新興国とはどんな特徴の地域ですか?
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2025/07/24 09:34
男性
40代
投資信託を選んでいたら、先進国株式や新興国株式を投資対象とするものを見かけました。新興国とは投資対象としては、どのような特徴をもつ地域なのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
新興国とは、先進国ほど経済や制度が成熟していない一方で、人口増加や都市化、資源開発を背景に中長期的な経済成長が期待される国々を指します。たとえばインドやブラジル、インドネシア、南アフリカなどが代表例で、世界的な経済指標において「MSCIエマージング・マーケット指数」などの分類に基づいて投資対象として選定されるのが一般的です。
こうした国々は、先進国よりも高い経済成長率を示す一方で、政治の不安定さや通貨・金融政策の脆弱さ、資本規制のリスクなどがあり、投資先としての価格変動(ボラティリティ)が大きくなりやすい特徴があります。特に米ドル建て債務を多く抱える国では、米国の金利上昇やドル高の影響を受けやすく、金融市場が不安定化するリスクもあります。
また、新興国と一口に言っても、アジア、中南米、東欧・中東・アフリカなど地域ごとに経済構造やリスク特性が異なります。たとえば、資源価格に影響を受けやすい国もあれば、ITやサービス輸出に強みを持つ国もあり、投資する際にはこうした違いを把握しておくことが重要です。
実務的な資産運用では、特定国への集中を避け、複数の国・業種・通貨に分散投資することがリスク管理の基本です。そのため、MSCIやFTSEといった主要な指数に連動するETFや、リスク評価を加味して投資対象を選ぶアクティブファンドを活用するのが有効です。為替変動の影響が大きいため、必要に応じて通貨ヘッジ付き商品を選ぶことも検討材料となります。
新興国資産は、先進国資産と異なるリスク・リターン特性を持つため、全体のポートフォリオに一定割合を組み込むことで、地域的な分散効果を高める手段となります。ただし、世界的なリスクオフ局面では相関が高まる傾向もあるため、過信は禁物です。ESG(環境・社会・ガバナンス)課題にも注意しながら、長期的な視点で慎重に活用することが求められます。
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MSCIエマージング・マーケット指数
MSCIエマージング・マーケット指数とは、アメリカの指数提供会社MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表している、新興国市場全体の株式の動向を示す株価指数です。英語では「MSCI Emerging Markets Index」と呼ばれ、世界の新興国に投資する際の代表的なベンチマークとして使われています。 この指数には、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、台湾など20数カ国の上場企業が含まれており、それぞれの国の時価総額に応じて構成比率が決められています。投資家はこの指数に連動するETFや投資信託を通じて、分散された新興国株式への投資が可能です。新興国は成長性が期待される一方で、政治・経済の不安定さや通貨リスクなどもあるため、この指数は投資対象としての魅力とリスクの両面を把握するための指標となっています。
MSCI(エムエスシーアイ)
MSCI(エムエスシーアイ)とは、「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(Morgan Stanley Capital International)」の略で、アメリカに本拠を置く世界的な株価指数の提供会社です。世界各国の株式市場の動向を把握するための基準(ベンチマーク)となるさまざまな株価指数を開発・提供しています。 特に有名なのが、MSCIワールド指数(先進国株式)やMSCIエマージング・マーケット指数(新興国株式)、そしてそれらを統合したMSCI ACWI指数(全世界株式)です。MSCIの指数は、機関投資家から個人投資家まで幅広く利用されており、多くの投資信託やETFの運用方針における基準となっています。国や地域、業種ごとに多彩な指数を提供しており、国際分散投資を行ううえで欠かせない存在です。
FTSE100指数
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分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
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アクティブファンドとは、運用のプロであるファンドマネージャーが、市場の平均を上回るリターンを目指して積極的に銘柄を選んで運用するタイプの投資信託のことです。 具体的には、独自の分析や調査にもとづいて、将来性があると見込まれる企業や、割安と判断される株式などに投資を行います。こうした運用には高度な専門知識と時間が必要となるため、同じ投資信託でも市場平均への連動を目指す「パッシブファンド」より運用コスト(信託報酬など)が高めになる傾向があります。しかし、その分大きなリターンを狙える可能性もある点が魅力です。 ただし、アクティブファンドだからといって必ずしも市場平均を上回るとは限らないことに注意が必要です。投資判断がうまくいかなかった場合は、損失が出たり、パッシブファンドに劣る成績となったりすることもあります。 投資初心者の方は、ファンドマネージャーの運用実績やファンドの方針、運用コストなどをよく調べたうえで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。購入前に「過去の運用成績」や「運用レポート」を確認し、アクティブファンドの特徴を理解してから投資を始めましょう。
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ヘッジとは、価格変動や為替変動などのリスク(不確実性)から資産を守るために、あらかじめ対策を講じることを意味します。資産運用の分野では、将来起こりうる損失を緩和または回避するために、別の取引や金融商品を利用してリスクを相殺する行為を指します。 たとえば、外貨建て資産を保有している場合、円高が進むとその価値が目減りするリスクがあります。このとき、為替予約や為替先物といったヘッジ手段を使えば、円高による損失を一定程度防ぐことができます。また、株式市場の下落に備えて、先物取引やプットオプションを利用することも、価格下落に対するヘッジになります。 ヘッジは、利益を狙うための手段というよりも、損失を限定し、安定した運用成果を得るためのリスク管理策として使われます。完全にリスクをゼロにすることはできませんが、価格変動による影響を抑えたい場合には非常に有効です。ただし、ヘッジにはコストがかかることも多く、その効果と費用のバランスをよく見極めて判断することが重要です。