企業型DCで運用している資産は退職後にどのように管理すべきですか?
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2024/07/31 18:11
男性
50代
会社勤めをしており、企業型DCをつみたてていました。この度早期退職をすることになりましたが、まだ企業型DCの受取年齢ではないため今後も運用をしようと考えています。企業型DCで運用している資産は退職後にどのように管理すべきですか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
企業型DCの資産管理は「退職時の年齢」と「移換手続きを期限内に完了できるか」で大きく分かれます。60歳未満で退職する場合、転職先にDC制度があるなら退職後6か月以内にその口座へ資産を移換し掛金拠出を継続するのが基本です。再就職しない、あるいは転職先にDCがない場合は同じ期限内にiDeCoへ移換してください。放置すると国民年金基金連合会に自動移管され、運用が停止したまま口座管理手数料だけが差し引かれるため早急な手続きが不可欠です。
一方で60歳以降に退職した場合は企業型DCの「運用指図者」となり、追加拠出はできませんが商品スイッチングや老齢給付金の受取時期・受取形態(一時金・年金・併用)の選択が可能です。退職所得控除と公的年金等控除のどちらを適用するか、受給時期を調整して控除枠を最大限に生かすかなど、税制上の有利不利を比較しつつ資産寿命を延ばす取り崩し戦略を設計しましょう。
いずれのケースでも、①将来の資金需要、②各控除の適用タイミング、③移換先の運用コストと商品ラインナップ、④社会保険や相続への影響を総合的に把握し、自身のライフプランに合った最適ルートを選ぶことが重要です。退職後6か月以内の「適切な移換」と「受給設計」を早めに固めることが、企業型DCを最大限に生かす近道となります。
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