SPYDの株価が市場平均より伸びにくい理由は何でしょうか?具体的に教えてください
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2025/06/18 18:52
男性
30代
高配当ETFのSPYDは分配利回りの高さが魅力ですが、株価やトータルリターンはS&P500より劣ると耳にします。どのような銘柄構成や運用方針が影響しているのでしょうか?投資を検討するうえで注意すべき点を知りたいです。教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
SPYDは高い分配利回りが魅力のETFですが、S&P500と比較するとトータルリターン(株価+配当再投資の合計)は見劣りする傾向があります。その背景には、銘柄選定と運用方針の特徴が大きく関係しています。
まず、SPYDはS&P500構成銘柄の中から配当利回りの高い上位80社を選び、均等ウェイトで保有します。この「高配当+均等比率」の設計により、公益事業や不動産、エネルギーといった成熟セクターが中心になり、テクノロジーなどの成長セクターはほとんど含まれません。また、四半期ごとにリバランスが行われ、値上がりした銘柄を売却し、再び高配当銘柄へ資金が向かうため、成長株の上昇トレンドに乗りにくい構造です。
さらに、80銘柄という比較的少数の構成により、特定企業の業績悪化がETF全体に与える影響も大きくなります。配当の支払いにより株価が理論上調整される点や、減配のリスクが利回りの魅力を削ぐ場面も考えられるでしょう。
こうした特性を踏まえると、SPYDは「安定したインカム収入を重視する人」に適している一方で、「資産の成長性」を重視する人にはやや不向きです。その場合は、連続増配企業に投資するVIGや、より分散性の高い市場全体のETF(例:VTI、VOO)などとの組み合わせで、スタイルやセクターのバランスを取ることが有効です。
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トータルリターン
トータルリターンとは、株式や債券、投資信託などの資産から得られる利益を、値上がり益(キャピタルゲイン)と分配金・利息・配当金などのインカムゲインを合わせて総合的に捉えた指標です。配当や利息をその都度再投資すると仮定して計算するのが一般的であり、単に価格変動だけを追う「価格リターン」と比べ、投資の実質的な運用成果をより正確に示します。このため、長期投資のパフォーマンス評価や異なる資産クラスの比較を行う際には、トータルリターンで見ることが重要です。
配当利回り
配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。
均等加重(均等ウエイト)
均等加重(均等ウエイト)とは、投資信託や株価指数、ポートフォリオを構築する際に、組み入れる各銘柄や資産クラスをすべて同じ比率で保有する手法を指します。たとえば10銘柄であれば1銘柄あたり10%ずつ配分するため、時価総額の大きさや流動性にかかわらず影響力がフラットになります。これにより、特定の大型株や一部セクターへの偏りを抑えて分散効果を高められる一方、銘柄ごとの値動きが指数全体に均等に反映されるため、値上がりする銘柄を多く含めばリターンが向上し、逆に下落銘柄が多いとパフォーマンスが大きく落ち込むこともあります。リバランスの手間や取引コストがかかる点に注意しつつ、ベンチマークとして時価総額加重とは異なるリスク・リターン特性を比較したい投資家に適した配分方法です。
キャピタルゲイン(売却益)
キャピタルゲイン(売却益)とは、保有していた資産を売却することで得られる利益のことを指します。株式や不動産、債券、金などの貴金属を購入時の価格より高い価格で売却した場合、その差額がキャピタルゲインです(対義語:インカムゲイン)。 例えば、1,000円で購入した株を1,500円で売却すれば、500円がキャピタルゲインです。ただし、売却時には税制や手数料を考慮する必要があり、特に金融資産では 譲渡益課税 が適用されることが多くあります。 キャピタルゲインは、大きなリターンを得られる可能性がある一方で、購入時より価格が下がると 元本割れのリスク も伴います。そのため、資産運用では 売却益の確保 と 税負担の最適化 が重要な戦略の一つです。
バリュー株
バリュー株とは、企業の財務状況や資産価値と比較して割安に取引されている株式を指します。一般的に、成長が鈍化した企業や市場から注目されていない企業に多く、配当利回りが高い傾向にあります。投資家は、企業価値が市場に正しく評価されることで株価が上昇し、利益を得ることを期待して投資します。
グロース株
グロース株とは、現状株価が多少高くても、業績が良好で将来的にさらなる成長や株価の上昇が見込める株のことを指します。成長株とも呼びます。