この保険の特徴は、契約期間が経過するごとに受け取れる総額(=支給期間)が短くなるため、保険料が比較的割安に設定されていることです。必要な保障額を効率よく確保できることから、特に子育て中の家庭や、一家の収入を支える人に万が一があった場合のリスクに備えたい方に人気があります。

生活防衛資金

生活防衛資金とは、万が一の病気や失業、災害などで収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活を維持できるように、あらかじめ確保しておく現金のことです。投資を始める前にまず準備しておくべきお金で、一般的には生活費の3か月から6か月分を目安にするとされています。 この資金は、株や投資信託のように価格が変動する商品ではなく、すぐに引き出せる預金などで保管するのが望ましいとされています。生活防衛資金がしっかりと確保されていれば、投資のリスクを過度に恐れずに冷静な判断がしやすくなり、精神的な安心感にもつながります。

死亡保険金

死亡保険金とは、生命保険契約において、被保険者が死亡した際に受取人に支払われる保険金のことを指す。受取人や契約形態によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかの課税対象となる場合がある。

健康保険

健康保険とは、病気やけが、出産などにかかった医療費の自己負担を軽減するための公的な保険制度です。日本では「国民皆保険制度」が採用されており、すべての人が何らかの健康保険に加入する仕組みになっています。 会社員や公務員などは、勤務先を通じて「被用者保険」に加入し、自営業者や無職の人は市区町村が運営する「国民健康保険」に加入します。保険料は収入などに応じて決まり、原則として医療費の自己負担は3割で済みます。また、扶養されている家族(被扶養者)も一定の条件を満たせば保険の対象となり、個別に保険料を支払わなくても医療サービスを受けられる仕組みになっています。健康保険は日常生活の安心を支える基本的な社会保障制度のひとつです。

社会保険

社会保険とは、国民の生活を支えるために設けられた公的な保険制度の総称で、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険などが含まれます。労働者や事業主が保険料を負担し、病気や高齢による収入減少、失業時の経済的支援を受けることができます。社会全体でリスクを分担し、生活の安定を図る仕組みです。 また、社会保険は万が一の備えとして機能し、資産運用においては「公的保障の不足分をどのように補うか」を考える前提となる存在です。

満期保険金

満期保険金とは、保険契約で定められた期間が終了したときに、契約者や被保険者に支払われるお金のことをいいます。たとえば、10年や20年などの一定期間保険料を払い続け、満期になったときにその保険が「満了」すると、あらかじめ決められた金額が支払われます。 このお金は、死亡や病気などのリスクに備えるだけでなく、貯蓄のように将来の資金づくりにも役立つという特徴があります。特に学資保険や養老保険などでよく使われる仕組みです。

免責期間

免責期間とは、保険契約が開始してから一定の期間、保険金の支払い対象とならない期間のことを指します。 たとえば生命保険や医療保険では、契約を結んですぐに保障が始まるわけではなく、契約後しばらくの間に起きた死亡や入院に対しては、保険金が支払われなかったり、一部のみの支払いに制限されているケースがあります。 この免責期間は、不正な保険金請求を防ぐことや、加入時の健康状態が不確かな場合のリスクを保険会社が抑えるために設けられています。特に、健康状態の告知が不要な「無告知型保険」や、加入しやすいタイプの保険商品では、免責期間の内容が重要な意味を持つため、加入前にしっかり確認しておくことが大切です。

生命保険

生命保険とは、契約者が一定の保険料を支払うことで、被保険者が死亡または高度障害になった際に保険金が支払われる仕組みのことです。主に遺族の生活保障を目的とし、定期保険や終身保険などの種類があります。また、貯蓄性を備えた商品もあり、満期時に保険金を受け取れるものもあります。加入時の年齢や健康状態によって保険料が異なり、長期的な資産運用やリスク管理の一環として活用されます。

医療保険

医療保険とは、病気やケガによる入院・手術などの医療費を補償するための保険です。公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、日本では健康保険や国民健康保険が公的制度として提供されています。一方、民間医療保険は、公的保険でカバーしきれない自己負担分や特定の治療費を補填するために活用されます。契約内容によって給付金の額や支払い条件が異なり、将来の医療費負担を軽減するために重要な役割を果たします。

傷病手当(しょうびょう)

傷病手当(しょうびょう)とは、会社員などが病気やけがで働けなくなり、給与の支払いを受けられない場合に、健康保険から支給される所得補償の制度です。原則として、連続する3日間の待期期間のあと、4日目以降の働けなかった日から、最長で1年6か月間支給されます。 支給される金額は、休業前の標準報酬日額の約3分の2に相当する額とされており、就労不能による収入減少を一定程度カバーする役割を果たします。対象となるのは健康保険に加入している被保険者(主に会社員など)で、国民健康保険には原則としてこの制度はありません。なお、同時に傷病手当金を受け取りながら、会社から給与が支給された場合は、差額調整が行われることがあります。短期的な就労不能時の生活安定を図るための、大切な公的保障の一つです。

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