学資保険を途中で解約するときのデメリットや注意点を教えてください。
回答受付中
0
2025/08/20 09:03
女性
30代
家計状況の変化により、学資保険の保険料負担が重くなってきました。途中解約を検討していますが、元本割れのリスクがあると聞いています。学資保険を途中で解約する場合のデメリットや、解約前に検討すべき注意点にはどのようなものがあるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
学資保険を解約する主なデメリットは2点です。
第一に、解約返戻金(途中解約時に戻るお金)が初期ほど低く、元本割れ(受取額が払込総額を下回ること)になりやすい点です。特に契約から5年以内の早期解約では、払込保険料の70~80%程度しか戻らず、大きな損失となります。販売・事務費などが先行計上されるため、短期間での解約は不利になりがちです。
第二に、将来の祝金や満期学資金を受け取る権利、払込免除(契約者が所定事由に該当した際に以後の保険料が免除)などの保障が失われます。
解約手続きには所定の書類や期間が必要で、解約時点の経過利息や費用の扱いは商品で異なるため、契約概要・注意喚起情報・約款(契約条件を定めた文書)での確認が不可欠です。代替策としては、資金繰りの一時的不足なら契約者貸付(返戻金の一定範囲で借入できる制度)を検討します。
ただし、利息がかかり、返済しないと将来の受取額が減る点に注意が必要です。保険料負担が継続困難な場合は、払済(以後の保険料を止め、受取額を縮小して契約を継続)への変更が選べる商品もあります。
払済保険は以後の保険料払込を停止し、それまでの払込分で保険金額を減額して契約継続する方法で、解約よりも有利になる場合があります。
いずれも可否や条件は契約により異なるため、手続き前に現在の解約返戻金、将来受取の見込み、貸付金利や払済後の受取額を比較し、目的と流動性の優先順位に沿って決定しましょう。
関連記事
関連する専門用語
解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。
学資保険
学資保険とは、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品で、一定期間保険料を支払うことで、子どもの進学時期(中学・高校・大学入学など)に合わせて祝い金や満期保険金が受け取れる仕組みになっています。保険であるため、契約者(通常は親)に万が一のことがあった場合でも、以後の保険料の支払いが免除され、満期時には予定どおりの給付金が支払われる点が大きな特徴です。 貯蓄機能と保障機能が組み合わさっており、「教育費を積み立てながら万一に備えたい」と考える家庭に人気があります。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるため、長期的な資金計画としての活用が前提となります。初心者の方にとっては、預貯金とは違う形で将来の教育資金を準備できる手段のひとつとして、選択肢に入れて検討する価値があります。
払込免除
払込免除とは、生命保険や医療保険などの契約において、契約者や被保険者が高度障害状態になったり、所定の重い病気にかかったりした場合に、それ以降の保険料の支払いが免除される制度のことを指します。免除されたあとも、保険契約は有効に継続され、保障内容はそのまま維持されるのが特徴です。 たとえば、がんなどの重病を患い、働くことが困難になった場合でも、保障を失うことなく保険を続けられる仕組みとして、多くの保険商品に組み込まれています。払込免除はあくまで保険料の支払い義務を免除する制度であり、解約や満期金の支払いとは異なります。契約時にこの特約が付いているかどうか、また発動条件がどうなっているかを確認しておくことが大切です。経済的な負担が大きくなる場面で、保険契約の継続を支える安心の仕組みです。
元本割れ
元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。
契約者貸付制度
契約者貸付制度とは、生命保険などの契約者が、契約中の保険に積み立てられた解約返戻金の一部を担保として、お金を借りることができる仕組みです。 つまり、自分が支払った保険料の一部を、必要なときに一時的に借りることができる制度です。返済期間に厳しい制限はないものの、借りた金額には所定の利息がかかります。 返済をせずに保険を解約した場合は、返戻金から借入額と利息が差し引かれる仕組みになっています。急な出費が発生したときに、保険を解約せずに資金を用意できるため、いざというときの備えとして役立つ制度です。
払済保険
払済保険とは、もともと契約していた保険の保険料の支払いを途中でやめ、その時点までに払い込んだ保険料を使って、以後の支払いをせずに保障だけを継続する保険のことです。たとえば、終身保険などで使われることが多く、保険料を支払うのが難しくなった場合などに選ばれる方法です。 保障額は元の契約よりも小さくなりますが、保険契約を完全に解約するのではなく、一定の保障を残すことができる点が特徴です。資産運用の観点では、解約返戻金を有効に活用しながら保障を維持する手段として理解しておくと役立ちます。