資産管理会社を活用した相続対策の具体例は?
資産管理会社を活用した相続対策の具体例は?
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2025/03/28 20:11
男性
60代
資産管理会社を使うと相続税の負担を抑えられると聞きましたが、具体的にどのような方法があるのでしょうか?また、不動産や株式を法人名義にすることでどのような相続上のメリットがあるのか、デメリットも含めて詳しく知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
資産管理会社を活用した相続対策は、①資産評価を圧縮する、②承継を柔軟化する、③納税資金を確保する――という三つの柱で効果を発揮します。まず、不動産や上場・未上場株式を法人に移転すると、相続時には「物件そのもの」ではなく非上場株式を相続する形になるため、株価は純資産価額や類似業種比準価額で算定され、個人名義より低く評価されやすくなります。加えて、非上場株式は少数持分に対する流動性ディスカウントも働くため、さらに評価額を抑えられる可能性があります。
生前に株式を家族へ計画的に贈与すれば、相続発生時に残る株式評価は最小化でき、分割協議も「株式の割合」を調整するだけで済むためスムーズです。複数の不動産を法人が一括保有していれば、相続人ごとに物件を切り分ける必要がなく、将来の売却・組み換えも法人内で機動的に行えます。
さらに、法人名義で定期保険や逓増定期保険に加入しておくことで、死亡保険金を法人が受け取り、相続人へは退職慰労金や配当として分配できます。これにより、納税資金・生活資金を確保しつつ、法人内部留保の圧縮による株価引き下げも期待できます。
注意点として、不動産を法人へ移す際には登録免許税・不動産取得税・譲渡所得税が発生し、移転コストが高額になる場合があります。また、法人の維持費(決算・申告・社会保険料)や、個人⇔法人間の資金移動に伴う税務リスクも無視できません。節税メリットが移転コストと相殺されないか、資産規模・保有期間・家族構成を前提にシミュレーションすることが不可欠です。実行の是非と最適なタイミングは税理士・司法書士と綿密に検討してください。
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資産管理会社
資産管理会社とは、不動産や株式などの資産を法人の名義で保有・管理し、それらから得られる賃料収入や配当金などによって利益を上げることを目的とした会社のことです。もともとは個人が持っていた資産を法人に移す、いわゆる「資産の法人化」によって設立されるケースが多く見られます。 このように資産を法人として持つことで、個人で所有していた場合と比べて税金面でのメリットを得られることがあります。たとえば、法人の方が税率が低くなることがあるため、収益が大きい場合にはトータルの税負担が軽くなる可能性があります。また、家族を役員にして給与を支払うことで所得を分散し、所得税を抑えるといった節税対策も可能になります。 さらに、資産管理会社を通じて不動産などの資産を保有することで、相続や事業承継の計画を立てやすくなるという側面もあります。個人名義で資産を持つよりも、法人として一括管理するほうが、将来的な引き継ぎや財産の分配を円滑に行いやすくなるのです。 ただし、税務メリットだけを目的に設立すると、かえって不利になる場合や、運営コストがかさむこともあります。そのため、資産管理会社をつくる際は、収益の規模や資産の種類、将来の相続までを見据えて慎重に検討することが大切です。
生前贈与
生前贈与とは、本人が亡くなる前に、自分の財産を家族や親族などに贈り与えることを指します。たとえば、子どもや孫に現金や不動産などを自分の意思で生きているうちに渡す行為がこれにあたります。生前贈与を活用することで、相続時に財産が一度に多額に移転するのを防ぎ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。ただし、贈与にも贈与税がかかるため、贈与額やタイミング、誰に贈るかによって課税額が大きく変わることがあります。また、一定の条件を満たせば非課税になる特例制度もあるため、計画的に行うことが重要です。資産運用や相続対策として、生前贈与は家族に財産を無理なく引き継がせるための有効な手段のひとつです。
死亡保険金
死亡保険金とは、生命保険契約において、被保険者が死亡した際に受取人に支払われる保険金のことを指す。受取人や契約形態によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかの課税対象となる場合がある。
登録免許税
登録免許税(とうろくめんきょぜい)は、土地や建物などの不動産、あるいは会社などに関する「登記」や「登録」の手続きを行うときにかかる税金です。たとえば、不動産を購入したときには、その所有権を自分の名義にするための登記をしますが、このときに登録免許税を支払う必要があります。また、新しく会社を設立する際にも、設立登記をすることで正式な法人として認められますが、そのときにも税金が発生します。 この税金の金額は、登記や登録の内容によって異なります。たとえば、不動産の登記であれば、その不動産の評価額に一定の税率をかけて金額が決まります。不動産の価値が高ければ、それに応じて税金も高くなります。会社の設立登記の場合は、資本金の金額をもとに税額が計算されますが、たとえ資本金が少なくても、最低でも15万円の税金が必要とされています。 なお、登記や登録は、法律上の効力を持たせるために必要な手続きであり、それを行うにはこの税金の支払いが避けられません。ただし、登記の内容によっては、税率が軽減される「軽減措置」が適用されることもあります。これはたとえば、一定の条件を満たした住宅の購入や中小企業の設立などに当てはまることがあります。 このように、登録免許税は何かを「正式に記録する」ために必要な費用であり、不動産取引や会社の設立を考えている場合には、あらかじめかかる費用として意識しておくと安心です。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物といった不動産を取得したときに、一度だけかかる税金です。たとえば、自分で購入した場合だけでなく、親から贈与を受けたり、誰かと不動産を交換した場合なども対象になります。この税金は国ではなく都道府県に納める「地方税」であり、不動産を取得した後に自治体から納税通知書が送られてきます。 税額は、不動産の購入価格そのものではなく、「固定資産税評価額」と呼ばれる基準に基づいて決まります。評価額に一定の税率(原則4%)をかけて計算されますが、住宅用の建物などについては、軽減措置が適用されて税率が下がる場合もあります。 このように、不動産取得税は取得のたびに一度だけ発生する税金であり、不動産を買ったりもらったりした際には、登記とは別にこの税金の存在も意識しておくことが大切です。
所得税
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。




