企業型DCを採用していない転職先での資産運用
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2025/01/24 23:38
男性
30代
新しい転職先では企業型DCを採用しておらず、今後の資産運用について悩んでいます。iDeCoへの移管は検討していますが、それ以外にどのような選択肢があるのでしょうか?効率的かつリスクを抑えた方法を教えていただけると嬉しいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
企業型DCがない職場でも、税制優遇のある制度を組み合わせれば、長期的に効率よく資産を育てられます。まず軸に据えたいのはiDeCo(個人型DC)です。掛金が全額所得控除となり、運用益も非課税、受取時には退職所得控除や公的年金控除が使えるため、老後資金づくりにこれ以上有利な制度は多くありません。月額上限(会社員なら1万2,000~2万3,000円)まで先取りで積み立て、低コストのインデックスファンドで長期運用すると複利効果が最大化します。
とはいえ、iDeCoは60歳まで資金を引き出せない点がネックです。そこで流動性を確保するために活用したいのが2024年に刷新された新NISAです。年間120万円の「つみたて投資枠」と240万円の「成長投資枠」を合わせて最大360万円まで非課税で投資でき、途中解約や引き出しも自由です。全世界株式や先進国債券など分散型ファンドを中心に自動積立を行い、余裕があればETFや個別株で成長投資枠を使うと、リスクとリターンのバランスが取りやすくなります。
加えて、転職先に財形年金・財形住宅貯蓄、確定給付企業年金、共済制度などがあれば、人事部に確認し優遇金利や補助金の恩恵を受けましょう。これらはiDeCoやNISAと重複しない範囲で活用すると効果が高まります。
税優遇枠を使い切ったあとの余剰資金は特定口座で投資信託やETFに振り向けます。この際、損益通算や外国税額控除を意識して年1回リバランスすれば、課税コストを抑えつつポートフォリオを整えられます。
運用を始める前に、生活費の半年〜1年分は現金または無リスク資産で確保し、市場変動に備えることも忘れないでください。年に一度、資産配分やリスク許容度を点検し、必要ならポートフォリオを調整することが長期的な成功の鍵となります。
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iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
確定拠出年金
確定拠出年金は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。
国民年金基金連合会
国民年金基金連合会は、国民年金法に基づき設立された公的な年金制度であり、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして、自営業者など国民年金の第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うものです。 国民年金基金連合会は、転居や転職により基金の加入員資格を喪失した中途脱退者に対して、年金や遺族一時金の支給を行っています。また、平成14年からは確定拠出年金の個人型年金の実施主体として、規約の作成や掛け金の収納業務なども行っています。 退職等により加入していた企業型DCを脱退し、6ヶ月以上移管の手続きを行わなかった場合、国民年金基金連合会に自動的に移管されます。その場合、現金で保管されるため追加の積立や運用指図を行うことができず、さらに移管時と保管時に手数料がかかります。