大学の学費が無償化される人の条件を教えてください。
大学の学費が無償化される人の条件を教えてください。
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2025/10/22 09:04
女性
40代
大学の学費無償化について詳しく知りたいです。ニュースなどで「所得の低い家庭を対象に学費が実質無償化される」と聞きましたが、具体的にどのような条件を満たせば対象になるのでしょうか。世帯年収の上限や、私立・国公立での違い、また対象となる学校の種類(大学・短大・専門学校など)についても知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
大学の学費が実質無償化される制度は、正式には「高等教育の修学支援新制度」と呼ばれています。この制度は、授業料や入学金の減免と、返済不要の給付型奨学金を組み合わせて、家庭の経済状況に応じて学生の学費負担を大幅に軽減するものです。特に所得の低い世帯や、子どもが3人以上いる多子世帯が主な対象です。
対象となるのは、住民税非課税世帯や、それに準ずる世帯です。これらの世帯は「区分Ⅰ〜Ⅲ」に分かれており、区分によって支援の割合が異なります。おおよその目安として、非課税世帯では授業料と入学金が全額支援され、準ずる世帯では2分の1または3分の1程度が支援されます。年収の目安は家族構成によって異なりますが、例えば両親と子ども1人の3人世帯で年収約380万円程度までが支援対象に含まれるケースがあります。
2025年度からは、子どもが3人以上いる多子世帯について制度が拡充されます。この場合、所得に関係なく授業料と入学金が国の定める上限額まで無償化されます。ただし、給付型奨学金については所得区分によって支給額が異なり、すべての世帯で満額支給となるわけではありません。さらに資産要件も設けられており、世帯の資産額が5,000万円を超えると給付型奨学金は受けられず、3億円を超えると授業料減免も対象外になります。
対象となる学校は、文部科学省が「対象校」として認定した大学、短期大学、高等専門学校(4・5年次)、および専門学校です。支援を受けるためには、進学先や在学先がこの対象校に含まれていることが条件です。対象校の一覧は文部科学省のホームページで確認できます。
支援金額は国公立と私立、学校種によって異なります。たとえば住民税非課税世帯の学生の場合、大学では国公立で入学金約28万円・授業料約54万円、私立で入学金約26万円・授業料約70万円が上限です。短期大学や専門学校ではこの金額よりやや低くなります。私立学校は授業料が上限を超えることもあるため、実際に自己負担が残る場合もあります。
支援を受けるためには、在学中の成績や学修意欲などの基準を満たす必要があります。制度利用後も、一定の単位取得や成績維持が確認されないと支援が継続されないことがあります。2025年度からはこの「学修要件」も見直され、より明確な基準が設けられる予定です。
申請の流れとしては、まず志望校が対象校であることを確認し、次に家庭の収入や資産を基に自分がどの区分に該当するかを確認します。その上で、JASSO(日本学生支援機構)の給付型奨学金と、学校での授業料・入学金減免をそれぞれ申請します。入学金の減免を受けるには、原則として入学後3か月以内に申請する必要があります。
この制度は「すべての学生の学費を無償にするもの」ではなく、あくまで経済的に困難な家庭を支援する仕組みです。とくに2025年度以降は多子世帯の支援が大幅に拡充されるため、該当する家庭は必ず申請を検討するべきです。具体的な支援額や対象区分はJASSOのシミュレーターで確認できるため、進学前に自分の家庭の条件で試算しておくと安心です。
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日本学生支援機構(JASSO)
日本学生支援機構(JASSO)とは、日本の学生に対して奨学金を提供したり、留学生支援を行ったりする独立行政法人です。特に奨学金制度については、日本で最も多くの学生が利用しており、給付型と貸与型の両方を扱っています。 貸与型には無利子と有利子があり、卒業後に返済を行う仕組みです。家庭の経済状況に関わらず、学びたいという意欲を持つ学生が高等教育を受けられるようにすることを目的としています。 また、返済猶予制度や所得連動返還型制度といった支援もあり、利用者が無理のない返済計画を立てられるよう配慮されています。資産運用の観点からは、奨学金が将来の家計やライフプランに影響するため、この機構の制度内容を理解しておくことは重要です。
給付型奨学金
給付型奨学金とは、返済の必要がない奨学金のことで、経済的に厳しい家庭の学生でも安心して進学・修学ができるように支給される金銭的な支援制度です。この制度では、授業料や生活費の一部に充てることができ、受給者は卒業後に返金する義務がありません。主に国の制度としては、日本学生支援機構(JASSO)による支援が有名で、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯の学生を対象としています。支給を受けるためには、学力や家計の状況、進学先の種類などいくつかの条件を満たす必要があります。給付型奨学金は、将来の負債を抱えることなく学ぶ機会を提供するもので、教育の機会均等に大きく貢献しています。
住民税非課税世帯
住民税非課税世帯とは、世帯全員が住民税を支払う必要のない所得水準で生活している家庭のことを指します。住民税は前年の所得に応じて課税されますが、一定の所得以下であれば非課税とされます。 この状態になると、医療費や介護サービスの自己負担が軽減されたり、奨学金の給付型支援を受けやすくなったりと、国や自治体からさまざまな支援を受けられる場合があります。資産運用や家計管理の観点から見ると、税負担が軽い反面、収入が少ないことを意味するため、生活設計や将来の資金計画に大きく関わる重要な制度です。
多子世帯
多子世帯とは、一般的に3人以上の子どもがいる家庭のことを指します。資産運用や家計管理の観点からは、教育費や生活費の負担が大きくなるため、特に支出計画や将来の資金準備が重要とされる世帯です。こうした世帯に対しては、国や地方自治体から教育支援や税制優遇などの政策的なサポートが行われることがあります。 資産運用においては、子ども一人ひとりの進学にかかる費用やライフイベントに備えるために、中長期的な視点での計画的な貯蓄や投資が求められます。また、多子世帯では家族構成が複雑になる分、保険や相続の設計にも工夫が必要です。



