うっかり年収130万円を超えてしまった場合、扶養から外れてしまうのでしょうか?
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2025/09/03 08:42
女性
30代
年収を抑えて働くつもりでも、残業や賞与などでうっかり130万円を超えてしまう可能性があります。その場合、自動的に夫の扶養から外れてしまうのでしょうか?あるいは、なにか維持する方法はあるでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり、それぞれ取り扱いが異なる点を理解しておくことが大切です。
まず、社会保険上の扶養については、年収が130万円を超えると扶養認定の基準を超えてしまうため、原則として扶養から外れることになります。その場合、自分自身で社会保険に加入する必要があり、勤務先に加入制度があれば会社の健康保険や厚生年金に加入します。勤務先が社会保険に対応していない場合は、国民健康保険や国民年金に加入することになります。これらの手続きは勤務先や自治体を通じて行い、保険料は自己負担となります。
一方、税制上の扶養については少し事情が異なります。配偶者控除は年収103万円以下が条件ですが、103万円を超えても201万円未満であれば段階的に「配偶者特別控除」を受けられます。したがって、130万円を超えたからといって必ずしも税制上の扶養から外れるわけではなく、一部控除の対象になる可能性があります。
ただし、実際には年間収入ベースで判定されるため、うっかり130万円を超えた場合でも、会社や健康保険組合から扶養認定の見直しを求められることがあります。その際に手続きを怠ると、遡って社会保険料を請求されるケースもあるため注意が必要です。
このため、130万円を超える見込みが出てきた段階で早めに勤務先や健康保険組合に相談し、必要な手続きを進めることが重要です。税制と社会保険で基準が異なることを理解し、世帯全体の手取りや将来の年金受給への影響も踏まえて判断することが望ましいでしょう。
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