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国民年金と厚生年金の違いはなんですか?

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2025/07/31 08:17


女性

40代

question

老後資金を考え始めたのですが、「国民年金」と「厚生年金」の違いがよく分かりません。それぞれの特徴や受け取れる年金額の違い、自分にとってどちらが有利なのかを教えていただきたいです。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

国民年金と厚生年金は、日本の公的年金制度の基本をなす2本柱ですが、その仕組みや受け取れる年金額には大きな違いがあります。最も基本的な違いは、「誰が加入するか」と「どうやって保険料を支払い、将来いくらもらえるか」という点にあります。

まず、国民年金は、日本に住む20歳から60歳までのすべての人が加入対象です。これは「基礎年金」とも呼ばれ、すべての人に共通する最低限の年金部分です。

一方、厚生年金は会社員や公務員など、給与をもらって働く人が対象となる制度で、国民年金の上に上乗せされる「報酬比例」の年金です。つまり、会社員などは「国民年金+厚生年金」の二階建て構造、自営業者やフリーランスなどは「国民年金のみ」となります。

保険料の仕組みも異なります。国民年金は2025年度時点で月額17,510円と定額で、本人が全額を負担します。一方、厚生年金は給与に応じて保険料が決まり、本人と会社が半分ずつ支払います。例えば月収30万円の会社員なら、約27,000円を自分で、同額を会社が負担します。結果的に、会社員は実質的な自己負担が軽く、将来受け取れる年金額も多くなります。

将来の年金額にも大きな差があります。国民年金は40年間すべて保険料を納めると、2025年度では年額約83万円(月額約6.9万円)を受け取ることができます。対して、厚生年金は現役時代の給与と加入期間に比例して年金額が増えるため、月収や勤続年数が長い人ほど多くの年金を受け取れます。例えば月収30万円で40年加入した場合、国民年金に加えて年間約79万円の厚生年金が上乗せされる可能性があります。

また、年金は老後に受け取るだけでなく、障害年金や遺族年金といった保障機能も持っています。厚生年金に加入している人は、障害・死亡時にも基礎年金に加えて上乗せ分の給付を受けることができます。さらに、専業主婦(第3号被保険者)は自分で保険料を払わなくても、配偶者が厚生年金に加入していれば国民年金に加入しているとみなされる仕組みもあります。

自分の加入状況や将来もらえる年金額を確認するには、「ねんきんネット」という日本年金機構のウェブサービスが便利です。ここではこれまでの納付記録や将来の年金見込額のシミュレーションができます。また、毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」も重要な情報源です。転職や退職などで働き方が変わったときには、国民年金と厚生年金の切り替えを忘れずに行うことが大切です。

資産運用の観点から見ると、年金は「低リスク・長期的に一定のリターンが得られる投資」と捉えることもできます。国民年金はインフレにある程度連動しているため、実質利回りは0〜1%程度と言われていますが、厚生年金は会社負担分もあるため、自己資金に対するリターンはより高くなります。逆に、自営業などで国民年金しか加入できない人は、将来受け取る額が少ないため、早いうちからiDeCoや付加年金(月400円で年4,800円上乗せ)などで上乗せ対策をしておくことが大切です。

働き方が変わると加入する制度も変わるため、副業やフリーランスに転向する人は、制度変更による保障や年金額の変化を事前に把握しておくと安心です。特に年金制度は長期にわたって影響するため、自分の働き方や将来設計に応じた準備が欠かせません。

まとめると、国民年金は全員共通の「土台」、厚生年金は会社員や公務員向けの「上乗せ」という位置づけです。加入制度によって保険料負担や将来の年金額が大きく変わるため、自分の立場に合った制度を理解し、不足分は自助努力で補うのが賢い資産形成の第一歩になります。

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関連する専門用語

国民年金

国民年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入しなければならない、公的な年金制度です。自営業の人や学生、専業主婦(夫)などが主に対象となり、将来の老後の生活を支える「老齢基礎年金」だけでなく、障害を負ったときの「障害基礎年金」や、死亡した際の遺族のための「遺族基礎年金」なども含まれています。毎月一定の保険料を支払うことで、将来必要となる生活の土台を作る仕組みであり、日本の年金制度の基本となる重要な制度です。

厚生年金

厚生年金とは、会社員や公務員などの給与所得者が加入する公的年金制度で、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給される「2階建て構造」の年金制度の一部です。厚生年金に加入している人は、基礎年金に加えて、収入に応じた保険料を支払い、将来はその分に応じた年金額を受け取ることができます。 保険料は労使折半で、勤務先と本人がそれぞれ負担します。原則として70歳未満の従業員が対象で、加入・脱退や保険料の納付、記録管理は日本年金機構が行っています。老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金なども含む包括的な保障があり、給与収入がある人にとっては、生活保障の中心となる制度です。

基礎年金

基礎年金とは、日本の公的年金制度の土台となる年金で、20歳から60歳までのすべての人が加入する国民年金により将来受け取れる年金を指します。会社員や公務員など厚生年金に加入している人も、まずこの基礎年金を共通部分として受け取ったうえで、勤め先を通じて上乗せされる年金を受け取ります。 支給開始年齢は原則65歳で、保険料を納めた期間に応じて受取額が決まり、未納期間が多いと将来の年金額が減る仕組みです。このため、老後の生活資金の基礎をつくる大切な制度として、若いうちから保険料を継続して納めることが重要になります。

報酬比例年金

報酬比例年金とは、厚生年金保険に加入している人が受け取る年金のうち、その人の働いていた期間中の収入に応じて計算される部分のことを指します。具体的には、加入していた年数と収入(標準報酬月額など)に基づいて年金額が決まり、収入が高かった人ほど将来受け取る年金も多くなります。 この仕組みにより、長く働いてたくさん保険料を納めた人が、それに見合った年金を受け取れるようになっています。これは基礎年金(国民年金)とは異なり、サラリーマンや公務員などの厚生年金加入者が対象です。投資とは直接関係しませんが、老後の生活設計において重要な収入源となるため、資産運用を考える際にも理解しておくことが大切です。

ねんきんネット

ねんきんネットとは、日本年金機構が提供しているオンラインサービスで、自分の年金に関する情報をインターネット上で確認できる仕組みです。年金の加入履歴や将来の年金受取見込み額、保険料の納付状況などを、自宅のパソコンやスマートフォンからいつでも確認できます。 ログインには基礎年金番号やマイナンバーが必要で、安全性にも配慮されています。紙の通知だけではわかりにくかった年金情報を自分で管理できるようになるため、資産運用や老後の生活設計を考えるうえで非常に便利なツールです。

第3号被保険者

第3号被保険者とは、日本の公的年金制度において、20歳以上60歳未満で会社員や公務員の配偶者(主に専業主婦・主夫など)として扶養されている人を指します。具体的には、第2号被保険者(厚生年金に加入している人)に扶養されている配偶者で、自分自身は収入が一定額以下で厚生年金などに加入していない人が対象です。 この制度の特徴は、自ら保険料を納めなくても、国民年金(基礎年金)の加入者として扱われ、将来的に年金を受け取る権利がある点です。制度的には、配偶者の厚生年金保険料に含まれる形で保険料が負担されている仕組みです。結婚や就労状況の変化によって資格を失うこともあるため、制度内容の正しい理解が重要です。年金やライフプランを考えるうえで、特に家庭内の役割分担や働き方に関連して注目される制度です。

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