すべての生命保険で、一時払いと平準払いが選択できますか?
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2025/07/16 08:54
男性
60代
終身保険や学資保険では一時払いも選べると聞きますが、定期保険や医療保険では月払いや年払いが一般的だそうです。資産形成向きの保険と保障重視の保険で支払方法が分かれる理由を踏まえ、具体的にどの保険種類で一時払いと平準払いを選べるのか教えてもらえますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
一時払いと平準払いの両方を選べるのは、貯蓄性を備えた保険です。代表例は終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険、外貨建て保険、変額保険で、いずれも将来の資産形成や相続対策を目的とするため、大きな資金を一括で投入する設計が用意されています。
一方、定期保険や医療保険は保障機能に特化した掛け捨て型であるため、保険料を分散して支払う平準払いが基本となり、一時払い対応商品は限定的です。これは、死亡や入院のリスクに備える費用を毎年の生活費から拠出しやすくする設計思想によるものです。
したがって、一時払いを選択できるかどうかは「貯蓄性」と「資産移転効果」があるかが目安となります。加入に際しては、各保険会社の商品パンフレットで支払方法の選択肢を確認し、流動性ニーズや税制メリットを総合的に比較して判断してください。
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終身保険
終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。
養老保険
養老保険とは、「保障」と「貯蓄」の両方の機能を備えた生命保険です。契約期間中に万が一亡くなった場合には「死亡保険金」が支払われ、無事に満期を迎えた場合には「満期保険金」として同じ金額が受け取れるのが大きな特徴です。 そのため、老後資金の準備やお子さまの教育資金づくりなど、将来に備えながら万が一にも備えられる保険として活用されています。貯金感覚で利用できる点から、計画的に資金を準備したい方に適しています。 ただし、保障と貯蓄の両方を兼ね備えているため、保険料は定期保険よりも高めに設定されている点には注意が必要です。しっかりと目的と費用のバランスを考えて加入することが大切です。
学資保険
学資保険とは、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品で、一定期間保険料を支払うことで、子どもの進学時期(中学・高校・大学入学など)に合わせて祝い金や満期保険金が受け取れる仕組みになっています。保険であるため、契約者(通常は親)に万が一のことがあった場合でも、以後の保険料の支払いが免除され、満期時には予定どおりの給付金が支払われる点が大きな特徴です。 貯蓄機能と保障機能が組み合わさっており、「教育費を積み立てながら万一に備えたい」と考える家庭に人気があります。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるため、長期的な資金計画としての活用が前提となります。初心者の方にとっては、預貯金とは違う形で将来の教育資金を準備できる手段のひとつとして、選択肢に入れて検討する価値があります。
個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。
定期保険
定期保険とは、あらかじめ決められた一定の期間だけ保障が受けられる生命保険のことです。たとえば10年や20年といった契約期間のあいだに万が一のことがあれば、保険金が支払われますが、その期間を過ぎると保障はなくなります。保障期間が限定されているため、保険料は比較的安く設定されています。特に子育て世代や住宅ローンを抱えている方など、特定の期間だけ万が一の保障を重視したい場合に適しています。貯蓄性はなく、純粋に「保障のための保険」である点が特徴です。
変額保険
変額保険とは、死亡保障を持ちながら、保険料の一部を投資に回すことで、将来受け取る保険金や解約返戻金の金額が運用成績によって変動する保険商品です。 保険会社が提供する複数の投資先から自分で選んで運用することができるため、運用がうまくいけば受け取る金額が増える可能性があります。 ただし、運用がうまくいかなかった場合は、受け取る金額が減ることもあります。保障と資産運用の両方を兼ね備えた商品ですが、元本保証がない点には注意が必要です。投資初心者の方には、仕組みを十分に理解したうえで加入することが大切です。