育休中に扶養に入ることはできますか?
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2025/09/03 08:42
男性
30代
これから育休に入るに当たり、育休中に夫の扶養へ入れるかどうか気になっています。収入が一時的に減っている場合でも扶養には入ることができるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
育児休業(育休)を取っているということは、いったん仕事をお休みしているだけで、勤務先との雇用関係はそのまま続いている状態を指します。つまり、育休中も会社に所属しており、退職したわけではありません。その前提で以下の説明を進めます。
社会保険(健康保険や厚生年金)にも引き続き加入しており、保険料は事業主の申請によって免除される仕組みです。そのため、育休中の妻も「会社員であること」に変わりはありません。この前提のうえで、「育休中に夫の扶養に入れるかどうか」は、健康保険と税法のそれぞれで判断基準が異なります。
まず健康保険の扶養についてです。妻が育休中であっても、自身が会社の健康保険に加入している限り、夫の健康保険の扶養に入ることはできません。健康保険の扶養に入れるのは、退職などで被保険者資格を失った場合に限られます。「給与がないから扶養に入れる」と誤解されがちですが、在職中である以上は扶養対象外となります。育児休業給付金が雇用保険から支給されていても、この点は変わりません。
一方、税法上の扶養については少し考え方が異なります。税制上の配偶者控除や配偶者特別控除は、その年の所得金額によって判断されます。育児休業給付金は非課税収入のため、給与の支給がない期間が長い場合には、所得が基準以下となり扶養の対象に入ることがあります。
目安として、年間の給与所得が48万円以下(給与収入ベースで103万円以下)なら配偶者控除、133万円以下なら配偶者特別控除の対象となります。ただし、年の途中で復職して給与や賞与を受け取ると、その分も合算して判断する必要があります。復職後の収入によっては、年末時点で扶養の対象外になる場合もあります。
手続きとしては、夫の勤務先に扶養認定の申請を行い、妻の育休期間や給与の支給状況を示す書類(給与明細や給付金支給通知など)を提出します。健保組合や勤務先によって判断基準が異なることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
まとめると、
・育休中でも会社員としての雇用は続いている
・健康保険上は夫の扶養に入れない
・税法上は収入次第で扶養の対象になり得る
判断の際は、「雇用関係の有無」「収入の見込み」「その年の合計所得」の3点を整理し、勤務先や健保組合に相談しながら手続きを進めるのが確実です。
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