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相続税の控除と非課税枠とは?基礎控除や配偶者控除などの計算方法も徹底解説

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相続税の控除と非課税枠とは?基礎控除や配偶者控除などの計算方法も徹底解説

相続税の控除と非課税枠とは?基礎控除や配偶者控除などの計算方法も徹底解説

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執筆者:

公開:

2025.06.25

更新:

2026.04.03

相続

都市部の地価上昇と2015年の基礎控除縮小によって、これまで相続税と無縁だった家庭にも課税リスクが及び始めました。さらに2024年改正で生前贈与や精算課税の扱いが複雑化し、申告期限10か月のうちに最適な控除や特例を選びきれず、余計な税負担が発生するケースが急増しています。本記事では、この制度混乱を背景に「そもそも課税ラインをどう見極めるか」から「効果的な控除・特例の組み合わせ方」までを体系的に整理し、相続に直面した家族が最初の一歩を踏み出す指針を提供します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読み終えると、基礎控除で自宅や預貯金が課税対象になるかすぐ計算でき、配偶者控除・未成年者控除など六つの税額控除と小規模宅地等を含む三大評価減特例を自分のケースに当てはめられます。申告期限10か月の工程と必要書類、2024年の生前贈与ルール変更まで整理されているため、読み終えた瞬間から家族に示せる節税シナリオと手続きスケジュールを持ち帰れます。三つの事例で控除適用後の税額変化を追体験し、相次相続控除や農地の納税猶予まで網羅。専門家に相談すべきタイミングと費用相場も把握でき、迷いなく次の一手を打てます。

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目次

相続税がかかるかの分かれ目!「基礎控除」の計算方法と課税ラインとは?

基礎控除の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

【事例】法定相続人が3人なら、遺産4,800万円までは非課税

基礎控除は過去に引き下げられている点に注意

【注意】控除を超えたら「納税ゼロ」でも申告は必要!

相続税を直接安くする6つの「税額控除」とは?適用要件と控除額の概要

配偶者控除:1億6,000万円または法定相続分まで相続税が非課税となる最大の軽減措置

未成年者控除:18歳未満の相続人には「年数×10万円」が控除される

障害者控除:障害のある相続人には「年数×10〜20万円」が控除される

相次相続控除:10年以内に連続して相続が発生した場合の二重課税を軽減

贈与税額控除:相続財産に加算された生前贈与にかかる贈与税は控除対象

外国税額控除:海外資産にかかる外国の相続税との二重課税を調整

相続税の評価額を大幅に圧縮できる3大特例:小規模宅地・事業承継・農地の評価減制度を徹底解説

小規模宅地等の特例:自宅や事業用地の評価額を最大80%圧縮

事業承継税制:中小企業の後継者に対する相続税の納税猶予・免除制度

農地等の納税猶予:農業を続けることで相続税が実質免除に

適用には専門家の関与が不可欠:申告・維持要件を丁寧に確認

基礎控除とは別枠!生命保険金の非課税枠「500万円 × 法定相続人の数」を賢く活用しよう

【事例】相続人3人なら、1,500万円までが非課税に

非課税の適用には「受取人が法定相続人」であることが条件

相続税・贈与税制度の変更点【2024年施行〜2026年度税制改正大綱対応】

生前贈与加算の対象期間が7年に延長

基礎控除の概要と申告不要の扱い

教育資金の一括贈与特例は2026年3月末で終了

結婚・子育て資金の一括贈与特例は2027年3月末まで延長

未成年者控除の対象年齢が18歳未満に変更

その他の制度変更(2025年度・2026年度税制改正含む)

【2026年度改正】貸付用不動産の評価方法の見直し

【2026年度改正】不動産小口化商品の評価方法の見直し

【2026年度改正】事業承継税制の計画提出期限の延長

相続税はここまで減る!3つの実例でわかる控除・特例の効果

事例1:配偶者と16歳の子が相続人(遺産6,000万円)

事例2:小規模宅地等の特例で自宅の相続が非課税に(遺産8,000万円・子2人)

事例3:相次相続控除で相続税を300万円軽減(5年以内の二次相続)

相続発生から申告・納税までは10か月以内に完了!控除申請に向けた準備とタイムライン

【〜3か月】相続放棄・限定承認の判断と財産の概算調査

【〜4か月】準確定申告と財産目録の作成開始

【〜8か月】遺産分割協議を完了し、特例適用要件を整える

【〜10か月】相続税の申告書提出と納税を完了

相続税の専門家(税理士)にいつ相談すべき?費用相場と依頼のメリットを解説

相談のタイミングは「基礎控除を超えそう」と感じたとき

こんなケースは税理士への相談が特に有効

税理士報酬の目安は「遺産総額の0.5〜1.0%」程度

相続税がかかるかの分かれ目!「基礎控除」の計算方法と課税ラインとは?

相続税には、「これ以下なら税金がかからない」という“非課税ライン”が設けられています。これが「基礎控除」です。相続財産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。反対に、この額を超えた場合にのみ課税対象となります。

基礎控除の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で算出されます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

なお、基礎控除額算定上の法定相続人の数には、相続放棄した人も含めます。養子がいる場合は基礎控除計算に含められる養子の人数に制限があります(実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は2人まで)。

【事例】法定相続人が3人なら、遺産4,800万円までは非課税

たとえば、法定相続人が「配偶者+子ども2人」の計3人の場合、基礎控除額は以下のとおりです。

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

この場合、被相続人の遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税の申告も納税も不要となります。

基礎控除は過去に引き下げられている点に注意

なお、2015年の税制改正前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。現在は控除額が大きく引き下げられており、以前なら課税対象でなかった家庭でも、現在は申告が必要になるケースが増えています。 この改正により、都市部の不動産を含む相続などでは、特に影響が大きくなっています。

【注意】控除を超えたら「納税ゼロ」でも申告は必要!

相続税の申告義務は、「遺産総額が基礎控除を超えるかどうか」で判断されます。したがって、控除や特例を活用して納税額がゼロになった場合でも、遺産総額が基礎控除を超えていれば申告は必要です。

たとえば、以下のようなケースが該当します。

相続税がゼロでも申告が必要なケース

  1. 配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)
  2. 小規模宅地等の特例(最大80%評価減)

これらを適用して納税額がゼロで済んだとしても、「申告しなければ特例が適用されない」ため、期限内の申告が必須です

相続税を直接安くする6つの「税額控除」とは?適用要件と控除額の概要

相続税には、算出された税額から直接差し引ける「税額控除」が6種類用意されています。これらを上手に活用することで、最終的な納税額を大幅に抑えることができます。

本章では、それぞれの税額控除について、対象となるケースや適用条件を一つずつ解説していきます。自分や家族に該当する控除がないか、ぜひ確認してみてください。

控除名対象となる人(一例)控除額の概要ポイント
配偶者控除被相続人の配偶者1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い額まで最も節税効果が高い。適用には申告が必須。
未成年者控除18歳未満の相続人(18歳になるまでの年数) × 10万円控除しきれない分は扶養義務者が使える。
障害者控除85歳未満の障害を持つ相続人(85歳になるまでの年数) × 10万円 (特別障害者は20万円)控除しきれない分は扶養義務者が使える。
相次相続控除10年以内に相続が続いた人前回の相続税額の一部短期間での二重課税を防ぐ制度。
贈与税額控除生前贈与を受け、贈与税を納税した人支払った贈与税額贈与と相続での二重課税を調整。
外国税額控除海外の財産に外国の相続税を支払った人支払った外国税額の一部国際的な二重課税を調整。
相続税を軽減する6つの税額控除制度の比較表

配偶者控除:1億6,000万円または法定相続分まで相続税が非課税となる最大の軽減措置

配偶者控除は、相続税制度のなかでも最も大きな軽減効果を持つ制度のひとつです。被相続人の配偶者が取得する財産については、「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは、相続税がかかりません。つまり、配偶者が多額の遺産を相続した場合でも、その限度内であれば相続税は発生しないということになります。

ただし、この控除を適用するには、実際の納税額がゼロであっても相続税の申告書を提出する必要があります。また、配偶者が財産を仮装または隠ぺいしていた場合には、控除が認められないため注意が必要です。

未成年者控除:18歳未満の相続人には「年数×10万円」が控除される

相続人が18歳未満の未成年者である場合、相続税額から一定額が控除されます。控除額は、18歳に達するまでの年数(1年未満は切り上げ)に10万円を掛けた金額です。2022年4月の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられており、2025年現在もこの条件が適用されています。

たとえば、相続開始時点で15歳であれば、残り3年分として30万円が控除されます。なお、本人の相続税額を控除しきれない場合には、差額をその未成年者の扶養義務者(通常は親など)の相続税から差し引くことが可能です。

障害者控除:障害のある相続人には「年数×10〜20万円」が控除される

相続人が障害者である場合、相続税額から年数に応じた一定額が控除されます。一般の障害者であれば、85歳に達するまでの年数×10万円、特別障害者(重度障害者)の場合は×20万円で計算されます。

たとえば、相続開始時に40歳の特別障害者であれば、85歳まで45年あるため、控除額は900万円(20万円×45年)となります。未成年者控除と同様に、本人の税額から控除しきれない場合には、扶養義務者の相続税から差し引くことができます。

相次相続控除:10年以内に連続して相続が発生した場合の二重課税を軽減

相続人が、過去10年以内に別の相続(一次相続)で財産を取得し相続税を納めていた場合、今回(二次相続)の相続税から一定額を控除できる制度です。控除額は、前回の相続で課税された相続税のうち、経過年数1年ごとに10%ずつ減額して算出します。

たとえば、母が父の遺産を相続し相続税を支払い、その5年後に母の死亡により子が遺産を相続した場合、前回の相続税のうち50%(10%×5年)相当額が今回の相続税から控除されます。これにより、短期間で相続が重なった際の税負担が軽減されます。

贈与税額控除:相続財産に加算された生前贈与にかかる贈与税は控除対象

被相続人から生前贈与を受け、贈与税を支払っていた場合、その金額は相続税から控除されます。相続開始前7年以内に贈与された財産は、相続財産に加算されるのが原則ですが、すでに納付済みの贈与税については二重課税を避けるため、相続税から差し引かれます。

たとえば、暦年課税で110万円を超える贈与を受けて贈与税を支払っていた場合、その額は相続税計算時に控除対象となります。相続時精算課税制度を利用していた場合も、贈与時に支払った贈与税(20%課税)を相続税から控除できます。

外国税額控除:海外資産にかかる外国の相続税との二重課税を調整

国外にある財産に対して現地で相続税相当の税金を支払った場合、その金額の一部または全部を日本の相続税から控除できる制度です。控除額は、外国で納付した相続税額と、日本の相続税額のうち当該国外財産が占める割合相当額のいずれか少ない方の金額となります。

たとえば、海外資産に対して1,000万円の相続税を外国で支払い、日本の相続税計算上その財産に対応する税額が500万円であれば、控除できる額は500万円となります。この制度により、国際的な二重課税の不公平が是正されます。

相続税の評価額を大幅に圧縮できる3大特例:小規模宅地・事業承継・農地の評価減制度を徹底解説

相続税には、納税額を直接減らす「税額控除」とは別に、財産の評価額そのものを減額する「評価減特例」が存在します。これらの制度は、一定の要件を満たす財産に対して評価額を大幅に減額したり、相続税の納税を猶予・免除することで、相続税の負担を実質的に軽減できる仕組みです。

なかでも活用機会が多く、節税効果が高い3つの制度について、概要・効果・注意点を一覧で整理したうえで、個別に解説します。

特例名対象資産控除内容の概要主な適用条件・注意点
小規模宅地等の特例自宅・事業・貸付用の宅地最大330㎡まで評価額の80%を減額(区分により50%もあり)相続人の居住・事業継続が必要/申告期限内の届出/売却・転用で適用打ち切り
事業承継税制自社株・事業用資産相続税の納税が最大100%猶予(条件達成で免除)認定申請・5年の継続・年次報告が必須/条件逸脱で納税義務復活
農地等の納税猶予相続した農地相続税を最大100%猶予(20年後まで継続すれば免除)農業の継続・農地の保有が条件/中断・転用で猶予取消し/農業委員会への手続き必要
評価減特例の比較一覧(2026年版)

小規模宅地等の特例:自宅や事業用地の評価額を最大80%圧縮

被相続人が居住や事業に使っていた土地について、一定面積まで評価額を50〜80%減額できる特例です。 たとえば、配偶者や同居親族が相続する「特定居住用宅地」の場合、最大330㎡まで80%評価減が適用されます。評価額5,000万円の宅地であれば、1,000万円まで圧縮でき、相続税がかからないケースもあります。

都市部の不動産など高額評価になりやすい相続では、遺産総額を基礎控除以下に抑える効果も期待できます。 ただし、居住の継続や売却制限など要件も厳格で、適用には期限内の申告と事前確認が必須です。

個人で不動産を相続する際の準備は以下Q&Aでも解説しています。

事業承継税制:中小企業の後継者に対する相続税の納税猶予・免除制度

中小企業の経営者が亡くなり、自社株式や事業用資産を後継者が相続する際に、相続税の納税を最大100%猶予し、要件を満たせば免除される制度です。

この特例により、事業承継時の多額な納税を回避し、資金繰りや従業員の雇用維持など、事業の継続性が確保されやすくなります。

適用には、事前の「認定経営承継会社」の申請、5年間の事業継続、従業員数の維持、毎年の都道府県への報告など厳しい条件があります。条件を満たさなくなった場合には、猶予されていた税額の一括納付が求められます。

事業承継の前に資産管理会社による相続対策も検討の対象です。資産管理会社を活用した相続対策は以下Q$Aでも解説しています。

農地等の納税猶予:農業を続けることで相続税が実質免除に

被相続人が保有していた農地を、相続人が引き継いで農業を継続する場合には、相続税の納税が猶予され、最終的に免除される制度です。 原則として20年間農地を保有し、農業を継続することが条件とされており、猶予期間中の中断や農地の転用・売却などがあると、猶予された税額が即時課税されます。

また、制度利用には農業委員会への届出や、毎年の農業継続報告なども必要となります。事業承継税制と同様に、長期的な計画と制度理解が不可欠です。

適用には専門家の関与が不可欠:申告・維持要件を丁寧に確認

これらの評価減特例は、相続税負担を抜本的に軽減できる非常に強力な制度です。しかし、いずれも適用には厳格な申告手続きと、要件の継続的な充足が求められます。

特例適用後に要件を満たさなくなった場合、猶予されていた税額の納税義務が復活するリスクもあります。制度の誤解や手続き漏れにより、かえって負担が増えるケースも少なくありません。

そのため、適用を検討する際は、相続・事業・農業に精通した専門家に相談しながら、長期的な計画のもとで制度を活用することが重要です。

基礎控除とは別枠!生命保険金の非課税枠「500万円 × 法定相続人の数」を賢く活用しよう

相続財産のうち、生命保険金(死亡保険金)については、基礎控除とは別に非課税となる枠が設けられています。これは、受取人が法定相続人である場合に限り適用される制度で、相続税対策として非常に有効です。

非課税限度額の計算式は、以下のとおりです。

「生命保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数」

【事例】相続人3人なら、1,500万円までが非課税に

たとえば、相続人が配偶者と子2人の合計3人の場合、非課税枠は500万円×3人=1,500万円となります。この範囲内で受け取る死亡保険金には、相続税がかかりません。

現金や預金をそのまま相続する場合は全額が課税対象になるのに対し、同額を死亡保険金として遺すことで非課税となるため、生命保険は現預金よりも相続税対策に有利な手段といえます。

生命保険の相続税の非課税枠については以下QAでも解説しています。

非課税の適用には「受取人が法定相続人」であることが条件

注意すべき点は、受取人が法定相続人でなければこの非課税枠は使えないということです。たとえば、孫や兄弟姉妹など、法定相続人以外が保険金を受け取った場合には、全額が課税対象となります。

また、非課税枠を計算する際の「法定相続人の数」には、相続放棄をした人も含まれます。そのため、相続人が放棄していても人数にはカウントできる点も重要です。

相続税・贈与税制度の変更点【2024年施行〜2026年度税制改正大綱対応】

2023年度(令和5年度)の税制改正により、相続税・贈与税のルールに複数の重要な見直しが入り、2024年1月から順次施行されています。

さらに、2025年度・2026年度の税制改正大綱でも追加の見直しが示されました。特に、生前贈与や相続時精算課税の扱いが変わったことに加え、非課税特例の廃止・延長や貸付用不動産の評価方法の見直しなど、これまでの節税スキームの再検討が求められる状況です。この章では、主要な変更点を体系的に解説します。

生前贈与加算の対象期間が7年に延長

相続税の計算において、被相続人が死亡する前に行った贈与の一部を相続財産に加算する「生前贈与加算」の対象期間が変更されました。

適用開始と段階的導入スケジュール

2024年1月1日以降の贈与について、相続発生時期に応じて加算期間が次のように段階適用されます。

  • 2026年末までに死亡:従来通り死亡前3年以内の贈与を加算
  • 2027年〜2030年に死亡:2024年1月1日以降の贈与分がすべて加算対象
  • 2031年以降に死亡:死亡前7年以内の贈与が加算対象(完全移行)

つまり、2024年1月1日に行った贈与は、相続の発生が2027年であっても2031年であっても加算対象となる点に注意が必要です。

新設された100万円の加算除外枠

3年を超えて7年以内の贈与(延長された4年間分)については、合計100万円までが加算対象から除外されます。これにより、数年にわたり少額の暦年贈与を行っていても、すべてが直ちに課税対象となるわけではありません。ただし、100万円を超える部分は加算されるため、長期的な贈与計画が重要です。

相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が新設

これまで相続時精算課税制度は、累計2,500万円までの贈与が一律20%課税で処理される一方、少額贈与に対する柔軟性が低いという課題がありました。

基礎控除の概要と申告不要の扱い

2024年1月1日以降、精算課税を選択している場合でも、年110万円までの贈与については非課税となり、贈与税の申告も不要です。この110万円の基礎控除部分は相続財産への加算も免除されるため、暦年課税における「生前贈与加算の7年延長」と比較して、使い勝手が大きく向上しました。

この基礎控除は暦年課税との併用はできず、制度選択の段階でいずれかを選ぶ必要があります。一度精算課税を選択すると暦年課税に戻すことはできないため、家族構成や財産の状況に応じた慎重な判断が必要です。なお、精算課税により受け取った土地・建物が災害で被害を受けた場合、被害額を差し引いた価額のみを相続財産に加算する特例も2024年から新たに設けられています。

教育資金の一括贈与特例は2026年3月末で終了

資産の早期移転を目的とした非課税贈与の特例制度のうち、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年度税制改正大綱において延長せず終了する方針が示されました。

最大1,500万円まで非課税(学校外教育費は500万円まで)の本制度は、2013年の創設以来、複数回の延長が行われてきましたが、2026年3月31日までの拠出分をもって終了となります。同日までに金融機関で信託契約等の手続きを完了し、実際に資金を拠出(入金)していなければ、非課税枠の適用を受けることはできません。

利用件数の減少や富裕層への恩恵の偏り、幼児教育・保育の無償化や高校授業料の実質無償化といった公的支援の拡充により、制度が果たす役割が相対的に縮小したと判断されたためです。なお、都度必要な教育費を直接支払う方法(いわゆる「都度贈与」)は、扶養義務の範囲内として従来通り非課税で行えます。

結婚・子育て資金の一括贈与特例は2027年3月末まで延長

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、2025年度税制改正により2027年(令和9年)3月31日まで2年間延長されました。

最大1,000万円まで非課税(結婚関連は300万円が上限)。受贈者は18歳以上50歳未満、贈与者は直系尊属(父母・祖父母など)であることが要件です。なお、受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用できません。

2025年度税制改正大綱では、子育てをめぐる給付と負担のあり方について「関係省庁において改めて検討すべき」とされており、今後廃止の議論が本格化する可能性もあります。利用を検討する場合は早めの対応が望ましいでしょう。

未成年者控除の対象年齢が18歳未満に変更

相続人が未成年の場合に適用される「未成年者控除」についても、成年年齢の引き下げ(18歳)に対応して見直しが行われています。

改正前は「20歳未満」が対象でしたが、改正後は「18歳未満」となり、控除単価は10万円に引き上げられました。

例:相続時年齢が15歳の場合→30万円(=(18歳−15歳)×10万円)

18〜19歳の相続人は控除の対象外となるため、改正前よりも税負担が増す可能性があります。一方で、17歳以下では控除額が増加するため、年齢によって影響が異なります。

その他の制度変更(2025年度・2026年度税制改正含む)

上記以外にも、近年の税制改正では相続税・贈与税に関する周辺制度に複数の見直しが加えられています。

住宅取得資金贈与の特例延長

2024年度税制改正により2026年12月31日まで延長されています。省エネ基準などを満たす「良質な住宅」の取得には最大1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで非課税となります。

障害者控除の見直し

控除単価が見直され、一般障害者は年10万円、特別障害者は年20万円の控除が適用されます。

小規模宅地等の特例の運用整理

制度自体の変更はありませんが、適用要件や判断基準に関する国税庁の通達が整理されており、実務上の確認が引き続き重要です。

【2026年度改正】貸付用不動産の評価方法の見直し

2026年度税制改正大綱で最も注目された項目です。2027年1月1日以後の相続・贈与から適用されます。

被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得・新築した一定の貸付用不動産については、通達評価額ではなく通常の取引価額に相当する金額(原則として取得価額に地価変動を加味した金額の80%相当)で評価することとなります。

相続直前に収益物件を購入して評価額の圧縮を図る節税スキームに対する措置で、今後は早期の対策実行がより重要になります。

ただし、5年以上所有している土地に新築した賃貸物件については従来の評価方法が維持されます。

【2026年度改正】不動産小口化商品の評価方法の見直し

信託受益権型などの不動産小口化商品については、取得時期にかかわらず通常の取引価額で評価されることとなります。2027年1月1日以後の相続・贈与から適用されるため、節税目的での購入は効果が大幅に低下します。

【2026年度改正】事業承継税制の計画提出期限の延長

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限が1年6か月延長されました。また、個人版事業承継税制の個人事業承継計画の提出期限も2年6か月延長されています。ただし、特例制度自体の適用期限(2027年12月31日まで)に変更はありません。

相続税はここまで減る!3つの実例でわかる控除・特例の効果

実際に控除や特例を適用すると税負担がどう変わるか、3つのケースで見てみましょう。

事例1:配偶者と16歳の子が相続人(遺産6,000万円)

相続人が配偶者と16歳の子ども1人、遺産総額が6,000万円の場合、相続税はどのように計算されるでしょうか。

まず、このケースの基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人2人=4,200万円。よって、課税対象となる遺産は6,000万円−4,200万円=1,800万円です。

このうち、配偶者が取得する財産については「配偶者の税額軽減」が適用されます。配偶者は、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで非課税となるため、今回のように遺産が6,000万円であれば、全額を相続しても税負担は発生しません。

また、16歳の子には「未成年者控除」が適用されます。控除額は、18歳に達するまでの残り2年×10万円=20万円です。これにより、子の相続税も一部軽減されます。

結果として、配偶者は相続税ゼロ、子も控除により税負担を抑えることができる事例となります。

事例2:小規模宅地等の特例で自宅の相続が非課税に(遺産8,000万円・子2人)

遺産総額8,000万円のうち、自宅(土地・建物)が5,000万円、預貯金が3,000万円というケースです。相続人は長男と次男の2人で、配偶者は既に他界しています。

基礎控除額は、3,000万円+600万円×2人=4,200万円。したがって、課税対象額は8,000万円−4,200万円=3,800万円となります。

ここで、長男が同居していた自宅の土地に対して「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地)」を適用した場合、土地評価額5,000万円のうち80%が減額され、評価額は1,000万円に圧縮されます。すると、評価総額は1,000万円(土地)+3,000万円(預貯金)=4,000万円となり、基礎控除4,200万円を下回ります。

結果として相続税は発生せず、特例の活用により税負担を完全に回避できた事例です。

事例3:相次相続控除で相続税を300万円軽減(5年以内の二次相続)

2020年に父が亡くなり、母が財産を相続して相続税600万円を納付。5年後の2025年に母も他界し、子が母の財産を相続する「二次相続」が発生しました。

当初、子に課される相続税額は800万円と見積もられていましたが、このケースでは「相次相続控除」の適用が可能でした。相次相続控除とは、前回の相続から10年以内に再び相続が発生した場合、前回の被相続人(今回の母)が支払った相続税の一部を、今回の相続税から控除できる制度です。

本件では、前回相続から5年が経過していたため、控除割合は50%とされ、母が支払った相続税600万円のうち半分にあたる300万円が控除対象となりました。結果として、子の相続税は800万円から300万円が差し引かれ、最終的な納税額は500万円に軽減されました。

このように、短期間に連続して相続が発生した場合、相次相続控除を適用できるかどうかによって納税額が大きく変わる可能性があります。適用の可否や控除額の算定には、過去の相続記録や支払済みの税額などの確認も必要になるため、早めに専門家へ相談することが重要です。

相続発生から申告・納税までは10か月以内に完了!控除申請に向けた準備とタイムライン

相続税の申告・納税には期限があり、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に完了させる必要があります。この間に遺産の調査・評価・分割協議・申告書作成・納付までを進める必要があり、各種控除や特例の適用準備も含めて計画的な対応が求められます。

以下では、10か月間の流れを4つのフェーズに分けて解説します。

【〜3か月】相続放棄・限定承認の判断と財産の概算調査

相続発生後、まずは法定相続人の確定と遺言書の有無の確認を行います。そのうえで、相続財産や債務の概要を調査し、「相続するか、放棄または限定承認するか」の判断を行います。

  • 相続放棄・限定承認の申述期限は3か月以内
  • 調査対象:預貯金、不動産、有価証券、借金、連帯保証など

この期間に全体像を把握しておくことで、今後の申告・納税準備がスムーズになります。

【〜4か月】準確定申告と財産目録の作成開始

被相続人の所得がある場合は、死亡を知った日の翌日から4か月以内に準確定申告が必要です(例:給与所得、事業所得、不動産所得など)。

あわせて、遺産の詳細調査を進め、財産目録の作成と各資産の評価方法の確認を開始します。特例適用を前提に、土地の利用状況や保険金の受取人情報なども整理しておきましょう。

【〜8か月】遺産分割協議を完了し、特例適用要件を整える

この段階では、相続人間での遺産分割協議をまとめ、協議書を作成します。誰がどの財産を取得するかが明確になることで、以下のような控除・特例の適用対象が確定します。

  • 配偶者の税額軽減
  • 小規模宅地等の特例
  • 障害者控除・未成年者控除 など

同時に、各特例に必要な添付書類や証明書類の収集も進めておくことが重要です。後回しにすると、期限に間に合わないリスクがあります。

【〜10か月】相続税の申告書提出と納税を完了

相続税の申告書の提出および納税は、相続開始から10か月以内が期限です。遺産分割や評価を踏まえ、税額を計算し、原則として現金一括納付で納税します。

控除・特例を適用する場合は申告書に明記する必要あり

納税資金の準備が難しい場合は「延納」「物納」の検討も可(別途要件あり)

控除・特例に必要な主な添付書類一覧

控除・特例名主な添付書類例
配偶者控除戸籍謄本、遺産分割協議書または遺言書
未成年者控除戸籍抄本
障害者控除障害者手帳または障害の程度を証する医師の診断書等
相次相続控除前回の相続税申告書の写し
小規模宅地等の特例土地の登記事項証明書、被相続人・相続人の住民票など

これらの書類は、発行に時間がかかるものも多いため、少なくとも申告4〜6か月前には準備を開始しておくのが理想です。

相続税の専門家(税理士)にいつ相談すべき?費用相場と依頼のメリットを解説

相続税の申告や節税対策は、制度の理解や計算が複雑なうえ、適用できる特例も多岐にわたります。こうした状況では、相続税の専門家である税理士に相談することが、負担の軽減や節税に大きくつながるケースが少なくありません。

相談のタイミングは「基礎控除を超えそう」と感じたとき

税理士への相談は、「これって相続税がかかるのでは?」と感じた時点がベストです。相続財産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)を超える可能性がある場合には、専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。

生前から対策を講じておけば、控除や特例の活用余地が広がりますし、相続発生後でも申告期限(10か月)に余裕があるほど選択肢は多く残されます。思い立ったら早めの相談が鍵です。

こんなケースは税理士への相談が特に有効

以下のような場合は、自力での判断が難しいため、税理士に依頼することで安心と節税の両面で大きなメリットがあります。

  • 適用できる控除・特例が複数ある(配偶者控除・小規模宅地・事業承継税制など)
  • 土地が複数ある、非上場株式が含まれるなど、財産の評価が複雑
  • 相続人間で意見の相違や争いのリスクがある
  • 忙しくて手続きの時間が取れない、精神的負担が大きい

税理士報酬の目安は「遺産総額の0.5〜1.0%」程度

相続税申告を税理士に依頼する場合、報酬は遺産総額の0.5%〜1.0%が相場とされています。たとえば遺産が1億円であれば、報酬は50万〜100万円程度となるイメージです。

一見高額に思えるかもしれませんが、控除や特例の適用漏れを防ぎ、結果的に税額が数百万円単位で減るケースもあるため、報酬以上の価値があることも少なくありません。

また、初回相談は無料としている税理士事務所も多いため、まずは気軽に相談してみることから始めましょう。

この記事のまとめ

まず遺産総額が基礎控除を上回るかを確認し、課税対象額→税額控除→評価減の順に削減余地を点検することが出発点です。配偶者控除や小規模宅地等特例に加え、生命保険非課税枠や延納・物納の資金計画まで含めて流動性とコストを測定し、申告期限10か月内に書類と資金を確保しましょう。他の生前贈与や信託と比較し、家族構成とリスク許容度に合う最小負担シナリオを選ぶ視点が欠かせません。必要に応じて専門家に相談するのも選択肢です。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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関連する専門用語

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

相続人(法定相続人)

相続人(法定相続人)とは、民法で定められた相続権を持つ人のことを指します。被相続人が亡くなった際に、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹などが法律上の順位に従って財産を相続する権利を持ちます。配偶者は常に相続人となり、子がいない場合は直系尊属(親や祖父母)、それもいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。相続税の基礎控除額の計算や遺産分割の際に重要な概念であり、相続対策を検討する上で欠かせない要素となります。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

税額控除

税額控除とは、納めるべき税金の金額そのものを直接減らすことができる制度のことです。通常の「所得控除」は課税所得額を減らして税額を下げる間接的な仕組みですが、税額控除は計算された税額から一定の金額を差し引くため、同じ控除額でもより大きな節税効果があります。 たとえば、住宅ローン控除や配当控除、外国税額控除、寄附金控除などが代表的です。適用には一定の条件や手続きが必要ですが、制度を正しく活用することで、家計の負担を軽減することが可能になります。特に資産運用や不動産投資などでも活用される重要な税制上の仕組みです。

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者に配偶者がいる場合、一定の条件を満たせば所得税や住民税の計算において課税所得を減らすことができる制度です。具体的には、配偶者の年間所得が一定額以下であれば、納税者の所得から一定金額を差し引くことができるため、結果として支払う税金が少なくなります。この制度は、家計全体の負担を軽減するためのもので、特にパートタイムや扶養内で働く配偶者がいる世帯にとって重要な意味を持ちます。なお、配偶者の収入が一定額を超えるとこの控除が使えなくなるため、「○○万円の壁」といった表現で語られることもあります。資産運用やライフプランを考える際には、税金の仕組みを理解しておくことが大切であり、配偶者控除はその中でも身近で影響の大きい制度のひとつです。

未成年者控除

未成年者控除とは、相続税の計算において、相続人が20歳未満(2022年4月1日以降は18歳未満)の未成年者である場合に、その人が成人になるまでの生活費や教育費を補うために相続税額から一定額を差し引くことができる制度です。 控除額は「(20歳または18歳-相続時の年齢)×10万円」で計算され、控除しきれなかった分がある場合は、他の相続人が負担している相続税から引き続き控除を受けることができます。この制度は、未成年者が十分な経済的基盤を持たずに財産を相続する状況において、その将来の生活を支える趣旨で設けられています。

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