物価連動国債はNISAやiDeCoで購入できる?
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2025/02/01 11:50
男性
40代
私はNISAやiDeCoを活用して老後資金を準備しようと考えています。物価連動債はインフレ対策になると聞きましたが、NISAやiDeCoで購入することは可能でしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
2025年5月現在、NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)とiDeCoでは、日本国物価連動債や米国TIPSを「個別債券」として直接買い付けることはできません。両制度が扱う個別商品は株式・公募投資信託(ETFを含む一部上場投資信託)などに限定され、個別債券は対象外だからです。
ただし、物価連動債を組み入れた公募投資信託であれば両制度で購入できます。たとえば「東京海上セレクション・物価連動国債」のように日本のインフレ連動国債へ投資するファンドや、米国TIPSインデックスに連動し為替ヘッジを施したインデックスファンドなどが各金融機関の商品一覧に並んでいます。証券会社の検索欄で「インフレ連動」「物価連動」と入力すると該当ファンドを探しやすいでしょう。
一方、ETFについては東京証券取引所に物価連動債ETFが上場しておらず、米国市場の「TIP」など海外ETFも現行NISA・iDeCoの買付対象外です。ETFでインフレ連動債に投資したい場合は課税口座を利用する必要があります。
インフレ対策を強化したい場合、物価連動債系ファンドに加え、生活必需品・エネルギー関連株、不動産、金(ゴールド)などインフレ耐性の高い資産へ分散投資する方法も有効です。老後資金という長期目的に合わせ、年齢・リスク許容度・期待リターンに応じて配分比率を調整してください。
制度改正や商品ラインナップは随時更新されます。実際に選定・購入する際は最新の取扱銘柄リストや金融機関のウェブサイトを確認し、必要に応じて専門家にご相談いただくことをおすすめします。
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物価連動国債
物価連動国債は、元本を全国消費者物価指数(コアCPI)に連動させ、実質固定利率を調整後元本に掛けて利息を計算する国債です。たとえば表面利率0.2%の10年債なら、物価が2%上昇して元本が102円に増えれば利息も0.204円に増えます。逆にデフレが進んでも元本は額面100円を下回らないフロアが設けられており、元本毀損は限定的です。ただしCPIは公表にタイムラグがあり、発行から利払いまで概ね3か月遅れて反映されるため、急激なインフレ局面では追随がやや遅れます。 税制上は名目利息に加え、元本調整で増えた分も利子所得として課税されるため、実質利回りより手取り利回りが低くなる傾向があります。また日本の物価連動国債市場は発行量が少なく流動性が限られるため、価格が振れやすい点にも注意が必要です。 投資判断では、同じ年限の名目国債利回りとの差で算出するブレークイーブン・インフレ率を確認し、市場が織り込むインフレ期待と照らして割高・割安を見極めます。インフレヘッジの有力手段である一方、指数ラグや流動性、税務コストも踏まえ、ポートフォリオ全体の資産配分を検討することが大切です。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
インフレ(インフレーション)
インフレーションとは、物価全体が持続的に上昇し、その結果、通貨の購買力が低下する現象です。経済活動が活発になり、需要が供給を上回ると価格が上昇しやすくなります。また、生産に必要な原材料費や人件費の上昇が企業のコストに転嫁されることで、さらに物価が上昇することがあります。適度なインフレーションは経済成長の一側面とされる一方、過度な物価上昇は家計の負担を増大させ、経済全体の安定性を損なうリスクがあるため、中央銀行は金利操作などの金融政策を通じてインフレーションの抑制に努めています。