不動産投資の損益通算の仕組みについて教えてください
解決済み
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2025/01/20 18:50
男性
30代
不動産投資を検討しています。不動産投資を行うと給与所得等と損益通算できるため、節税になると聞きました。損益通算とはどういうものか、仕組みについて教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
損益通算は、不動産所得などで発生した赤字を給与所得や事業所得などの他の所得の黒字と相殺し、課税所得を減らす仕組みです。
たとえば、不動産投資で100万円の赤字が発生した場合、その分だけ課税所得が減少し、結果として所得税や住民税の支払い額を軽減できます。具体例として、課税所得が1000万円の人が不動産所得で100万円の赤字を計上した場合、課税所得が900万円に減少し、適用される税率によって支払う税金が軽くなります。
ただし、赤字をすべて通算できるわけではなく、一部制限が設けられています。不動産所得の規模や種類、所得金額などによって、損益通算が認められない場合もあります。たとえば、事業的規模に満たない場合や、減価償却費を利用した特定の節税スキームとみなされる場合には、損益通算が制限されることがあります。
不動産投資による節税効果を最大限に活かすためには、税務上の基準やルールをしっかり理解することが重要です。不動産投資における損益通算の適用可能性やリスクについては、専門家に相談することで、ご自身の状況に最も適したアドバイスを受けることをお勧めします。
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総合課税
総合課税は、給与や年金、事業収入、不動産収入、利子、配当など、1年間に得たさまざまな所得を合算し、その合計額に累進税率を適用して所得税を計算する方式です。 所得が増えるほど税率が高くなるため、高所得者ほど税負担が大きくなる点が特徴です。一方、金融所得には総合課税以外の課税方法を選択できる場合があります。 たとえば、株式譲渡益や先物取引益などは「申告分離課税」を選ぶことで、ほかの所得と区分して一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で申告できます。 また、預貯金利息や一部の公社債利子などは、支払元が税金を源泉徴収する「源泉分離課税」となり、原則として確定申告は不要です。配当や利子のように課税方式を選択できるケースでは、ご自身の所得水準や控除の有無、損益通算の可能性を踏まえ、総合課税・申告分離課税・源泉分離課税のどれを採用するかを検討することが、最終的な税負担を抑えるうえで重要になります。
課税所得
課税所得とは、個人や法人が一定期間内に得た収入から、法律に基づいて認められた各種控除や必要経費を差し引いた後の金額を指します。この金額に対して所得税や法人税などの税率が適用され、実際に納税すべき税額が計算されます。課税所得の計算方法は国や地域によって異なるため、具体的な控除項目や税率もそれに応じて変わります。 課税所得を計算する際には、まず総収入から非課税所得を除外します。その後、必要経費や特定の控除(例えば、標準控除、医療費控除、教育費控除など)を適用して課税対象となる所得を求めます。これにより、公正かつ実情に即した税額を算出し、納税者が収入に見合った税金を支払うことが可能となります。 課税所得の正確な把握と計算は、個人や企業の税務管理において非常に重要です。税法の変更に応じて控除額や計算方法が更新されることが多いため、適切な税務知識を持つこと、または専門の税理士などの助けを借りることが望ましいです。これにより、適切な税金の納付を確実に行い、法的な問題を避けることができます。
累進課税
累進課税とは、所得が高くなるほど税率が上がる仕組みのことを指します。この制度は、所得の多い人ほど高い税率で税金を負担し、所得の低い人の負担を軽減することで、公平性を確保することを目的としています。 代表的な累進課税制度には、所得税や相続税があります。所得税は、課税所得に応じて税率が変わり、日本では5%から45%までの7段階の税率が設定されています。例えば、課税所得が195万円以下の場合の税率は5%ですが、4,000万円を超えると税率は45%となります。このように、所得が増えるにつれて税負担も増える仕組みになっています。 相続税も同様に累進課税が適用され、相続財産が多いほど高い税率がかかります。たとえば、相続財産が1,000万円以下の場合の税率は10%ですが、6億円を超えると55%の税率が適用されます。 累進課税は、所得の再分配を促し、経済的格差を是正する効果がある一方で、高所得者層の税負担が大きくなりすぎると、節税対策や海外移住の増加につながる可能性も指摘されています。そのため、税率のバランスを保つことが重要とされています。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。