投資のガイド
Guide

遺族年金はいくら・いつまでもらえる?妻・夫・子の期間と早見表
難易度:
執筆者:
公開:
2024.12.23
更新:
2026.10.15
配偶者や家族の働き手が亡くなったとき、残された家族の生活を支える制度の一つが遺族年金です。しかし、亡くなった方の年金加入歴や子どもの有無、遺族の年齢によって、受け取れる年金の種類や金額、支給期間は大きく異なります。また、遺族年金は自動的に支給されるものではなく、請求手続きが必要です。
この記事では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件や金額の計算方法、家族構成別の受給額・支給期間から、2028年の制度改正、税金、請求手続きまで具体的に解説します。
遺族年金とは?国民年金(遺族基礎年金)と厚生年金(遺族厚生年金)の違い
遺族年金は、国民年金や厚生年金の被保険者または被保険者だった方が亡くなったとき、その方に生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。公的年金の2階建ての構造に合わせて、1階の国民年金から「遺族基礎年金」、2階の厚生年金から「遺族厚生年金」が支給されます。

| 項目 | 遺族基礎年金(国民年金) | 遺族厚生年金(厚生年金) |
|---|---|---|
| 受け取れる遺族 | 子のある配偶者、子 | 配偶者、子、父母、孫、祖父母のうち最も優先順位の高い方 |
| 子のない配偶者 | 対象外 | 対象(夫は死亡当時55歳以上で、支給は原則60歳から) |
| 年金額 | 847,300円+子の加算 | 亡くなった方の報酬比例部分の4分の3 |
| 主な加算 | 子の加算(第1子・第2子は各243,800円、第3子以降は各81,300円) | 中高齢寡婦加算635,500円(40歳から65歳になるまでの妻)など |
| 受け取れる期間 | 末子が18歳到達年度の末日まで(障害等級1級・2級の子は20歳まで) | 妻は原則一生(30歳未満で子のない妻は5年)、子・孫は18歳到達年度の末日までなど |
| 主な対象世帯 | 自営業・会社員を問わず、18歳到達年度末までの子がいる世帯 | 会社員・公務員など厚生年金に加入していた方の遺族 |
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
※遺族基礎年金の847,300円は昭和31年4月2日以後生まれの方の額で、昭和31年4月1日以前生まれの方は844,900円です。
大きな違いは、遺族基礎年金が「子のいる世帯」のための年金である点です。18歳到達年度末までの子がいなければ、亡くなった方が自営業でも会社員でも遺族基礎年金は出ません。会社員などの遺族は、子がいれば両方、子がいなければ遺族厚生年金だけを受け取るのが基本の形です。
国民年金・厚生年金の仕組みや、老齢・障害・遺族の3つの給付の全体像は、こちらの記事で一覧にしています。
遺族年金をもらえる人と優先順位
遺族基礎年金を受け取れるのは「子のある配偶者」と「子」です。ここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子で、婚姻していない場合に限られます。死亡当時に胎児だった子も、生まれた後は対象です。
遺族厚生年金は、生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ります。
遺族厚生年金の受取順位
- 子のある配偶者
- 子
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
子のない夫と父母・祖父母は、死亡当時55歳以上の方に限られ、支給は60歳からとなります。兄弟姉妹は対象に含まれていません。
配偶者には、婚姻の届出をしていない事実婚の配偶者も含まれます。一方、子は亡くなった方の実子か養子に限られ、養子縁組をしていない配偶者の連れ子は含まれない点に注意しましょう。
受給要件:亡くなった方の要件と保険料納付要件
遺族年金を受け取るには、亡くなった方が一定の要件を満たしている必要があります。遺族厚生年金の要件は次のとおりで、①〜③を「短期要件」、④を「長期要件」と呼ぶことがあります。
遺族厚生年金の受給要件(亡くなった方)
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給資格期間(25年以上)を満たした方が死亡したとき
遺族基礎年金も、国民年金の被保険者である間の死亡、国内に住む60歳以上65歳未満の元被保険者の死亡、受給資格期間25年以上の方の死亡が要件です。被保険者中の死亡などには保険料の納付要件があり、死亡日の前日に、加入期間の3分の2以上が保険料納付済期間と免除期間で占められている必要があります。
- ただし特例として、死亡日が令和18年3月末日までにあり、亡くなった方が65歳未満なら、死亡月の前々月までの直近1年間に未納がなければ要件を満たします。この特例の期限は、令和7年の法改正で令和8年3月末日から10年延長されました。
「加入期間が25年未満だと遺族年金はもらえない」と考える方もいますが、25年が必要なのは長期要件の場合です。会社員として在職中に亡くなった場合などの短期要件なら、加入期間が短くても納付要件を満たせば対象になります。反対に、厚生年金を退職して老齢年金の受給資格期間が10年以上25年未満の方が亡くなった場合は、長期要件を満たせない点に注意が必要です。
保険料の未納があると遺族年金に影響する仕組みと、追納するかどうかの判断軸は、こちらの記事で確認できます。
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
出典:厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要」
生計維持要件:前年の年収850万円未満が原則
遺族年金を受け取る遺族は、亡くなった方に生計を維持されていたことが必要です。原則として、生計を同じくしていること(同居、または別居でも仕送りや健康保険の扶養などがあること)と、前年の収入が850万円未満または所得が655万5千円未満であることの両方を満たす場合をいいます。
- 死亡当時に年収850万円以上でも、退職や廃業などでおおむね5年以内に850万円未満になると認められる場合は対象です。この基準は死亡当時の判定に使うもので、遺族年金ガイドの失権事由には、受給開始後の収入の増加は挙げられていません。共働きで配偶者の年収が850万円未満なら、遺族厚生年金の収入要件は満たすことになります。
遺族年金はいくら?金額の計算方法と早見表
遺族基礎年金は定額に子の加算を加えた額、遺族厚生年金は亡くなった方の報酬と加入期間で決まります。両方の要件を満たせば合計額を受け取れ、支給は亡くなった月の翌月分からです。
遺族基礎年金の金額:子の人数別(令和8年度)
遺族基礎年金は、子の人数に応じて加算される定額の年金です。配偶者が受け取る場合と、子だけが受け取る場合に分けて整理しました。
| 子の人数 | 子のある配偶者が受け取る場合 | 子だけが受け取る場合(合計額/1人あたり) |
|---|---|---|
| 1人 | 1,091,100円(月約9.1万円) | 847,300円/847,300円 |
| 2人 | 1,334,900円(月約11.1万円) | 1,091,100円/545,550円 |
| 3人 | 1,416,200円(月約11.8万円) | 1,172,400円/390,800円 |
| 4人 | 1,497,500円(月約12.5万円) | 1,253,700円/313,425円 |
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
※編集部算出。配偶者が受け取る場合は847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)+子の加算、子だけが受け取る場合は847,300円+2人目以降の子の加算額を子の人数で割った額です。月額は年額を12で割った概算です。
子が1人の場合、配偶者が受け取る額は年約109万円です。子の加算は第2子までが各243,800円と大きく、第3子以降は各81,300円に下がります。子だけが受け取るのは、配偶者がいない場合や配偶者が受給権を失った場合などです。
遺族厚生年金の金額:報酬比例部分の4分の3
遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。平成15年4月以降の加入期間の報酬比例部分は「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」で計算されます。平均標準報酬額とは、賞与を含む過去の報酬を現在の価値に再評価して、加入月数で割った額のことです。
短期要件の場合、加入期間が300月(25年)未満でも300月とみなして計算するため、若い世代の遺族でも一定の額が確保されます。この計算式をもとに、平均標準報酬額と加入月数別の目安をまとめました。
| 平均標準報酬額 | 加入300月以下(300月とみなす場合) | 加入360月(30年) | 加入480月(40年) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 246,645円(月約2.1万円) | 295,974円(月約2.5万円) | 394,632円(月約3.3万円) |
| 30万円 | 369,968円(月約3.1万円) | 443,961円(月約3.7万円) | 591,948円(月約4.9万円) |
| 40万円 | 493,290円(月約4.1万円) | 591,948円(月約4.9万円) | 789,264円(月約6.6万円) |
| 50万円 | 616,613円(月約5.1万円) | 739,935円(月約6.2万円) | 986,580円(月約8.2万円) |
| 60万円 | 739,935円(月約6.2万円) | 887,922円(月約7.4万円) | 1,183,896円(月約9.9万円) |
※編集部試算(2026年10月14日)。平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数×3/4で計算し、1円未満を四捨五入しています。全期間が平成15年4月以降の加入で、中高齢寡婦加算などの加算は含みません。平成15年3月以前の期間がある方や、長期要件で生年月日により乗率が異なる方は実額と差が出ます。
- 平均標準報酬額40万円で在職中に亡くなった場合、遺族厚生年金は年約49万円、月約4.1万円が目安です。「夫の給料の4分の3」ではなく、報酬比例部分の4分の3のため、想像より少ないと感じる方も多いでしょう。正確な額は、亡くなった方の加入記録をもとに年金事務所で確認できます。
中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算
中高齢寡婦加算は、夫を亡くした妻の遺族厚生年金に、40歳から65歳になるまでの間、年635,500円(令和8年度)が加算される仕組みです。対象は、夫の死亡時に40歳以上65歳未満で生計を同じくする子のいない妻と、子がいて遺族基礎年金を受けていた妻のうち、子の18歳年度末などで遺族基礎年金を受けられなくなった妻です。
後者は、40歳に達した当時に子がいて遺族基礎年金を受けていた妻に限られます。また、長期要件による遺族厚生年金の場合は、亡くなった夫の厚生年金の加入期間が20年以上なければ加算されません。遺族基礎年金を受け取れる間は、中高齢寡婦加算は支給されない仕組みです。
経過的寡婦加算は、昭和31年4月1日以前生まれの妻を対象に、65歳以降の年金額の急な減少を和らげる加算です。中高齢寡婦加算を受けていた方が65歳になると、生年月日に応じた経過的寡婦加算に切り替わります。昭和31年4月2日以後生まれの妻は、65歳で中高齢寡婦加算が終わり、経過的寡婦加算はありません。
| 項目 | 中高齢寡婦加算 | 経過的寡婦加算 |
|---|---|---|
| 支給期間 | 妻が40歳〜65歳の間 | 妻が65歳以降(生涯) |
| 対象となる妻 | 夫の死亡時に40歳以上65歳未満の妻、または子が18歳年度末に達して遺族基礎年金が終わった時点で40歳以上65歳未満の妻 | 中高齢寡婦加算を受けていた(または65歳以降に受給権が発生した)昭和31年4月1日以前生まれの妻 |
| 夫の要件 | 厚生年金加入中の死亡、または厚生年金加入期間が原則20年以上の夫の死亡 | 中高齢寡婦加算と同じ |
| 金額(令和8年度) | 一律 年635,500円 | 妻の生年月日に応じて 年633,700円〜21,147円(若い世代ほど少額) |
| 目的 | 子がいないなどで遺族基礎年金がない期間を補う | 65歳で中高齢寡婦加算が終わり年金が急減するのを防ぐ |
| 遺族基礎年金との関係 | 遺族基礎年金を受けている間は支給停止 | - |
出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
家族構成別に見た遺族年金の合計額(編集部試算)
遺族基礎年金と遺族厚生年金、中高齢寡婦加算を合わせると、家族構成によって受取額は大きく変わります。会社員の夫が在職中に亡くなった場合と、自営業の夫が亡くなった場合で比べました。
| 亡くなった夫と遺族の状況 | 受け取る遺族年金 | 年額(月額の目安) |
|---|---|---|
| 会社員・妻と子1人 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 1,584,390円(月約13.2万円) |
| 会社員・妻と子2人 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 1,828,190円(月約15.2万円) |
| 会社員・子のない妻(45歳) | 遺族厚生年金+中高齢寡婦加算 | 1,128,790円(月約9.4万円) |
| 会社員・子のない妻(35歳) | 遺族厚生年金 | 493,290円(月約4.1万円) |
| 自営業・妻と子1人 | 遺族基礎年金 | 1,091,100円(月約9.1万円) |
| 自営業・妻と子2人 | 遺族基礎年金 | 1,334,900円(月約11.1万円) |
| 自営業・子のない妻 | 原則として遺族年金はなし(寡婦年金か死亡一時金の対象になる場合がある) | ― |
※編集部試算(2026年10月14日)。会社員の夫は平均標準報酬額40万円・在職中の死亡(300月とみなす)とし、遺族厚生年金を493,290円としています。子は18歳到達年度末までの子です。自営業の夫は国民年金のみの加入とし、厚生年金の加入期間による長期要件の遺族厚生年金は考慮していません。
同じ会社員世帯でも、子の有無と妻の年齢で年額に3倍以上の差が出ます。自営業の世帯は遺族厚生年金がないため、子がいる間も会社員世帯より少なく、子がいなければ遺族年金は原則として出ません。遺族年金で生活費のどこまでをまかなえるかは、この差を前提に考える必要があります。
ここで紹介した金額を見るときは、次の点に注意してください。
- 金額は令和8年度(2026年4月分から)の額で、年金額は毎年度改定される
- 遺族厚生年金の試算は平成15年4月以降の乗率だけで計算した概算で、実額は加入記録で決まる
- 65歳以降は自分の老齢年金との併給調整があり、表の額がそのまま上乗せされるとは限らない
- 児童扶養手当を受けている場合は、遺族年金の受給で手当が支給停止または一部支給停止になる可能性がある
なお、遺族基礎年金を受けていて前年の所得が一定以下の方は、遺族年金生活者支援給付金(令和8年度は月5,620円)の対象になります。所得基準は「4,918,000円+扶養親族の数×38万円」で、遺族年金などの非課税収入は所得に含みません。
遺族年金はいつまでもらえる?妻・夫・子の受給期間
遺族年金を受け取れる期間は、遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なり、受け取る方の続柄と年齢でも変わります。2026年10月時点の現行制度で、家族構成・年齢別に整理しました。
| 受け取る遺族 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | 加算 |
|---|---|---|---|
| 子のある妻 | 末子が18歳到達年度の末日まで | 原則一生 | 遺族基礎年金の終了時に40歳以上なら65歳まで中高齢寡婦加算 |
| 子のない妻(夫の死亡時30歳未満) | なし | 5年間 | なし |
| 子のない妻(30歳以上40歳未満) | なし | 原則一生 | なし |
| 子のない妻(40歳以上65歳未満) | なし | 原則一生 | 65歳まで中高齢寡婦加算 |
| 子のある夫 | 末子が18歳到達年度の末日まで | 死亡時55歳以上なら一生(遺族基礎年金の受給中は60歳前も支給)、55歳未満なら夫は対象外で子が受給 | なし |
| 子のない夫 | なし | 死亡時55歳以上なら60歳から一生、55歳未満は対象外 | なし |
| 子 | 18歳到達年度の末日まで(障害等級1級・2級は20歳まで) | 同左 | なし |
| 孫 | なし | 18歳到達年度の末日まで(障害等級1級・2級は20歳まで) | なし |
| 父母・祖父母 | なし | 死亡時55歳以上なら60歳から一生 | なし |
※「一生」は、婚姻などの失権事由に該当しない限り受け取れるという意味です。子のある妻でも、30歳になる前に遺族基礎年金を受けられなくなった場合は、遺族厚生年金はその時点から5年で終わります。子は、配偶者が遺族年金の受給権を有する間は原則として支給停止です。遺族基礎年金は、生計を同じくする父または母がいる間も支給停止になります。
夫を亡くした妻が受け取る遺族厚生年金は、30歳未満で子のない場合を除き、期間の定めがありません。一方、遺族基礎年金は子の年齢で終わるため、「いつまで」は年金の種類ごとに分けて確かめることが大切です。夫が受け取る場合は55歳という年齢の区切りがあり、現行制度では妻より条件が厳しくなっています。
子どもが18歳年度末を迎えたら、いくらになる?
子が18歳到達年度の末日を迎えると、障害等級1級・2級の子を除き、遺族基礎年金と子の加算は終わります。会社員の夫を亡くした妻なら、その後は遺族厚生年金だけになり、妻が40歳以上65歳未満であれば中高齢寡婦加算が加わる仕組みです。
たとえば、遺族厚生年金493,290円の妻が子1人と暮らしていた場合、年1,584,390円から、妻が40歳以上なら年1,128,790円になる計算です(編集部試算)。遺族厚生年金のない自営業の世帯では、子の18歳年度末で遺族年金そのものが終わります。高校卒業後の進学費用がかかる時期と重なりやすいため、早めに見通しを立てておくと安心です。
受給が終わる(失権する)主なケース
遺族年金は、受け取る方が死亡したとき、婚姻(事実婚を含む)したとき、直系血族または直系姻族以外の方の養子になったときなどに受給権がなくなります。再婚は支給の一時停止ではなく失権のため、その後に離婚しても受給は戻りません。
- そのほか、子が18歳到達年度の末日を迎えたとき、夫の死亡時に30歳未満だった子のない妻が受給権を得てから5年を経過したときも失権します。失権したときは、遺族基礎年金は14日以内、遺族厚生年金は10日以内に、年金事務所などへの届出が必要です。
65歳以降は自分の老齢年金との併給調整がある
公的年金は「1人1年金」が原則ですが、65歳以上の方は例外的に、自分の老齢年金と遺族厚生年金を組み合わせて受け取れます。ただし、両方の金額を単純に足し算できるわけではありません。①遺族厚生年金の額を決める → ②自分の老齢厚生年金を優先して支給する → ③差額だけを遺族厚生年金として上乗せする、という3つのステップで調整されます。順番に見ていきましょう。
ステップ1:遺族厚生年金の額を決める
まず、65歳以上で配偶者の遺族厚生年金を受ける方は、次の2つの計算方法で額を出し、比べます。
| 計算式 | 考え方 | |
|---|---|---|
| 案A | 亡くなった方の報酬比例部分 × 3/4 | 本来の遺族厚生年金の額 |
| 案B | 亡くなった方の報酬比例部分 × 1/2 + 自分の老齢厚生年金 × 1/2 | 案Aの3分の2に、自分の厚生年金の半分を加えた額 |
この2つのうち、高いほうがその方の遺族厚生年金の額になります。案Bは、夫婦ともに厚生年金に加入していた共働き世帯を想定した計算方法で、自分の厚生年金が多い方ほど案Bのほうが高くなりやすいのが特徴です。
ステップ2・3:自分の年金を優先し、差額だけを上乗せ
遺族厚生年金の額が決まったら、次は実際にどう支給されるかです。ここでのポイントは、自分の老齢厚生年金が優先されるという点です。
| 年金 | 支給のされ方 |
|---|---|
| 自分の老齢基礎年金 | 全額支給 |
| 自分の老齢厚生年金 | 全額支給(こちらが優先) |
| 遺族厚生年金 | 自分の老齢厚生年金に相当する額が支給停止となり、差額のみ支給 |
つまり、遺族厚生年金として実際に上乗せされるのは「ステップ1で決まった遺族厚生年金の額 − 自分の老齢厚生年金」の差額です。自分の老齢厚生年金が遺族厚生年金の額以上であれば、遺族厚生年金の上乗せはゼロになります。
具体例で確認する
イメージをつかむために、亡くなった夫の報酬比例部分が年120万円のケースで、妻自身の老齢厚生年金が少ない場合と多い場合を比べてみます。
| 項目 | ケース1:妻の老齢厚生年金 30万円 | ケース2:妻の老齢厚生年金 100万円 |
|---|---|---|
| 案A(120万円×3/4) | 90万円 | 90万円 |
| 案B(60万円+妻の厚生年金×1/2) | 60万円+15万円=75万円 | 60万円+50万円=110万円 |
| 遺族厚生年金の額(高いほう) | 90万円(案A) | 110万円(案B) |
| 自分の老齢厚生年金(全額支給) | 30万円 | 100万円 |
| 遺族厚生年金の上乗せ(差額) | 90万円−30万円=60万円 | 110万円−100万円=10万円 |
| 老齢基礎年金(満額) | 847,300円 | 847,300円 |
| 年間受取額の合計 | 1,747,300円 | 1,947,300円 |
ケース1では、案Aの90万円が遺族厚生年金の額となり、自分の老齢厚生年金30万円との差額60万円が上乗せされます。満額の老齢基礎年金と合わせて、年1,747,300円を受け取る計算です。
一方、ケース2では案Bのほうが高い110万円となりますが、自分の老齢厚生年金が100万円あるため、遺族厚生年金として上乗せされるのは差額の10万円だけです。妻自身の厚生年金はケース1より70万円多いのに、年間の受取総額の差は20万円にとどまります。
- このように、自分の厚生年金が多い方ほど、遺族厚生年金の上乗せは小さくなる仕組みです。遺族厚生年金は、遺族の生活を一定水準まで補うための制度なので、自分の年金でまかなえる分は削られると考えるとわかりやすいでしょう。
なお、平成19年4月1日より前に受給権があり、同日時点で65歳以上だった方は、この調整ではなく、年金の組み合わせを自分で選択する別の扱いとなります。
遺族年金の受給権があると繰下げ受給にも制限がある
併給調整に加えて注意したいのが、老齢年金の繰下げ受給への影響です。遺族年金の受給権を持っていると、老齢年金を繰り下げて増額する選択肢が制限される場合があります。
| 条件 | 老齢年金の繰下げ |
|---|---|
| 66歳に到達した日以前に遺族年金等の受給権を得た | 原則として繰下げできない |
| 令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり、65歳未満(令和7年の法改正) | 一定の条件で繰下げができるようになる |
これまでは、遺族年金を受け取る権利がある方は老齢年金を繰り下げられないのが原則でした。令和7年の法改正により、令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり65歳未満の方については、一定の条件のもとで繰下げが可能になります。
- ただし、遺族厚生年金を受ける方が老齢厚生年金を繰り下げて増やしても、そのぶん遺族厚生年金の上乗せ(差額)が減るため、思ったほど受取総額が増えないケースもあります。実際の金額や繰下げの可否は人によって異なるため、ねんきん定期便で自分の年金額を確認したうえで、年金事務所や街角の年金相談センターで試算してもらうと安心です。
繰上げ・繰下げ受給の仕組みと、何歳から受け取るかの損益分岐点は、こちらの記事でシミュレーションしています。
2028年4月施行予定の遺族年金の見直し:何が変わり、誰が対象外か
2025年6月に成立した年金制度改正法により、遺族厚生年金の男女差を解消する見直しが2028年4月に施行される予定です。2026年10月時点では施行前で、現在の受給額や受給期間はこれまでの制度で決まります。まず、見直しの影響を受けない方を確認しておきましょう。
- 既に遺族厚生年金を受給している方は、見直しの影響を受けない
- 60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方も、現行どおり無期の給付
- 18歳年度末までの子を養育する間にある方は、その間の給付内容が変わらない
- 2028年度に40歳以上になる女性は、見直しの影響を受けない
※ここに専門家としての解説文を2~3文程度で追記
見直しの前後比較:子のない60歳未満の配偶者は男女とも原則5年に
見直しの中心は、18歳年度末までの子がいない60歳未満の配偶者への遺族厚生年金です。主な変更点を現行制度と比べました。
| 項目 | 現行制度 | 見直し後(施行前の予定) |
|---|---|---|
| 子のない妻(死別時60歳未満) | 30歳未満は5年、30歳以上は無期 | 原則5年の有期給付。2028年度末時点で40歳未満の方から対象とし、20年かけて段階的に対象年齢を引上げ |
| 子のない夫(死別時60歳未満) | 55歳未満は対象外、55歳以上は60歳から無期 | 2028年4月から原則5年の有期給付 |
| 5年間の年金額 | 報酬比例部分の4分の3 | 有期給付加算により現在の約1.3倍 |
| 収入要件(年収850万円未満) | あり | 有期給付では廃止 |
| 5年経過後 | ― | 障害の状態にある方や収入が十分でない方は、最長65歳まで継続給付 |
| 自分の老齢厚生年金 | ― | 死亡分割により増額(亡くなった配偶者のほうが報酬が高かった場合) |
| 中高齢寡婦加算 | 40歳から65歳になるまで年635,500円 | 2028年4月以降に新たに発生する加算を2053年度まで25年かけて段階的に縮小 |
| 父母・祖父母 | 死亡時55歳以上で受給権、60歳から支給 | 死亡時60歳以上で受給権 |
| 子への遺族基礎年金 | 生計を同じくする父または母がいる間は支給停止 | 遺族基礎年金を受けていない父または母と生計を同じくしていても、子に支給(配偶者が受給している間は従来どおり子は支給停止) |
| 子の加算(2024年度価格) | 第1子・第2子は各234,800円、第3子以降は各78,300円 | 1人につき一律281,700円 |
出典:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方」
※厚生労働省の資料をもとに編集部作成。子の加算の額は厚生労働省資料の2024年度価格で、施行時の額は年金額の改定により変わります。一度受け取り始めた中高齢寡婦加算は、翌年度以降も額が変わらず65歳まで受け取れます。
厚生労働省によると、施行直後に新たに5年の有期給付の対象となる30代の女性は年間約250人と推計されています。一方、新たに5年の給付を受けられるようになる60歳未満の男性は年間約1万6千人の推計です。子のない夫が給付を受けられなかった男女差を解消することが、見直しの主な目的とされています。
5年経過後の継続給付と、子がいる場合の扱い
5年の有期給付が終わった後も、障害年金の受給権がある方や収入が十分でない方は、増額された遺族厚生年金を引き続き受け取れます。単身の場合、就労収入が年間122万円以下なら継続給付は全額支給される見込みで、収入が増えるにつれて調整される仕組みです。厚生労働省の資料では、2025年度税制改正を反映すると132万円(見込み)とされています。
18歳年度末までの子がいる方は、子が18歳年度末になるまでは現行制度と同じ給付です。子が18歳年度末を迎えた後は、さらに5年間、加算で増額された有期給付と継続給付の対象になります(60歳以上の方などは現行どおり無期の給付)。
改正の情報を読むときは、次の点に注意してください。
- 2028年4月施行予定の改正で、2026年10月時点の受給額・受給期間は現行制度で決まる
- 遺族厚生年金そのものが廃止されるわけではなく、60歳以上で死別した場合の無期の給付は続く
- 有期給付加算の計算方法や継続給付の収入基準など、細部は今後の政令等で定まる部分がある
※ここに専門家としての解説文を2~3文程度で追記
遺族年金の税金と扶養の扱い:所得税・住民税・相続税はかからない
遺族年金は非課税で、所得税・住民税も相続税もかかりません。国民年金法と厚生年金保険法は、給付として受け取った金銭に租税その他の公課を課すことを禁止しており、課税できる例外は老齢基礎年金・付加年金・老齢厚生年金に限られています。国税庁も、国民年金法・厚生年金保険法などに基づく遺族年金は原則として所得税も相続税も課税されないとしています。
- 遺族年金だけを受け取っている場合、遺族年金を理由に確定申告をする必要はありません。一方、亡くなった方が受け取るはずだった未支給年金を遺族が受け取ると、遺族の一時所得の収入金額になります。企業年金(確定給付企業年金)から遺族に支給される年金は相続税の対象になるなど、公的な遺族年金とは扱いが異なる点にも注意が必要です。
老齢年金にかかる税金と公的年金等控除、手取り額の目安は、こちらの記事の早見表で確認できます。
出典:国税庁「No.1605 遺族の方に支給される公的年金等」
税金の扶養と健康保険の扶養で扱いが違う
所得税の扶養控除の判定に使う合計所得金額には、非課税の遺族年金は含まれません。国税庁は、遺族厚生年金を年120万円程度受け取り他に所得のない母について、ほかの人の扶養控除の対象でなければ扶養控除の対象にできると回答しています。
一方、健康保険の被扶養者の認定では、年間収入に公的年金も含まれます。基準は原則として年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)で、遺族年金がある場合は受取額の分かる通知書等のコピーが必要です。遺族年金の額によっては、家族の健康保険の扶養に入れない場合がある点に注意しましょう。
税金と社会保険それぞれの扶養の基準と、年収の壁の一覧は、こちらの記事で整理しています。
出典:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
相続放棄をしても遺族年金は受け取れる
遺族年金は、要件を満たした遺族が自分の権利として受け取るもので、亡くなった方の相続財産ではありません。そのため、借金などを理由に相続放棄をしても、遺族年金は受け取れます。死亡保険金は相続税の対象になる場合があるため、遺族年金とは分けて考えましょう。
相続放棄の手続きと期限、死亡保険金の受取人によって変わる税金の仕組みは、こちらの記事で解説しています。
遺族年金の請求手続きと必要書類
遺族年金は自動的には支給されず、遺族が年金請求書を提出する必要があります。請求先、必要書類、時効と、似た給付との違いを確認しておきましょう。
請求先と、受け取りまでの流れ
遺族厚生年金を請求する場合の提出先は、年金事務所または街角の年金相談センターです。遺族基礎年金だけを請求する場合は、住所地の市区町村役場が窓口になります。ただし、死亡日が国民年金の第3号被保険者期間中の場合は、年金事務所などが提出先です。
共済組合の加入期間がある方の遺族も、年金事務所に年金請求書を提出すれば、共済組合に加入していた期間の年金をあわせて請求できます。年金証書は請求書の提出から1カ月程度(加入状況の確認が必要な場合は2カ月程度)で届きます。振り込みはその約1〜2カ月後に始まり、以降は偶数月に2カ月分ずつ支払われる流れです。
請求に必要な主な書類
必要な書類は、マイナンバーの登録状況や死亡の原因、子の有無によって異なります。遺族厚生年金を請求する場合の主な書類は次のとおりです。
遺族厚生年金の請求に必要な主な書類
- 年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)
- 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
- 世帯全員の住民票の写しと、亡くなった方の住民票の除票
- 請求する方の収入が確認できる書類(所得証明書、源泉徴収票など)
- 子の収入が確認できる書類(高校在学中は在学証明書や学生証のコピーなど)
- 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
- 受取先金融機関の通帳など(本人名義)
世帯全員の住民票や収入を確認する書類は、マイナンバーを記入すれば添付を省略できます。戸籍謄本も、請求する方が配偶者または子であれば省略できます。戸籍謄本と住民票は、受給権の発生日以降で提出日から6カ月以内に交付されたものが必要です。第三者の行為による死亡などでは追加の書類があるため、事前に年金事務所へ確認すると手続きがスムーズでしょう。
時効と、未支給年金・寡婦年金・死亡一時金との違い
遺族年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効によって消滅します。やむを得ない事情で請求できなかった場合は、理由を書面で申し立てる扱いもありますが、早めに請求するのが基本です。
遺族年金と混同しやすい給付が3つあります。未支給年金は、年金を受けていた方が亡くなったときに、まだ受け取っていない亡くなった月分までの年金を、生計を同じくしていた遺族が受け取る仕組みです。寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間と免除期間が合わせて10年以上ある夫が亡くなったとき、婚姻期間10年以上の妻が60歳から65歳になるまで受け取れます。
死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を36月以上納めた方が年金を受けずに亡くなったとき、遺族に12万〜32万円が支給される制度です。遺族基礎年金を受けられる場合は支給されず、寡婦年金と両方の対象になる場合はどちらか一方を選びます。死亡一時金の時効は死亡日の翌日から2年と、遺族年金より短い点に注意が必要です。
未支給年金を受け取れる遺族の順位や受取額の目安、年金事務所で相談できる内容は、こちらの記事で詳しく解説しています。
出典:日本年金機構「寡婦年金」
前提別に見た遺族年金の確認ポイントと備えの考え方
遺族年金でどこまで生活を支えられるかは、家族構成や年齢、亡くなった方の加入制度、自分の年金や働き方によって大きく変わります。前提ごとに、確認したいことと備えの考え方を整理しました。
| 前提 | 確認しておきたいこと | 合理的になり得る備えの考え方 |
|---|---|---|
| 会社員・公務員の世帯で、18歳年度末までの子がいる | 遺族基礎年金と遺族厚生年金の合計額、末子の18歳年度末で減る額、中高齢寡婦加算の対象になるか | 子が独立するまでの生活費・教育費と遺族年金の差額を、期間を区切った保障や貯蓄で補うことを検討する |
| 自営業・フリーランスの世帯(国民年金のみ) | 遺族基礎年金の額と、子の18歳年度末で遺族年金がなくなる時期、寡婦年金・死亡一時金の対象か | 遺族厚生年金がない分、会社員世帯より厚めの自助(貯蓄・民間保険)が必要になりやすい。付加年金に遺族への給付はなく(死亡一時金に8,500円が加算されるのみ)、国民年金基金も遺族一時金にとどまる |
| 子のない共働き夫婦(20〜50代) | 自分の年齢と性別で現行制度と見直し後のどちらが適用されるか、自分の収入で生活を続けられるか | 遺族年金を長期の生活費の柱と見込みすぎず、自分の収入と貯蓄を中心に考える |
| 40〜64歳で子のない妻 | 夫の加入期間が20年以上あるか(長期要件の場合)、中高齢寡婦加算を含めた額 | 65歳で中高齢寡婦加算が終わった後の年金額まで見通して家計を組む |
| 65歳以上の夫婦 | 夫の報酬比例部分と自分の老齢厚生年金の額、差額支給でいくら上乗せされるか | 自分の老齢厚生年金が多い場合は上乗せが小さいことを前提に、生活費の不足分を確認する |
| 配偶者の年収が850万円以上 | おおむね5年以内に850万円未満になる見込みがあるか | 配偶者は現行制度では遺族年金を受け取れない可能性があることを前提に、保障の必要額を考える(子は遺族厚生年金を受け取れるが、遺族基礎年金は配偶者と生計を同じくする間は支給停止。2028年4月の見直し後は子に支給される予定) |
※編集部作成。個別の状況によって合理的な選択肢は異なり、特定の保険商品や金額を推奨するものではありません。見直し後の扱いは2028年4月施行予定の内容です。
まず確かめたいのは、自分の世帯が「遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方」「どちらか一方」「どちらもなし」のどれに当たるかです。そのうえで、遺族年金の見込額と毎月の支出の差額を年単位で見ると、民間保険や貯蓄でどこまで備えるかを考えやすくなります。遺族年金が手厚い世帯ほど、必要な保障額は小さくて済むといえるでしょう。
生命保険が必要な人・いらない人をタイプ別に整理し、数字で必要性を判断する考え方は、こちらの記事をご覧ください。
この記事のまとめ
遺族年金は、亡くなった方の年金加入状況や遺族の年齢、子どもの有無によって、受給できる種類や金額、支給期間が異なります。特に、子どもが18歳到達年度末を迎えるときや、65歳以降に自分の老齢年金との併給調整が行われるときは、受取額が変わる可能性があります。また、2028年には遺族厚生年金の制度改正も予定されています。
まずは家族の年金加入状況を確認し、受給できる年金額と今後の生活費との差額を試算しましょう。実際に請求する場合は年金事務所などで必要書類や手続きを確認し、将来の生活費が不足する場合は、貯蓄や生命保険などによる備えも検討することが大切です。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
関連する専門用語
遺族年金
遺族年金とは、家計の支え手である人が亡くなった際に、残された家族の生活を保障するために支給される年金のことです。公的年金制度の中に組み込まれており、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があります。対象となるのは、主に配偶者や子どもで、支給額や期間は家族構成や被保険者の加入状況などによって異なります。遺族年金は、残された家族が安定した生活を続けるための公的な支援制度として、生活設計においてとても重要な役割を果たします。
遺族基礎年金
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が亡くなったときに、その人に生計を維持されていた一定の家族(主に子どもがいる配偶者や子ども自身)に支給される年金です。これは公的年金制度のひとつで、生活保障を目的としており、主に子育て世帯を対象にしています。たとえば、夫が亡くなり、子どもを育てる妻がいる場合、その妻に遺族基礎年金が支給されます。受給の条件には、亡くなった人が保険料を一定期間納付していたことや、受け取る側に対象となる子どもがいることなどが含まれます。支給額は定額で、子どもの人数に応じた加算もあります。子どもが一定年齢に達すると支給は終了します。家計を支える人を失ったときに、遺族の生活を一定期間支援する大切な制度です。
遺族厚生年金
遺族厚生年金とは、厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、その遺族に支給される公的年金のことです。対象となるのは、主に配偶者(特に一定年齢以上の妻)、子ども、父母、孫、祖父母などで、生計を同じくしていたことが条件とされます。 遺族基礎年金が子どもがいる世帯を中心に支給されるのに対し、遺族厚生年金は子どもがいなくても一定の条件を満たせば支給されるため、対象範囲がやや広いのが特徴です。支給額は、亡くなった人の厚生年金の納付記録や報酬額に基づいて計算されるため、個人差があります。また、遺族基礎年金と併用して受け取れる場合もあり、特に現役世代の死亡リスクに備える重要な保障制度のひとつとされています。家計の柱を失ったときに、遺族の生活を長期にわたって支える仕組みです。
遺族共済年金
遺族共済年金とは、かつて共済年金制度(公務員や私立学校教職員などが加入していた年金制度)に加入していた人が亡くなった場合に、その遺族に支給される年金のことです。2015年10月に共済年金は厚生年金と統合されましたが、それ以前に加入していた人に関しては、経過措置として遺族共済年金の仕組みが今も適用されています。支給対象は、生計を共にしていた配偶者や子どもなどで、遺族厚生年金と同様に、報酬や加入期間に応じて支給額が決まります。 また、遺族基礎年金と併給される場合もあります。基本的な考え方は遺族厚生年金とほぼ同じですが、制度の歴史的背景から、細かな支給条件や加算内容に違いがあることがあります。現在は新たな加入者はおらず、過去に加入していた人に対して支給される「経過的な制度」として位置づけられています。
年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金とは、年金だけで生活している人や所得の少ない年金受給者を対象に、年金に上乗せして支給される給付金のことです。これは、高齢者や障害者、遺族などが年金だけでは十分な生活を維持できないケースを想定し、生活の安定と福祉の向上を目的として2019年に創設されました。 支給対象は、一定の所得以下であることや、住民税が非課税であることなど、細かい条件を満たした人に限られます。給付額は対象者の種類(老齢年金受給者、障害年金受給者、遺族年金受給者など)によって異なりますが、毎月の年金に上乗せされる形で振り込まれます。申請が必要で、自動的に支給されるわけではないため、条件に該当する場合は申請を忘れないことが重要です。生活の支えとして、特に低所得の年金受給者にとっては非常にありがたい制度です。
中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算とは、遺族厚生年金を受け取る妻が40歳から64歳までの中高年齢層であり、子どもがいない、または子どもがすでに支給対象外となっている場合に、遺族厚生年金に上乗せして支給される加算金のことです。これは、配偶者の死後、急に収入を失った中高年の女性が、老齢年金を受け取れる年齢になるまでの生活を支える目的で設けられています。 特に子育てが終わった後の女性が対象となりやすく、再就職が難しい年齢層であることから、生活の安定を支援する制度として重要です。なお、65歳になると老齢年金の受給が始まるため、この加算は終了します。中高齢寡婦加算は、遺族年金制度の中でも特定の生活状況に配慮した制度であり、遺族厚生年金の理解を深めるうえでも欠かせない要素です。







