JOLCOの損金算入額に上限はありますか?
回答受付中
0
2025/07/03 10:53
男性
40代
会社の節税対策でJOLCOへの投資を考えていますが、出資した以上の損失が出た場合、全額をすぐ損金計上できるのか疑問です。もし上限があるなら、どの程度制限されるのか具体的に教えてもらえますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
JOLCOにおいて匿名組合で発生した損失には、損金として算入できる上限が設定されています。これは2005年度(平成17年)の税制改正により、匿名組合から生じる損失を法人税法上損金として算入できる範囲が、投資家の「出資額」までと決められたためです。
例えば、リース資産の減価償却費により初年度に大きな匿名組合損失が発生しても、その損失が投資家の出資額を超えてしまった場合、その超過分は当年度の損金として計上できません。超過分の損失は翌年度以降に同じ匿名組合で利益が発生した際に繰越控除という形で相殺されます。
実務では、この規制を考慮し、初年度の損失が出資額以内に収まるようJOLCO案件を設計します。投資家としては、短期的な節税目的だけでなく、将来利益計上が発生するタイミングや収支計画、キャッシュフローの推移を含めて総合的に判断することが求められます。
関連記事
関連質問
関連する専門用語
日本型オペレーティングリース(JOLCO)
日本型オペレーティングリース(JOLCO)は、主に飛行機や船舶などの大型設備を対象に、日本のリース会社がこうした高額な資産を海外の利用者にリース(賃貸)する際に用いるスキームです。日本の機体を日本円で購入し、それを海外の航空会社などに賃貸し、リース料を通じて収益を得る構造です。 リース満了後には、海外利用者が資産を買い取るケースや、再リース、日本国内に戻すなどの選択が可能です。投資家やリース会社にとっては、長期的な安定収益や為替ヘッジの効果が期待できる反面、資産の減価償却や為替変動リスクなども伴うため、仕組みの詳細をよく理解することが重要です。
匿名組合(TK投資)
匿名組合(TK投資)は、事業者が資金を集めるために使う仕組みの一つで、投資家が出資をしても経営には関与せず、利益の分配のみを受け取る形の契約です。投資家は「匿名組合員」として名前を表に出さずに出資し、出資先の事業が成功すれば利益を受け取りますが、損失が出た場合には出資金の範囲内で損をします。 この仕組みは不動産や飲食店、ソーシャルレンディングなどでよく利用されており、投資家は経営リスクを負わずに事業の収益をシェアすることができます。ただし、元本保証はなく、情報開示も限定的な場合があるため、内容をよく理解したうえで投資判断をすることが大切です。
損金算入
損金算入とは、企業が支払った経費のうち、税務上の所得計算において課税対象から控除できる金額のことです。例えば、事業活動に必要な経費や接待交際費の一部は損金算入の対象となります。損金算入により、企業の課税所得が減少し、納める法人税が軽減されます。
繰越控除
繰越控除とは、特定の損失や控除額を翌年度以降に持ち越し、将来の所得から控除できる税制上の仕組みを指す。代表的なものとして、青色申告の純損失の繰越控除があり、一定期間内に発生した損失を翌年以降の利益から差し引くことができる。これにより、赤字企業でも将来の黒字化に伴い税負担を軽減できるメリットがある。ただし、適用には一定の要件があり、期限内に申告する必要がある。
減価償却
減価償却とは、固定資産の購入価格をその使用可能年数にわたって経済的に分配する会計処理の方法です。企業が機械や建物、車両などの固定資産を購入した際に、これらの資産は使用することで徐々に価値を失います。減価償却を行うことで、資産のコストをその寿命にわたって費用として計上し、その結果として企業の財務報告が実態に即したものになることを目指します。 減価償却には様々な方法がありますが、一般的なものに直線法、定率法、数字和法があります。直線法はもっとも単純で、資産の耐用年数にわたって均等に費用を計上します。定率法は残存価値を基に毎年一定の割合で費用を計上し、数字和法では耐用年数の初年度に最も多くの費用を計上し、年数が経過するにつれてその額を減らしていきます。 減価償却は税務上も重要で、企業は減価償却費を経費として計上することで課税所得を減少させることができます。このため、適切な減価償却方法の選択と計算は、企業の税負担の管理にも直接関連しています。