遺族厚生年金は子のない妻の場合いくらもらえるのでしょうか?
遺族厚生年金は子のない妻の場合いくらもらえるのでしょうか?
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2025/10/22 09:04
男性
60代
夫に先立たれた場合、子どもがいない妻にも遺族厚生年金が支給されると聞きましたが、具体的にどのくらいの金額を受け取れるのかがわかりません。年齢や夫の収入、加入期間などによって金額が変わると聞いたことがありますが、実際にはどのように計算されるのでしょうか?また、受け取れる期間や条件についても知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
子のない妻が受け取る遺族厚生年金の金額は、亡くなった夫が受け取るはずだった老齢厚生年金の「報酬比例部分の4分の3」です。たとえば夫の報酬比例部分が年額100万円なら、妻が受け取る金額は75万円となります。
実際の支給額は夫の加入期間や標準報酬額によって変わるため、ねんきん定期便やねんきんネットで夫の見込み額を確認し、その金額に0.75を掛けて概算します。
妻の年齢や子どもの有無によって、受給できる期間が異なります。子のいない妻は原則として終身にわたって受給できますが、夫の死亡時に30歳未満で子がいない場合は、5年間だけの有期支給です。一方、30歳以上で子のいない妻は、期間の制限なく継続して受け取れます。
40歳から65歳までの子のいない妻には、多くの場合「中高齢寡婦加算」が上乗せされます。この加算は老齢基礎年金の4分の3に相当し、2025年度は年額62万3,800円です。40歳以上65歳未満で子がいない妻、または子がいたが後に子の要件を満たさなくなった妻が対象です。
65歳を迎えた後は、自分の老齢年金との関係に注意が必要です。老齢基礎年金と遺族厚生年金は同時に受け取れますが、自分の老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給調整が行われ、原則としてどちらか有利な方、または差額分だけを受け取る形になります。つまり、65歳以降は「老齢基礎年金+(自分の老齢厚生年金か遺族厚生年金のいずれか有利な額)」という組み合わせです。
また、2025年度以降は制度が一部見直され、夫の死亡時に30歳未満・子なしで5年有期となる妻に対しては「有期給付加算」が導入されます。有期期間中の受給額が従来よりも手厚くなり、障害や所得が一定基準以下であれば、有期終了後も継続して支給される仕組みが新設されます。
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老齢厚生年金とは、会社員や公務員などが厚生年金保険に加入していた期間に応じて、原則65歳から受け取ることができる公的年金です。この年金は、基礎年金である「老齢基礎年金」に上乗せされる形で支給され、収入に比例して金額が決まる仕組みになっています。つまり、働いていたときの給与が高く、加入期間が長いほど受け取れる年金額も多くなります。また、一定の要件を満たせば、配偶者などに加算される「加給年金」も含まれることがあります。老後の生活をより安定させるための重要な柱となる年金です。
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