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米国の年金基金もビットコインETFに参入!SBR構想がもたらす市場変化と日本投資家への示唆

米国の年金基金もビットコインETFに参入!SBR構想がもたらす市場変化と日本投資家への示唆

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公開:

2025.05.02

更新:

2025.05.02

ビットコイン現物ETFが登場し、保守的だった米公的年金も参入し始めています。ミシガン州・ウィスコンシン州の州年金がETFへ投資したと報じられ、「年金がビットコイン?」という驚きが現実になりました。さらに2025年3月、トランプ大統領は国家備蓄用の「戦略的ビットコイン準備資産(SBR)」創設を大統領令で指示。機関投資家の行動変化は市場の需給と制度に前例のない影響を及ぼしています。本稿では最新動向と日本人投資家への示唆を考察します。

サクッとわかる!簡単要約

読み終える頃には、州年金基金がなぜ今ビットコインETFを採用できたのか、その意思決定プロセスと規制面のハードルが手に取るように分かります。さらに、SBRが市場流動性をどう変え得るかを数量ベースでイメージでき、自分のポートフォリオに占める暗号資産比率を合理的に再設計する指針が得られます。加えて、日本居住者が海外ETFを活用する際の税制メリットと実務上の注意点を把握できるため、ニュースが流れた瞬間に「いつ・どのETFを・どの口座で」買うべきかを即座に判断できる状態になります。

目次

1. 米国州年金基金のビットコインETF保有状況【2025年最新版】

ウィスコンシン州投資委員会:保有額・比率の現状

ミシガン州退職年金制度:保有ETFと運用方針

他州年金基金への波及シナリオ

2. 戦略的ビットコイン備蓄(SBR)の衝撃と需給インパクト

SBRとは?米大統領令が生んだ国家備蓄構想

想定買入規模と価格シナリオ – 需給バランスへの影響

3. 日本の個人投資家が取るべき3つの戦略

1. リスク許容度とポートフォリオ再点検

2. ビットコインETFの選び方と税制メリット

3. 制度アップデートを先取りする情報収集術

4. 日米市場・制度の比較で見える投資環境の差

日本でビットコインETFが未承認の理由

税制・運用規制の相違点

海外ETF・関連株式で先行者利益を狙う方法

1. 米国州年金基金のビットコインETF保有状況【2025年最新版】

ウィスコンシン州投資委員会:保有額・比率の現状

伝統的に、公的年金基金は極めて保守的な運用方針をとります。しかし米国では2024年末時点で、運用資産残高トップクラスの州年金基金130機関のうち2機関(ミシガン州退職年金制度とウィスコンシン州投資委員会)がビットコイン現物ETFを保有していたことが明らかになりました。

たった2つとはいえ、「年金基金がビットコインを保有する」という事実は画期的です。なぜなら年金基金は数兆円規模の巨額資産を「安全第一」で運用してきたからです。そのような組織が価格変動の大きいビットコインに投資するのは、投資業界では一種のパラダイムシフトと言えるでしょう。

実際ウィスコンシン州投資委員会は、ブラックロック社のビットコインETF(iシェアーズ・ビットコイン・トラスト)を2024年に州基金として初めて購入し、その後も保有量を倍増させています。運用資産全体に占める割合は依然ごくわずかですが、「ゼロではなくなった」という事実自体に大きな意味があります。

かつて敬遠されていた暗号資産への投資が、厳格なガバナンスの下で運用する年金基金でさえ実行に移されたことは、ビットコインがより一般的な資産クラスとして認知されつつある兆候と言えるでしょう。もちろん現時点ではビットコインETFが年金資産全体に占める比率は数%にも満たない小さなものです。しかし超長期目線で運用する年金マネーが一部とはいえビットコイン市場に流入し始めたインパクトは無視できません。

ミシガン州退職年金制度:保有ETFと運用方針

では、なぜ今になって年金基金がビットコインに投資できたのでしょうか。背景にはビットコイン「現物ETF」の登場があります。ビットコインETFとは、ビットコインの価格に連動する上場投資信託のことで、投資家はETFを買うだけでビットコインそのものを保有したのと同じ効果を得られます 。

現物ETFであれば年金基金は直接ビットコインを買わずとも価格連動の恩恵を享受できますし、カストディ(保管管理)やハッキングリスクといった技術的課題もETF提供者に任せられるため、安全性・透明性の面でハードルが下がります。こうした安心感を背景に、ミシガン州退職年金制度もARK社のビットコインETFを約11万口(単位)購入したと報告されています 。

わずかな割合とはいえミシガンの年金基金(運用資産約3兆円)のポートフォリオにビットコインETFが組み入れられたことは、「ついに年金基金も暗号資産に投資した」という象徴的な出来事です。ETFという“器”が用意されたことで、極めて慎重な機関投資家であっても運用委員会の承認を得やすくなった実情がうかがえます。

実際「ETFならまあ許容範囲だろう」という判断が下されたこと自体、ビットコイン市場にとって追い風と言えるでしょう。なお、ビットコインETFそのものの仕組みやメリットについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になります。

他州年金基金への波及シナリオ

ウィスコンシンやミシガンの一歩は、今後他の州年金基金にも少しずつ影響を与える可能性があります。現在は大多数の年金基金が様子見を決め込んでいますが、一度先駆者が現れると「うちも全く持たないで良いのか?」という心理が働き、フォロワー効果で追随する動きが出るかもしれません。

実際、大和総研のレポートも指摘するように、ビットコインが今後戦略資産として位置づけられていけば州年金基金全体でビットコインETFを組み入れる動きが広がる可能性があります。特に後述する「戦略的ビットコイン準備資産(SBR)」が国家レベルで制度化されれば、その流れは一層加速するでしょう。

もっとも、依然としてビットコインのボラティリティ(価格変動の大きさ)や規制の不透明さに懸念を持つ機関も多く、急激に保有が拡大するわけではありません。しかし「全くのゼロではなくなった」という状況変化が起きた以上、今後の年金マネーの動向から目が離せない局面に入ったと言えます。慎重だった資金が一歩踏み出したことで、ビットコインが機関投資家にも受け入れられつつある転換点を迎えているのです。

2. 戦略的ビットコイン備蓄(SBR)の衝撃と需給インパクト

SBRとは?米大統領令が生んだ国家備蓄構想

2025年3月、トランプ米大統領はビットコインの国家備蓄とも言うべき「戦略的ビットコイン準備資産(SBR)」の創設を指示する大統領令に署名しました。これは米国政府がビットコインを国家戦略物資として公式に保有・管理することを目指すものです。まるで石油の国家備蓄(Strategic Petroleum Reserve)のビットコイン版と言えば分かりやすいでしょう。

背景には、地政学リスクや金融市場の混乱に備える狙いがあります。従来、各国政府は有事の安全資産として金(ゴールド)を外貨準備に組み入れてきました。同様にビットコインも政府が公式に備蓄することで、インフレ対策やドル以外の価値保存手段として活用しようという発想です。

実際、今回の大統領令ではビットコインのSBR創設に加え、ビットコイン以外の没収済みデジタル資産をプールする「米国デジタル資産備蓄」の設立にも言及されています。暗号資産全般を国家レベルで一括管理する新たな枠組みが動き出したと言えるでしょう。

想定買入規模と価格シナリオ – 需給バランスへの影響

国家がビットコインを備蓄し始めると、市場の需給バランスに無視できない影響が出ます。まず政府による大口需要の出現です。国家戦略として備蓄を行う以上、相当量のビットコインを継続的に買い入れる可能性があります。

単純な経済原則で言えば、需要が増えて供給が限られれば価格には上昇圧力がかかります。実際にSBR計画が本格稼働すれば、市場から数万~数十万BTC規模のビットコインがロックアップ(長期保管され市場から退く)されるシナリオも考えられます。ビットコインは発行上限が決まっている希少資産ですから、国ぐるみの買い占めはその希少性をさらに高め、長期的な価格押し上げ要因となり得るでしょう。

一方で注意すべきリスクもあります。政策変更による売却リスクです。戦略備蓄は有事の際に放出して市場安定に使われる可能性があります。つまり政府が「非常時なので備蓄BTCを売却する」と判断すれば、一時的に市場へ大量の供給が出て価格下落要因になり得ます。また政権交代などで方針が変わり「やっぱりSBRは廃止」となれば、備蓄されていたBTCが市場に戻ってくる可能性もゼロではありません。

こうした政治要因による価格変動リスクが新たに生じる点には留意が必要です。したがってSBR構想は、需給面では「国家による買い支え」という強気材料である一方、「政府の思惑でいつでも売却されうる」という不安定要素も孕む両刃の剣と言えます。投資家としてはこの両面を理解し、SBR関連のニュースには敏感になっておく必要があるでしょう。

3. 日本の個人投資家が取るべき3つの戦略

米国の制度投資家たちの動きは、私たち個人投資家にも多くの示唆を与えてくれます。ここからは、この潮流を踏まえて日本の個人が具体的に取るべきアクションを3つのポイントに絞って考えてみましょう。

1. リスク許容度とポートフォリオ再点検

ビットコインが国家や年金基金にまで保有されるかもしれない資産になったからといって、闇雲に飛び乗るのは禁物です。まず大切なのは自分自身のリスク許容度を見極め、ポートフォリオ配分を適切に再点検することです。

年齢や資産状況に応じてリスク資産に割り振る比率は人それぞれ異なります。ビットコインは以前にも増して信頼性が高まりつつあるとはいえ、依然ボラティリティの大きな資産です。一時的に50%近く値下がりするといった局面も十分起こり得ます。「最悪ゼロになっても生活に支障が出ない範囲」でポートフォリオに組み入れるのが鉄則と言えるでしょう。具体的には、総資産の数%程度の小さな割合から始め、価格上昇でビットコイン比率が膨らみ過ぎたら定期的にリバランス(比率調整)する、といったルールを設けておくと安心です。

またビットコイン投資については長期目線で構えることも重要です。国家備蓄や年金基金の参入といった大きな流れは、ビットコインを短期の投機対象から長期保有に値する資産へと変貌させつつあります。短期的な値動きに一喜一憂して狼狽売りするのではなく、「5年後10年後に振り返って価値が増えていれば良い」くらいのゆったりしたスタンスが、結果的に良好なリターンに繋がりやすくなるでしょう。

こうした長期分散の発想や、そもそものリスク許容度の考え方について不安がある方はこちらの記事もご参照ください。

2. ビットコインETFの選び方と税制メリット

個人がビットコインに投資する方法としては、現物そのものを購入する以外にETFを活用する選択肢が整いつつあります。ETFであれば、前述の年金基金と同様に保管管理の手間やハッキングリスクを大きく低減できますし、証券会社の口座で株式と同じように売買できる手軽さも魅力です。

特に日本の投資家にとって見逃せないのは税制上のメリットかもしれません。現在、日本ではビットコインなど暗号資産の売買益は「雑所得」として総合課税の対象となり、利益額によっては最大55%もの税率が課され得ます。一方、ETFを通じて得た利益であれば通常の金融商品とみなされ分離課税(約20%)が適用されます 。

同じビットコイン値上がり益でも直接保有する場合とETF経由で得る場合とでは、手取り収益に大きな差が生じる可能性があるのです。

暗号資産ETFの詳しい税制についてはこちらの「投資の知恵袋」をご覧ください。

では具体的にどのビットコインETFを選べば良いのでしょうか。まず信頼性の高い運用会社の商品を選ぶことが第一です。現在米国市場で承認・上場している代表的な現物ビットコインETFには、ブラックロックやARK、フィデリティなど大手運用会社が運用するものがあります。

それぞれ経費率(信託報酬)に差があり、長期で保有するほどコスト差が効いてきます。できるだけ低コストで、かつ純資産残高や出来高が十分にある流動性の高いETFを選ぶと良いでしょう。選定時のチェックポイントとしては、以下のような項目が挙げられます。

  1. 運用会社の信頼性(知名度や実績のある企業か)
  2. 経費率の低さ(長期保有する場合は特に重要)
  3. 流動性(売買高や純資産規模)(スプレッドが小さく売買しやすいか)
  4. 現物保管の安全性(カストディ先の信用力)

初心者の方はまず上述のようなポイントを押さえて銘柄を比較してみると良いでしょう。

そもそもETFという金融商品の基本や、投資信託との違い・メリットについてはこちらの記事もご参照ください。

なお、日本国内ではまだビットコイン現物ETFを直接買うことはできません。しかし海外の証券会社に口座を開設すれば、米国市場に上場しているこれらのETFを購入すること自体は可能です。

その際は為替リスクや海外税制にも注意しつつ、「ETFで間接保有して税率20%に抑える」というメリットを享受する戦略も検討に値するでしょう。たとえば米国株取引が可能な証券口座を用意しておけば、ブラックロックやARKのビットコインETFを日本からでも買い付けることができます。

もちろん国外資産を保有する場合には国外財産調書の提出など税務上の手続きも発生し得ますので、その点は専門家に確認しながら進めてください

いずれにせよ、ビットコイン投資にETFという新しい選択肢が加わったことで、個人でも「間接的にビットコインを保有する」道が開けつつあります。この選択肢を上手に活用することで、リスク管理や税金面で有利に立ち回ることができるでしょう。

3. 制度アップデートを先取りする情報収集術

最後のポイントは、今回のテーマの根幹でもある制度面の変化に常にアンテナを張っておくことです。ビットコインに限らず投資の世界では、「法制度の改正」や「政策の変更」が相場を大きく動かす要因になるからです。

例えば先述のSBR創設が正式決定すればビットコイン市場には強い追い風となるでしょうし、逆に米国政権の交代などで暗号資産に逆風となる政策が打ち出されれば、大口の売り材料になりかねません。米国だけでなく日本においても、将来的にビットコインETF承認に関する議論や暗号資産の税制優遇策などが浮上してくる可能性があります。

こうしたニュースが出た際にすぐ行動に移せるよう、日頃から情報収集を怠らないことが重要です。個人投資家として今すぐできるのは、信頼できる金融メディアや専門家の発信をフォローし、新しい制度に関するニュースが出たら「自分の資産運用にどう影響しそうか?」を考えてみる習慣をつけることです。場合によっては先回りの投資行動も有効でしょう。

たとえば「日本でビットコインETF解禁の兆し」が見えたら、それを見越して関連銘柄に先に投資しておくというアイデアです。具体的には、暗号資産取引所を運営する企業の株式やマイニング(採掘)事業を手掛ける企業の株式、あるいは海外市場の暗号資産ETFなどが考えられます 。

実際、海外ではビットコインETF上場のニュースを受けてマイニング企業の株価が上昇するといった動きも見られました。制度の変化はチャンスとリスクの両面を孕みますが、早めにキャッチしておけば対策を講じる選択肢が増え、リスク管理の面でも余裕を持てます。常に最新動向に目を光らせ、「変化を味方につける」姿勢で臨みたいものです。

4. 日米市場・制度の比較で見える投資環境の差

日本でビットコインETFが未承認の理由

米国で盛り上がりを見せるビットコインETFですが、日本国内では1本も承認されていないのが現状です。ご存じの通り日本では暗号資産(仮想通貨)は法律上まだ「金融商品」として正式に認められておらず、したがってビットコインETFも導入されていません。

背景には金融庁による投資家保護や市場安定性への慎重な姿勢があります。日本はこれまで暗号資産交換業者の登録制度や世界有数の厳格な規制枠組みを整備してきましたが、ETFのように一般の証券市場に暗号資産を乗せることについては極めて慎重です。その結果、日本の投資家がビットコインに投資したければ現物を直接購入するか、海外ETFを利用するしかないという状況になっています。

しかし裏を返せば、今後日本でビットコインETFが承認される可能性もゼロではありません。米国で複数のETFが問題なく運用され実績が蓄積されれば、日本の規制当局も重い腰を上げるかもしれません。また日本国内でも投資家保護策(例えば信託銀行によるカストディ管理や十分な情報開示ルールなど)をしっかり設計すれば、安全に暗号資産ETFを提供できるのではないか―そんな議論が専門家から出始めています。

「海外ではOKなのに日本ではずっとNG」という状態がいつまでも続くとは考えにくいため、中長期的には国内上場の暗号資産ETF誕生も視野に入れておきたいところです。実際、金融庁も2023年頃からビットコインETFの是非について非公式に情報収集を進めているとの報道もあり、いずれ環境が整えば解禁に踏み切る可能性はあります。

税制・運用規制の相違点

日米の投資環境を比較すると、税制面と機関投資家の運用規制に大きな違いがあることが分かります。まず税制については前述のとおり、日本は暗号資産の個人課税が厳しく、米国は比較的緩やかな傾向があります。

日本の個人投資家がビットコイン現物を売買して利益を出すと累進課税で最大55%もの税率がかかるのに対し、米国では1年以上の長期保有をすればキャピタルゲイン課税が優遇され20%以下になるケースもあります(もっとも米国でも暗号資産の税務ルールは複雑で改正議論が続いていますが)。この税制の差は投資マインドにも影響を与えます。例えば米国の富裕層はビットコインを「デジタルゴールド」として長期保有しつつ相続対策に組み込む動きも出ていますが、日本では税負担の重さから「短期売買で利益を出したらすぐ利確してしまう」という行動が多くなりがちです。制度が違えば投資行動も変わる一例と言えるでしょう。

また、機関投資家(年金基金など)の暗号資産に対する姿勢にも日米で差があります。米国では上述のように一部州年金がビットコインETFに手を伸ばしましたが、日本の年金基金(例えばGPIF = 年金積立金管理運用独立行政法人)などは現時点で暗号資産には一切投資していません。

これは運用ルールやガイドラインの違いによるものです。日本の年金基金は国内法上、運用可能な資産カテゴリがかなり限定されており、仮にビットコインETFが国内上場しても即座に組み入れられるかは未知数です。

しかし日本の機関投資家も暗号資産そのものではなくとも、ブロックチェーン技術や中央銀行デジタル通貨(CBDC)には高い関心を示しています。例えばメガバンクがブロックチェーン関連企業へ出資したり、証券会社がデジタル証券の実証実験を行ったりといった動きがあります。こうして間接的にでも暗号資産エコシステムへ関与が深まれば、将来的にビットコインなどへの資産配分を検討する下地が整う可能性もあるでしょう。

海外ETF・関連株式で先行者利益を狙う方法

以上のような日米比較から浮かび上がるのは、「自国の制度に縛られすぎず、グローバルな視点で投資機会を捉えること」の大切さです。日本国内でビットコインETFが買えなくとも、視野を海外に広げれば既に先行している投資商品やチャンスが存在します。

たとえば米国市場ではビットコインETFが上場され機関投資家の資金が流入していますし、その影響で関連する銘柄も活況を呈しています。日本に居ながらそうした情報にアクセスし、必要に応じて海外のETFや関連株式に投資することも検討すべきでしょう。

情報格差を埋める努力も重要です。英語ソースにはなりますが、米国SECの提出書類や現地金融メディアの記事に目を通せば、どのETFにどれくらい資金が流入しているかなど生の情報を得ることができます。こうしたデータをチェックすれば「世界全体で今どのくらいビットコインが保有されているのか」「機関投資家の動きはどう変化しているのか」といった感覚を養うことができ、ひいては自分の投資判断の精度向上につながるでしょう。

さらに日本の投資家ならではの視点として、他の投資選択肢との比較検討も挙げられます。ビットコインそのものやビットコインETFだけでなく、ブロックチェーン関連の株式や暗号資産関連の投資信託など、間接的にビットコインの成長性に乗る手段も既に存在します 。

たとえば海外の暗号資産取引所を運営する上場企業や、マイニング機器メーカーの株式に投資すれば、ビットコイン価格の上昇メリットを間接的に享受できます。国内投資環境だけに目を向けていると「暗号資産は自分には関係ない」となりがちですが、世界に目を転じれば様々な角度からこの新たな市場に参加する道が開けています。

ビットコインETFが日本で解禁される日を夢見つつ、それまでは関連分野への投資で先行者利益を狙う – そんな柔軟な発想もこれからの個人投資家には求められるでしょう。制度の違いを嘆くだけでなく、自ら情報収集し行動することで、環境の差をチャンスに変えることができるのです。

この記事のまとめ

暗号資産特有の高ボラティリティやクロスボーダー税務は個人での判断が難しく、誤った一手が大きな損失に直結します。年金基金の参入やSBR構想が示す長期トレンドをポジティブに捉えつつも、全体資産のリスク管理や法人・個人双方の節税設計を同時に行うには専門家の伴走が不可欠です。ビットコインETFをテスト導入する前に、資産運用のプロに「暗号資産を組み込んだ最適配分」「海外ETFの税務と申告」「自社株偏重是正とのバランス」を相談し、オーダーメイドの戦略を固めてから実行に移しましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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ビットコインETF

ビットコインETFとは、ビットコインの価格に連動するように設計された上場投資信託(ETF)のことを指します。通常、ビットコインに投資するには仮想通貨取引所の口座やデジタルウォレットが必要ですが、ETFを通じてであれば、株式と同じように証券会社の口座から簡便に売買できるため、仮想通貨の知識や管理リスクを抑えながら間接的に投資することが可能です。 ビットコインETFには、実際のビットコインを保有する「現物型」と、ビットコイン先物に連動する「先物型」の2種類があり、それぞれ価格連動の仕組みやリスク特性が異なります。ETFとして上場されていることで、価格の透明性や流動性が高まり、伝統的な金融商品と同様の感覚で取引できる点が特長です。 なお、2025年時点では、ビットコインETFは米国など一部の海外市場でのみ上場されており、日本国内の証券取引所ではまだ取り扱われていません。 投資を希望する場合は、海外ETFに対応した証券会社を通じて購入する必要があります。

現物型ETF

現物型ETF(Exchange Traded Fund)は、実際の株式や債券などの「現物資産」を保有するタイプのETFです。ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことで、株式のように売買できます。 例えば、日経平均株価に連動する現物型ETFの場合、運用会社は日経平均を構成する実際の銘柄を購入し、その価値に基づいてETFの価格が決まります。これにより、投資家はETFを1口買うだけで、多くの銘柄に分散投資できるメリットがあります。 また、先物を活用して運用するETFもありますが、現物型ETFは実際の資産を持つため、価格の透明性が高く、運用の仕組みがわかりやすいのが特徴です。初心者には、実際の株や債券を保有する現物型ETFが安心できる選択肢となるでしょう。

カストディ

カストディとは、投資家が保有する株式や債券などの有価証券を、第三者機関が安全に保管・管理するサービスを指します。 単に資産を保管するだけでなく、配当金や利息の受領、株式の権利処理(議決権の行使、株式分割など)、償還時の資金受け取りなど、各種の事務手続きを投資家に代わって行います。 適切なカストディアン(カストディ業者)を選定することは、資産管理の透明性・安全性を確保する上で重要な要素の一つとされています。

戦略的ビットコイン準備資産(SBR)

戦略的ビットコイン準備資産(SBR)とは、企業や政府などの組織が将来の価値の保存や金融戦略の一環として、ビットコインを保有することを目的に蓄える資産のことです。SBRは英語で「Strategic Bitcoin Reserve」の略で、日本語では「戦略的ビットコイン準備資産」と訳されます。 これは、従来の外貨準備や金のような安全資産に代わるものとして位置づけられ、特にインフレ対策や通貨リスクのヘッジ手段として活用されます。ビットコインが限られた供給量しかないことから、その希少性を重視し、長期的な価値の保持手段として評価する動きが広がっています。こうしたSBRの考え方は、マイクロストラテジー社などの企業が先駆けとなり、経営戦略の一部としてビットコインを積極的に保有する事例が増えつつあります。

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

ロックアップ

ロックアップとは、IPO(新規株式公開)時に創業者やベンチャーキャピタルなどの大株主が保有株を一定期間売却できないよう制限する取り決めです。一般に90日や180日が多いものの、業績予想の不確実性や持株比率に応じて最長1年程度に設定されることもあります。目的は、上場直後の大量売却による需給バランスの崩れと株価急落を防ぎ、投資家が安心して参加できる環境を整えることにあります。 ロックアップ期間中でも、主幹事証券会社の許諾(ワードによっては「ロックアップ解除」や「早期解除」と表記)により一部売却が認められる例があり、上場後の株価が大幅に上昇した場合や追加資金調達が必要になった場合に適用されるケースが代表的です。投資家としては、有価証券報告書や目論見書に記載されている「対象株主」「期間」「解除条件」を確認し、ロックアップ満了日前後の売却圧力や出来高急増の可能性を織り込んでおくことが重要です。

リスク許容度

リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。

ポートフォリオ

ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。

リバランス

リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。

分離課税

分離課税(ぶんりかぜい)とは、特定の所得について他の所得と合算せず、その所得単独で税額を計算し、課税する方式です。分離課税には「源泉分離課税」と「申告分離課税」の2種類があります。

総合課税

総合課税は、給与や年金、事業収入、不動産収入、利子、配当など、1年間に得たさまざまな所得を合算し、その合計額に累進税率を適用して所得税を計算する方式です。 所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得者ほど税負担が大きくなる点が特徴です。一方、金融所得には総合課税以外の課税方法を選択できる場合があります。 たとえば、株式譲渡益や先物取引益などは「申告分離課税」を選ぶことで、ほかの所得と区分して一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で申告できます。 また、預貯金利息や一部の公社債利子などは、支払元が税金を源泉徴収する「源泉分離課税」となり、原則として確定申告は不要です。配当や利子のように課税方式を選択できるケースでは、ご自身の所得水準や控除の有無、損益通算の可能性を踏まえ、総合課税・申告分離課税・源泉分離課税のどれを採用するかを検討することが、最終的な税負担を抑えるうえで重要になります。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

流動性

流動性とは、資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。

暗号資産(仮想通貨/暗号通貨)

暗号資産とは、インターネット上でやり取りされるデジタルな財産のことで、代表的な例にビットコインやイーサリアムがあります。これらはブロックチェーンという分散型台帳技術を基盤とし、国家や中央銀行といった特定の管理主体を持たずに取引されるのが特徴です。 日本では「暗号資産」という名称が資金決済法上の正式な用語として定義されており、これに該当するトークンは法的に一定の規制下に置かれています。たとえば、暗号資産交換業者には登録制が課され、ユーザー保護やマネーロンダリング防止の観点からの監督も強化されています。 資産としての取り扱いについては、税務上は原則「雑所得」として扱われ、短期売買による利益も総合課税の対象となります。また、会計上は現金や有価証券ではなく、「その他の資産」として分類されるのが一般的です。 現在では、決済手段や資金移動のほか、価格変動を狙った投資対象としての側面が大きく、資産運用の一選択肢として注目を集めています。しかしその一方で、価格の急激な変動、ハッキング、保管の難しさといったリスクも内在しており、法律・税務・セキュリティの観点から十分な知識と準備が求められます。

機関投資家

機関投資家とは、株式や債券などを大口で運用する法人のこと。金融機関・保険会社・年金基金・共済組合・農協などが該当。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。

年金基金

年金基金とは、将来の年金支払いに備えて資金を積み立て、その資金を長期的に運用することで、年金受給者に安定した給付を行うことを目的とした機関や仕組みのことです。 企業が従業員の退職後の生活を支えるために設ける「企業年金基金」や、国や地方自治体が管理する「公的年金基金」などがあり、いずれも大量の資金を扱う長期投資家として、国内外の株式や債券、不動産、さらにはインフラやオルタナティブ資産など多様な資産に分散投資を行っています。 年金基金は長期的な視点で安定的なリターンを追求するため、リスクを抑えつつ資産の成長を目指す運用が求められます。個人投資家が資産運用を考える際にも、年金基金の運用姿勢は参考になるケースが多くあります。

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