「保険貧乏」とは、どのような人を指しますか?
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2025/10/17 09:12
女性
30代
「保険貧乏」とはどういう意味なのか、正直よくわかりません。保険にたくさん入っている人がそう呼ばれるのでしょうか?収入に対して保険料の負担が重くなりすぎている状態なのか、あるいは必要のない保障まで契約してしまっているのか、判断の基準が知りたいです。家計を圧迫しないための保険の見直しポイントなども教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
「保険貧乏」とは、家計の安心を守るための保険がかえって過剰になり、生活や資産形成を圧迫している状態を指します。たとえば、生命保険や医療保険などの保険料の合計が、手取り収入の5〜7%を長期的に超え、10%以上が続いているような場合は注意が必要です。本来、保険は万一のときに生活を守るためのものですが、入りすぎることで貯蓄や投資の余力がなくなり、将来の資産形成に支障をきたすことがあります。
保険貧乏になりやすい人は、公的保障や会社の福利厚生を確認せず、重複した保険に多く加入しているケースが多いです。特に、貯蓄型や外貨建て保険などコストが高い商品を複数契約していたり、通院・先進医療・特約などを必要以上に重ねていると、保険料が膨らみやすくなります。また、結婚や出産、転職などライフステージが変わっても見直しをしていない場合も典型的です。
見直しの第一歩は、今入っている保険をすべてリスト化し、内容・期間・保険料・解約返戻金などを整理することです。そのうえで、公的な保障や勤務先の制度を確認し、重複や過剰を明確にします。基本的な考え方は、頻度の低い大きな損害(死亡・高度障害・長期就業不能など)には保険で備え、発生頻度の高い小さなリスク(通院や軽度の病気など)は自己負担するという線引きをすることです。
生命保険であれば、万一のときに必要となる生活費や教育費を算出し、遺族年金や貯蓄などを差し引いた不足分だけを定期保険で補うのが合理的です。医療やがん保険は、高額療養費制度などの公的支援を前提に、長期入院や先進医療などに備える最小限の保障で十分なことが多いです。また、就業不能保険は、会社員なら傷病手当金を考慮して、不足分のみを補うように設計します。
保険料の目安としては、手取り収入に対して生命・医療系が5〜7%以内、すべての保険を含めても10%を超えないようにするのが望ましいでしょう。もしこれを超えている場合は、不要な特約を外したり、重複契約を整理することを検討します。解約や減額は、元本割れや解約控除を避けるため、順序とタイミングに注意して行うことが重要です。
学資保険や外貨建て終身保険を貯蓄代わりにしている人も少なくありませんが、目的が老後資金や教育資金であれば、新NISAやiDeCoのような投資制度を活用した方が柔軟で効率的です。特約の内容を説明できない場合や、3年以上見直していない場合も見直しのサインといえます。
保険は「安心を買うためのコスト」であり、入りすぎるほど安心になるわけではありません。公的制度や企業保障を前提に、必要な部分だけをカバーすることが賢明です。ライフイベントのたびに契約内容を確認し、掛けすぎないことが「保険貧乏」を防ぐ最大のポイントです。
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関連する専門用語
保険貧乏
保険貧乏とは、さまざまな保険に入りすぎて保険料の負担が家計を圧迫し、日常生活や貯蓄に支障が出ている状態のことを指します。万が一のリスクに備えるための保険が、本来の目的を超えて家計を苦しめてしまうという矛盾した状況です。特に、複数の生命保険や医療保険、がん保険、学資保険などを勧められるまま契約してしまい、毎月の支払いが高額になるケースが多く見られます。保険は安心を買うものであり、加入の目的と優先順位を明確にすることが重要です。自分や家族にとって本当に必要な保障を見極め、適切な保険料負担に抑えることで、保険貧乏を防ぐことができます。
公的保障
公的保障(こうてきほしょう)とは、国や自治体が税金を財源として、すべての国民に最低限の生活を保障する制度を指します。社会保障制度の柱の一つであり、病気や失業、貧困、子育てなどで生活に困窮した場合に、保険料を支払っていなくても利用できる点が特徴です。 代表的な例として、生活保護があります。これは収入や資産が一定基準を下回る世帯に対し、生活費や医療費を補う制度で、まさに「最後のセーフティネット」とされています。また、児童手当は子どもを養育する家庭に所得に応じて一定額を支給する仕組みであり、子育て世帯の生活支援を目的としています。さらに、基礎年金の一部は国庫からの負担で賄われており、拠出額が少ない人でも一定の年金を受け取れるようになっています。 一方で、公的保険は国民や事業主が保険料を拠出し、相互扶助の仕組みで運営されます。健康保険や雇用保険、介護保険、年金保険などが代表的で、保険料を支払うことでリスク発生時に給付を受けられます。公的保障は税を財源に「無拠出」で提供される点で、公的保険とは性格が異なります。 公的保障は最低限度の生活を維持するための支援にとどまることが多いため、実際には公的保険や私的保険、さらに自助的な資産形成を組み合わせて備えることが現実的で安心といえます。
解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1か月に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限を超えた場合、その超過分が払い戻される公的な医療費助成制度です。日本では公的医療保険により治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者などは1〜2割)に抑えられていますが、手術や長期入院などで医療費が高額になると家計への影響は大きくなります。こうした経済的負担を軽減するために設けられているのが、この高額療養費制度です。 上限額は、70歳未満と70歳以上で異なり、さらに所得区分(年収の目安)によって細かく設定されています。たとえば、年収約370万〜770万円の方(一般的な所得層)では、1か月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となります。これを超えた分は、後から申請によって保険者から払い戻しを受けることができます。 また、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得し、医療機関に提示しておけば、病院の窓口で支払う金額そのものを最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の払い戻しを待たずに現金の一時的な負担を軽減できます。 同じ月に複数の医療機関を受診した場合や、同一世帯で同じ医療保険に加入している家族がいる場合には、世帯単位で医療費を合算して上限額を適用することもできます。さらに、直近12か月以内に3回以上この制度を利用して上限を超えた場合、4回目以降は「多数回該当」となり、上限額がさらに引き下げられる仕組みもあります。なお、払い戻し申請から実際の支給までには1〜2か月程度かかるのが一般的です。 資産運用の観点から見ると、この制度によって突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、民間の医療保険や緊急時資金を過剰に積み上げる必要がない場合もあります。医療費リスクへの備えは、公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考えることが大切です。特に高所得者や自営業者の場合は、上限額が比較的高めに設定されている点や支給までのタイムラグを踏まえ、制度と現金の両面から備えておくと安心です。
傷病手当金(しょうびょうてあてきん)
傷病手当金(しょうびょうてあてきん)とは、会社員など健康保険に加入している被保険者が、業務外の病気やけがによって働けなくなり、給与の支払いを受けられない場合に支給される所得補償制度です。 原則として、連続する3日間の待期期間のあと、4日目以降の働けなかった日から支給されます。支給期間は同一の傷病につき、支給開始日から通算して最長1年6か月です。支給額は、休業前の標準報酬日額の3分の2に相当する額で、収入減少を一定程度補う役割を果たします。 支給を受けるには、医師による「労務不能」の証明が必要です。また、会社から給与が一部支給される場合は、その分が差し引かれて調整されます。なお、退職後であっても在職中に支給要件を満たしていれば、継続して受給できる場合があります。 一方で、国民健康保険(自営業者やフリーランスなどが加入する制度)には原則として傷病手当金の仕組みがありません。 これは、国民健康保険が「個人単位」での医療費給付を目的とした制度であり、勤務先を持たない人には“給与の喪失”という概念が存在しないため、所得補償を行う仕組みが制度設計上含まれていないことが理由です。 ただし、一部の自治体では独自に「国民健康保険傷病手当金」を設けており、新型コロナウイルス感染症など特定の事由に限って給付されるケースがあります。とはいえ、全国的には例外的な措置にとどまります。 このように、傷病手当金は会社員や公務員など被用者保険に加入している人のための制度であり、自営業者など国民健康保険加入者は対象外となる点に注意が必要です。
解約控除
解約控除とは、保険や一部の投資商品を契約期間の途中で解約した場合に、契約者が受け取る解約返戻金などから差し引かれる手数料のことをいいます。特に契約から数年以内など、早い段階で解約した際に高めに設定されていることが多く、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。 この制度は、販売時にかかった初期費用や運用の準備にかかるコストを回収するために設けられていますが、契約者にとっては思ったよりも少ない金額しか戻ってこないというリスクにつながります。そのため、商品選びの際には解約控除の有無やその金額、期間などをよく確認し、「途中で解約したらどうなるか」をあらかじめ理解しておくことがとても大切です。長期での運用を前提とした商品には特に注意が必要です。