長期金利と株価の関係を教えて下さい
長期金利と株価の関係を教えて下さい
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2025/08/02 08:50
男性
30代
最近ニュースで「長期金利が上昇して株価が下がった」といった話題をみかけました。ただ、長期金利がどのように株価に影響するのかがよく分からないため、関係性を教えて下さい。また、個人投資においてどんな点に注意すべきかも知りたいです。
回答
佐々木 辰
38歳
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
長期金利とは、10年国債の利回りに代表されるように、市場が将来の経済成長率やインフレ率、金融政策の方向性をどう見ているかを反映する重要な指標です。金利が上昇すると株価にマイナスの影響を与える場面が多く見られますが、その背景にはいくつかの経済的メカニズムが存在します。
まず、株価の理論的な価値は、企業が将来生み出す利益やキャッシュフローを「割引率」を使って現在価値に引き直すことで算出されます。この割引率には長期金利が使われるため、金利が上昇すると将来利益の現在価値が小さくなり、株価は下落しやすくなります。特に、利益の大半が将来に偏っている成長株は影響を受けやすく、低金利時代に過大評価されていた銘柄ほど調整を受けやすい傾向があります。
また、長期金利の上昇は、安全資産である国債の利回りが高くなることを意味します。リスクを取らずに得られる利回りが上昇すると、投資家はリスク資産である株式に投資するインセンティブが低下します。特に配当利回りの低い銘柄や、すでにバリュエーションが高い銘柄は敬遠されやすくなり、株式市場全体の下押し要因となることがあります。
さらに、金利が上昇すると企業の資金調達コストが高くなり、設備投資やM&Aなどの成長戦略が抑制されるリスクがあります。これにより、利益成長の鈍化や投資意欲の低下が起こり、実体経済と企業業績の両面から株価にネガティブな影響を及ぼすことがあります。
ただし、金利と株価が常に逆方向に動くわけではありません。たとえば景気が回復基調にある局面では、企業の業績見通しが改善することで株価が上昇し、同時に需要拡大やインフレ期待から金利も上昇する、という場面もあります。こうした「良い金利上昇」では、株価と金利が同時に上昇することもあります。
また、金利上昇がプラスに働く業種も存在します。銀行や保険会社のように利ざやが拡大するビジネスモデルを持つ企業では、金利の上昇がむしろ収益改善に直結します。したがって、金利の変化はセクターごとに異なる影響をもたらし、一律に「金利上昇=株安」とは言えません。
加えて、長期金利は「期待インフレ率」「実質成長率」「期間プレミアム」の3つの要素に分解して考えることができます。たとえば、期待インフレ率の上昇による金利上昇は購買力の低下や政策引き締めリスクを意識させ、株価にとってネガティブになりやすい一方で、実質成長率の上昇が主因であれば、企業業績の拡大と見なされ株価にとって中立〜ポジティブに働くこともあります。
また、長短金利差(イールドカーブ)の形状にも注意が必要です。通常は長期金利が短期金利より高い状態が自然ですが、景気後退の前には逆イールド(短期金利が長期金利を上回る)が発生することがあります。これは投資家心理に不安を与え、株式市場にも波及します。
投資初心者がこうした金利の影響に備えるには、米国や日本の10年国債利回りなどを定期的にチェックすることが有効です。また、株式だけに偏るのではなく、債券や現金なども組み合わせた分散投資を心がけ、自身のリスク許容度に応じた資産配分を保つことが大切です。
金利は個人がコントロールできるものではありませんが、その動きと影響を理解しておくことで、市場の変動に動揺しにくくなり、自分に合った長期的な資産形成を進めるうえでの大きな支えになります。株価がなぜ動くのかを構造的に理解できるようになることが、結果的に投資判断の質を高めてくれるはずです。
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関連する専門用語
長期金利
長期金利とは、返済までの期間が10年以上にわたる金融商品(たとえば10年国債など)に適用される金利のことです。これは、将来の経済成長率や物価(インフレ)などの見通しを反映して決まるため、景気の動向や中央銀行の政策、世界的な資金の流れなどが影響します。 長期金利が上がると、住宅ローンや企業の設備投資にかかる資金調達コストが増えるため、景気を冷やす効果があります。逆に、長期金利が下がるとお金を借りやすくなるため、経済が活性化しやすくなります。資産運用においては、債券の価格や株式市場にも影響を与えるため、非常に重要な指標のひとつです。特に債券投資を考える際には、長期金利の動きが利回りや価格に直結するため、注視する必要があります。
割引率(ディスカウント率)
割引率とは、将来のキャッシュフローを現在価値に換算する際に用いる利率のことを指す。金融市場では中央銀行が金融機関に貸し出す際の基準金利(公定歩合)を指すこともある。投資においては、割引率が高いほど将来の価値が低く評価されるため、企業価値評価や債券価格の算出において重要な指標となる。
アセットアロケーション(資産配分)
アセットアロケーション(Asset allocation)とは、資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。
国債利回り
国債利回りとは、政府が発行する債券(国債)に投資した場合に得られる収益の割合を示す指標です。具体的には、国債を保有することで定期的に受け取る利金と、購入価格や満期時の償還価格との関係から計算されます。国債は信用力が非常に高く、リスクが低いとされているため、その利回りは「安全資産の利回り」として広く参照されます。 利回りが上がると投資家はより高い収益を得られますが、同時に国債価格は下がる傾向があり、利回りと価格は逆の動きをします。国債利回りは、住宅ローン金利や企業の借入金利、株式市場の動向などにも大きな影響を与えるため、経済全体の「金利の基準」として極めて重要な役割を果たしています。
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