ヘッジファンドの利回りはどの程度期待できますか?
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2025/07/28 08:00
男性
30代
資産運用を考えている友人から、ヘッジファンドなら高いリターンが期待できると言われました。しかし、そもそもヘッジファンドがどのくらいの利回りを目指しているのか分かりません。投資信託や預金よりもはるかに高いと聞きますが、実際にはどのくらいの利回りを期待できるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ヘッジファンドは必ずしも高利回りを保証するものではなく、戦略や市場環境によってリターンが大きく変動します。
代表的な業界指標であるHFRI指数(ヘッジファンド全体の平均利回り)の過去10年の実績を見ると、年間の平均リターンは手数料控除後で約4〜8%の範囲が一般的です。
特に2024年のように市場環境が良好だった年には業界全体で10%前後、戦略によっては20%超えるファンドもありましたが、金融危機などの際には年間で10~20%の損失を出すことも珍しくありません。また、典型的な手数料体系である運用報酬2%と成功報酬20%が設定されているため、投資家が実際に得られる利回りは公表されているファンドリターンより低くなります。
実務上は「株式より低リスク、預金より高リターン」を狙う運用手法として、現実的に年4〜8%程度を期待値とすることが適切です。
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ヘッジファンド
ヘッジファンドは、私募形式の投資信託です。富裕層や機関投資家向けに設計された投資ファンドで、高いリターンを追求するために多様な戦略を活用します。短期売買や空売り、デリバティブ(金融派生商品)などを駆使し、市場平均を上回る成果を目指します。 伝統的なファンドに比べて規制が比較的緩やかであるため、運用の柔軟性が高い一方で、情報開示の水準が異なり、ファンドによっては透明性が低い場合があります。また、成功報酬を含む手数料体系は一般的な投資信託よりも高く設定される傾向があり、一定の資金拘束期間が設けられることが多いため、流動性が低い点にも留意が必要です。 投資家は、これらの特性を理解した上で、自身のリスク許容度に合った選択をすることが重要です。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。
HFRI指数
HFRI指数とは、米国の調査会社「ヘッジファンド・リサーチ社(Hedge Fund Research, Inc.)」が算出・公表している、世界中のヘッジファンドの平均的な運用成績を示す代表的な指数です。 複数のヘッジファンドの運用結果を集計し、戦略ごとや地域ごとに細かく分類された指数も存在するため、投資家が特定の戦略や市場環境におけるヘッジファンドの動向を把握するための参考指標として活用されています。個々のファンドの詳細な情報が非公開であることが多いヘッジファンド業界において、HFRI指数は透明性の一助となる役割も果たしています。
ドローダウン(最大許容下落率)
ドローダウン(最大許容下落率)とは、投資家が精神的・資金的に「これ以上下がると耐えられない」と感じる資産価格の下落幅(%)の上限のことを指します。たとえば、「30%までの損失なら我慢できるが、それ以上は無理」と考える場合、その人の最大許容下落率は30%です。 これは実際の相場変動とは別に、投資家自身があらかじめ設定するリスク許容度であり、長期運用の設計やポートフォリオ構築時に非常に重要な指標です。最大許容下落率を超えるような損失が出ると、冷静な判断ができず、パニック売りなど非合理な行動につながる可能性が高まります。 そのため、自分の最大許容下落率を正しく把握しておくことで、リスクとリターンのバランスが取れた資産運用を実現しやすくなります。金融アドバイザーとの面談やリスク診断でも、この考え方が活用されます。