iDeCoには元本割れのリスクがあるからやると損なのでしょうか?
回答受付中
0
2025/07/07 12:39
男性
40代
老後資金のためと言われても、値下がりして元本割れしたら逆に損しそうで怖いです。手数料や運用先の選び方もよくわからず、始めた後にやめられないと聞いて二の足を踏んでいます。税優遇で取り戻せると聞きますが、本当に得になるのか、掛金を増やすほど危険は高まるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「やるだけ損」というのは誤解です。iDeCoで元本割れの可能性があるのは、株式やREITなど値動きのある投資信託を選んだ場合に限られます。定期預金や保険といった元本確保型の商品を一定割合で組み入れれば、リスクを抑えながら着実な資産形成が可能です。
iDeCoの最大の魅力は、掛金が全額所得控除になる点です。たとえば課税所得が300万円の会社員が月2万円を積み立てれば、年間で約7万円の税金が戻り、さらに運用益も20年以上にわたって非課税となります。この税制メリットだけでも、一時的な評価損を補って余りある効果が見込めます。
また、iDeCoは運用商品の変更(スイッチング)が可能で、市場環境に応じて債券型などへ資産を移す柔軟性もあります。初期手数料も、所得控除による税還付でほぼ回収できます。
ただし、退職が近い方や所得控除の恩恵が少ない方は、掛金の金額や配分に慎重になるべきです。iDeCoは老後資金づくりに特化した制度と割り切って使えば、長期で堅実なリターンが期待できる有力な選択肢です。
関連記事
関連質問
関連する専門用語
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
元本確保型商品
元本確保型商品とは、あらかじめ定められた条件を満たせば、投資した元本が一定期間後に全額戻ってくることが保証されている金融商品のことを指します。損失が出ないことを前提とした設計であるため、投資初心者やリスクを取りたくない方にとって、安心感のある選択肢となります。代表的なものには、定期預金型の商品や保険型商品(積立保険など)があります。 この元本確保型商品は、特に確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)において頻繁に活用される運用先の一つでもあります。確定拠出年金では、加入者自身が自分の年金資産の運用先を選ぶ必要がありますが、「元本を減らしたくない」という理由から、まずこのタイプの商品を選ぶ方も少なくありません。 ただし注意点もあります。リスクが低い代わりにリターンも限定的で、長期的に見ても資産の大幅な成長は期待しづらいという特徴があります。また、確定拠出年金では途中で解約はできませんが、スイッチング(別の商品への変更)を行った場合、商品によっては元本保証の条件が外れることもあります。そのため、「いつまで保有すれば元本が保証されるのか」といった契約条件を事前に確認することが非常に重要です。 元本確保型商品は、資産形成のスタート地点として有効ですが、ライフステージや資産形成の目的に応じて、成長型商品(株式型投信など)とのバランスも検討していくことが、将来の資産をより安定的に築くためのポイントとなります。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
スイッチング
スイッチングとは、確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)でよく使われる用語で、すでに保有している運用商品を売却し、その資金で別のファンドに乗り換えることを指します。たとえば、安定重視の債券型ファンドから、成長を狙った株式型ファンドに変更するなど、市場環境やライフプランの変化に応じて資産配分を見直すための重要な手段です。 確定拠出年金の仕組みでは、このスイッチングは同一制度内で完結するため、多くの場合、売却や購入に手数料がかからず、非課税で実行できます。ただし、ファンドによっては信託財産留保額やスプレッドなど、乗り換え時にコストが発生する場合もあるため、注意が必要です。 投資初心者にとっては、「口座の中で資産を入れ替える仕組み」と理解するとイメージしやすく、自分の年齢やリスク許容度に応じて運用を柔軟に調整できる便利な機能です。長期的な資産形成を続けるうえで、定期的な見直しとスイッチングの活用は大きな効果を発揮します。
非課税措置
非課税措置とは、特定の条件を満たす場合に税金の支払いが免除される制度のことを指します。資産運用においては、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などが代表的な例で、一定額までの運用益が非課税となります。また、相続税や贈与税の軽減措置としても適用されることがあり、資産形成や世代間の資産移転において有効な手段となります。適用要件や上限額を理解し、適切に活用することが資産管理の鍵となります。