個人向け国債を買ってはいけない、やめとけと言われる理由はなんですか?
個人向け国債を買ってはいけない、やめとけと言われる理由はなんですか?
回答受付中
0
2024/07/18 20:27
男性
60代
最近、個人向け国債について興味を持ち始めました。安全性の高い投資だと認識しています。<br>ただ、一方で「買ってはいけない」とか「やめておいたほうがいい」という意見も耳にします。このような意見が出る背景にはどのような理由があるのでしょうか?ご教示いただけますと幸いです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
個人向け国債は日本政府が元本と利払いを保証するため、金融危機でも元本割れを心配せずに済む「守り」の強い商品です。ただし「買ってはいけない」「やめておけ」と言われるのは、リスク資産と比較したときに次の弱点が意識されるからです。
- 利回りの物足りなさ:金利の下限が決まっているため、株式や投資信託ほど資産を伸ばす力は期待しにくい。
- インフレへの脆弱さ:利率は名目値で上限付きのため、物価が想定以上に上がると実質利回りがマイナスになりやすい。
- 途中解約のコストと手間:購入から1年間は原則解約不可。1年後に解約しても直近2回分の利子相当額が差し引かれる。
- 金利上昇時の機会損失:満期まで保有している間に市場金利が上がると、より高利回り商品へ乗り換えにくい。
もっとも、これらの短所は「高リターン追求型」の商品と比べた相対的デメリットに過ぎません。生活防衛資金や3〜5年以内に使途が決まっている資金を安全に置く場所としては有力で、銀行預金よりわずかでも利率を上げたい場合にも機能します。一方で長期的な資産形成を目指す部分はインデックス投信や株式などと組み合わせ、「守り」と「攻め」をバランスさせることでインフレ耐性と成長性の両立を図るのが現実的な活用法と言えるでしょう。
関連記事
関連する専門用語
個人向け国債
個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。
元本
元本とは、投資や預金を始めるときに最初に出すお金、つまり「もともとのお金」のことを指します。たとえば、投資信託に10万円を入れた場合、その10万円が元本になります。 運用によって利益が出れば、元本に運用益が加わって資産は増えますが、損失が出れば元本を下回る「元本割れ」の状態になることもあります。 元本が保証されている商品(例:定期預金、個人向け国債など)もありますが、多くの投資商品では元本保証がないため、どれくらいのリスクを取るかを理解しておくことが大切です。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
インデックス
インデックス(Index)は、市場の動きを把握するための重要な指標です。複数の銘柄を一定の基準で組み合わせることで、市場全体や特定分野の値動きを分かりやすく数値化しています。 代表的なものには、日本の株式市場を代表する日経平均株価やTOPIX、米国市場の代表格であるS&P500などがあります。これらのインデックスは、投資信託などの運用成果を評価する際の基準として広く活用されており、特にパッシブ運用(インデックス運用)では、この指標と同じような値動きを実現することを目標としています。

