扶養から外れて働き損になってしまう年収はいくらですか?
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2025/09/04 09:09
男性
40代
扶養から外れて働くと、手取りが減って働き損になるケースがあると耳にしました。実際には年収がいくらを超えた場合にそうした状況になるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
扶養から外れることで「働き損」と感じやすいのは、主に税金(所得税・住民税)と社会保険料(健康保険・年金保険料)の負担が一度に増える年収帯に差し掛かったときです。
まず税制面についてです。配偶者控除や配偶者特別控除の仕組みにより、配偶者の年収が 103万円以下 の場合は所得税がかからず、さらに世帯主も控除を受けられます。しかし年収が103万円を超えると、本人に所得税が課税され始め、世帯主の控除も減少するため、手取りの増加が緩やかになります。
次に社会保険の側面です。配偶者が会社員や公務員で健康保険に加入している場合、年収106万円または130万円を超えると被扶養者から外れ、自分で社会保険料を支払う必要が出てきます。健康保険料と厚生年金保険料を合わせると、収入の約15%前後が天引きされるため、この段階で一時的に手取り額が大幅に減るのです。特に130万円前後は「働き損」と言われやすいゾーンに当たります。
ただし、ここで「損」と感じるのはあくまで短期的な視点です。自分名義で厚生年金が積み上がるため、将来的な年金受給額は増加します。これは老後資金の安定につながる重要なメリットです。
また、企業によっては扶養手当や勤務制度が異なり、必ずしも「働き損」とは限りません。そのため、扶養を外れるかどうかは、短期的な手取り減少だけでなく、長期的な社会保障の充実や老後資金形成への効果を含めて総合的に考えることが大切です。
関連する専門用語
働き損
働き損とは、収入を増やすために働いたにもかかわらず、税金や社会保険料の負担が増えることで、実際の手取り収入があまり増えなかったり、かえって減ってしまったりする状況を指す言葉です。 特に、103万円・106万円・130万円・150万円といった「年収の壁」を超えたときに発生しやすく、パートやアルバイトで働く人が収入調整を考える理由の一つになっています。 表現としては正式な法律用語ではなく、日常的に使われる言い回しですが、実際の家計に大きな影響を与える現象です。投資や資産運用においても、世帯の可処分所得を把握するうえで理解しておくことが大切です。
所得税
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。
住民税
住民税は、居住地の自治体(市区町村および都道府県)に納める地方税で、地域の行政サービスを賄うために使われます。住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されます。 所得割は、前年の所得に基づき一律の税率(多くの場合10%)で計算されます。一方、均等割は所得に関わらず一律の金額(全国基準では年額5,000円程度)を納める部分です。 住民税は、所得税のような累進課税ではなく比例課税が基本で、納税額は所得や扶養状況などにより異なります。また、住民税は原則として前年の所得に基づき計算されるため、納税は翌年度に行われます。これにより、地域社会の運営を支える重要な財源となっています。
配偶者特別控除
配偶者特別控除とは、配偶者の年収が一定額以下である場合に、納税者の所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。この控除を受けることで、所得税や住民税の負担が軽くなります。配偶者控除との違いは、配偶者の所得がある程度ある場合でも段階的に控除が受けられる点にあります。 たとえば、配偶者がパートなどで年間150万円程度まで収入がある場合でも、この制度を活用することで節税が可能です。資産運用においては、世帯全体の手取り額を増やす工夫のひとつとして意識される制度で、特に夫婦で家計を管理する際に重要な視点になります。
社会保険料
社会保険料とは、健康保険や厚生年金保険、雇用保険など、社会保険制度を運営するために加入者が負担するお金のことです。会社員の場合は、給与から天引きされ、事業主と従業員が半分ずつ負担する仕組みになっています。 自営業者やフリーランスの場合は、国民健康保険や国民年金の保険料を自分で納めます。社会保険料は、病気やケガ、老後の生活、失業といった生活上のリスクに備えるためのもので、将来の給付を受けるための重要な拠出です。資産運用の観点からは、社会保険料は毎月のキャッシュフローに影響する固定費であり、長期的なライフプラン設計や可処分所得の把握に欠かせない要素です。
130万円の壁
130万円の壁とは、配偶者や家族の扶養に入っている人が、パートやアルバイトなどで年収130万円を超えた場合に、健康保険や年金といった社会保険に自分で加入しなければならなくなる基準のことを指します。130万円以内であれば扶養のままでいられるため保険料の自己負担はありませんが、超えると自分で保険料を支払う必要があり、手取り収入が減ることがあります。そのため、働く人にとっては年収を調整する目安となり、「壁」と呼ばれています。投資や資産運用とは直接関係しませんが、家庭の可処分所得に影響するため、家計管理の観点から理解しておくことが大切です。