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ブロックトレード後に株価が崩れたら対策は?

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2025/04/29 14:56


男性

40代

question

ロックアップ解除直後にブロックトレードでまとまった株数を処分する計画です。取引後に株価が想定外に軟調となった場合、追加の自己株取得や投資家コミュニケーションを含む市場需給安定化策とIR説明の時系列対応を具体的にご指南ください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

ブロックトレードは発行済株式の一定割合を一気に放出するため、流動性が乏しい銘柄ほど需給が崩れやすく、取引後の株価下押しリスクは構造的に避けられません。最大の防御策は「事前の情報開示による誤解防止」と「下落発生時に即応できる需給安定化策の事前設計」という二段構えです。

まず実行前フェーズでは、①売却の狙い(資本政策・資産分散・税務対策など)および経営方針の不変を適時開示で明示し、②売却規模・価格レンジ・ロックアップ解除プロセス・投資家属性(長期保有主体かどうか)を可能な範囲で共有します。さらに決算説明会やスモールミーティングでCFOが直接説明する場を設け、質疑応答を通じて投資家の不安を先取りして潰しておくと下落圧力は軽減します。

実行直後は、取締役会決議を済ませたうえで三つの需給安定化策を同時並行で走らせると効果的です。第一に、自社株買い枠の即時発動または増額で需給ギャップを物理的に吸収します。第二に、役員報酬の株式報酬化や従業員持株制度の奨励金拡充によって、社内需要を創出し株価下支えのシグナルを発信します。第三に、追加売出し凍結(スタンドスティル)を90〜180日程度宣言し、新たな供給懸念を遮断します。これらをIRリリースで同日付け発表することで、機関投資家はリスクシナリオを織り込みやすくなります。

それでも想定を超える下落が生じた場合は、残存株式へのプットオプション付与による価格下限の確保や、バリュエーションが割安と判断できる水準での追加自己株取得を検討します。主幹事証券を通じてオン・ザ・マーケット方式で徐々に売却を進める、あるいは流動性プロバイダーにマーケットメークを委託し板を厚くするなど、売出しペースを柔軟に調整する方法も有効です。

これら一連の打ち手は、IR担当、主幹事証券、リーガルアドバイザーが「T–60日〜T+90日」のタイムラインに落とし込み、稟議・開示・執行のトリガー条件を事前に合意しておくことが欠かせません。株価の急変動時には準備済みのフォローアップ施策を即時展開し、需給・心理の両面から市場安定化を図ることで、ブロックトレード後の株価下落リスクを最小化できます。

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ブロックトレード

ブロックトレードとは、通常の市場取引とは別に、大量の株式や債券を一度にまとめて売買する取引のことを指します。通常の市場で大きな取引を行うと価格に大きな影響を与えてしまうため、ブロックトレードでは特別な取引ルートを使って、相対で売り手と買い手をマッチングさせます。主に大口の投資家や機関投資家同士の取引で利用されることが多いですが、場合によっては一般の市場にも影響を及ぼすことがあります。資産運用においては、大きなブロックトレードの動きがあった場合、その企業の株価にどのような影響が出るかを注意深く見守る必要があります。

ロックアップ

ロックアップとは、IPO(新規株式公開)時に創業者やベンチャーキャピタルなどの大株主が保有株を一定期間売却できないよう制限する取り決めです。一般に90日や180日が多いものの、業績予想の不確実性や持株比率に応じて最長1年程度に設定されることもあります。目的は、上場直後の大量売却による需給バランスの崩れと株価急落を防ぎ、投資家が安心して参加できる環境を整えることにあります。 ロックアップ期間中でも、主幹事証券会社の許諾(ワードによっては「ロックアップ解除」や「早期解除」と表記)により一部売却が認められる例があり、上場後の株価が大幅に上昇した場合や追加資金調達が必要になった場合に適用されるケースが代表的です。投資家としては、有価証券報告書や目論見書に記載されている「対象株主」「期間」「解除条件」を確認し、ロックアップ満了日前後の売却圧力や出来高急増の可能性を織り込んでおくことが重要です。

従業員持株制度

従業員持株制度は、企業が従業員に対して自社株を購入する機会を提供する制度です。この制度を通じて、従業員は通常よりも有利な条件で株を購入し、企業の一部の所有者となることができます。企業にとって、従業員持株制度は従業員のモチベーション向上や企業への忠誠心を高める効果があり、従業員が企業の業績により一層関心を持つようになります。 この制度の主な特徴は、従業員が自社の株式を定期的に少額から購入できる点にあります。多くの場合、企業は株価の一部を補助する形で購入支援を行ったり、購入しやすい条件を提供したりします。従業員はこの制度を利用して、将来的な資産形成や退職後の安定した収入源として株を保有することが一般的です。 また、従業員持株会を通じて株を購入することで、従業員同士の連帯感や共同の目標に対する意識が高まるとされています。ただし、市場の変動によるリスクもあるため、株価の下落が直接的な損失につながることもあり得ます。そのため、従業員は投資にあたってリスク管理を適切に行う必要があります。この制度は、従業員が会社の成長とともに自身の資産を増やす機会を得ることができるため、積極的な参加が推奨されることが多いです。

スタンドスティル

スタンドスティルとは、一定期間、特定の行動を控えることに同意する取り決めのことを指します。資産運用や企業買収の場面では、たとえば株式の追加取得や敵対的な買収提案を行わないことを約束する契約を意味します。これにより、対象企業と投資家の間で冷静な交渉や検討の時間を確保することができます。スタンドスティルの合意があることで、突然の株価変動や経営権争いを一時的に回避できるため、資産運用においても企業の安定性を見極める重要なポイントとなることがあります。

プットオプション

プットオプションとは、ある資産を将来の決められた価格で売ることができる「権利」のことです。 株などの資産が値下がりしたときに、その値下がりによる損失を抑えるための「保険」のような役割を果たします。 たとえば、ある株が今100円で取引されていて、将来値下がりしそうだと考えたとします。ここで「1か月後に100円で売れるプットオプション」を買っておけば、仮に1か月後に株価が80円に下がっていても、100円で売ることができます。市場価格より高く売れるため、その差額で利益が出ます。 逆に、株価が120円に上がった場合は、わざわざ100円で売る必要がなくなるので、そのプットオプションは使いません。損失は最初に払った「プレミアム(オプション料)」だけです。このように、損失は限定的で、下落時には利益が出せるのがプットオプションの大きな特徴です。 また、プットオプションは投資家が保有している株の値下がりに備える手段としても使われます。たとえば、大きなイベントや相場の不安定な局面で、一時的にリスクを避ける目的で活用されることがあります。 ただし、プットオプションには「時間が経つだけで価値が減っていく」という特性があります。これは「時間的価値の減少(タイムディケイ)」と呼ばれる現象です。オプションには有効期限があるため、満期までの期間が短くなるほど、「この先相場が動く可能性が小さくなった」と見なされ、オプションの価値は自然と下がっていきます。つまり、何もしなくても時間が経つだけで価値が目減りしてしまうのです。 そのため、プットオプションを使う場合は「いつ下がるか」というタイミングも重要になります。あまりに早く買ってしまうと、思ったより相場が動かずに価値だけが減っていく、ということも起こり得ます。

オン・ザ・マーケット方式

オン・ザ・マーケット方式とは、株式などを市場を通じて少しずつ売却していく方法のことを指します。大量の株式を一度に売ると市場価格に大きな影響を与えてしまう可能性があるため、オン・ザ・マーケット方式では時間をかけて分散的に売却し、価格変動をできるだけ抑えながら売却を進めます。この方法は、売却主体が目立たずに資産を処分したい場合や、市場に悪影響を与えたくない場合に選ばれます。資産運用の場面では、企業の大株主や機関投資家がこの方式を使って持ち株を整理するケースがあり、その動向に注意を払うことが重要です。

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