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個人事業主として独立するとき、事業計画書の作成は必要ですか?

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2025/10/27 09:46


男性

60代

question

開業にあたり、金融機関や行政への提出書類として「事業計画書」という言葉をよく見かけますが、実際に個人事業主として独立する際にはどの程度必要なのでしょうか。開業届を出すだけでは不十分なのか、融資を受けない場合でも作成したほうがよいのかを教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

個人事業主として独立する際、事業計画書は法的には必須ではありません。税務署への手続きとして必要なのは「開業届」と「青色申告承認申請書」(青色申告を選ぶ場合)のみで、これらを提出すれば正式に開業は成立します。ただし、融資、補助金申請、物件契約、取引先との与信など、外部の審査が関わる場合には、事業計画書の提出が実質的に必要になることがあります。

融資を受ける場合は、日本政策金融公庫や信用保証協会の審査で「創業計画書」が求められます。補助金・助成金の申請では、計画書の内容が採択可否を左右します。また、店舗の賃貸契約や設備リース、決済代行の審査などでも、事業の見通しを示す資料として求められることがあります。このように、外部からの信用を得る場面では計画書の存在が重要です。

一方で、融資を受けない場合でも、事業計画書を作る価値はあります。資金繰りの見通しを立て、6〜12か月の現金残高を予測できれば、仕入れや広告費の投入時期を誤らずに済みます。また、損益分岐点を把握することで、売上目標や価格設定を現実的に検討できます。さらに、税金や社会保険料の支払い時期を見越して資金を確保できるため、資金ショートの防止にもつながります。

最低限の計画書で十分です。1〜2枚の構成で、事業概要、提供する商品やサービス、売上と経費の見込み、資金計画、運営体制、そして月ごとの資金繰りをまとめましょう。これだけでも、開業後の経営判断の基準になります。売上が想定より7割程度に落ちても資金が続くかを確認する「保守的なシナリオ」を併せて作っておくと安心です。

まとめると、開業届だけで開業は可能ですが、事業計画書は「作らなくてもよい書類」ではなく、「作ることでリスクを減らせる武器」です。外部の審査を受ける際にも、資金管理や経営判断を誤らないためにも、簡潔でも計画書を用意しておくことが望ましいでしょう。

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