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エンジェル投資の対象となる企業の成長段階や規模にどのような制限がありますか?

エンジェル投資の対象となる企業の成長段階や規模にどのような制限がありますか?

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2025/03/21 19:09


男性

30代

question

エンジェル投資の対象となる企業の成長段階や規模に関する制限について、具体的に教えてください。また、これらの制限が設けられている理由や、投資家にとってのメリット・デメリットはどのようなものでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

エンジェル税制の対象企業には、次のような制限が設けられています。

対象企業の主な条件

  • 設立年数:原則設立5年未満(中小企業新事業活動促進法の要件を満たす場合は10年未満まで可)
  • 外部資本比率:発行済株式総数または出資総額の6分の1(16.7%)以上を外部株主が保有
  • 企業規模:中小企業基本法に規定される中小企業者(資本金5億円以下・常時雇用300人以下など)
  • 上場状況:証券取引所(TOKYO
    PRO
    Market
    を含む)に未上場

これらの制限は、①資金調達が難しい創業期・成長初期のスタートアップへ資金を誘導すること、②節税目的の乱用や上場企業への迂回投資を防ぐこと、という政策目的を両立させるために設定されています。

投資家にとってのメリット

  • 投資額40~100%を所得控除・譲渡益控除できるなど強力な税制優遇(A型・B型・特例で優遇幅が異なる)
  • IPOやM&Aによる高いキャピタルゲインを早期段階から狙える
  • 新産業の育成や地域活性化など社会貢献性が高い

投資家にとってのデメリット・留意点

  • 事業モデル未確立の企業が多く、倒産や株価ゼロのリスクが高い
  • 要件を満たさなければ税制優遇が受けられず、制度改正リスクもある
  • 発行株式数が少なく流動性が乏しいため、売却はIPO・M&Aに依存

対象企業であることを示す経済産業省の確認書類などは投資前に必ずチェックし、税理士やベンチャーキャピタル等専門家のサポートを受けながら最新の制度要件を確認することが不可欠です。

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エンジェル投資

エンジェル投資は、創業間もない企業(スタートアップ)に対し、個人が資金を提供してその成長を支援する投資手法です。資金提供だけでなく、投資家自身の事業経験やネットワークを提供する点が特徴です。事業成功時には株式の売却益を得られる一方、事業失敗で投資額を失う可能性もあるため、ハイリスク・ハイリターンの性質を持ちます。

外部資本比率

外部資本比率とは、企業の資本構成において、自己資本に対する外部からの資本(株式出資や借入金)の割合を示す指標です。この比率は、一般的に 「外部出資(Equity)」と「負債(Debt)」を合計したものが自己資本に対してどれだけの比率を占めるか を示します。 特にスタートアップやベンチャー企業では、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)からのエクイティ(株式)による資金調達が多くなるため、外部資本比率が高くなりがちです。エクイティ出資が増えると、創業者の持ち株比率が下がり、経営権が分散する(持ち株の希薄化(Dilution))。一方で、借入金(Debt)による資金調達が増えると、財務負担が増加し、返済義務が経営に影響を与えることがあります。 この比率が高いと、外部資本を活用して資金調達の柔軟性が向上するメリットがある一方で、自己資本が少なくなりすぎると財務の安定性が低下し、債務リスクが増す可能性があります。そのため、適切なバランスを維持することが重要です。

中小企業基本法

中小企業基本法とは、日本の中小企業の振興と発展を目的として制定された法律です。企業規模や業種に応じて中小企業の定義を定め、それに基づき税制優遇や金融支援、経営支援策が講じられています。この法律のもとで、中小企業は資金調達の機会を増やし、経営の安定化を図ることができます。また、政府や自治体による各種補助金や助成金の対象となることも多いため、企業成長の戦略として有効に活用することが重要です。

未上場企業(非上場企業)

未上場企業とは、証券取引所に株式を公開していない企業のことを指します。一般的に、未上場企業の株式は流動性が低く、取引の機会が限られるため、評価が難しい場合があります。一方で、上場企業と比べて経営の自由度が高く、成長フェーズにあるスタートアップや家族経営の企業が多く含まれます。 近年では、未上場株式を取引できるプラットフォームの発展により、一部の流動性が向上しています。未上場企業への投資は、リスクが高いものの、成功すれば大きなリターンを得る可能性があるため、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家、さらにはプライベート・エクイティ(PE)ファンドやファミリーオフィスなどの関心を集めています。投資家にとっては、IPO(新規株式公開)やM&A(企業買収)などのエグジット戦略が重要となります。

中小企業新事業活動促進法

中小企業新事業活動促進法(正式名:中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律)は、経営革新や新製品・新サービスの開発、異業種連携などを図る中小企業を対象に、国と自治体が総合的な支援措置を講じる枠組みです。事業計画(経営革新計画、新連携計画など)が認定されると、(1)法人税・所得税の特別控除や固定資産税の軽減、(2)日本政策金融公庫・商工中金による低利融資や信用保証枠の拡大、(3)専門家派遣や補助金加点といった技術・販路支援を受けられます。同法は2016年施行の中小企業等経営強化法に一部統合されつつも、認定制度は現在も活用されており、認定企業は新市場開拓や設備投資を加速しやすいのが特徴です。投資家の視点では、認定取得が成長ドライバーや資金調達コストの低下要因になり得るため、制度の有無や活用状況を把握しておくと中小企業投資の銘柄選定やリスク評価に役立ちます。

IPO(Initial Public Offering/新規公開株式)

IPO(Initial Public Offering/新規公開株式)とは、未上場企業が証券取引所に株式を上場し、一般の投資家に向けて売り出すことを指します。これにより、それまでオーナーやベンチャーキャピタル(VC)など限られた株主のみが保有していた株式が、市場を通じて誰でも売買できるようになります。 企業にとってIPOは、成長資金を調達するだけでなく、知名度や信用力を向上させる手段の一つです。また、創業者やVCが投資を回収(エグジット)する機会にもなり、優秀な人材を確保するためのストックオプション制度の活用が可能になるといったメリットもあります。一方で、上場後は業績や経営方針が市場の厳しい評価を受けるため、ガバナンスの強化や継続的な成長が求められます。 IPOのプロセスは、主幹事証券の選定、証券取引所の審査、目論見書の作成、投資家向けのロードショー、仮条件の設定、公募・売出価格の決定などを経て進められます。公募価格は需要と供給をもとに決定され、上場初日に初値が形成されます。 投資家にとってIPOは、成長企業への投資機会となる一方、初値が公募価格を大きく上回ることもあれば、期待ほど上昇しない場合もあるため、市場の動向をよく見極める必要があります。また、ロックアップ期間(上場後一定期間、大株主が株を売れない規制)が解除された後に売却が増えることで、株価が下落するリスクもあるため注意が必要です。

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